オオサカシオン半端ないって!あの吹奏楽団半端ないって!
定期演奏会のたびにアルバムリリースするもん!
そんなんできひんやん、普通……そんなんできる!?
言っといてや!できるんやったら……
ワコーレコードからのリリースが開始してからのオオサカ・シオン・ウインド・オーケストラのリリースペースが凄いです。
更にここ最近はそれらのCDがサブスクにも追加され、広く聴けるようになったようです(AppleMusicとSpotifyで確認)。
11月9日にはさらなる新作「グレグソン作品集」が予定されており、どこからそんな力が…と驚くばかり。
とはいえリスナーとしては嬉しいので、ひとまずリリースについて整理してみます。
①「ジェイムズ・バーンズ交響曲全集」 ※バーンズ作品集
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指揮:ポール・ポピエル
録音:2023年9月16日、24日、10月2日、8日(特別演奏会 バーンズ・チクルス、第150回定期演奏会)
発売:2023年12月22日
吹奏楽というジャンルに実に9曲もの交響曲を書いた作曲家であるバーンズ。その交響曲をまとめて取り上げた4回に渡る演奏会の録音記録がこちら。第一交響曲は長いこと出版されていなかった幻の楽曲だったのですが、なんとこの機会のために改訂版が作成され初演となりました。吹奏楽を代表する曲のひとつといえるバーンズの第三交響曲も初演して日本に広めたのは大阪市音楽団。いわば本家の味です。あくまで伝統的な交響曲を踏襲した堅牢かつ盛り上がるバーンズの作風を楽しむことができ、資料的価値の高さもさることながら感動的なアルバムです。
②「惑星」 ※ホルスト作品集
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指揮:ダグラス・ボストック
録音:2023年1月28日(第146回定期演奏会)
発売:2024年6月25日
イギリスものが得意なボストックによるホルストの作品集。吹奏楽の基礎の基礎ともいえる第一組曲、第二組曲の伊藤康英版でのハイクオリティな録音が聴けるのもポイントですが、後半に配置された惑星の全曲も聞きどころ。こちらはもとは管弦楽のための曲ですが、ホルスト作品集の流れとして聴くとまた単なるアレンジものとは異なる見え方をするのではないでしょうか。ボストックの指揮はスタイリッシュで、快速で進みつつも要所でぐっと重心を落として歌いこんでみせたりと自在です。
③「陽が昇るとき」
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指揮:現田茂夫
録音:2020年1月23日(第128回定期演奏会)
発売:2024年7月31日
吹奏楽を振る指揮者は多大なレパートリーへ挑戦することを厭わない人が多いです。現田さんもそういった指揮者であり、これまでも数多くの作品を演奏してきています。ここではプロによる全曲録音としては珍しい陽が昇るときやチェザリーニの交響曲といったレアかつ重量級のプログラムが並びます。コンクールなどの現場ではカット演奏されることの多い曲の全体像を知ることができるという意味でもありがたい選曲ですね。
④「悪魔の聖書」
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指揮:現田茂夫
録音:2023年4月23日(第148回定期演奏会)
発売:2024年7月31日
こちらも吹奏楽オリジナル曲が多彩に散りばめられたアルバム。大阪俗謡の主題による幻想曲はシオンも慣れたものですが、他にも定番の人気曲であるイーストコーストの風景を取り上げたかと思えば悪魔の聖書のような新作も取り上げ、温故知新といった趣を感じますね。
⑤「ドラゴンの年」 ※スパーク作品集
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指揮:ダグラス・ボストック
録音:2023年8月27日(第6回京都定期演奏会)
発売:2024年10月11日
ボストックによるイギリス回。スパークはたいへん人気の作曲家で、金管バンド由来の機動力やさわやかさ、鮮烈さをそのまま吹奏楽でも味わうことができます。ここでの目玉はドラゴンの年で、快速なボストックの緊張感が最後まで保たれたピリッとした名演です。
⑥「リンカーンシャーの花束」 ※グレインジャー作品集
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指揮:ダグラス・ボストック
録音:2024年1月28日(第152回定期演奏会)
発売:2024年12月16日
ボストックによるイギリス関連回。イギリス民謡を題材にとりグレインジャーが書いた名曲群を一挙に楽しめます。定番のリンカーンシャーの花束はもちろん、ローマの権力とキリスト教徒の心のようなオルガンを用いるややマニアックな曲、岸辺のモリーのような可愛らしい曲と多彩な魅力を感じ取ることができます。
⑦「シンフォニー・オブ・フリーダム」 ※ドス作品集
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指揮:トーマス・ドス
録音:2024年11月16日(第157回定期演奏会)
発売:2025年6月9日
作曲家本人による作品集。吹奏楽では作曲家が指揮もしていることが多いです。シオンもかつてスパークなどの作曲家と共演してきましたが、本作はシダスなどの曲が近年人気のドス。本人による解釈という意味でも、プロ吹奏楽団によるドス作品という意味でも貴重です。ブルックナーの編曲作品が含まれているのが面白く、彼のドイツ的な構築美センスが表れているようにも思います。
⑧「だったん人の踊り」
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指揮:汐澤安彦
録音:2022年1月22日(第140回定期演奏会)
発売:2025年7月10日
今年の頭に急逝した汐澤さんによるオーケストラからの編曲もの特集。アルバムタイトルのボロディン作品に加えシャブリエのスペインやワーグナーのエルザの大聖堂への行進など、一昔前に定番と呼ばれた楽曲たちを今のサウンドで。汐澤さんの指揮は大きな塊をぶつけられたようなインパクトがあり印象的です。ボストックの音楽性との違いとそれによる同じ団体ながら全く違うサウンドが面白いのでは。
⑨「剣と王冠 / 王は受け継がれゆく」 ※グレグソン作品集
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指揮:ダグラス・ボストック
録音:2025年4月26日(第160回定期演奏会)
発売:2025年11月9日
そして今度発売されるのがこれです。今年開催されたグレグソン回の録音。有名曲であり、同じ題材からの別の抜粋のような形である剣と王冠 / 王は受け継がれゆくを軸に、ユーフォニアム独奏にスティーブン・ミードを迎えた豪華な内容。上記2曲はいずれもTKWOとボストックによる録音が存在する(剣と王冠は2種類もある)ので、そちらとの聴き比べも楽しめそうです。
…と、ここ2年強で実に9作品ものリリース。
また、オオサカシオンはアーカイブ配信こそ対応していないものの、定期演奏会はライブ配信を行っていることも多く、なかなか現地に足を運べないリスナーとしてもたいへん有難い楽団です。ぜひこの機会に作品に触れてみては。
…しかし、人間の欲というのは際限がないもので…
こんなにリリースできるなら、過去のあの定期やあの定期もいつか…と期待してしまいますね…。
個人的に密かに期待しているのはこの辺です…。
第8回京都定期演奏会 | コンサート情報 | Osaka Shion Wind Orchestra - 大阪市音楽団
第158回定期演奏会 | コンサート情報 | Osaka Shion Wind Orchestra - 大阪市音楽団
第7回京都定期演奏会 | コンサート情報 | Osaka Shion Wind Orchestra - 大阪市音楽団
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