東京佼成ウィンドオーケストラ「第130回定期演奏会」

01.交響曲第1番(C.T.スミス)
02.交響曲第2番「三法印」(R.ジェイガー)
03.交響曲第3番(J.バーンズ)

東京佼成ウィンドオーケストラ定期演奏会を聴いてきました。
指揮は正指揮者の大井剛史さん。

リードの作品集や邦人作品集など、TKWOとの作品はどれも名盤であり、相性の良さは証明済み。
満を持して、吹奏楽のために書かれた交響曲のみを取り上げるという気合の入ったプログラミングで、これは絶対聴かねばと思っていました。

C.T.スミスは交響曲といいつつ13分程度の短い作品。
「例の3曲」の前に書かれた作品ですが、後の作品に通じる語法やサウンドが感じられます。
TKWOの演奏は「あえて交響曲っぽく」ということで、真正面からの演奏。

R.ジェイガーは題材もあってか、わかりやすいメロディを用いず、モチーフと響きの変容を楽しむような楽曲。
TKWOの委嘱作品だが、演奏するのは数十年ぶりとのこと。
演奏は素晴らしく、各所でのソロで名手たちの美音を存分に堪能することができました。

休憩を挟んでJ.バーンズ。
冒頭のティンパニの響きから既に最上級のサウンド。この曲も各所に印象的なソロが配置されています。
特に第3楽章は筆舌に尽くしがたい素晴らしさでした。ホルンソロなど、ここまで美しい曲だったか…と。
過度に感情的になりすぎない設計も見事で、楽曲が持つ本来の味がより際立っていたように思います。
第4楽章は「ナタリーを天国で祝福する、天上の音楽」という解釈とのことで、端正かつ多幸感にあふれた演奏。

TKWOの演奏を聴くたびに感じるのですが、演奏を聴いたというより「音楽を聴いた」という感覚が強いことに驚きます。
多少のミスがあっても気にならず、むしろその音楽の世界観に没頭し、感情を揺さぶられます。
このスタイルで活動を続けてくれていることが嬉しいですし、もっと多くの人に聴いてもらいたいですね。

□アフタートークメモ
大井さん、国塩さんのアフタートークも聴きました。
印象的だったことをいくつか。

・スミスはある意味冗談のような音楽。
 それをあえて交響曲っぽくやることを狙ってみた。
・バーンズ、ジェイガーともにショスタコーヴィチの影響を感じる。
・特にバーンズについてはショスタコーヴィチの8番、マーラーの9番の影響を感じる。
・アレンジものをやることに批判的な意見がくることもあるが、アレンジものに取り組むことにより、
 その作曲家の語法を団員が経験する。団員が知っていると、オリジナル作品を取り組むときに例示でき、話が通じる。
・133回定期演奏会のコリリアーノの3番は凄い曲。ショットガンを使う指定があったり、マーチング・バンドを使う指定があったりする。