People In The Box「空から降ってくる vol.8 〜正真正銘の全国ツアー!これ以上の全国ツアーってある?ねぇー?ねぇぇぇーーー?編〜 @新木場STUDIO COAST」

■セットリスト
01.ニムロッド
02.はじまりの国
03.翻訳機
04.手紙
05.映画綺譚
06.あなたのなかの忘れた海
07.失業クイーン
08.天使の胃袋
09.金曜日 / 集中治療室
10.空は機械仕掛
11.数秒前の果物
12.海はセメント
13.セラミック・ユース
14.きみは考えを変えた
15.季節の子供
16.風が吹いたら
17.聖者たち
18.逆光
19.球体
20.JFK空港

En1
21.おいでよ
22.ユリイカ
23.ヨーロッパ

En2
24.汽笛

素晴らしいライブでした。
メンバーも久しぶりの東京公演とあって、楽しそうで終始幸福感のあふれるステージとなりました。

まずはニムロッド。ダイゴマンのドラムは1月に観たときよりもさらに切れ味が増しているように感じられ、最高の滑り出し。福井さんがピック弾きをしていたのも印象的でした。
はじまりの国、翻訳機、手紙と続けざまにキャッチーな楽曲を演奏。ツアーを通じて演奏技術はさらに洗練されたように見え、コーラス等の安定感がバツグンでした。
新作からの映画綺譚ではノイジーなギターを含んだリフ。この日は全体を通してそうでしたが、とにかく音がよかったです。
音が割れることもなければバランスが偏っているわけでもなく、すべてのパートが綺麗に聞こえました。これにより普段よりさらに演奏の細部が聞き取れたように思います。

過去曲コーナー、各地では特定のアルバムに絞ってのセットリストだったようですが、ファイナルである本日は各アルバムから1曲ずつといった趣での選曲。
失業クイーン、天使の胃袋、金曜日はどれも久しぶりに聴いた気がします。天使の胃袋の2番での波多野さんの斬りこむようなカッティングは何度聴いても素敵。
また、金曜日ではコロコロと変わる曲調や手拍子が楽しく、ライブ向きの楽曲であることを再認識させられました。

後半は今年発表された新曲が多く取り上げられました。
「カット・ザ・フルーツ」のサビが癖になる「数秒前の果実」ではところどころの決めフレーズがバシバシと決まって心地よく、海はセメントでは空間のあるサウンド演出に息を呑みました。
本編ラストは「JFK空港」。波多野さんはキーボードを使用し、CDとは全く異なるアレンジで演奏されました。
ピアノの音色を使うことによって更に歌が引き立っているように思え、「もしもし、パパだよ、ママだよ」の箇所は目頭が熱く。
ベースのフィードバックによる通信のようなノイズも綺麗に決まり、ポエトリーリーディング部分は圧巻。
朗読と歌の中間のような独特な語り口で詩を紡いでいき、潮が引くような静寂の中、最後の「見て 晴れた空から 降ってくる」が会場全体に染みこんでいきました。

アンコールではボーカルとコーラスの掛け合いが楽しい「おいでよ」、初期ピープルらしさが凝縮された「ユリイカ」、定番の「ヨーロッパ」。
ヨーロッパはやはり何度聴いても素晴らしく、ポエトリーリーディング後の爆発のような即興演奏が快感。

さらなるアンコールに応えて、最後は「汽笛」。
どこか切ないながらも旅立ちを予感させるこの曲は、ツアーの締めくくりに相応しい選曲であったように思います。

バンドとしての充実度を感じられるとてもよいライブでした。
また何度でも観に来たいと思いました。