GOATBED「GOATESCAPE @ MUSER 2020/6/5」

GOATBEDの配信ライブを観ました。
自粛期間に入ってからは4月にも1回やっているのでこれは2回目。どちらも予めスタジオなりライブハウスで撮影した映像を流す配信という方式でした。

 

■セットリスト
01.BALLET STROAK
02.ROSE & GUN
03.SONATINE
04.20th MOUSE
05.Poisonous red hair and melancholy fireworks
06.HELLBLAU
07.THE NIGHTSHIFT
08.JOHNNY RIDE
09.1205
10.DEAD ZEPP
11.HOLO GHOST
12.UNDERGROUNDERMUSIC
13.点として散らばって
14.TEMP
15.&C
16.COSMOCALL FILELD
17.Dreamon Dreamer
18.OPENING CEREMONY
19.D.O.G.M.A
20.deNUDE
21.DAMMEND THING IN THE RAIN

 

En.
22.瞬間的ポリフォニー

 

ビート感の強い前半からエモーショナルな歌メロの後半といった感じでグラデーションがあり、静かに盛り上がっていくようなスケールの大きな構成が感じられるセットリストでした。

 

特に心をうたれたのは「DEAD ZEPP~Holo Ghost」での攻撃的なかっこよさからの「UNDERGROUNDERMUSIC~点として散らばって~TEMP」というメロディアスな流れのすばらしさ。中でも「点として散らばって」は生歌らしく歌詞がダイレクトに響いてきて印象的でした。

アンコールは最新曲の「瞬間的ポリフォニー」。スタイリッシュでスマートな心地よいライブでした。

 

今回の配信ではアーカイブ機能がなかったので、回線の調子とかで一瞬見られなかったりすると見直しができないのは少し残念でしたね。[2020/06/16 その後アーカイブ対応されました。感謝…]画質、音質はとてもよかったです。

バックドロップシンデレラ「新米美容師とオンラインウンザを踊る〜伝説のハーフバック編〜 @ ツイキャス 2020/5/31」

バックドロップシンデレラが5/31に開催した配信ライブを観ました。

 

■セットリスト
01.およげたいやきくん
02.歌わなきゃジャクソン
03.台湾フォーチュン
04.はたらくくるま
05.COOLです
06.バイトやめよ
07.祝え! 快速が来るので
08.市長復活〜さいたま市ヨリ与野市を解放セヨ〜
09.フェスだして
10.バズらせない天才
11.楽園でウンザウンザを踊る
12.東京オリンピック
13.日本一のあの富士山に登りました
14.祝え! 朝が来るまで
15.サンタマリアに乗って
16.本気でウンザウンザを踊る
17.月あかりウンザウンザを踊る
18.さらば青春のパンク

 

En.
19.新米美容師の彼女
20.池袋でウンザウンザを踊る

 

タイムラグをものともせず視聴者とコールアンドレスポンスを試みいつも通りの熱い演奏で盛り上げていくよいライブでした。

まず驚いたのがサウンドのよさ。非常にクリアな音質で視聴することができ、DVD化された製品を見ているかのようなクオリティの満足感を得ることができました。

 

セットリストも攻撃力が高い曲が立て続けに並んだ強力なものでこの公演にかける思いが伝わってきますね。
「フェスだして」などで行ったコールアンドレスポンスやオンライン合唱はアーカイブで見るとやはり多少長い感がありますが面白い取り組みだったと思います。

 

そして自宅という落ち着いた環境で観てあらためて感じるのは演奏やサウンドの完成されっぷり。いままでの楽曲の歌詞などからもうかがえるようにクラシックなロックからヘヴィメタル、スカ、サイコビリーといったメンバーの多様なインプットが安定した演奏技術でウンザウンザナイズされているのは非常に爽快です。

 

もっともっと聴かれてほしいバンド。これからも応援してます。

清春「THE TEST 2日目 @ 2020/5/28 @ Zaiko」

清春さんの配信ライブ2daysのうち2日目を観ました。

 

■セットリスト
01.光
02.GENTLE DARKNESS
03.カーネーション
04.And I can't feel nothing
05.影絵
06.すれちがい
07.2月
08.ALICE
09.MESSIAH
10.空白ノ世界
11.アロン

 

アコースティックな編成でライブとレコーディングの中間というつくり。配信しながら録音を行い、録音したものを後からDL配信するという試みでした。

 

観ていて感じたのはこのライブ(もしくは公開レコーディングのほうがニュアンスが近いかもしれません)の特異性。レコーディングの性質上、出る音にフォーカスした没入したような歌い方でもあり、同時に配信で観られていることも意識したパフォーマンス要素もありというところで、その混ぜ具合が絶妙でした。

 

前半での清春さんは上記の2要素があるなと感じられましたが後半に熱を帯びてくるとこれが混然一体となって区別なく迫ってきてかなりリアルな感触を得ることができました。

 

演奏後にはインタビューもあり、どういった考えでの企画だったかなども聴けて面白かったです。既存のものだけでなく新しい形式を模索したいという意図が感じられとても頼もしかったです。今後も楽しみです。

 

ここ数年で観た映画の話とか

ここ数年は映画をわりと観に行っていたんですが、全然どこにも記録を残してないことに気づいたので印象に残った作品を記載しておくことにします。

 

・GODZLLAアニメ三部作(2018/11鑑賞) 

GODZILLA 星を喰う者

GODZILLA 星を喰う者

  • 発売日: 2020/01/15
  • メディア: Prime Video
 

 SF!って感じですね。第1部、第2部と物語的には順当に進んできてからの第3部での目まぐるしい展開はなかなか強烈でした。

 

ボヘミアン・ラプソディ(2018/11鑑賞) 

ボヘミアン・ラプソディ (字幕版)

ボヘミアン・ラプソディ (字幕版)

  • 発売日: 2019/04/17
  • メディア: Prime Video
 

 そこまで通っていなかったQueenの名曲たちを知るきっかけになったという意味でも非常によかったです。やはり終盤のライブシーンは素敵でしたね。

 

・来る(2018/12鑑賞) 

来る DVD通常版

来る DVD通常版

  • 発売日: 2019/07/03
  • メディア: DVD
 

 柴田理恵がめちゃくちゃカッコいい映画。和風ホラー要素と大暴れ的な要素がうまいこと配置されていて、謎の爽快感があります。もう一回観たいな、配信こないかな…。

 

・翔んで埼玉(2019/03鑑賞) 

翔んで埼玉

翔んで埼玉

  • 発売日: 2019/09/11
  • メディア: Prime Video
 

 魔夜峰央さんの未完の漫画の映画化。原作の勢いを活かしつつさらにドタバタでトンデモな方向に展開していったなという感じ。小ネタも多く楽しめました。

 

アベンジャーズ/エンドゲーム(2019/05鑑賞) 

アベンジャーズ/エンドゲーム(字幕版)

アベンジャーズ/エンドゲーム(字幕版)

  • 発売日: 2019/09/04
  • メディア: Prime Video
 

 アベンジャーズなんも知らないのに観に行きました。なんだかわからないけどヒーローらしき人達が結集して戦っている!という第一印象でしたが、これの後にアマプラで観たアイアンマン1のラストではこれか…!とゾクゾクきました。

 

フレームアームズ・ガール(2019/06鑑賞) 

 われらがコトブキヤのプラモデルシリーズから派生したアニメの劇場版。TV版の総集編にキャラがコメンタリーをつけるという手法で、そうきたかと思いました。TV版も好きなのでこの形でもそこまで不満はないのですが、さすがに何度も観たシーンばかりでは…という気持ちもあり。新曲のシーンは最高でここのために見てほしいくらい。

 

海獣の子供(2019/06鑑賞) 

海獣の子供

海獣の子供

  • 発売日: 2020/01/29
  • メディア: Prime Video
 

 同名の漫画の映画化。とにかく色彩が印象的で美しい作品でした。なかなか精神的な展開があったりと完全に理解できたかというとそうではない気がするのですが、全体を通して一枚の絵として鑑賞したような、大きなものを観た感触が後味として残りました。

 

・ジョーカー(2019/10鑑賞) 

ジョーカー(字幕版)

ジョーカー(字幕版)

  • 発売日: 2019/12/06
  • メディア: Prime Video
 

 これも非常に話題になっていましたが、共感性羞恥がそこそこきつかったですね。とはいえ悪役が悪役になった理由というところでカタルシスを得られるように作られており、ガス抜きになるような作品だったと思います。

 

・IT THE END(2019/11鑑賞) 

IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。(字幕版)
 

 ITの後編。前編では子供時代のストーリーだったため友情や恋といった要素が強かったように思いますが、大人時代である後編は各キャラクターの人間としての成長と戦いが描かれており、より面白く観ることができました。

 

・ドクター・スリープ(2019/11鑑賞) 

ドクター・スリープ(字幕版)

ドクター・スリープ(字幕版)

  • 発売日: 2020/03/11
  • メディア: Prime Video
 

 シャイニングの続編。シャイニングという超能力要素にあらためてフォーカスしなおしつつも、シャイニング(映画)の要素もふんだんに取り入れてあり面白かったです。純粋なホラーかというと違うのですが、成長と継承を感じることができるよい作品でした。

 

スターウォーズ Ep9(2019/12鑑賞) 

 今回の3部作もついに完結。Ep7からEp8での展開でどうケリをつけるのかと思いましたがどうにか綺麗に落としたかなという印象。とはいえ綺麗でなくても振り切った作品が観たかった気持ちもあり少し複雑でした。ローグワンを観ます。

 

・へヴィ・トリップ(2020/01鑑賞) 

 オリジナル曲が1曲しかないメタルバンドが馬鹿にされながらフェス出場を目指すという、あらすじからも伝わるようなギャグ主体映画。とはいえメタルに対する小ネタの入れ込みはかなりのもので、メタラーにも納得の出来。もう一度観たい映画のひとつ。

 

・1917(2020/02鑑賞) 

1917 (Original Motion Picture Soundtrack)

1917 (Original Motion Picture Soundtrack)

  • 発売日: 2019/12/20
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 戦場をかけめぐる伝令をワンカットで描いた作品。本当にワンカットなのか…?と思うほど自然で迫力のある映像だけでなく、戦争モノとしてのドラマも濃密。後半の歌のシーンなどはしんみりとしてしまいました。

 

・ミッドサマー(2020/02鑑賞) 

Midsommar [Blu-ray]

Midsommar [Blu-ray]

  • 発売日: 2019/10/08
  • メディア: Blu-ray
 

 かなり前から楽しみにしていた作品。そして期待通りのすばらしさでした。ホラー映画というくくりではありますが9割のシーンは明るい昼間。主人公の誰に感情移入するかで受ける印象が大きく異なると思いますが、これをセラピー映画とする人がいるのも理解はできます。映画を見ているのに謎の浮遊感が漂う体験はなかなか強烈。

 

・Fukushima50(2020/03鑑賞) 

Fukushima 50

Fukushima 50

  • メディア: Prime Video
 

 福島第一原子力発電所での出来事を描いたもの。さすがに様々、誇張しすぎ、お涙頂戴にもっていきすぎなのでは?と思う箇所はありましたが、全体的に当時の空気感や現場での緊迫感などが大迫力で描き出されており、よい映画だったと思います。

最近読んだ本の話とか

4月頭あたりに「時間あるからブログでも書くか」と思い立ったはいいんですけど、吹奏楽の記事を書いたっきり全然更新できてないですね。やっぱり急に変わろうとしたって無理があるんですよきっと。

 

最近読んだ漫画とか本について書いてみますね。

 

銀河英雄伝説」(藤崎竜) 

 「封神演義」「屍鬼」「かくりよものがたり」も好きでしたが今回も凄い。封神演義と同様、歴史にいついて語りつつも藤崎イズムが存分に注入されていて夢中になって読んでいます。原作は未読ですがどこかで読まねば…。

 

「あの人の胃には僕が足りない」(チョモラン) 

 魔王マグロナさんとのコラボ放送でなるほど、面白い!と思って読み始めました。かわいらしいキャラクターとホラーな描写の落差がゾクゾクきますね。

 

「ブレイズ・ソー・エッジ」(吐兎モノロブ) 

ブレイズ・ソー・エッジ 1 (ヤングキングコミックス)
 

 濃厚な設定とかっこいいバトル。そして主人公たちの関係性。さまざまな不穏な要素が見え隠れしてきたところで終了にはなってしまいましたが、終わり方が非常に美しく素敵でした。次回作も楽しみにしています。

 

「ハーモニー」(伊藤計劃) 

ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)

ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)

 

 読んでおきたいなと思ったので。物語のおもしろさもさることながら、冒頭の表記やその意味などが氷解していく感じがかなり好みでした。映画化もされていたので観ましたが、そちらはその冒頭/最後が私とは解釈違いでしたね…。

 

「のんベレケ。」(nonco) 

ようかい居酒屋 のんべれケ。(1) (KCデラックス)

ようかい居酒屋 のんべれケ。(1) (KCデラックス)

  • 作者:nonco
  • 発売日: 2019/08/09
  • メディア: コミック
 

 艦これの同人でよく読んでいたnoncoさんのオリジナル作品。圧倒的な画力とギャグ力が爆発していて毎回楽しみにしています。

 

「俺たちの日常は始まったばかりだ」(氷川へきる) 

 「ぱにぽに」「キャンディポップナイトメア」なども好きで読んでました。今回もゆるゆるとした日常に氷川先生イズムのギャグが挟まれていく感じで楽しいですね。

 

鬼滅の刃」(吾峠呼世晴) 

鬼滅の刃 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

鬼滅の刃 1 (ジャンプコミックスDIGITAL)

 

 どうやらすごいらしい…と聞いて読み始めたら一気に全巻買ってしまいました。鬼側に寄り添いつつも話を進めていくのが面白いですね。

 

みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史」(日経コンピュータ) 

 ITにかかわるものとして読んでおきたいと思ったので。大規模システムの刷新にあたってのハマるポイントであったり学びが非常にありました。

 

課長バカ一代」(野中英次) 

 昔から好きだったんですが電子版が出たので。会社の描写はさすがに時代を感じますがギャグとしての切れ味は今でもとても楽しめます。

 

「大奥」(よしながふみ) 

大奥 1 (ジェッツコミックス)

大奥 1 (ジェッツコミックス)

 

 江戸時代のあるときから「高い確率で男性が死ぬ」病気が流行し、女性が男性に代わって政治の中心を担うようになったら…という作品で、なおかつ歴史通りに進行するというものすごい設定の作品。歴史の授業で知っている名前がどんどん出てくるのに授業とは違った形で脳内で魂が入れられていく不思議な感覚が味わえます。

 

「レッド」山本直樹) 

 連合赤軍あさま山荘事件までを描いた作品。当事者たちの証言をもとに詳細に書かれておりとても考えさせられます。こういう過去の事例とかに学ぶことは学んでいかなければなと思いますね。

 

メイドインアビス」(つくしあきひと) 

 映画が話題になっていたので読み始めたらぐいぐい読んでしまいました。映画はまだ観れていません。観たい…。特に最新巻まわりの話が印象的で、環境に適応しようとする人たちとその結果…というところは面白かったです。

 

ど根性ガエルの娘」(大月悠祐子) 

 エッセイとか自伝的な内容かなと読み始めたらそれどころではなく、自分の周りのことを描くことにより最終的にはその自分の周りへ影響をおよぼし、人生を変えていくという凄まじい作品でした。人間関係を見つめなおしたくなる作品。

 

バーナード嬢曰く。」(施川ユウキ) 

バーナード嬢曰く。: 1 (REXコミックス)

バーナード嬢曰く。: 1 (REXコミックス)

 

 読書好きっぽくなりたい主人公が読書好きの友人に囲まれていろいろな本を読んでいく作品ですが「あ、これタイトルだけは知ってるけど読んでない!」という作品が多数取り上げられており、ポチる後押しになりました。

サブスクで聴ける吹奏楽2020

Spotifyを使い始めて結構経ちました。クラシック、吹奏楽サクソフォン関連でもかなりいろいろ聴けるなというのがわかってきたのでおすすめをいくつか紹介します。


東京佼成ウインドオーケストラ


吹奏楽極上特盛」


アルバム名が多少痛いですが、近年のTKWOのアルバム群から選りすぐりの演奏が詰められたもの。アルメニアン・ダンスやディオニソスの祭り、フェスティバル・ヴァリエーションズといった大曲だけでなく、スウェアリンジェン「ロマネスク」やコーディル「吹奏楽のための民話」、保科「風紋」などの難易度的にとっつきやすい楽曲も多く配置。組曲ものなどが一部だけの収録になってしまっているのが難点ですが、各演奏会での雰囲気やTKWOの音楽性を知るにはぴったりのアルバムと言えます。


元になったアルバムの中からひとつおすすめを挙げるならこちら。


「ダフニスとクロエ」


通常、管弦楽から吹奏楽へのトランスクリプションものは色彩感が減り、物足りなく感じやすいのですが、TKWOは演奏技術もさることながら大きな音楽づくりで楽器の違いを感じさせない音楽体験をさせてくれます。サブスクには存在しませんがこのほかにも正指揮者の大井さんが指揮をふったアルバム群はいずれも名盤なのでCDも買いましょうね。

 

シエナ・ウインド・オーケストラ


「ブラスの祭典3」


佐渡シエナのブラスの祭典シリーズは私の世代にとってはもうバイブルみたいなものですが、特にこの3は印象的でした。ホルストの「第一組曲」やスミスの「フェスティバルヴァリエーションズ」といった有名曲にルディンの「詩のない歌」を混ぜてくるあたりにセンスが光ります。演奏はシャープでくっきりとした若々しいイメージのもので、中高生が夢中になるようなキラキラしたアルバムです。


「邦人作品集」


邦人作品をコンセプトに取り上げたアルバム。吹奏楽コンクールでも人気な大栗「大阪俗謡による幻想曲」や中橋「科戸の鵲巣」、真島「三つのジャポニスム」といった楽曲が高クオリティの演奏で聴けるのもうれしいですが黛「オール・デウーヴル」や兼田作品、三善作品、藤田作品と日本の吹奏楽史のなかでも非常に重要な作品ばかり。演奏も落ち着いてきてじっくりと楽曲の内面に向き合うことができる好盤に仕上がっています。


■オオサカ・シオン・ウインドオーケストラ


ギルガメッシュ


アッペルモントの「交響曲第1番 ギルガメシュ」がメイン。大阪市音楽団はその長い歴史と活動から積み上げられた極上のブレンドサウンドが特徴的ですがここでもその良さが十分に活きています。ギリングハム「ウィズ・ハート・アンド・ヴォイス」は個人的にこの演奏が一番好きです。


「マラゲニア」


バーンズによる自作自演アルバム。作曲者の指定テンポによる「アルヴァマー序曲」で幕開け、「祈りとトッカータ」といった名曲群に加え「交響曲8番」が収録されているのも貴重です。シオンはほかにもスパークやヴァンデルローストといった作曲家を指揮者に迎えた演奏会を積極的に行っており興味深いCDがたくさんあります。


■その他


アルプス交響曲/マスターズブラス・ナゴヤ


最近できた名古屋の吹奏楽団。魅力的な楽曲を取り上げたアルバムがリリースされていますが最新作はリヒャルトの「アルプス交響曲」全曲。同曲をオマージュしたチェザリーニ「アルプスの詩」という吹奏楽オリジナルの人気曲も存在しますが、この交響曲のほうを取り上げるのはなかなか珍しいですね。吹奏楽のパワーも活かした表現は面白いです。


交響曲第9番/ブリッツ フィルハーモニックウインズ」


まさかのベートーヴェン「第九」を合唱付きの吹奏楽で全曲やってしまうという凄い企画。さらに楽章ごとに編曲者が異なるという挑戦的な作品です。楽団10周年でこれをもってくるのはさすがという感じですね。こういう吹奏楽の枠組みを再拡張しようとするような試みはとても応援したいです。


「風/航空自衛隊中央音楽隊」


自衛隊音楽隊にも素晴らしいアルバムが多数あります。航空自衛隊のこのアルバムは記念演奏会の録音で、「ブルーインパルス」などのらしさあふれる選曲が楽しめます。


「アーネム/陸上自衛隊中央音楽隊


こちらは陸上自衛隊自衛隊の演奏するマーチは端正でとても好きですね。「ボギー大佐」などの超有名曲だけでなく、あまり知られていないような楽曲まで幅広い選曲。スーザスタイルの行進曲では特に「行進」という行為をしっかり感じさせてくれる解釈と演奏で素晴らしいです。


「トランスフォーメーションズ/ノーステキサスウインドシンフォニー」


ノーステキサスは昭和ウインドでも振っているユージン・コーポロンによるアルバムが多数出ており、新しい吹奏楽作品の良い楽曲を知りたいときはまずチェックする団体のひとつです。このアルバムはマスランカの「交響曲第7番」をメインに据え、「バリ」など民族的なサウンドの面白い楽曲も含まれています。


「子供の夢の庭/ダラスウインドシンフォニー」


ダラスウインドも高品質なアルバムが多いですがこのマスランカの「子供の夢の庭」は特に有名ではないでしょうか。マスランカの楽曲は非常に宗教音楽からの影響が強く、楽器の限界を要求するような音域の使用による緊張感も魅力です。


「シグネイチャーズ/アメリカ空軍バンド」


アメリカ空軍バンドによるオリジナル曲が集められたアルバム。中でもグレイアム「ハリソンの夢」は印象深いですね。高い技術力とテンションに裏付けされたいいアルバムです。

 

個人的に印象深いアルバムを取り上げましたが、ほかにも探すといいアルバムがザクザクあります。ただ、インディーズレーベルによるアルバムなどはどうしてもあまり存在しなかったり、あっても単一楽章しか聴けなかったりするので、まだまだ新作チェックはCDも強いな、という印象ですね。

People In The Box「Tabula Rasa」

最近めっきりだったアルバム紹介をします。

 

People In The Box「Tabula Rasa」

 

昨年に発表されたPeople In The Boxの最新作。

Kodomo Rengouでは過去のPITBの要素すべてのいいところを活かしつつも一歩推し進めた名作でしたが、今回はそこからさらに進んだ挑戦的な内容です。

 

まず耳をひくのはキーボードの存在感で、楽曲の半数以上のメインリフが鍵盤によるもの。さらにそのリフがメロディというよりも和音を軸にしているところもポイントです。それでいて歌心を感じるフレーズになっているのは波多野さんの幅広い音楽性によるものだといえるでしょう。ギターも演奏されますが大半がクリーンやアコースティックの音色であり、バンドサウンドとしては非常にやわらかです。そのぶん「ミネルヴァ」や「装置」最後のギターが際立って刺さってきますね。

 

ベース福井さん、ドラム山口さんとの絡みも素晴らしく、各楽器が会話をしているかのように楽曲を推し進めていくさまは感動的です。中でも私が好きなのは「いきている」。リフのリズムの表裏がどちらかわかりづらいトリッキーなところもそうですが、何より音数がここまで絞られているとは思えないほどの内容の濃さに驚かされました。特に山口さんのドラムはあえて手数を絞り切ったうえで流麗なビートを作り出しており圧巻です。さらっとハーモニクスを混ぜたりと高度なプレイを決める福井さんのベースも聴きどころ。

 

歌詞についても面白いところが多く、以前のPITBだったらもっとぼかしただろうなと思われるような表現、言葉選びが多いように感じました。Family Record頃は匂わせるくらいだった社会とのかかわりを包み隠さずに表出させるようになってきているような。それはKodomo Rengouでの成功から得た自信によるものかもしれませんし、段々と移ろってきた今のモードがそうだったということでもあるのでしょう。「まなざし」のクライマックスで耐えられますようにと繰り返すさまはほのかな狂気すら感じさせ、同時にどうしようもなく美しくもあります。

 

People In The Boxと人類の2019年の断面が視える傑作です。

 

↓これは好きすぎて耳コピをこころみた「いきている」です