ザ・クロマニヨンズ「GUMBO INFERNO」

クロマニヨンズのロックは、生活音だ。
妙な気取りなどないし、言ってしまえば音楽的な目新しさなんて全くない。

とどのつまり「ヒロトマーシーが一緒にこれをやっている」ことにこそ意味があり、このマジックのネタがあるのだろう。
熟練の即興劇のように、これまで積んできた人生から自然とあふれだす音楽は、シンプルで迷いがない。

とにかく今作は良い。
何も考えずに音楽に身を委ねることができる、という意味で、近作のなかでも特に良い。

シングル曲「キスまでいける」を聴いた時にはすっかりモードが変わってしまったのかとも思ったが、杞憂だったようだ。
「ウォルターに一撃!」では久しく聴いていなかったようなブルースハープのリフが絶品。
切ない系の名曲「犬の夢」もよい。全体的にコーラスが多い印象を受ける。
ドードードードー」なんて、これはもう曲名見ただけでサビが想像できるような秀逸なフレーズだ。
スピードが心地よい「孤独の化身」まで40分。相変わらずコンパクトだが今回はいつもに増して短く感じたなあ。