Arcturus「Arcturus Japan Tour 2017 with 1349 @ 下北沢GARDEN」

 

Arcturusと1349の来日公演に行ってきました!

 

  

□SIGH

まずは日本のバンド、SIGH。

30分ほどのコンパクトなセットリストでしたが、満足感のある良いライブでした。

男女ツインヴォーカルですが特に女性Voの方の歌唱力には圧倒されました。

フルートやアルトサクソフォンが登場したりと雰囲気も充分、最後の曲に向けての畳み掛けが凄く、フロアも盛り上がっていましたね。

 

□Rise of Avernus

次はオーストラリアからのRise of Avernus

こちらも男女ツインヴォーカル編成で、こちらは随所で差し込まれる女性ヴォーカルのクリーンボイスがよいアクセントとなっていました。

黒塗りのゾンビのようなペイントをしており見た目はおどろおどろしいですがパフォーマンスは明るく、客席を煽って楽しいステージを見せてくれました。

 

□1349

本日の目当て、ノルウェーからのブラックメタルバンド、1349。

サテリコンのレコーディングが入ったとのことで、残念ながらドラムのFrostは不在でしたが、サポートドラマーも十分すぎるほどにうまく、1349サウンドが眼前に展開されました。

 

セットリスト

01. Sculptor of Flesh
02. Slaves
03. I Am Abomination
04. Nathicana
05. Postmortem
06. Riders of the Apocalypse
07. Exorcism
08. Chained
09. Chasing Dragons
10. Serpentine Sibilance
11. Atomic Chapel
12. Golem
13. Cauldron

 

最新作からの選曲が多く、知らない曲もけっこうあったのですが、音の洪水に身を任せ存分にブラックの世界に浸ることができました。

また、3rd「Hellfire」からも数曲演奏されたのが嬉しかったです。

終演後にはサイン会も行われました。

 

 

Arcturus

本日のトリ、ノルウェーのスーパーバンド、Arcturus。

サイン会が押したため、最初の数曲は見逃してしまいました…。

 

セットリスト

01. Evacuation Code Deciphered
02. The Chaos Path
03. Painting My Horror
04. Shipwrecked Frontier Pioneer
05. Alone
06. Crashland
07. Game Over
08. Nocturnal Vision Revisited
09. Keyboad Solo
10. To Thou Who Dwellest in the Night
11. Raudt Og Svart

 

ブラック由来の要素も多少含みつつ、民族的メロディを主体にしたメタルといったサウンドなのですが、とにかく演奏がうまい!ヴォーカルのVortexは個性的で時にアウトっぽいメロディを軽々と決め、さすがの歌唱力。そしてなんといってもドラムのHellhammer!

音源通りのドラムを音源以上の迫力でもってバシバシと決めていくさまは、凄すぎて現実味がなかったほどです。

中盤からモニターを下げて!というようなジェスチャーをしていたHellhammerですが、Nocturnal Vision Revisited後で耐えきれず?一度休憩。その間、即興のキーボードソロが挿入されました。

キーボードソロは持続する和音の上でピアノの音色で音階を紡いでいくようなものでしたが、時にあやしく危なげなメロディを繰り出すソロに惹きつけられました。

Hellhammerの耳の調子はよくならなかったようで、その後数曲で「申し訳ないけれど…」と言いつつ、ライブは終了。こればかりは身体が第一なので仕方ありません。

やや短めのライブになってしまいましたが、パフォーマンスが素晴らしかったこともあり、不満はほとんど感じませんでした。しかしもっと聴いてみたかった!ぜひ再来日してほしいものです。

 

目当ての2バンド以外のバンドもすべて素晴らしく、非常に満足度の高いライブでした!

1349もArcturusもまた来て欲しいな!

 

そして会場でもアナウンスされましたが、ANAAL NATHRAKHが6月に再来日するようです!こちらも行かなくては!!

Morgaua Quartet「Tributelogy」

 モルゴーア・カルテットのプログレアルバム新作がリリースされました。

Tributelogy

Tributelogy

 

 

モルゴーアは東京フィルのコンサートマスターである荒井英治さんをはじめとした腕利きのプレイヤーたちによる弦楽四重奏団で、ショスタコーヴィチの四重奏曲など多彩なレパートリーを持っています。

 

彼らのレパートリーの中でも特徴的なのがプログレッシブ・ロックのカバー作品群です。

1998年の「ディストラクション」ではイエスキング・クリムゾンなどの名曲をカバー。しばらく間があいて2012年、2014年に2枚のプログレカバーアルバムをリリースしました。

 

そして今回はエマーソン・レイク&パーマー関連の作品のみで構成されたカバーアルバムです。

エマーソンはもともとクラシックから多大な影響を受けたミュージシャンでした。美しいメロディ、複雑な構成、テクニカルなパッセージは弦楽四重奏に置き換えても違和感がありません。むしろハーモニーや旋律のもつ力がより強調されているように感じます。

 

このアルバムの特に素晴らしいところは原曲への愛と敬意があふれていること。吉松版のタルカスカバーをはじめ、この手のカバー企画はけっこうな数ありますが、正直言ってロックの外面にとらわれてエマーソンの上品さを損なっているような演奏も散見されたものでした。しかしモルゴーアはまさに完璧。EL&Pの、そしてファン達のツボをしっかりと把握したうえで、トランスクリプションとアレンジメントを使い分け、巧みな編曲と演奏でプログレの世界を表現してくれています。

 

最近の作品である「After all of this」はエマーソンの葬儀でも流された編曲。元がピアノとオーケストラのための曲だけに、よりシンプルな編成で旋律が楽しめます。

「タルカス」は間違いなくEL&Pの代表曲。冒頭のリフも流すことなくゴリゴリとした演奏は好印象。 交響詩、あるいは劇伴のように感じるほど描写的なこの曲ですが、モルゴーアのキレのある演奏は場面ごとのキャラクターを巧みに描き出しています。

「Still...you turn me on」は原曲からかなり大胆なアレンジが加えられており、サティの面影が強くちらつきます。この曲はレイクを意識したもので、アルバムの中でひとときのオアシスのように作用しています。

「Trilogy」は以前のアルバムからの収録。動機が変容しながら展開していくさまはまさにクラシック的。リフを続けつつも上でインプロ感あふれるメロディが飛び交うサウンドは刺激的。

「The Sheriff」はユーモラスな小品。ピアノの音色が印象的な楽曲ですが、モルゴーアはピッチカートを効果的に使用し、一味違ったサウンドを作り上げています。

なんといっても圧巻が「Karn Evil 9」です!30分の大曲で、第1印象~第3印象まであるうちの第1と第3印象、そして即興的な第2印象の代わりに「Take a pebble」をモチーフにした間奏曲が挿入されています。もっともキャッチーな第1印象のパート2での浮遊感、第3印象での狂いっぷりには驚愕で、「そこまでやるか…!」と思わされました。第3印象のラストまで完全再現しているのは聴いていて思わず笑ってしまったほど。

 

プログレファンも納得の出来であるとともに、代表曲が集められていることから入門としても最適なアルバムと言えるでしょう。

ここまでのものを作ってくれたことに感謝したいです。

 

2016年にエマーソンとレイクは亡くなりましたが、その作品群はいつまでも色あせずに愛され続けていくのだと強く感じました。

 

 

Trouvère Quartet「Typsy Tune」

トルヴェール・クヮルテットの新作が出ました。

 

Tipsy Tune

Tipsy Tune

 

 

私は中学、高校時代に吹奏楽部に所属しており、サクソフォンを担当していました。今でもサクソフォンは細々と続けていますが、やはり一番情熱を持って取り組んでいたのは学生時代でしょう。ちょうどその時期に日本のサクソフォン界のアイドル的存在だったのがこのトルヴェールです。

 

シリアスなクラシック曲からユーモラスなメドレーまで、ジャンルにとらわれない選曲をしつつも自らの語法で「トルヴェール流」にしていくスタイルは、ロマン派の印象を受けます。

 

このアルバムでも基本的な路線は同じ。

ジャンジャンの「サクソフォン四重奏曲」はアンサンブルコンテストでもよく取り上げられる曲です。わかりやすく演奏しやすい内容ですが、音源はあまり多くないのでトルヴェールの演奏で聴くことができるのはうれしいところ。技術的には比較的容易なぶん、いっそうメンバーの表現力が楽しめます。

ドビュッシーの「弦楽四重奏曲」は難曲。元は弦楽ですが、トルヴェールは必要以上に弦を意識することなく、サクソフォンとしてのサウンドを存分に楽しませてくれます。この曲はやや暗いイメージを持っていましたが、トルヴェールが演奏するとポジティブ成分が強調されて聴こえるのも興味深いですね。

 

クレリスの「かくれんぼ」では演奏を楽しんでいるさまがありありとわかります。特に中盤~終盤の表現(ソプラノ!)などはやはり「トルヴェールならでは」。作曲家の意図をくみつつ、「もし作曲家が現在のサクソフォンの表現力を知っていたら…?」と想像を掻き立てられるようです。

タイトル曲、長生淳の「ティプシー・チューン」はジブシー関連の音楽を集めたメドレー。有名曲をミキサーにかけて一気に流し込むようなハイスピードの展開はいつも通り…というかいつも以上にノリノリな気がします。

 

オリジナル曲、アレンジ曲、面白メドレーと、トルヴェールの成分をバランスよく詰め込んだ、満足度の高いアルバムに仕上がっています。

じっくりと味わいたいと思います。

Versailles「CHATEAU DE VERSAILLES 日本武道館」

Versailles Philharmonic Quintetの武道館公演に行ってきました!

 

 

□セットリスト

01.Aristocrat's Symphony(Be Choir)
02.ASCENDEAD MASTER
03.Shout & Bites
04.zombie
05.Inheritance
06.Vampire
07.Chandelier
08.DESTINY -The Lovers-
09.After Cloudia
10.Philia
11.Serenade
12.Faith & Decision
13.MASQUERADE(Be Choir)

En1
14.Lineage
15.THE RED CARPET DAY

En2
16.Sympathia
17.The Revenant Choir(Be Choir)

 

 

「NOBLE」の頃から好きで聴いていたバンドですが、ワンマンライブを観るのはこれがはじめてでした。Versailles休止期間中にKamijoソロもJupiterも2回ずつ観る機会はあったので、それぞれの実力は知っているつもりでしたが、Versaillesとしてフルセットこなす姿を見て、バンドマジックをとても強く感じました。

 

合唱付きの「Aristocrat's Symphony」で幕を明け、続けざまに「ASCENDEAD MASTER」という必殺のコンボ。演奏も特にリズム隊が素晴らしく、YUKIさんのドラムはこの日、全編通して最高でした。ギター二人もどんどんブーストがかかっていくのがわかりました。

 

「zombie」ではライブならではのノリを楽しみ、続く「Inheritance」はこの日限定でリリースされたミニアルバムからの新曲。しっとりとした曲ながらも有機的に絡み合う楽器隊の演奏には特に強い説得力を感じ、ドキっとさせられました。

ジーザス・クライスト」のシャウトがこんなにカッコよかったか?と惚れ直した「Vampire」に続いては去年発売したベストに収録の新曲「Chandelier」。復活してからの彼らは客観的にVersaillesとしての強みを意識して曲を作っている感があり、聴いていて安心感があります。

最強のメロスピキラーチューンである「After Cloudia」は是非とも聴きたかった曲。Jasmine Youが当時インタビュー記事で楽しそうにこの楽曲について語っていたことを思い出し、目頭が熱くなりました。

TERUが「少しずつ速く演奏すれば沢山曲ができるのではないか」と提案したというメタラー魂(MEGADETH感が強い)を感じさせるMCからの「Philia(ちょっと速めVer)」といったお茶目さも見せつつ、Jasmineのことにも触れ、祈りにも似た「Serenade」。

 

16分に及ぶ大曲「Faith & Decision」ではHIZAKIのヴァイオリン奏法をはじめ、各楽器隊の見せ場がたっぷり。この長さを長く感じさせずに演奏しきるのはやはり流石といったところでしょう。再び合唱隊を迎えての「MASQUERADE」で本編は終了。

 

アンコールでは新曲の「Lineage」を披露。Versaillesらしさを凝縮したような楽曲で、コーラスパートも印象的。これからもライブ定番として演奏されていくであろう名曲でした。煽りとコール・アンド・レスポンスの定番曲「THE RED CARPET DAY」も大好きな曲。しかしKAMIJOさん、本当に素晴らしい歌唱でした。特に初期楽曲のわかりやすいメロディ部分での表現力、シャウトでの力強さには胸が熱くなりました。

 

ダブルアンコール。「Sympathia」はライブで聴くと良さが倍増する楽曲だと感じました。歌メロの良さ、ギターメロディの美しさ、一体感が素晴らしく、ここでもウルッと来ました。最後は合唱隊を迎えての「The Revenant Choir」。この曲は2015年末でのVersailles復活の儀式でも聴きましたが、アンコールとして聴くこの曲はさらに格別です。9年前から音源で聴き続けてきた楽曲を最高の状態で聴ける幸せを噛み締めました。

 

この日、ステージ中央には大聖堂を思わせる縦長のステンドグラスの映像が投影されており、曲によってそれがパイプオルガンになったり薔薇に包まれたり蝶が現れたりと万華鏡のように変化。単純ながらも効果の高い演出で、とても感動的なステージでした。

 

平日だったこともあり、行けるかどうか悩んだ武道館公演でしたが、がんばって定時退社して行って本当によかった。今年は10周年イヤーということでツアー等も発表され、まだまだ楽しませてくれそうです。

 

 

東京佼成ウィンドオーケストラ「第132回定期演奏会」

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01.交響曲第3番「キルクス・マクシムス」(J.コリリアーノ)

02.リュート曲に基づく昔の舞曲と歌曲集~管楽オーケストラのための自由な編作 第3組曲(O.レスピーギ / 伊藤康英)

03.交響詩「ローマの松」(O.レスピーギ / 鈴木英史)

 

凄いものを聴けました。

指揮はシズオ・Z・クワハラさん。

コリリアーノの「キルクス・マクシムス」はホールを闘技場に見立て、さらには闘技場の喧騒を現代社会でのチャンネルザッピングとも重ねたもの。トランペット11本が客席を囲むように配置され、サクソフォンカルテットとコントラバスも客席に配置、さらに1階席をマーチングバンドが練り歩くという混沌そのものの音響が繰り広げられました。

演奏にあたり様々なハードルがあったことは想像に難くないのですが、TKWOの演奏はそんな「裏」を全く感じさせない快演で、冒頭のサラウンド音響のトランペットからチャンネルザッピングでの切り替え、夜の音楽での動物たちの鳴き声の模写や深夜の都会の表現の面白さ、そしてなんといっても各音群が渾然一体となって混ざり合う終盤!脳が処理しきれない情報がどんどん飽和し、上書きされていく様はさながら頭の中を蹂躙されているような感覚で、これ以上無い心地よさを感じました。

航空自衛隊のアドバイスを取り入れたであろう最後のショットガンの動作もカッコ良く、2階席に座っていたこともあり「本当に撃たれるのでは」と脳が錯覚してこれもまた心地よい倒錯を体験できました。

 

この時点で大満足でしたが休憩を挟んで第2部はレスピーギの名曲たち。

リュートのための~」が伊藤康英さんのアイデアたっぷりのアレンジ。先程までとはうってかわっての整然としたサウンドに癒されました。

そして「ローマの松」も素晴らしかったです。各プレイヤーの音色の素晴らしさ、楽団としてのサウンドの素晴らしさが存分に発揮され、鈴木英史さんによるすっきりした編曲も相まってとても満足度の高い演奏でした。

「ボルゲーゼ荘」でのホルン、サックスのメロディのサウンドの素晴らしさ、「カタコンブ」での静かな表現。「ジャニコロ」での木管楽器たちのソロの表現力、「アッピア街道」でのバンダを含んだ輝かしい凱旋のサウンドと、なかなか他では聴けないレベルの演奏だったのではないでしょうか。

 

今回も大満足の演奏会でした。

しかしコリリアーノはすごかった…。

実演が困難なことは重々承知ですが、これはまた実演で聴きたいものですね…!

People In The Box「空から降ってくる vol.9 ~劇場編~ @ めぐろパーシモンホール」

□セットリスト

第1部
01.野蛮へ
02.見えない警察のための
03.時計回りの人々
04.数秒前の果実
05.さまよう
06.空は機械仕掛
07.ニコラとテスラ
08.きみは考えを変えた
09.昏睡クラブ
10.ダンス、ダンス、ダンス

第2部
11.木洩れ陽、果物、機関車
12.球体
13.She hates December
14.新曲
15.新曲
16.動物になりたい
17.冷血と作法
18.金曜日/集中治療室
19.逆光
20.汽笛

 

2017年最初のライブはピープルでした。

「空から降ってくる」はレコ発以外のタイミングで、Peopleにとって節目のタイミングで開催されてきたライブシリーズです。私はvol.2以降すべて参加しているはずです(ツアー形式は東京のみですが)。

 

今回もそうでしたが「劇場編」とサブタイトルがつく場合もあり、アコースティック編成でのステージと通常の編成でのステージで構成されます。

最近はアコースティックステージで使用される楽器がどんどん多様化していて、観ていても楽しいので個人的にとても好きなシリーズです。

 

今回の大きな変化はGt,Voの波多野さんの楽器がさらに増えていたこと。

鍵盤楽器のような機材(角度的にあまり見えなかった)で、リアルタイムに自分の声を使ってコーラスを生成するというもので、コーラスとメインボーカルの対比をうまく使い、時には合唱隊のように、時にはソロと伴奏のように声を編んでいくさまは新たな領域を感じさせてくれました。

どこか神聖さを感じさせる「野蛮へ」にはじまり、サビの疾走感をゆるい開放感へ転換した「見えない警察のための」など、どの曲もすばらしいアレンジで披露されました。いつも感じますが、本当にアレンジ力の高いバンドです。

「昏睡クラブ」ではDrの山口がまさかの「ドンキで売ってる鳥の鳴くおもちゃ」パート担当に。客席からも思わず笑いが漏れていました。耳鳴りの部分では私も耐えきれませんでしたが。

 

転換中は劇場ならではの映像作品の上映(これも恒例!)が行われ、続けていつものバンド編成でのステージへ。客席は結局、終演まで着席しっぱなしでした(久しぶりすぎて、みんな立ち上がるタイミングを逃した感もややありますが)。

発売したばかりの「木もれ陽、果物、機関車」はライブで聴いても暖かいサウンドが印象的な楽曲。初期の名曲「She hates December」の後は新曲3連続。最近のモードの正統進化なイメージの1曲目、語りが入ってちょっと以前の曲のような展開の激しさを見せた2曲目、これまでも披露されていた「動物になりたい」。どれも素晴らしい曲で、これから制作に入るであろう次作への期待がとても高まりました。早くリピートしたい!

盛り上がる曲を挟んで最後の「汽笛」も非常に感動的。メンバーによるコーラスも精度を増しており、終盤の盛り上がりから最後のアウトロの余韻まで、とても綺麗でした。

 

かつてほどのガツガツさはなくなり、ライブも落ち着いてきましたが、彼らから感じるのはやはり「納得のいくものを作って、出していきたい」という姿勢のぶれなさ。

ファンとしてはそういうところがやはり嬉しいし、これからも目が離せないなと思うのです。

People In The Box「Things Discovered」

 前作が2015年9月のTalky Organsなので、実に1年以上ぶりのPeopleの新作!

Things Discovered 【初回限定盤】

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2枚組で、1枚めは新曲、新録。2枚めはメンバー選出のベストアルバムになっています。

「木洩れ陽、果物、機関車」はとてもあたたかく開放的な新曲。上行系のメロディが気分を明るくしてくれます。個人的に後半の「好きなものだけで~」の辺りが非常に好みですね。早くライブで聴きたいです。

 

「空き地」の新録は福井さんの選出。原曲は弾き語りスタイルでしたが、ここではバンドアレンジで、さらに歌詞も変更。編成は豪華になったのによりシンプルになったような不思議な印象です。

「沈黙」は波多野さん選出。より固く構築された音像は有村さんソロに提供していたトラックの方向性にも近いものを感じました。リズムの配置が地味にエグいのもいいです。

「旧市街」は山口さん選出。ライブでも幾度となく演奏されたキラーチューンですが、ここでは小細工なしの「現在のPeople」での演奏が聴けます。コーラスワークが素晴らしく、やはり名曲だなと。

 

「maze」は福井さん主導によるインスト曲。即興的な要素を多分に含んだセッションで、メンバーの演奏技術が冴え渡っています。

「プレムジーク 9月/東京」は波多野さん主導によるインスト曲。環境音と楽音の境界をさぐるようなトラックで、ビートはなくかなり実験的。こういった音像が好きであろうことはライブなどの端々から感じ取れましたが、ついにこうして形になったかという気持ち。これは実験1作目だと思うのでさらなる進化も期待してしまいます。

「矛盾の境界」は山口さん主導によるインスト曲。インスト3曲の中では一番普段のPeopleに近いでしょうか?Weather Reportあたりの土っぽい雰囲気があって面白いです。

 

2枚めのベストアルバムは最近の楽曲が多いですが、全体的にリマスタリングされており、今まで聴こえなかったパートが聴こえます。ブックレットにメンバーによる楽曲のひとこと解説もあり、想像以上に楽しく聴くことができました。

 

いやー、待ったかいはあったかなと思います。これはどちらかというと企画盤の類だと思うので、次のフルアルバムがとても待ち遠しいですね!

そして1月27日は久しぶりにPeopleのライブ!楽しみです!

 


People In The Box「木洩れ陽、果物、機関車」Music Video(Special Edit)