マルセル・ミュール・サクソフォン四重奏団「マルセル・ミュール・サクソフォン四重奏団 1960」

たまにはサクソフォンのレビューを。

クラシカル・サクソフォンの「神様」的存在であるマルセル・ミュール。
彼のために作曲された作品は数知れず。

また、その演奏の素晴らしさから、今日にいたるまで評価され続けている。

そんなミュールのサクソフォン四重奏団の演奏が、最高の形で復刻された。

ピエルネ「民謡風ロンドの主題による序奏と変奏」での愉快さ、デザンクロの「これぞスタンダード!」という解釈、リヴィエの華麗なテクニックなど、今の耳で聴いても素晴らしく、楽しめる内容となっている。
復刻版にありがちなノイズもほとんど気にならないレベルで、すべてのサクソフォニストにおすすめできる。

ミュールのソプラノに耳がいきがちであるが、こうして聴くとメンバの水準の高さ…特にバリトン(マルセル・ジョセ)!
豊潤な響きで低音を担いつつ、メロディでの歌心など、かなり私の理想に近い演奏スタイルだ。

ボーナストラックも特筆もの。
フランセの「私たちのパリ!」は珍しい、声楽とピアノ、そしてサクソフォン四重奏によるオペラとなっている。
サウンド的に物足りなさも全くないし(これはピアノによるところが大きいと思うが)、意外とイケる編成だと思う。
これをきっかけにこのスタイルの作品が産まれたりしても面白いかもしれない。