cali≠gari「12」

ドラマー武井が脱退し、第8期となったカリガリの新作。
ゲストに4名のドラマーを迎えて、各々のドラマーに「宛書き」するような形で制作されたとのこと。

MUCCのSATOちがパワフルに叩く高速ナンバー「脳核テロル」、D'ERLANGERのTetsuがストーリー感あふれるドラミングを魅せる「あの人はもう来ない」、中西祐二のシャッフルビートが心地よい「さよならだけが人生さ」、テクニカルな節回しが気持ちいいNeoBalladの上領亘による「とある仮想と」など、第8期でしかできないということを納得させるような強力な楽曲が並ぶ。

近年のライブにもゲスト参加していたキーボードの秦野猛之とサックスのyukarieが正式にクレジットされているのも第8期を象徴しており、「紅麗死異愛羅武勇」などサックスやキーボードが重要な役割を担う曲が多い。

「フィラメント」は以前であれば桜井が歌っていた楽曲だと思うが、石井のさわやかな歌唱はある意味では新境地といえるかもしれない。
打ち込み色が減退した影響もあり桜井のギターもより印象的に聴こえる。「あの人はもう来ない」のギターワークはハッとさせられた。

村井のベースは楽曲の多彩さとドラムのパワーに対向するかのようにゴリゴリと弾きまくっており、得意のスラップも随所で聴くことが出来る。

全体的に「第8期でできること」を全力で模索した感じがあり、その意味ではかつてアルバムに「実験室」というタイトルを冠していたころのごった煮感に近いのかもしれない。

彼らの音楽への真摯さが伝わってくる快作。バンドがこれからどういった活動を見せていくのか、注目だ。