東京佼成WOの定期演奏会へ。
下野竜也さんはN響の正指揮者でもありながら吹奏楽にもたいへん造詣が深く、広島ウインドでの名盤の数々も記憶に新しいですし、個人的にはNAXOSでの大栗作品集も印象的でした。
N響での「パリの喜び」や都響での「涅槃交響曲」と比較的最近にもオーケストラで実演に触れていましたが、吹奏楽を振るのを観るのははじめて。しかもそれが東京佼成となれば期待も高まるというものです。
当日はあいにくの台風でしたが、なんとか芸劇に到着。
■曲目
01.呪文と踊り(J.B.チャンス)
02.交響曲第2番(J.B.チャンス)
03.巫女の舞(保科洋) Eu.岩黒綾乃
04.交響曲第2番(保科洋)
01.呪文と踊り
この日の曲目のなかでも一番馴染み深かった曲ですが、だからこそその印象との違いが強く感じられました。豊かな響きを保ちつつ高音と低音の声部をちょうどよく引き出した解像度の高い前半から、テンポが上がっているのにフレージングが大きくスケール感のある後半に。せせこましい踊りに全くなることなく、ゆったりと、しかし熱く盛り上がっていくさまは一曲目にして白眉という感じで、新鮮な驚きを得ることができました。打楽器群の活躍も素晴らしく、これ以上ないほどの一体感がありました。
02.交響曲第2番
チャンスの交響曲第2番は近年でも武蔵野音大がレコーディングしたりと多少馴染みのある曲でしたが、中橋さんによる主題とその変形の解説を読んでから聴くとよりいっそう面白さがわかりました。少ない部品の組み合わせでここまで一気呵成に聴かせてしまうのはやはり只者ではないと思わせられ、チャンス作品をもう少し掘ってみようかなと感じました。
木管楽器のソロも印象的で、特にオーボエ宮村さんが合奏体をリードする瞬間も多くバチッと合った切れ味が素晴らしかったです。
03.巫女の舞
ユーフォニアム独奏と吹奏楽のための曲で、独奏は客席と正対するのでなく指揮者を向き、ベルを客席に向ける配置。まろやかでともすれば抜けにくいユーフォニアムの音色に対し、これは絶妙な一手だったと思います。
岩黒さんのユーフォニアムは芯がありつつもまろやかで、まさに協奏といった雰囲気で合奏体との対比が生まれ、あたたかな演奏でした。
04.交響曲第2番
保科さん自身も好きな曲であるという第2番。改訂を重ね、今回もまた改良が施されている模様です。
冒頭のホルンの動機にはじまり、各セクションがそれぞれ本当に高精度。もともとスタープレイヤー級が集まったTKWOではありますが、より一段と同じところへ向かった強さのようなものを感じ取りました。これは下野さんの卓越した指揮もさることながら、直近での台湾やタイへの遠征を経て楽団としての結束力が高まったようにも思えます。
楽曲は保科さんらしく堅牢な部分とロマンティックな部分が行き交う旅のような曲で、今回特に印象だったのは打楽器間でのリズムの受け渡し。風紋でもわかるように保科さんは旋律線だけでなくリズムも多層的な表現をされますが、そこが浮き立って見えてくる演奏になっていたと思います。
演奏後はカーテンコールで保科さんも壇上に。お元気そうでこちらも嬉しくなりました。




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