Sound Horizon「Sound Horizon Around 15周年記念祭 @ 2021/2/6 ガーデンシアター」

■セットリスト

01.星空へと続く坂道

02.狼欒神社

03.夜の因果が見せた夢

04.暗闇を照らすヒカリ

05.私の生まれた《地平線》

06.西風のように駆け抜けろッ!

 

07.星女神の巫女 -Αρτεμισια-

08.死せる乙女その手には水月 -Παρθενος-

09.石畳の緋き悪魔

10.光と闇の童話

11.Baroque

12.歓びと哀しみの葡萄酒

13.星の綺麗な夜

 

現地には行けませんでしたが配信で観ました!

「絵馬に願ひを!」のリリースに伴うコンサートで、全6回行われたうちの3回目。

第1部は「絵馬」楽曲がBDと同じ仕組みで進行し、第2部はサンホララボ(SHに関する座談会)、第3部は過去楽曲という構成でした。配信(プレミアムでない)は第1部、第3部のMCカット版。

 

やはり見どころは第1部で、BDの内容をどう現実に落とし込むか?というところがキモ。

というのも、この作品は楽曲間に選択肢が含まれ、その選択によって次の曲が変動するのです。

BDで観ているときは自分が「神々」となって選択を行うため、自分の選択がそのままストーリーに直結するのですが、ライブでは自分が「神のひと柱」となるため、自分の選択と進行が必ずしも一致しないので、そこが大きな違いだと思いましたね。ある意味、こちらが本来の想定された姿という気すらしました。

 

演奏もかなり仕上がっており、いつものバンドにストリングスを追加した編成に加え、琴や和太鼓といった和楽器を含めた豪華なもの。キーボードもふんだんに(Mini Moogも見えました)使われていて良かったですね。

 

個人的にグッときたシーンをいくつか。

 

まず「星空~」は短いながらもこの作品の空気を美しく表す楽曲ですが、「咲く花や~」の部分でそれまでの暗い雰囲気からぱっと華やかになる様はイメージ通りで心地よかったです。続く神社のシーンでは心の中で念じる部分では口を閉じていたりと細部まで練りこまれた演出が没入感を引き立てていました。あと神社関係者のしゃべり方がやたら胡散臭さマシマシでしたね。

 

エレクトリカル神社の綺麗さも目を見張りました。プロジェクションマッピングのように鳥居が大写しになって迫りつつくぐっていく表現は最高にかっこよかったですね。

「狼欒神社」のソロはピアノ~ヴァイオリン~ギターの版。ここで主人公4人が登場して踊りますが、姫子以外は出来上がっているのが印象的でした。時系列とかに関係ありそう…?

「暗闇を照らすヒカリ」は歌唱力が凄まじく、最後の「ノエル」に関する絶叫は衝撃的でした。しかし選択肢で適宜休憩が入るものの、1曲が短いこともあって目まぐるしく場面が変わってあっという間ですね。

 

第3部は私の好きな楽曲ばかり(だからこの日の配信を購入したのですが…)。

特に前半のMoira~イベリアの流れは熱かったですね。「星女神の巫女」では犬彦が女声コーラスに加わっていてビビりました。凄い…。

 

「死せる乙女その手には水月」の冒頭が入ったのは「私の生まれた世界」というキーワードを姫子に歌わせたかったからでしょうか。というか星女神での「あぁ…神社関係者様…」とか「ごめんね…神社関係者様…」とか石畳での「巫女よ」とかどういう関係という設定なんだろう…?

 

「光と闇の童話」では犬彦がメインボーカル。なんですかこのさわやかさは。あのダークな楽曲がここまでキラキラと歌われることになるとは思いませんでした。原曲で初音ミクだった人形パートは愛猫「すず」による歌唱に変更。ギターソロバトルもスリリングでこれもめちゃくちゃ良かったです。マーティ・フリードマンにつられてメルヒェンから入ったメルヒェン新規ローランなもので…。

 

「次なる女(おみな)こそ当社(やしろ)の信徒なのだろうか…」というセリフからの宮比によるBaroque。これはネタ枠ですね…。歌詞というか語りによって構成される楽曲なのですが、若者言葉ちっくに変換されており、ぴえんこえてぱおんしていました。いや「ウチのエモい真珠は歪んでいるのでしょうか?」はちょっとよくわからないですけど…。「歓びと哀しみの葡萄酒」は那美さんの歌唱力がひたすら凄い。高音への伸びやかな声は感動を誘いますね。

 

最後はハロウィンと夜の物語からの「星の綺麗な夜」。これも大好きな曲だったのでうれしかったです。メインは神社関係者で、絵馬の4人も適宜登場。恋人役の那美と後ろから刺す役の犬彦の演技が印象的でした。終盤の「ろくなもんじゃねえ!」はやはり染みます。

 

Sound Horizonは「楽しむためにインストールが必要な音楽」だと思っていて、リスナーがどれだけ過去作品を自分の中に蓄積しているかによってだいぶ楽しみ方が変わるのですが、私も去年のリマスターシリーズを聴いてだいぶ”整ってきた”ような気がします。具体的には、各楽曲で引用フレーズが出てきたら反射的にネタをたどって参照元の空気を思い出しながら聴ける…ようになってきた…多少…という感じですね。

 

いいコンサートでした。フル版も楽しみだな…。