トベコンチヌエド。

CDやコンサートの感想を主に書いています。

東京佼成ウインドオーケストラ「第175回定期演奏会 @ 東京芸術劇場 2026/9/21」

東京佼成WOの定期演奏会へ。
下野竜也さんはN響の正指揮者でもありながら吹奏楽にもたいへん造詣が深く、広島ウインドでの名盤の数々も記憶に新しいですし、個人的にはNAXOSでの大栗作品集も印象的でした。

 

N響での「パリの喜び」や都響での「涅槃交響曲」と比較的最近にもオーケストラで実演に触れていましたが、吹奏楽を振るのを観るのははじめて。しかもそれが東京佼成となれば期待も高まるというものです。

 

当日はあいにくの台風でしたが、なんとか芸劇に到着。

 

■曲目
01.呪文と踊り(J.B.チャンス)
02.交響曲第2番(J.B.チャンス)
03.巫女の舞(保科洋) Eu.岩黒綾乃
04.交響曲第2番(保科洋)

 

01.呪文と踊り
この日の曲目のなかでも一番馴染み深かった曲ですが、だからこそその印象との違いが強く感じられました。豊かな響きを保ちつつ高音と低音の声部をちょうどよく引き出した解像度の高い前半から、テンポが上がっているのにフレージングが大きくスケール感のある後半に。せせこましい踊りに全くなることなく、ゆったりと、しかし熱く盛り上がっていくさまは一曲目にして白眉という感じで、新鮮な驚きを得ることができました。打楽器群の活躍も素晴らしく、これ以上ないほどの一体感がありました。

 

02.交響曲第2番
チャンスの交響曲第2番は近年でも武蔵野音大がレコーディングしたりと多少馴染みのある曲でしたが、中橋さんによる主題とその変形の解説を読んでから聴くとよりいっそう面白さがわかりました。少ない部品の組み合わせでここまで一気呵成に聴かせてしまうのはやはり只者ではないと思わせられ、チャンス作品をもう少し掘ってみようかなと感じました。
木管楽器のソロも印象的で、特にオーボエ宮村さんが合奏体をリードする瞬間も多くバチッと合った切れ味が素晴らしかったです。

 

03.巫女の舞
ユーフォニアム独奏と吹奏楽のための曲で、独奏は客席と正対するのでなく指揮者を向き、ベルを客席に向ける配置。まろやかでともすれば抜けにくいユーフォニアムの音色に対し、これは絶妙な一手だったと思います。
岩黒さんのユーフォニアムは芯がありつつもまろやかで、まさに協奏といった雰囲気で合奏体との対比が生まれ、あたたかな演奏でした。

 

04.交響曲第2番
保科さん自身も好きな曲であるという第2番。改訂を重ね、今回もまた改良が施されている模様です。
冒頭のホルンの動機にはじまり、各セクションがそれぞれ本当に高精度。もともとスタープレイヤー級が集まったTKWOではありますが、より一段と同じところへ向かった強さのようなものを感じ取りました。これは下野さんの卓越した指揮もさることながら、直近での台湾やタイへの遠征を経て楽団としての結束力が高まったようにも思えます。
楽曲は保科さんらしく堅牢な部分とロマンティックな部分が行き交う旅のような曲で、今回特に印象だったのは打楽器間でのリズムの受け渡し。風紋でもわかるように保科さんは旋律線だけでなくリズムも多層的な表現をされますが、そこが浮き立って見えてくる演奏になっていたと思います。

 

演奏後はカーテンコールで保科さんも壇上に。お元気そうでこちらも嬉しくなりました。

cali≠gari「新宿LOFT 33rd&SHINJUKU LOFT 50th ANNIVERSARY ーー新宿ロフトがある風景Ⅱーー @ 新宿LOFT 2026/09/12」

カリガリの終活がはじまりました。

 

■セットリスト
 01. 禁色
 02. フィラメント
 03. 東京アーバン夜光虫
 04. 東京亞詩吐暴威
 05. -踏-
 06. ケセ
 07. トカゲのロミオ
 08. 動くな!死ね!甦れ!
 09. ファニーゲーム
 10. 感応板とB真空管と(新曲)
 11. 素知らぬ夢の後先に
 12. オーバーナイトハイキング
 13. 香る終焉に3のアーキタイプ
 14. スクールゾーン
 15. ハイカラ殺伐ハイソ絶賛
 16. 一つのメルヘン
En.
 17. コズミック然れど空騒ぎ
 18. 淫美まるでカオスな
 19. エロトピア

 

ソールドアウト公演なのでロフトは満員。
といいつつもロッカー前や柱の後ろはいつもどおりややすいていたので、そこで鑑賞しました。
サウンドは最近のロフトらしく分離はっきりめ、ただ前半は同期の音が小さめでちょっとスカスカ感があったかなという感じ。
デッドエンドでの出演があったとはいえフル尺では半年ぶりなので、演者も客層もちょっとひさしぶりという感じでしたが、すごい盛り上がりでした。

 

ベースのアドリブソロに導かれて初期曲である禁色で始まったかと思えば最近のオシャレ系統の曲を連発し、踏、ケセ、トカゲのロミオといった各時期でのぶち上げ曲を続けざまに披露。ところどころのセクションでのつなぎはSEがないところはベースでもたせていて、彼らの武器を惜しみなく使っている感がありました。

 

FC特典のファニーゲームの初披露に加え、新曲もお目見え。18での作風の延長上にあるような曲で、サビでの解放感が印象的でした。オーバーナイトハイキングもここ数年では少なめだった気がするので嬉しかったですね。

 

ハイカラからメルヘンというファンにも思い入れが強い楽曲の連打で本編終了。この日のドラムは15の頃によくサポートしてくれていたオハマヤさん。手数足数の多さは以前の印象通りでさらに安定感が増したようにも思え、要所でのツーバスの差し込み具合にメタルを感じました。

 

アンコールでは追加公演の告知があり、やや広めの会場がおさえられていることからも駆け込み需要的なものが高まりつつあるのかも。コズミック〜淫美というダンスナンバーからこれまた久しぶりのエロトピア締め。アップテンポでさわやかなエロトピアでしたが、間奏では久しぶりだったからか半音ずつ上がるパートに入るのが早く、間奏あけを見失いかけてベースの合図(振りかざしてドラムにアイコンタクト)で引き戻していました。こういう臨場感も楽しいですね。

 

終活のはじまりということでバンドの終わりまであと2年。告知から半年もなんだかんだあっという間だったので、2年もすぐ来てしまうのかもしれません。一つ一つのライブをかみしめていきたいとあらためて思いました。沖縄には私は行けないかもですが…。

2026年8月に聴いた音楽

全然音楽にとれる時間がなくて難儀しております…。やはり今年はまとまった夏季休暇もなし…。

 

8月に聴いた音楽

 

gibkiy gibkiy gibkiy「vomir」
ギブキーの最新作。大半はシングルで小出しにされていたものですが、新曲も追加してアルバムとしてリリース。ストレートでハードな最近の作風はきわめて好みであり、めちゃくちゃかっこいいですね。メタリックなサウンドでありつつ、オルタナ文脈のギター、とにかく展開するドラムと一筋縄では行かない感じが心地よいです。

gibkiy.theshop.jp

 

Jupiter「The Pantheon ~Age of Heroes~」
当初はVersaillesのボーカル以外が中心に結成されたバンドですが、Versaillesの再始動に伴いメンバーチェンジが何度か挟まり、独立したプロジェクト感がしっかりしてきました。やはりHIZAKIのギターが聴きどころで、特徴的なメロディでのチョーキング、TERUとのギターバトルなどは期待通りのものといえるでしょう。

tower.jp

 

Vision Divine「A Clockwork Reverie」
イタリアのバンド。ギタリストのオラフ・トーセンが中心となりそうそうたるボーカルが歴任してきたのですが、なんとミケーレ・ルッピが復帰。そもそもファビオ・リオーネやイヴァン・ジャンニーニといった前任たちもイタリアトップクラスのハイトーンだったのですが、ミケーレの魅力はそのメジャー感あふれる豊かな声質。ホワイトスネイクでキーボード・コーラス担当をしていた時期もありましたが、そちらが落ち着いたからかメインボーカルとして関われるバンドに復帰したということかもしれません。相変わらず謎の不協和音的ラフさの残るメロスピスタイルではありますが、ミケーレの歌唱は絶品で、新曲だけでなく過去曲の再録も収録。突き抜ける高音がまた聴けるのは嬉しいです。

A Clockwork Reverie

A Clockwork Reverie

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「映画ちいかわ 人魚の島のひみつ オリジナル・サウンドトラック」
さすがに観に行くよね、これは。セイレーン編はツイッターでもちらちら見ていましたが、映画としてきっちりまとめて出されると満足感がすごいです。音楽もたいへん良く、トクマルシューゴさんによる心地よいサントラを堪能しました。あとセイレーンの歌がうまい。

 

青葉市子「0」
最近のライブ音源で機械仕掛乃宇宙を聴き、なんだこの曲と思って購入。遡って原曲の山田さんのアルバムも買いました。近年の青葉さんのアルバムはアダンなどもう少しエディットされた感じがありましたが、弾き語りのシンプルさとその演奏と曲の巧みさがわかりやすく提示され、たいへん素晴らしいアルバムでした。

0

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エイドリアン・ボールト / ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団「エルガー: 交響曲第1番&第2番」
交響曲というとどうしてもドイツ系の作曲家が強いイメージがありますが、最近は英国の作曲家による交響曲も気品があり良いな、と思っています。エルガーやウォルトンなど、少しずつ録音も増えてきている感じがありますね。日本でエルガーを聴く場合は尾高忠明さんがまず思いつきますが、本場の味も知っておきたいとボールトの録音を購入。ボールトらしい落ち着いたノーブルさもありつつ、しっかり張った金管であったりメリハリもあり、とても満足度の高い演奏です。威風堂々が5番まで入っているのも嬉しいところで、日本で有名な1番だけでないブリティッシュマーチの魅力も味わえます。

tower.jp

 

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I AM MORBID, COFFINS「MORBID FEST Japan Day2 @ Space ODD 2026/09/04」

念願のMORBID ANGELを叩くピート・サンドヴァルを聴いてきました。

 

■COFFINS
渋谷のSpace ODDは初めて行くライブハウスでした。迷いに迷ってちょっと遅れて到着。すでに演奏が始まっていましたが、B1のバルコニー・物販フロアとB2のフロアで分かれており、非常にいい場所でした。
とにかく演奏の緩急がすばらしく、初めて聴きましたがめちゃくちゃ良かったです。

 

■I AM MORBID
01.Immortal Rites
02.Fall From Grace
03.Visions From The Dark Side
04.Blessed Are The Sick
05.Rapture
06.Vengeance Is Mine
07.Sworn To The Black
08.Eyes To See, Ears To Hear
09.Maze Of Torment
10.Chapel Of Ghouls
11.Desolate Ways
12.Guitar Solo
13.Dominate
14.Where The Slime Live
15.Dawn Of The Angry
16.God Of Emptiness
17.World Of Shit (The Promised Land)

 

いや凄かった。ベース・ヴォーカルのデイヴィッド・ヴィンセントとドラムのピート・サンドヴァルが共に在籍したA~D期の曲(MORBID ANGELはアルバムタイトルをアルファベット順にリリースしています)を彼らの音で聴ける日が来るとは。

 

本家MORBID ANGELはギタリストのトレイ・アザトースが看板を守っているもののここ数年は動きが見えない状態なので、セルフカバーバンドであるI AM MORBIDとして彼らが動いているもよう。経緯がいろいろと複雑そうですが、こうして日本で観ることができるのは純粋に嬉しいです。

 

個人的にはMORBID ANGELはデスメタルを聴き始めたときに最初にハマったバンドの一つなのでまさに青春という感じで感無量でしたね。

 

いきなり1stの最初の曲「Immortal Rites」から開始。原曲ではシンセ的音色だった部分をヴィンセントがクリーンで歌い、客席も大合唱に。ヴィンセントの美声が本当にすごくて、のびやかなヴィブラートからの凶悪なグロウルが本当に絶品でした。
ピートは最初こそメガネもかけておとなしめにスタートしたかと思いきや、どんどん熱がのってきて、ブラストに入る瞬間に加速したりとクリックのない時代のデスメタル、オールドスクールデスメタルのうまみを存分に味わわせてくれました。

 

ピートは技巧派としても名高いですが、高度なテクニックが当然のようになってきた現代においてはむしろ人間らしさ、テンポの自由な差し引きが強烈な個性としてあらためてにじみ出ていて、変拍子にも聞こえるような間のとりかたであったり、ブラストの入りでの爆発感などは唯一無二だなと感じました。

 

全編通してずっと同じ印象であり、その静と動に身をゆだねていたらいつの間にか終わってしまった、もっと聴きたいという感じでしたね。

 

ギタリスト2人も素晴らしく、たいへんテクニカルで原曲のリフをきっちり再現。ソロではややネオクラが香り、ちょっと旧支配者的世界観とは違うかなという面もありましたが、あれだけやってくれれば十二分というところでしょう。ギターソロではクリーンの美しいDesolate Waysに続いてツインリードで高速のネオクラフレーズをハモリ。ばっちり息の合ったプレイで、終わった後のグータッチもほほえましかったです。

 

やはりハイライトは大名曲 Maze Of Tormentで、何度リピートして聴いたかわからないあのリフ、あのブラストを生で体感することができ、さすがに泣きそうでした。メンバーたちも終始楽しそうで、コーラスを煽って大合唱したりと一体感のある素晴らしいライブだったと思います。

 

しかし改めて思ったのは現在進行形としてのデイヴィッドとピートの素晴らしさで、カバーバンドだから仕方ない面があるとはおもいつつも彼らのパフォーマンスが形として残っていないのはかなり勿体ないと思ってしまいます。どうにかライブ盤とか作ってくれないかな…と思ってしまいますね。

 

2026年7月に聴いた音楽

マジで仕事しかしていません。

 

7月に聴いた音楽

 

King Crimson「2014NYC」
2015年の日本ツアーの各公演アルバムが発売されたのも記憶に新しいですが、その少し前、トリプルドラム編成の萌芽の時期のクリムゾンのライブ音源群がリリースされるようです。サンプラーとしていくつかの公演からいいところを抜粋したアルバムが登場。のちにひとつの完成形をみて活動停止するトリプルドラム編成のはじまりの記録としても面白いですし、各メンバーの個性がぶつかりあう様はスリリングでもあります。

 

Lucy「ROCKAROLLICA III」
BUCK∞TICKの活動がいったん落ち着いて、今井寿の次の手は?と思ったら20年ぶりのLucyの活動とのこと。私は以前の活動を知らなかったので今回が初見になりますが、今井のざらざらした感触とKiyoshiの艶やかな声の対比が素晴らしく、かなり満足度の高いロックンロールでした。

ROCKAROLLICA Ⅲ [通常盤] [CD] - Lucy

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  • アーティスト:Lucy
  • ビクターエンタテインメント
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ザ・クロマニヨンズ「ザ・クロマニヨンズ ツアー JAMBO JAPAN 2025-2026」
クロマニヨンズは常に最高です。最低限の編成、最低限の構成で次々と畳みかけられる楽曲群はきわめて爽快ですし、あらためてカツジさんのドラムは心地いいなと思いますね。

 

剣持刀也「Augment」
にじさんじ初期を支えたVtuberのミニアルバム。ピノキオピーはじめ彼の世界観を十二分に生かした楽曲が並び、もともと持っていたサブカル、ニコニコ的フレーバーからオシャレなサウンドまで幅広く、純粋に完成度が高くて嬉しい驚きでした。

 

黒夢「Drug TReatment 2026 / CORKSCREW 2026」
黒夢の新たな手はまさかの再録。復活後の黒夢は歌ものを強く打ち出した楽曲が多かったですが、過去曲はもっとパンク的というか、反骨心が溢れたものが多く、実際、そういうところも魅力だったのですよね。再録ではソロで培った聴かせるヴォーカルが心地よく、演奏もクリアなので味変としてかなりおいしく楽しめました。

CORKSCREW 2026 【通常盤】(AL) - 黒夢

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  • アーティスト:黒夢
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Angine de Poitrine「Vol.II」
フジロックにも来たらしいですね。あまりチェックしていなかったのですがタワレコ店頭で初見。デュオでありつつルーパーなどを利用して多層的な表現をしており、大変面白いと思いました。

VOL.II (輸入盤)

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Primus「A Handful of Nuggs」
カリガリの変態スラップの元ネタのひとつであるプライマスの新曲EP。あいかわらずやばすぎるベースプレイを堪能することができて大満足です。

 

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DIR EN GREY「MORTAL DOWNER DAY1 @ 東京ガーデンシアター 2026/7/18」

DIR EN GREYはDOZING GREENの頃に聴き始めたのですが、今回ようやくライブに参加することができました。

 

UROBOROS、DSSなどはかなり熱心に聴きこんでいたのですが、当時は学生であまりライブに行っておらず、社会人になってからはアルバムは買うもののそこまでのめりこんでいなかった…という背景からなかなかライブに足を運べていなかったのですが、最新作「MORTAL DOWNER」の素晴らしさに、これはやはり見ておかねばと思った次第。

 

■セットリスト
01.ISOLATION
02.no end
03.灰燼に帰す
04.蜿蜒
05.Discard
06.There's nothing else
07.The Devil In Me
08.谿壑の欲
09.THE BLOSSOMING BEELZEBUB
10.MOBS
11.Void
12.カムイ
13.人間を被る
14.Demand
15.盲目が故に

En.
16.Bloodline
17.DOZING GREEN
18.AGITATED SCREAMS OF MAGGOTS
19.鱗
20.詩踏み

 

ガーデンシアターはクラムボン、聖飢魔IIでも観に来たことがあります。8000人規模という広い会場ながらも演奏者が近く感じられ、スクリーンやステージの大きさも相まってアーティストごとに全く異なる印象を与えてくれる、いい会場ですね。

 

セットリストは最新アルバムの大半の曲をほぼ曲順に並べつつ、他アルバムの曲をいくつか挟む構成。ただし最後のno endが冒頭に配置されており、意表をついてきました。

 

音響はヴォーカルとドラムがとても大きく、弦楽器隊はそれを埋めるように敷き詰められたバランス。各楽器も聴きやすく、大音量ですがしっかり味わうことができました。ややベースが埋もれがちというか細かい動きが見えづらかったですが、広い会場なのでそういうものでしょう。

 

私は4階席で周囲は男性ファンが多く、終始デスボイス含む大熱唱だったのですが、本人たちの音量が大音量なこともあり、意外なほどきにならなかったです。普段行っている他のバンドなどではここまでずっと客席が歌い続けているライブはなかったので、カルチャーの違いにやや面食らいました。

 

また、印象的だったのはスクリーンに映し出される映像の数々。
確か彼らはAI企業との提携を発表していたと思いますが、ライブに来るまでは具体的にどういう提携なのかピンときていませんでした。しかし、楽曲の世界観に合わせた尖った映像群(バイオレンス、グロテスクなど、実写や手書きアニメーションでやると前例もコストも足りなそうな領域)をこれだけの量用意するのであれば、たしかにAIを活用するというのはひとつの解になるのだろうなと思いました。後半で出てきた魔女狩りの映像などは明らかにAIっぽすぎてちょっと微妙だったのですが、今回アルバム向けの楽曲での映像群はかなり完成度が高く、唸らせられました。しかし、AIって「前例を学習して最適解を出す」みたいなものだと思うのですが、それをこういった「ほかであまり見ないような表現」に適用するのは実際どうやっているのかとても興味がわきますね。

 

演奏もたいへん素晴らしかったです。最新作での楽曲群は今までとはガラリと変わり、メロディ主体やリフ主体というよりリズム主体というか、ビートの強さがかなり特徴的だと思っています。ライブで聴くとその身体性がとても活きていて、ずっと心地よく音楽を感じ続けることができました。

 

映像作品などを見た限りではかつてよりも落ち着いたのかなとも思っていたのですが、実際に会場で聴くと京のマイクを床にたたきつけたりころがしたりによるノイズがかなり音として存在感があり、驚きました。わかりやすい自傷的行動こそ減っても、こういった尖りの部分は今でも健在であり、それが楽曲などでのいい意味での中二病っぽさを保てている秘訣なのかなとも思いました。

 

先述の通り、客席もかなり沸いていて声援や歌も大きかったのですが、シリアスな曲の後では完全な静寂が訪れたりしており、やはりいろんな意味でカルト的バンドだなと感じましたね。

 

アンコールでは私が彼らを好きになったきっかけの2曲、DOZING GREENとAGITATED SCREAMS OF MAGGOTSが連続で披露され、さすがにブチ上がりすぎてしまいました。
音楽だけでなく映像からの主張も色濃く、摂取するにはたいへん体力が必要なのでそう頻繁には…とは思いますが、また機会があれば観に行ってみたいです。

 

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東京佼成ウインドオーケストラ「第174回定期演奏会 @ 東京芸術劇場 2026/7/5」

2026年度シーズン2回目は常任指揮者の大井さんの回。マスランカの交響曲チクルスも半分を迎え、今回は第3番が取り上げられました。

 

■曲目
01.交響曲第3番(D.マスランカ)
02.吹奏楽のための風景詩「陽が昇るとき」(高昌帥)

 

01.交響曲第3番(D.マスランカ)
音階ユニゾンの基礎合奏からはじまるインパクト抜群の導入から、マスランカらしい瞑想曲と激しい曲を行き来しつつ最後には静かに終わる文学的な曲。

 

マスランカの魅力としていちばん最初に目につくのはやはり3楽章に代表される、嵐のような圧倒的パワーになるのですが、チクルスの回を重ねて見えてくるのはやはり静謐な瞑想曲にこそ彼の言いたいことが詰まっているのではないかということ。技巧的というよりはイメージ先行での作曲方式らしく、実際、後半のラメント2曲はあまりわかりやすい共通動機があるわけでもありません。何かマスランカからの確固たるメッセージを受け取ろうとするよりも、マスランカがあれこれ考えたその経路を追体験するような受け取り方をしたほうがいいのかなとも思いはじめました。そういう意味でも、哲学的な作曲家であると言えるのかもしれません。

 

また、こうして回を重ねて見えてきたのは、我々日本人との自然との向き合い方の違い。マスランカの描く自然はサバンナ的というか、空間がかなり大きいなと感じます。広大な平野にひとり、自然と一対一での対話をしているような価値観を感じるのですね。日本だとそういう見渡すかぎり地平線、みたいなものは想像しづらく、もっと要素がギュッとしているようなところもあると思うので、その前提が違いそうだぞ、というのを踏まえてチクルス後半戦にも臨みたいと思いました。

 

02.吹奏楽のための風景詩「陽が昇るとき」(高昌帥)
名課題曲「吹奏楽のためのラメント」のあとに作曲された4曲をまとめた大作。別々に作曲されたもののうっすらと構想はあったようで、動機がある程度共有され、統一感が強く交響曲的に楽しめます。一楽章が最後に書かれたというのがミソで、後続楽章に現れる要素を先取りするような書かれ方をしており、そういう意味ではフィナーレ的な第一楽章ともいえそう。なかなか全曲演奏されることは少ないですが数年前にオオサカシオンでも録音が出ており、再評価の機運を感じる楽曲です。


1、2楽章のわかりやすい鳴らすパートの完成度が非常に高く、アンサンブル的にも大合奏的にも瞬時に切り替わる高機動な東京佼成の真骨頂が見えたかなと思います。3楽章でのわかりやすい歌メロも良く、アタッカでの4楽章でも各ソロの美しさや精度の高いトゥッティを堪能できました。

 

いずれも録音で聞いたときはちょっと理解しきれないなというところのある曲だったのですが、やはり実演で聴くと細やかな仕掛けがわかり、特に弱奏部の響きの重なりは現地で聴いてこそですね。

 

次回は9月。気づくと日付がどんどん進んでいて怖いですね。その頃には仕事が少しは落ち着いていますように。