cali≠gari「プライベート♥エロチカ2020 11月15日KANDA SQUARE HALL公演」

東京公演は少し奮発しまして「自称関係者席」「ベースキッズ席」配信で観ました。

 

■セットリスト

01.エロトピア

02.ミルクセヰキ

03.淫美まるでカオスな

04.アイアイ

05.虜ローラー

06.颯爽たる未来圏

07.ポラロイド遊戯

08.デリヘルボーイズ!デリヘルガールズ!

09.真空回廊

10.原色エレガント

11.さかしま

12.せんちめんたる

13.青春狂騒曲

14.ブルーフィルム

15.Sex on the beach

 

一曲目からVo石井さんにダメージがあり(腰をやってしまったとのこと)、また喉の調子も悪かったとのことで非常に困難な本番だったと思われるライブでしたが、全編通して気迫のようなものが滾っておりよい内容でした。

 

久しぶりの「アイアイ」や「颯爽たる未来圏」も良かったですね。カリガリはどの曲も面白いのでツアー中でもセットリストの可変曲に何が来るのか毎回ワクワクさせられます。

 

後半、とくに「さかしま」は素晴らしいテイク。本来はやめるつもりだったようですがMC内で急遽やることになり12弦をあわてて出してくる場面もありました。MCでも触れていましたが、そのときどきでできる最良のものを出そうとする彼らの姿勢が一番表れた曲だったと思います。

 

「せんちめんたる」からは一気呵成に幕まで。この日はステージ後ろに映像も映し出されており、ツアーファイナルらしいスケールの大きな視覚感でした。月末の再配信ではより見やすくなって出てくると思いますのでそれも楽しみですね。

 

これで「自称関係者席」巡りも一段落ですが、とても楽しい試みだったと思います。固定カメラ垂れ流しの音質も、ある意味、会場にいるような気持ちになれて

良かったです。

 

来年に向けライブと新作予定の発表もありましたが、その時には現地に行きたいものです…。

 


ロックよ、静かに流れよ -男闘呼組-

東京佼成ウインドオーケストラ「第151回定期演奏会」

01.吹奏楽のための第一組曲(G.ホルスト)

02.水面に映るグラデーションの空(芳賀 傑)

03.リンカンシャーの花束(P.グレインジャー)

04.吹奏楽のための交響曲 第3番(保科 洋)

05.インテルメッツォ(保科 洋) 

 

吹奏楽のための第一組曲は伊藤康英による校訂版でかなり小さな編成での演奏。各パートの役割がはっきり見え解像度の高い演奏だった。正攻法での美味しさを堪能でき、シャコンヌの最後に至る盛り上がりや間奏曲の可愛らしさ、行進曲での華やかさまで極上のサウンドだった。

 

特に印象に残ったのは水面に映るグラデーションの空。前半の各パートが微妙にずれたりしながらサウンドを重ねてゆく箇所は現場ならではの聴こえ方を楽しんだ。リズムの重なりによるサラウンド効果の中からサクソフォンセクションなどの和音が突き抜けてくるさまは幽玄で、日本らしい響きだとも感じた。今回のために書き足されたというコントラバスクラリネットのソロは想像していたよりもかなりガッツリとしたソロで驚いた。テクニカルではあったが前半の終結部によくあっており、これで音源も残してほしいところ。

 

リンカンシャーの花束はホルストと同じくTKWOによる録音が多数存在する楽曲。メロディの重なりや民謡に合わせた拍子のとり方など、旋律の美しさとは裏腹に難曲であるが楽曲への想いや慈しみを感じるようなあたたかい演奏だった。一部、主旋律より裏が大きくなりすぎていたように感じた箇所もあったが、これは座った座席によるものかもしれない。

 

保科洋の交響曲第3番も面白かった。重厚な響きは期待通りにありつつも、特に一楽章でのキャッチーな楽想には驚かされた。瞬間ごとにキャラクターが交差し吹奏楽ならではの多面性が表れていたように感じる。二楽章は非常に穏やかで心地よく、各楽器のメロディを存分に聴くことができた。三楽章は終楽章らしいテンションの高さで、ゴリゴリとした響きと二楽章でも見せたような甘い響きを行ったり来たりしながら一気呵成に幕となった。保科洋のシリアスな部分とユーモア的な部分がどちらも濃く出た面白い曲になっていたと思う。

 

アンコールはこれも保科洋による「インテルメッツォ」。2017年の課題曲として作曲され、今回と同じく大井、TKWOにより初演された楽曲だ。あらためて聴くと課題曲とは思えないようなロマンティックさとムードをたたえた楽曲であり、しみじみと噛んで含めるように演奏するTKWOの音色が心地よく響いた。

 

演奏会全体としての芯が通った(これは大井による棒のときは特に毎回感じるのだが)とてもよい演奏会だった。来期の予定も発表され、そちらも非常に期待できる内容。今後もできる限り聴きに行きたい。

広島ウインドオーケストラ「第54回定期演奏会 20201024」

広島WOの配信を観ました!

 

■セットリスト

01.シンフォニア・ノビリッシマ

02.第3組曲

03.交響曲第3番「神のかがやき」

04.ジュビラーテ

 

今回の演奏会では間をあけた客席配置に合わせて後日配信を行うという形での開催。広島WOは以前より意欲的な選曲と安定した演奏で好きなオーケストラのひとつでしたが、さすがに現地にいくほどの余力はなくライブ演奏は見たことがありませんでした。今まではハードルが高かった遠方のオーケストラの配信を観られるのはとてもうれしいですね。また、今回は合わせてこの演奏会と以前の演奏会からの録音を収録したCDも付属するという太っ腹っぷり。2000円で配信もCDも入手出来てしまうというのは少し心配になる価格設定です。この形態はとても助かるので、続けてほしいですね。(現実的な値段にUPしてもらっても、吹奏楽おたくは買うと思います!)

 

配信を観て驚いたのは映像のクオリティの高さ。画質もよいですがカメラワークがとても巧みで、このままDVDソフトなどとしてパッケージングできそうなもの。この演奏会にかける思いが伝わってくるようでした。

 

まずは定番中の定番、「シンフォニア・ノビリッシマ」。TKWOやシエナをはじめとした見事な録音が多い楽曲ですが、広島WOは全体にまろやかなサウンドで心地よい響きを堪能しました。打楽器の演奏、特にクラッシュシンバルの音は極上でしたね。弱奏部での美しい歌いこみも見事。よい演奏でした。

 

「第3組曲」ははじめて聴きました。マーチ、ワルツ、ロンドという構成ですがところどころでマーチの2拍子、ワルツの3拍子を逸脱するというトリッキーな楽曲。ただし一聴すると違和感が全くないのが面白いところで、ジェイガーがこういった音楽の形式を拍子でなくリズムパターンやオーケストレーションのみで表現しようとした感触があります。「マーチといえば2拍子、だけどこれもマーチに聞こえるよね?」というユーモアが面白いですね。演奏も素晴らしく、各ソリストの格調高い演奏が特に印象的でした。

 

メインは数年前に作曲された「交響曲第3番」。第1番ほどわかりやすくはないですが第2番ほど難解ではない、という感触。ホプキンズの詩に基づいているとのことで、神の偉大さと人間を対比させつつ壮大な世界観が繰り広げられてゆきます。演奏は素晴らしく、全編通してすさまじい集中力を感じさせる内容。2楽章の戦争あるいは破壊を思わせるパートでは弱奏ながらも不穏で攻撃的な印象で人間に対する批判的な視線も感じさせますが、それでも4楽章に向かってポジティブな響きが構築されてゆくのはただただ感動的。ジェイガーの辿ってきた年月を思わせる名作でした。

 

アンコールはかつての課題曲「ジュビラーテ」。きらびやかで明るい楽曲にオーケストラものびのびと演奏しているように感じられました。オールジェイガープログラムということでしたがシリアスな楽曲からキャッチーな楽曲まで幅広く、とても満足度の高い演奏会でした。CDも楽しみです。

cali≠gari「プライベート♥エロチカ2020 10月25日大阪バナナホール公演」

大阪公演も「自称関係者席」配信で観ました。

 

■セットリスト

01.エロトピア

02.ミルクセヰキ

03.トカゲのロミオ

04.トレーションデモンス

05.淫美まるでカオスな

06.ポラロイド遊戯

07.わずらい

08.僕は子宮

09.デリヘルボーイズ!デリヘルガールズ!

10.スクールゾーン

11.真空回廊

12.原色エレガント

13.さかしま

14.青春狂騒曲

15.ブルーフィルム

16.Sex on the beach

 

カリガリの東名阪ツアーもついに2日目。と言っても2回まわしをしているのでステージとしては4回目になるだろうか。新アレンジや新曲もだいぶ馴染んできた感がある。

 

名古屋と同様に「エロトピア」からスタート。「ミルクセヰキ」はバンドアンサンブルがさらにタイトになり飛び道具的な曲にとどまらない攻撃力を持ち始めているように思えた。「トカゲのロミオ」「トレーションデモンス」は名古屋では演奏されなかった曲。しかしカリガリのライブはいわゆる“定番”になりうるポテンシャルをもつ曲が非常に多いことを思い知らされる。定番曲だけでも数回分のセットリストが組めそうだ。

 

MCでは「僕は子宮」で着席してはどうか?と村井が発案し、イントロに合わせて座るリハーサルを行うという場面も。こういうのを打ち合わせするようなバンドではないのでおそらく本当に全部アドリブでやっているのだと思われるが、近年の彼らのライブの中でもひときわ印象的なMCとなった。続く「ポラロイド遊戯」ではギターソロにちょっとしたアクシデントがあったが、持ちなおしとそこからのテンションの持っていき具合に気合を見た。

 

この日の白眉は「さかしま」。アルバムではギターとボーカルの二重奏だったが、今回はドラムとベースがだんだんと重なり、スケールの大きなクレッシェンドが形成されていてたいへん感動的だった。「青春狂騒曲」「ブルーフィルム」といった人気曲の後に今回も「Sex on the beach」で終演。

 

今回も充実した内容だった。次回はいよいよ東京でのツアーファイナルだ。

聖飢魔II「特別給付悪魔 20201020 昼の部」

聖飢魔IIのヴィデオ黒ミサに参列してきた。

 

今回は感染症対策の意味もありヴィデオ黒ミサという形態となっていたが、単なる映像の上映とは一線を画すものに仕上がっていた。サウンドとしては各楽器で個別に録ったものをそのまま各ヴィデオ黒ミサ会場でミックスしているらしく、出音としては本物の黒ミサになんの遜色もないものだった。いや、録音されている音が確定していることにより理論的には本物の黒ミサよりも理想的な音質になっていたとも言えるのではなかろうか。

 

平日だったこともあり直前まで有給休暇の使いどころとにらめっこしながら散々悩んだのだが、行ってよかった。

筋肉少女帯「2020筋少1stライブ 20201018」

■セットリスト

01.孤島の鬼

02.暴いておやりよドルバッキー

03.日本印度化計画

04.枕投げ営業

05.モコモコボンボン

06.君よ!俺で変われ!

07.ムツオさん

08.ゾンビリバー

09.山と渓谷

10.猫のおなかはバラでいっぱい

11.サイコキラーズ・ラブ

12.イワンのばか

13.カーネーション・リインカネーション

14.ボーン・イン・うぐいす谷

15.ディオネア・フューチャー

 16.喝采よ!喝采よ!

17.サンフランシスコ

 

配信フェスには参加していたもののワンマンとしては今年初となる筋肉少女帯のライブは観客あり、配信ありのスタイルでの開催となった。

 

何より驚かされたのはいきなりの「孤島の鬼」。初期筋肉少女帯アンダーグラウンドな魅力が詰まったヘヴィな楽曲だ。「ドルバッキー」が終わるとMCタイム。観客の発声などを制限してのライブであることなどに触れ、自分では「あわあわ」しているという大槻だが喋りのキレは全くそのような印象とは真逆で絶好調。どのような状況においても自分たちのフィールドで面白おかしくネタにするというワザを堪能できた。

 

「モコモコボンボン」なども定番のひとつではあるが歌に入る際の内田の煽りもいつになく嬉しそうだったのが印象的。やはりメンバー全員ライブを楽しんでいるというのがよく伝わってきた。この日の配信のサウンドは本城のギターが大きめにミックスされていたのもポイントで、特にゾンビリバーなどではいままで隠れがちだった細かいフレーズを細部まで聴き取ることができ非常によかった。カッティングのキレ、センスともに職人技でシビれた。アルバムでもこれくらい分離よくミックスしてもよいのでは…などと。

 

あまりライブでは聴かない「山と渓谷」「猫のおなかはバラでいっぱい」といった楽曲も演奏され、よいアクセントになっていた。猫〜は大槻のnoteでもこれから演奏していきたい風の触れ方をしていた曲なので、今後のアコースティック枠に入ってくるのかもしれない。ちなみに大槻はこの自粛期間以降の期間を使って過去の作品群からいくつかのアルバムの全曲解説音声を行っている。過去の作品と腰を据えて向き合ったことで今後の作品にも影響が及ぼされるのでは…とリスナーとして楽しみだ。

 

最後は「サンフランシスコ」で締め。やはりこの楽曲を聴くと筋肉少女帯を聴いているという実感が湧く。この日の演奏はいつもに増してテンションが高く、ギターとピアノのソロバトルも最高のテイクだった。筋肉少女帯は来月にもライブがあるのでそちらも配信があれば観ようと思う。

 

clammbon「『2020』 20201002」

クラムボンの配信ライブを観た。

 

■セットリスト

01.タイムライン

02.サラウンド

03.はなれ ばなれ

04.ウイスキーが、お好きでしょ

05.ミラーボール

06.恋わずらい

07.君は僕のもの

08.便箋歌

09.Re-雨

10.ララバイ サラバイ

11.Long Song

12.yet

13.KANADE Dance

14.波よせて

15.シカゴ

16.Lush Life!

17.夜見人知らず

18.Bass,Bass,Bass

19.Slight Slight

20.あかり from HERE

 

クラムボンの今年の初ワンマンとなるライブ。モメントシリーズの中でも印象的な「タイムライン」で噛みしめるように幕開け、定番の「サラウンド」で一気に空気感をもっていくあたりはさすが。ウイスキーではブレイクに入るタイミングを間違えひとこまも。MCも演奏もライブの喜びにあふれており、楽曲のスタイルによらず全体的に多幸感にあふれたステージだった。

 

配信ライブならではの取り組みということで、のちのMCでも触れていたが「恋わずらい」「君は僕のもの」「便箋歌」といった近いテンポ感の曲を続けざまに披露してみたり、「雨」〜「ララバイ」〜「Long song」といった即興的で長尺の曲を続けてみたりという工夫の凝らされたセットリストだった。特に後者の長尺パートは物凄い集中力で、このバンドのアンサンブル力をあらためて思い知らされた。

 

アンコールでは自粛期間中にリリースされた新曲「夜見人知らず」が披露され、続く「Bass,Bass,Bass」では全員がステージを降りてパーティーを始めるパフォーマンス。シリアスな本編からシームレスにこうしたおちゃらけた遊びに入っても違和感がないのはこのバンドのキャラクターの強みだ。最後の「あかり from HERE」まで暖かさにあふれたよいライブだった。クラムボンのライブは映像ソフトや配信でしか見たことがないが、次は現地で見てみたいと強く思わされた。