東京佼成ウィンドオーケストラ「第132回定期演奏会」

f:id:tk_saxo:20170129015732j:plain

01.交響曲第3番「キルクス・マクシムス」(J.コリリアーノ)

02.リュート曲に基づく昔の舞曲と歌曲集~管楽オーケストラのための自由な編作 第3組曲(O.レスピーギ / 伊藤康英)

03.交響詩「ローマの松」(O.レスピーギ / 鈴木英史)

 

凄いものを聴けました。

指揮はシズオ・Z・クワハラさん。

コリリアーノの「キルクス・マクシムス」はホールを闘技場に見立て、さらには闘技場の喧騒を現代社会でのチャンネルザッピングとも重ねたもの。トランペット11本が客席を囲むように配置され、サクソフォンカルテットとコントラバスも客席に配置、さらに1階席をマーチングバンドが練り歩くという混沌そのものの音響が繰り広げられました。

演奏にあたり様々なハードルがあったことは想像に難くないのですが、TKWOの演奏はそんな「裏」を全く感じさせない快演で、冒頭のサラウンド音響のトランペットからチャンネルザッピングでの切り替え、夜の音楽での動物たちの鳴き声の模写や深夜の都会の表現の面白さ、そしてなんといっても各音群が渾然一体となって混ざり合う終盤!脳が処理しきれない情報がどんどん飽和し、上書きされていく様はさながら頭の中を蹂躙されているような感覚で、これ以上無い心地よさを感じました。

航空自衛隊のアドバイスを取り入れたであろう最後のショットガンの動作もカッコ良く、2階席に座っていたこともあり「本当に撃たれるのでは」と脳が錯覚してこれもまた心地よい倒錯を体験できました。

 

この時点で大満足でしたが休憩を挟んで第2部はレスピーギの名曲たち。

リュートのための~」が伊藤康英さんのアイデアたっぷりのアレンジ。先程までとはうってかわっての整然としたサウンドに癒されました。

そして「ローマの松」も素晴らしかったです。各プレイヤーの音色の素晴らしさ、楽団としてのサウンドの素晴らしさが存分に発揮され、鈴木英史さんによるすっきりした編曲も相まってとても満足度の高い演奏でした。

「ボルゲーゼ荘」でのホルン、サックスのメロディのサウンドの素晴らしさ、「カタコンブ」での静かな表現。「ジャニコロ」での木管楽器たちのソロの表現力、「アッピア街道」でのバンダを含んだ輝かしい凱旋のサウンドと、なかなか他では聴けないレベルの演奏だったのではないでしょうか。

 

今回も大満足の演奏会でした。

しかしコリリアーノはすごかった…。

実演が困難なことは重々承知ですが、これはまた実演で聴きたいものですね…!