東京佼成ウインドオーケストラ「第136回定期演奏会」

吹奏楽を聴いてきました。

 

 

01.バンドへの贈りもの(C.T.スミス)
02.アルトサクソフォン協奏曲(P.クレストン)
03.華麗なる舞曲(C.T.スミス)
04.透影(高橋悠治
05.バレエ組曲「ボルト」(D.ショスタコーヴィチ / 大橋晃一)

 

TKWOの定期演奏会に行ってきました。
指揮は飯森範親さん。かつて大阪市音楽団の演奏会での華麗なる舞曲の演奏の人気が高く、TKWOではどういった表現を見せてくれるのかに期待が集まっていました。

 

C.T.スミスの「バンドへの贈りもの」で演奏会はスタート。
スミス作品らしく高速パッセージなど難所もありつつも全体的には軽めのスッキリした楽曲です。
TKWOの持ち味であるクリアなサウンドはここでも活かされており、特に金管楽器群の和音はとても綺麗でした。
ゆったりした部分での中音域でのメロディも印象的。このあとのメインへの期待も高まりました。

 

続いてはTKWOのコンサートマスターでもあるサクソフォンの田中靖人さんの独奏でクレストンの協奏曲。
田中さんのソロはいつものイメージ通り、とにかく流麗で優雅。フレーズを大きくとらえた歌心には感動しました。
伴奏との連係もバッチリで、リズム的な仕掛けや掛け合いも綺麗でした。
中でも2楽章は印象的で、冒頭のファゴットのソロの素晴らしさ、サックスのカデンツァの演じ分けなど、最高でした。

 

前半最後は「華麗なる舞曲」。これを目当てにしていた人も多かったのではないでしょうか。
テンポ設定は期待通りの「爆速」で、こんな早い冒頭を聴いたのはおそらくはじめてでした。
さすがに速さのせいもあって細かなパッセージまで聞き取るのが困難でしたが、そんなことを吹き飛ばすほどの勢いで楽しませてくれました。各ソリストも本当に素晴らしく、中でもピッコロトランペットはものすごい安定感で圧倒されました。最後の畳み掛けはまさに息をつかせる間もなくといったところ。これはぜひ音源化してもらってまた聞きたいですね。

 

高橋悠治さんの新曲「透影」は34人という中編成で書かれた楽曲。
楽器の配置まで指定されており、打楽器が両翼にいたりと響きの効果まで考えられた曲でした。
高橋悠治さんの作品はバリトンサックスの栃尾さんのソロ作品などで触れていましたが、手法にはいくつかの共通項も感じました。それぞれの楽器のパッセージがそれぞれのリズム、それぞれの時間軸でうつろってゆく様は巻物を読んでいるような面白さを感じました。和っぽい音使いをしている風でもないのになぜか日本的な匂いを感じるのも面白いところです。
木管低音群が特に印象的で、コントラバスクラリネットバリトンサクソフォンがとてもよいアクセントを加えていました。また、木管から金管への音色の受け渡しなども興味深く聴きました。

 

最後はショスタコーヴィチの「ボルト」。
バレエ音楽のため、描写的で各場面を想起させるような楽曲が並びます。
TKWOのクリアなサウンドはバレエ音楽にとてもよく合いますね。心地よく聴くことができました。

 

今回もとても楽しい演奏会でした。
次回の定期演奏会も楽しみです!