東京佼成ウインドオーケストラ「第133回定期演奏会」

 

 

01.オリエント急行(P.スパーク)
02.ピアノと吹奏楽のための協奏曲(長生淳
03.交響詩「海」(C.ドビュッシー / 木村政巳)
04.バレエ音楽「ダフニスとクロエ」第2組曲(M.ラヴェル / 仲田守)

 

TKWOの定期演奏会に行ってきました。
指揮は秋山和慶さん。音源では沢山聴いている指揮者ですが、実演で聴くのは初めてでした。

 

まずは親しみやすい人気曲「オリエント急行」。
こういったキャッチーな曲はともすれば軽くなってしまいがちだと思うのですが、
堅実な表現や、中域もしっかり作り込んだサウンドで極上の響きを楽しむことができました。

 

世界初演のピアノ協奏曲は独奏が金子三勇士さん。曲は長生淳さんによる新作。
メシアンやピアノ協奏曲の名曲を意識しつつもいつもの長生さんらしく格好いい曲でした。
吹奏楽とピアノが交互に掛け合いをしたり、ピアノの旋律から響きを吹奏楽が受け継いだりと、
単なる伴奏でない有機的な絡み合いが楽しい楽曲で、掛け合いでの細かいパッセージなどは音源としても聴いてみたくなりました。
金子さんのピアノもパワフルで切れ味鋭く、アクションも派手で面白く聴くことができました。
同様の編成ではガーシュウィンの「ラプソディ・イン・ブルー」等が編曲されて取り上げられることが多いですが、
この曲は吹奏楽とピアノという編成に新しい選択肢をもたらしてくれたのではないでしょうか。

 

休憩を挟んで、ドビュッシーの「海」。
コンクール等でよく聞く曲ですが今回は原曲のイメージに沿った新しい編曲とのこと。
TKWOの美しい弱奏がよく活きるような編曲で、響きのうつろいや水墨画のような色彩感を楽しみました。

 

最後に演奏されたのは「ダフニスとクロエ」。
これもよく演奏される曲で、アマチュアによる演奏はかなりの回数を聴いた覚えがあります。
「夜明け」は技術的な難しさを全く感じさせない美しい弱奏から日の出までのグラデーションが絶品。
フルートをはじめとした各木管楽器のソロも素晴らしく、心地よい時間を過ごしました。
「全員の踊り」では高いテンションながらも常に制御された余裕のあるサウンド。
この曲の良さを再認識させてくれる好演だったと思います。

 

今回もとてもいい演奏会でした。
チラシにて来期の定期演奏会の曲目が発表されていましたが、
フーサ、フェラン、グルダなど興味深い曲ばかりで興奮しました。
来期は全公演、行ける限り行きたいですね。楽しみです。

COALTAR OF THE DEEPERS / GOATBED「@ キネマ倶楽部」

念願のDEEPERSのライブに行ってきました!

 

GOATBED
01.MUSK CAT
02.COSMOCALL FIELD
03.BELLA-DONNA
04.de SLASH
05.1205
06.Hard Liminal
07.OPENING CEREMONY
08.DEAD ZEPP
09.SLIP ON THE PUMPS
10.T-B-P-T
11.DAMNED THING IN THE RAIN
12.ROSE & GUN
13.Only finally there is free END
14.My Speedy Sarah

 

カリガリのVoである石井秀仁の別プロジェクト、GOATBED
エレクトリックなサウンドを基調に、生Vocalがいい味を出していました。
この日は全曲でドラムに北野愛子さんが参加。音源よりバンドっぽいサウンドになっていました。

 

BELLA-DONNAなどアップテンポな曲でのドラムはカリガリでの「淫美まるでカオスな」などを思わせる展開の激しさで、テンポのとり方を変えることで疾走感からヘヴィまで色々なグルーヴを楽しむことができました。
おそらくHard Liminalだったと思いますが、SOFT BALLETのBODY TO BODYからのサンプリングもあり、遠藤さんの声が流れてきたときはさすがに興奮しました。
物販でシンセスピアンズも売っていたので少し期待したのですが選曲はすべて最近のもの。
特にFANDEATH(一般流通なし、私は配信で買いました)からの曲が多く、現在進行系の強みを感じさせるいいセットリストでした。

 

「DEEPERSのワンマンが観たいでしょう。俺も観たいです。でも今回誘わなかったらDEEPERSがライブするのは2年後とかになってたかもしれないとNARASAKIさんに言われて…これMCで言っていいよって言われて…なので、俺に感謝してもいいんですよ。」と照れ隠ししつつもDEEPERSへの愛が感じられるMCにほっこりしつつ「Only Finally There Is Free END」で終了。


と思いきや、「DEEPERSのトリビュートがあったら絶対参加したいと思って、作ってきました。いや、俺ははけますけど…」と言って再生ボタンを押してはけた後に流れたのはGOATBED版「My Speedy Sarah」!
DEEPERS初期の名曲で、ギターの刻みがめちゃくちゃカッコいい曲ですが、GOATBED版は原曲の疾走感やメロディ感をいかしつつもGOATBEDサウンドという絶妙な仕上がり。最高でした。

 


COALTAR OF THE DEEPERS
01.How Smooth
02.Zoei
03.WIPEOUT
04.DEAR FUTURE
05.Swimmers
06.dl++ (delatetel)
07.receive Assilation
08.Submerge
09.C/O/T/D
10.Aquerian Age

 

En.
11.DEAD BY DAWN
12.HYPER VELOCITY
13.Silver World

 

En.2
14.Killing An Arab(The Cure)

 

転換のSEは「雷雨の音」。もうこの時点でかっこよさがヤバい。
DEEPERSはギターボーカルのNARASAKIさん、ドラムのKANNOさんを中心に、現在はギターにPlastic Treeナカヤマアキラさん、COCOBATのKojiさん、ベースにカリガリの村井研次郎さんという盤石の布陣。
ステージには7弦ギターと5弦ベースが準備され、5弦の村井さんが観れるんだ!とこの時点でワクワクしました。

 

静かなサウンドからシューゲイザー音響の「How Smooth」で音の海に投げ出され、続く「Zoei」で一気にメタル面へ。
三味線の音が聴こえて「WIPEOUT」は歓声も大きく、盛り上がりましたね。
「DEAR FUTURE」は比較的最近の曲…といっても2011年だから6年前ですね。
NARASAKIさんのクリーンボイスは音程的にはあやしい場面も多々あるのですが、なんといってもその声質が唯一無二。
中性的でまっすぐな声が轟音の中から浮かび上がってくるこのサウンドはちょっと他では聴けません。


浮かぶようなシューゲイザーの「Swimmers」で幻想的な世界に浸ったあとは名盤「SUBMERGE」から3連発!
楽器隊の高い技量がいかんなく発揮され、「SUBMERGE」での「ここに来るわ」での盛り上がりも最高。
そして必殺の「COTD」!これは絶対に聴きたかったのでものすごく興奮しました。
「Aquerian Age」で本編は終了し、少し時間をおいてアンコールへ。

 

「今日はシューゲイザーが多くて…デトックス…みなさん、デトックスして明日からがんばってください。」
「春といえばつくしんぼう…つくしんぼう?春といえばゾンビ!あのMV悪魔のいけにえっぽいよね!」
とまったりしつつも面白いMCからの「DEAD BY DAWN」!これも聴きたかった曲でした。
インダストリアルなビート、ヘヴィなガテラル、かと思えば気の抜けるようなクリーンボイスのサビと面白さにあふれた曲です。
さらに続いてキラーチューンの「HYPER VELOCITY」!これも最高でした…。「1!2!1,2,3,4!」のコールからのパートはヘッドバンギング不可避でしたね。
セッション風なSilver Worldでサラッと終了…かと思いきや、キーボードがArabのフレーズをゆっくりと引き続け…。

 

まさかのダブルアンコール。
一回、舞台袖で腕でバッテンつくってるのが見えたので、本当に予定になかったのではと思います。
「それを弾かれたら出てくるしかないよ、それを弾かれたらね、黙っちゃいないよ!」となんだか大槻ケンヂみたいな言い回し。
「最後はカバーで!」と「Killing An Arab」を演奏して本当に終演となりました。

 

私がDEEPERSを知ったのは10年くらい前だったと思うのですが、その頃には既にあまりライブをしなくなっており、今回ようやくライブを観ることができて感無量でした!
ありがとうGOATBED!ありがとう石井秀仁!
またよろしくお願いします!音源も待ってます!

 

Generation Axe「Generation Axe @ ZEPP TOKYO二日目」

ギターレジェンド達を観てきました!
※セトリは間違っているかも

 

01.Foreplay(Boston)
 :Tosin Abasi
  Nuno Bettencourt
  Zakk Wylde
  Steve Vai
  Yngwie Malmsteen

まずは全員で1曲。ソロパートを各々が順番に担当し、短めながらもこのライブの魅力を凝縮したようなオープニングでした。

 

01.Tempting Time(Animals As Leaders)
02.Air Chrysalis(Animals As Leaders)
03.The Woven Web(Animals As Leaders)
 :Tosin Abasi
04.Physical Education(Animals As Leaders)
 :Tosin Abasi
  Nuno Bettencourt

まずはAnimals As Leadersのトシン・アバシのステージ。
最新作は聴いたことがありましたがこの日は3rd「The Joy of Motion」からの曲が中心。
奇数拍子など、一聴するだけでは把握しきれないような難解さを持ちつつもオシャレで心地よく聴かせるプレイはライブでもバッチリ。
他の4人に比べるとアクションが少なく淡々と演奏しているような印象も受けましたが、パーカッシブなピッキングなど音のインパクトが強かったのであまり気になりませんでした。
最後はヌーノを迎えてPhysical Education。トシンも流石ですが、ヌーノの対応力にも驚かされました。

 

01.Get the Funk Out(Extreme)
02.Midnight Express(Extreme)
03.Extreme medley(Extreme)
 :Nuno Bettencourt
04.Sideways(Citizen Cope)
 :Nuno Bettencourt
  Zakk Wylde

Extremeは今まであまり聴いていなかったのですが、ヌーノ、めちゃくちゃ良かったです。
名盤「Pornograffitti」からのGet the Funk Outで一気に会場の熱量を上げたあとはテクニカルなMidnight ExpressやFlight of the Wounded Bumblebeeを披露。
弾きまくりがテーマのイベントながらも弾きまくりすぎないセンスのよさが光っていました。
ヌーノによるヴォーカルも絶品で、この日一番エンターテインメントしていたような気がします。
最後はザックとの共演。

 

01.N.I.B.(Black Sabbath)
02.Little Wing(Jimi Hendrix)
03.Whipping Post(The Allman Brothers Band)
 :Zakk Wylde

ザックはサバスやジミヘンなど、定番曲を使ってギターソロで弾きまくりを披露。
ペンタトニックとハーモニクスを駆使して弾きまくる姿は非常に豪快でした。
ソロを弾きながら客席に降りたり、戻ったり、縦横無尽に動き回っていました。
しかしザックがギターを構えた姿はカッコいいですね。

 

01.Bad Housie(Steve Vai)
02.Racing The World(Steve Vai)
03.Tender Surrender(Steve Vai)
04.Gravity Storm(Steve Vai)
 :Steve Vai

今回の仕掛け人、スティーブ・ヴァイ
ヘヴィな曲、疾走感のある曲、泣きのギター、最新作からの曲とバランスのよい選曲でした。
どの曲でも感じたのはその自由自在さ。アーミングや音づかいが非常にうまく、まさにギターで喋っているかのようでした。。
表情を含めアクションもとても派手で、これぞパフォーマーというステージングでした。
個人的には最新作のGravity Stormで使っているテクニック(チョーキングした状態でピッキングして、チョークダウンすることにより擬似アームダウンする)が生で観られたのが嬉しかったです。

 

01.Spellbound(Yngwie Malmsteen)
02.Into Valhalla(Yngwie Malmsteen)
03.Overture(Yngwie Malmsteen)
04.From a Thousand Cuts(Yngwie Malmsteen)
05.Arpeggios from Hell(Yngwie Malmsteen)
06.Concerto #4(Yngwie Malmsteen)
07.Adagio(Yngwie Malmsteen)
08.Far Beyond the Sun(Yngwie Malmsteen)
09.Trilogy Suite Op: 5(Yngwie Malmsteen)
10.Fugue(Yngwie Malmsteen)
11.Echo Etude(Yngwie Malmsteen)
12.Acoustic Paraphrase(Yngwie Malmsteen)
 :Yngwie Malmsteen
13.Black Star(Yngwie Malmsteen)
 :Yngwie Malmsteen
  Steve Vai

最後はイングヴェイ
最近のライブ盤にも収録されていたような定番曲を固めたセットリスト。
曲数的には多く見えますが実際は1分強くらいの曲も多く、時間的には他の人よりも少し長い程度だったと思います。
他の4人はバックバンドの演奏に乗って自由に泳いでいたイメージですが、イングヴェイは逆。
すべてのテンポ、揺れがイングヴェイ基準。まるで「お前らが合わせろ」とでも言うかのごとく突っ走っていく様は王者そのものでした。
Far Beyond the Sunでの盛り上がりも凄まじく、感動しました…。
そしてヴァイとの共演では名曲「Black Star」!
あのメインメロディを二人がハモリはじめたときは興奮が止まらなかったです。
イングヴェイが音量を上げたせいでヴァイが聴こえづらくバランスがちょっと崩れてましたが…。

 

En.
01.Frankenstein(Edgar Winter)

 :Tosin Abasi
  Nuno Bettencourt
  Zakk Wylde
  Steve Vai
02.Highway Star(Deep Purple) 
 :Tosin Abasi
  Nuno Bettencourt
  Zakk Wylde
  Steve Vai
  Yngwie Malmsteen

アンコールは全員が登場。
どちらの曲でも当然ソロ回し。
一人ひとりのステージを楽しんだあとだと余計にそれぞれの個性がよく見えて面白かったです。
ここでもヌーノは大活躍。ギターだけでなくティンバレスを叩いてドラムとバトルしたりしていました。
ハイウェイスターではソロ回しの後に全員でリッチーのフレーズをなぞっていたのが面白かったですね。
演奏者もみんな楽しそうで、よいライブでした。
観終わった後はギターが弾きたくなりましたね。

筋肉少女帯「『猫のテブクロ』完全再現+11(赤坂版) @ 赤坂ブリッツ」

1989年発表のアルバム、「猫のテブクロ」の完全再現ライブを観てきました。
アルバム再現ライブなんてプログレやメタル感があっていいですね!

 

□セットリスト
01.サンフランシスコ
02.カーネーション・リインカネーション
03.みんなの歌
04.踊るダメ人間
05.俺の罪(橘高、本城Vo.)

 

「猫のテブクロ」完全再現
06.星と黒ネコ
07.これでいいのだ
08.日本印度化計画
09.星の夜のボート
10.Picnic at fire mountain
11.Go! Go! Go! Hiking Bus
12.最期の遠足
13.月とテブクロ

 

14.くるくる少女
15.週替わりの奇跡の神話
16.釈迦

 

En
17.愛の讃歌
18.リルカの葬列
19.イワンのばか

 

今回も素晴らしいライブでした。
ピアノとギターのバトルが熱いサンフランシスコから既に会場は最高潮。
ピアノのエディもテンションが高く、「俺だー!」のモーションの後の激しいソロは最高でした。
チャック・ベリーの逸話を語ってからの「みんなの歌」も物凄い盛り上がり。
今日は橘高さんもキレキレで(23歳当時を再現とのことで黒髪だった)、ギターソロも凄まじい築城具合でした。
内田さんが歌うイメージの強かった「俺の罪」ではなんと橘高さんがメインヴォーカル。
メタル曲以外での橘高さんヴォーカルは珍しいですが、かなり合っていました。

 

ここからは「猫のテブクロ」再現パート。
ギターの絡み合いが美しいイントロ「星と黒ネコ」からの「これでいいのだ」。
いつもは煽りパートになる中間部もしっかり原曲通りの語りが入り、感動的でした。
「日本印度化計画」はこのアルバムの中でも比較的最近のスタイルに近い曲。
ライブの定番曲ですが、アルバムの一部として聴くとまた少し聴こえ方が違いますね。
ラストはいつものようなブレイクはなく、そのまま次へ。
「星の夜のボート」では全く異なるギター二人が印象的。
特にフィードバックを効果的に使う橘高さんはなかなか見ない雰囲気でしたね。
「最期の遠足」の3曲は生で聴けて嬉しかった!
山賊の歌の「ヤーヤー」コーラスもハマっており、またライブでやって欲しいなあと感じました。
最期の遠足では三柴さんのピアノが強烈。
「月とテブクロ」では宇宙的なディレイのギターもカッコ良く、プログレ魂を感じました。

最近の筋少ギターセクションは最適化されていて、それはそれで素晴らしいのですが、このアルバムのころのギターは歩み寄りというか、探り探りというか、ギターがハモる場面であったり、逆に完全に分離している場面だったりが印象的に響いていて、とても面白く聴きました。

 

「週替りの奇跡の神話」など、大槻さんの喉が若干危うい箇所もありましたが、ハッピーな雰囲気で「釈迦」にて本編終了。
アンコールでは白スーツでの「愛の讃歌」。
大槻さんは「今日のバンド、最高ね」などと完全に役に入ってましたね。
(この曲は、大槻さんの中では"売れないシンガーのおじさんが小さいライブハウスで歌う"みたいな設定があるのです。)

 

レア曲枠は「リルカの葬列」。曲名に反してどこまでも明るく、しかし切ない曲です。
ライブで聴くと良さが倍増している気がしますね。聴き直さないと。
定番の「イワンのばか」でライブは終了。橘高さんのマーシャル崩しも見れたし、楽しいライブでした。
筋肉少女帯のライブはいつも時間を忘れさせてくれますね。

でもBD-BOXの18000円はやっぱり高かったと思う。

Arcturus「Arcturus Japan Tour 2017 with 1349 @ 下北沢GARDEN」

 

Arcturusと1349の来日公演に行ってきました!

 

  

□SIGH

まずは日本のバンド、SIGH。

30分ほどのコンパクトなセットリストでしたが、満足感のある良いライブでした。

男女ツインヴォーカルですが特に女性Voの方の歌唱力には圧倒されました。

フルートやアルトサクソフォンが登場したりと雰囲気も充分、最後の曲に向けての畳み掛けが凄く、フロアも盛り上がっていましたね。

 

□Rise of Avernus

次はオーストラリアからのRise of Avernus

こちらも男女ツインヴォーカル編成で、こちらは随所で差し込まれる女性ヴォーカルのクリーンボイスがよいアクセントとなっていました。

黒塗りのゾンビのようなペイントをしており見た目はおどろおどろしいですがパフォーマンスは明るく、客席を煽って楽しいステージを見せてくれました。

 

□1349

本日の目当て、ノルウェーからのブラックメタルバンド、1349。

サテリコンのレコーディングが入ったとのことで、残念ながらドラムのFrostは不在でしたが、サポートドラマーも十分すぎるほどにうまく、1349サウンドが眼前に展開されました。

 

セットリスト

01. Sculptor of Flesh
02. Slaves
03. I Am Abomination
04. Nathicana
05. Postmortem
06. Riders of the Apocalypse
07. Exorcism
08. Chained
09. Chasing Dragons
10. Serpentine Sibilance
11. Atomic Chapel
12. Golem
13. Cauldron

 

最新作からの選曲が多く、知らない曲もけっこうあったのですが、音の洪水に身を任せ存分にブラックの世界に浸ることができました。

また、3rd「Hellfire」からも数曲演奏されたのが嬉しかったです。

終演後にはサイン会も行われました。

 

 

Arcturus

本日のトリ、ノルウェーのスーパーバンド、Arcturus。

サイン会が押したため、最初の数曲は見逃してしまいました…。

 

セットリスト

01. Evacuation Code Deciphered
02. The Chaos Path
03. Painting My Horror
04. Shipwrecked Frontier Pioneer
05. Alone
06. Crashland
07. Game Over
08. Nocturnal Vision Revisited
09. Keyboad Solo
10. To Thou Who Dwellest in the Night
11. Raudt Og Svart

 

ブラック由来の要素も多少含みつつ、民族的メロディを主体にしたメタルといったサウンドなのですが、とにかく演奏がうまい!ヴォーカルのVortexは個性的で時にアウトっぽいメロディを軽々と決め、さすがの歌唱力。そしてなんといってもドラムのHellhammer!

音源通りのドラムを音源以上の迫力でもってバシバシと決めていくさまは、凄すぎて現実味がなかったほどです。

中盤からモニターを下げて!というようなジェスチャーをしていたHellhammerですが、Nocturnal Vision Revisited後で耐えきれず?一度休憩。その間、即興のキーボードソロが挿入されました。

キーボードソロは持続する和音の上でピアノの音色で音階を紡いでいくようなものでしたが、時にあやしく危なげなメロディを繰り出すソロに惹きつけられました。

Hellhammerの耳の調子はよくならなかったようで、その後数曲で「申し訳ないけれど…」と言いつつ、ライブは終了。こればかりは身体が第一なので仕方ありません。

やや短めのライブになってしまいましたが、パフォーマンスが素晴らしかったこともあり、不満はほとんど感じませんでした。しかしもっと聴いてみたかった!ぜひ再来日してほしいものです。

 

目当ての2バンド以外のバンドもすべて素晴らしく、非常に満足度の高いライブでした!

1349もArcturusもまた来て欲しいな!

 

そして会場でもアナウンスされましたが、ANAAL NATHRAKHが6月に再来日するようです!こちらも行かなくては!!

Morgaua Quartet「Tributelogy」

 モルゴーア・カルテットのプログレアルバム新作がリリースされました。

Tributelogy

Tributelogy

 

 

モルゴーアは東京フィルのコンサートマスターである荒井英治さんをはじめとした腕利きのプレイヤーたちによる弦楽四重奏団で、ショスタコーヴィチの四重奏曲など多彩なレパートリーを持っています。

 

彼らのレパートリーの中でも特徴的なのがプログレッシブ・ロックのカバー作品群です。

1998年の「ディストラクション」ではイエスやキング・クリムゾンなどの名曲をカバー。しばらく間があいて2012年、2014年に2枚のプログレカバーアルバムをリリースしました。

 

そして今回はエマーソン・レイク&パーマー関連の作品のみで構成されたカバーアルバムです。

エマーソンはもともとクラシックから多大な影響を受けたミュージシャンでした。美しいメロディ、複雑な構成、テクニカルなパッセージは弦楽四重奏に置き換えても違和感がありません。むしろハーモニーや旋律のもつ力がより強調されているように感じます。

 

このアルバムの特に素晴らしいところは原曲への愛と敬意があふれていること。吉松版のタルカスカバーをはじめ、この手のカバー企画はけっこうな数ありますが、正直言ってロックの外面にとらわれてエマーソンの上品さを損なっているような演奏も散見されたものでした。しかしモルゴーアはまさに完璧。EL&Pの、そしてファン達のツボをしっかりと把握したうえで、トランスクリプションとアレンジメントを使い分け、巧みな編曲と演奏でプログレの世界を表現してくれています。

 

最近の作品である「After all of this」はエマーソンの葬儀でも流された編曲。元がピアノとオーケストラのための曲だけに、よりシンプルな編成で旋律が楽しめます。

「タルカス」は間違いなくEL&Pの代表曲。冒頭のリフも流すことなくゴリゴリとした演奏は好印象。 交響詩、あるいは劇伴のように感じるほど描写的なこの曲ですが、モルゴーアのキレのある演奏は場面ごとのキャラクターを巧みに描き出しています。

「Still...you turn me on」は原曲からかなり大胆なアレンジが加えられており、サティの面影が強くちらつきます。この曲はレイクを意識したもので、アルバムの中でひとときのオアシスのように作用しています。

「Trilogy」は以前のアルバムからの収録。動機が変容しながら展開していくさまはまさにクラシック的。リフを続けつつも上でインプロ感あふれるメロディが飛び交うサウンドは刺激的。

「The Sheriff」はユーモラスな小品。ピアノの音色が印象的な楽曲ですが、モルゴーアはピッチカートを効果的に使用し、一味違ったサウンドを作り上げています。

なんといっても圧巻が「Karn Evil 9」です!30分の大曲で、第1印象~第3印象まであるうちの第1と第3印象、そして即興的な第2印象の代わりに「Take a pebble」をモチーフにした間奏曲が挿入されています。もっともキャッチーな第1印象のパート2での浮遊感、第3印象での狂いっぷりには驚愕で、「そこまでやるか…!」と思わされました。第3印象のラストまで完全再現しているのは聴いていて思わず笑ってしまったほど。

 

プログレファンも納得の出来であるとともに、代表曲が集められていることから入門としても最適なアルバムと言えるでしょう。

ここまでのものを作ってくれたことに感謝したいです。

 

2016年にエマーソンとレイクは亡くなりましたが、その作品群はいつまでも色あせずに愛され続けていくのだと強く感じました。

 

 

Trouvère Quartet「Typsy Tune」

トルヴェール・クヮルテットの新作が出ました。

 

Tipsy Tune

Tipsy Tune

 

 

私は中学、高校時代に吹奏楽部に所属しており、サクソフォンを担当していました。今でもサクソフォンは細々と続けていますが、やはり一番情熱を持って取り組んでいたのは学生時代でしょう。ちょうどその時期に日本のサクソフォン界のアイドル的存在だったのがこのトルヴェールです。

 

シリアスなクラシック曲からユーモラスなメドレーまで、ジャンルにとらわれない選曲をしつつも自らの語法で「トルヴェール流」にしていくスタイルは、ロマン派の印象を受けます。

 

このアルバムでも基本的な路線は同じ。

ジャンジャンの「サクソフォン四重奏曲」はアンサンブルコンテストでもよく取り上げられる曲です。わかりやすく演奏しやすい内容ですが、音源はあまり多くないのでトルヴェールの演奏で聴くことができるのはうれしいところ。技術的には比較的容易なぶん、いっそうメンバーの表現力が楽しめます。

ドビュッシーの「弦楽四重奏曲」は難曲。元は弦楽ですが、トルヴェールは必要以上に弦を意識することなく、サクソフォンとしてのサウンドを存分に楽しませてくれます。この曲はやや暗いイメージを持っていましたが、トルヴェールが演奏するとポジティブ成分が強調されて聴こえるのも興味深いですね。

 

クレリスの「かくれんぼ」では演奏を楽しんでいるさまがありありとわかります。特に中盤~終盤の表現(ソプラノ!)などはやはり「トルヴェールならでは」。作曲家の意図をくみつつ、「もし作曲家が現在のサクソフォンの表現力を知っていたら…?」と想像を掻き立てられるようです。

タイトル曲、長生淳の「ティプシー・チューン」はジブシー関連の音楽を集めたメドレー。有名曲をミキサーにかけて一気に流し込むようなハイスピードの展開はいつも通り…というかいつも以上にノリノリな気がします。

 

オリジナル曲、アレンジ曲、面白メドレーと、トルヴェールの成分をバランスよく詰め込んだ、満足度の高いアルバムに仕上がっています。

じっくりと味わいたいと思います。