トベコンチヌエド。

CDやコンサートの感想を主に書いています。

DEAD END「四鬼夜行 -七喰- @ Spotify O-EAST 2026/06/16」

念願のDEAD ENDを観てきました。四鬼夜行は11年ぶりとのこと。
ギタリストYOU(足立祐二)さんが2020年6月16日に亡くなってから6年。
MORRIEさんによるセルフカバー的なプロジェクトこそあったものの、DEAD ENDとしてのライブはその後はじめてだったのではないでしょうか。

 

・NIGHTMARE
MORRIEのDEAD ENDセルフカバーバンドThe Dead of Night CitYに参加している咲人さんのいるバンド。デスノートの主題歌も担当したことのあるメジャーなバンドです。

 

01.Reach for
02.ASSaulter
03.[N]
04.アルミナ
05.HATE
06.the WORLD

 

そこまでしっかり聴いてこなかったナイトメア。ライブを観るのもはじめてでしたがとても良かったです。前に出て煽るベースや役割分担のはっきりしたギターなど各メンバーの個性が初めて見る人間にとってもよくわかり、特に咲人さんのギタープレイはたいへん楽しく見ました。イントロやバッキングではタッピングを絡めたテクニカルなフレーズでフックを作りつつ、ギターソロでは長い音でしっかり響かせて注目を集めており、ギターヒーロー然としていました。

 

・The Legend Of Rose [Jill岡垣プロジェクト]
テラ・ローザのメンバーである岡垣正志さんと、過去在籍メンバーである三宅庸介さん、関勝美さん、堀江睦男さんに、荒木真為さんをヴォーカルに加えたバンド。テラ・ローザはYOUさんが過去在籍したこともあり、YOUさんの書いた曲も演奏されました。

 

01.One of Sections "Lap"
02.もの言わぬ顔
03.The Endless Basis
04.Vision of the Lake Bottom

 

テラ・ローザは聴いたことがなかったのですが、めちゃくちゃ当時の空気感のあるサウンドで、まさに様式美ハードロック。三宅さんの流麗なギターソロと岡垣さんの世界観のあるキーボードの上で伸びやかに歌う荒木さんのハイトーンが冴えていました。30分枠で10分の曲をやるの、攻めてますね。
曲の途中で地震があり一時中断もありました。が、状況確認後に再開。こういうこともあるんですね。

 

・cali≠gari
MORRIEのDEAD ENDセルフカバーバンドThe Dead of Night CitYに参加している村井研次郎さんのいるバンド。

 

01.淫美まるでカオスな
02.赤色矮星
03.東京亞詩吐暴威
04.颯爽たる未来圏
05.香る終焉に3のアーキタイプ
06.Blue Vices (DEAD END カバー)
07.東京アーバン夜光虫
08.一つのメルヘン

 

終活に向けて9月まで充電中のcali≠gariですが、誘ってくれたDEAD ENDに感謝ですね。
赤色矮星のようなメタリックな曲を入れつつ、最近のcali≠gariのかっこいいところが堪能できるセットリストでたいへん良かったと思います。音響がやや分離が悪く、ベースのテクニカルなフレーズが聞き取りづらめだったのは少し残念でしたが、気合の入ったステージでした。DEAD ENDのカバーもあり、リスペクトが感じられてとても楽しかったです。

 

・DEAD END
MORRIEさんと"CRAZY" COOL - JOEさんに加え、サポートで藤本泰司さん、菊地英二さん。菊池さんはイエローモンキーのメンバーですが、MORRIEのDEAD ENDセルフカバーバンドThe Dead of Night CitYにも参加しています。

 

01.Dress Burning
02.DANSE MACABRE
03.Good Morning Satellite
04.I Can Hear The Rain
05.Night Song
06.Phantom Nation
07.Frenzy
08.Sacrifice of The Vision

En,
09.Blind Boy Project (DEAD END + cali≠gari)
10.Embryo Burning (全体セッション)

 

初期曲が多めで、これぞという感じ。MORRIEさんの声は生で聴いてもやはり唯一無二で、振る舞いやビブラートのかけ方に後輩ミュージシャンたちへの影響も感じ、諸々のルーツとなった人なのだなという感慨が。藤本さんのギターも華麗でたいへん素晴らしく、クールジョーさんの華やかなステージングも印象的でした。DEAD ENDは2人体制になりましたが、今後はこの日に四鬼夜行をやっていきたい、来年は何か動きがあるかも、というようなアナウンスもありました。

 

アンコールは全体セッションと思いきや、cali≠gariとDEAD ENDの混合バンド。DEAD ENDのトリビュートでcali≠gariがカバーした曲を、まさか本家と一緒に実演するのを観る日が来るなんて。ビブラートのかけ方が似ている2人のハモリが大変素晴らしく、MORRIEさんがメインをとり、石井さんが高音でハモリを入れるところなどはこのまま音源化してほしいと思うほどでした。石井さんはこういうセッション系に出てくるのは大変珍しいため、本当にDEAD ENDさまさまです。

 

全体セッションもすばらしく、技巧派ギタリストたちのソロを順番に堪能したり、ベーシストたちの豪華な競演を観たりと忙しかったです。そしてみんなに見せ場をつくろうという動きが強く、やはりMORRIEさんは気遣いの人なのだなというのが振る舞いからもわかり良かったですね。

 

大変満足度の高い、濃密なイベントでした。
同時にcali≠gariのカウントダウンの開始をあらためて感じ、できるだけライブを観ておこうという気持ちに。次も楽しみです。
DEAD ENDの今後の動きにも期待。初期アルバムの再録とかがあったっていい(今の発声で聴きたい曲、たくさんありますよね)。

 

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People In The Box「無限会社 初夏の社員研修 @ 渋谷 QUATRO 2026/06/07」

1年半ぶりにPITBを観てきました。

 

■セットリスト
01.スルツェイ
02.レントゲン
03.かみさま
04.映画綺譚
05.潜水
06.沈黙
07.聖者たち
08.新曲1
09.新曲2
10.市場
11.技法
12.戦争がはじまる
13.Alice
14.無限会社
15.ユリイカ
16.水晶体に漂う世界
17.ヨーロッパ
En.
18.旧市街

 

とても素晴らしいライブでした。
ちょうど前日にフレックス編成という、同じ曲を色々な編成で演奏できる試みのクラシック演奏会を聴いてきていたのですが、People in the boxはまさにフレックス編成。レコーディングバージョンはあくまで一つの基盤であり、ライブのたびに有機的な変更が行われる、バンドらしいバンドといえるでしょう。

 

そういう即興性を重視したバンドだとインプロヴィゼーションのパートを長くとっていたりセッション的だったりすることが多いのですが、彼らの凄まじいところは、プログレ的な構築美を保ちつつも極限まで自由であること。その曲としての骨組みは十分に保たれているのに大胆なリズムパターンの変更やグルーヴの取り方の変更により全く新しい印象を残す曲の数々にとにかく圧倒されっぱなしでした。

 

懐かしい曲も多かったです。レントゲンや市場、技法あたりは久しぶりにライブで聴いた気がします。以前は、この辺の時代の曲は今と比べると社会に目を向ける前あるいは向け始めたくらいという認識だったのですが、あらためて歌詞を聴くと(ライブなのにめちゃくちゃ歌詞が聴き取りやすいのも驚異的!)、最初から社会への目線は確固としてあったのだなあという気づきもありました。また、そこの捉え直しもあってか、一時期よりも過去曲への没入感のある演奏になっていたように思います。

 

いちばん驚いたのは沈黙で、もともとリレコーディング版でメシュガー的リズム解釈が行われたりと余白の大きい曲でしたが、今回はビートの感じ方でとても遊びが大きく、疾走感のあるドラムと浮遊感のあるメロディが心地よい酩酊感を生んでいました。こんなに変拍子な曲でやれるアプローチじゃないと思いますが、凄すぎる。

 

新曲もとても良かったです。逆光のように最初からフルスロットルだった1曲目が特に良く、何度も場面が変わるプログレ感にワクワクしました。後半の無限会社からのブロックではさらに即興性が強まり、幸福な時間でした。

 

MCでは社員研修ネタでのコール&レスポンスなど。合間合間でスピだ、などと笑い話にしていましたが、社会に対する問題意識の控えめな発露であることもわかります。それでいて、主張の形まで輪郭を持たせることなくふんわりと着地させるのは素直に発言できないを自認する彼らの美点だなと思いました。
ラビットホールから20年経つようです。私が彼らのファンになったのはゴーストアップルからですが、それでも時は流れたなあと。

 

本編ラストはヨーロッパ、アンコールは旧市街。何度も聴いた曲ですが、今回もまた新しい表情が聴けました。静と動のコントラスト。また動の強靭さが増してきた気がします。今年後半にもツアーがあるとのことで、また聴きに来たいです。

Symnapse × miniTua-wind ensemble「シン・フレックス @ 国立オリンピック記念青少年総合センター カルチャー棟小ホール 2026/06/06」

前回に引き続き、若手作曲家グループSymnapseの演奏会を観てきました。

 

■曲目
01.にじむファンファーレ 管楽合奏のための(湯地 晃太郎)
02.キャンディロボ 6人編成での演奏(山根 明季子)
03.キャンディロボ 11人編成での演奏(山根 明季子)
04.Longing from afar(藤倉 大)
05.mimesis II – 複数の管楽器のための
06.16世紀のシャンソンによる変奏曲 アンサンブル版(諏訪 雅彦)
07.空を飛ぶ家 管楽合奏のための組曲(姫野 七弦)
En.
08.《4つの舞曲》4.ジーグ(E.エルガー / 姫野 七弦)

 

たいへん良い演奏会でした。
フレックス編成という、近年の少子化を反映した少人数での可能性を探る企画ですが、様々な方向からのアプローチが感じられたと思います。
チラシのデザインも福笑いで秀逸。

 

01.にじむファンファーレ 管楽合奏のための(湯地 晃太郎)
スネアドラムが提示するいくつかのリズムに導かれるように、少しずつずれたフレーズのファンファーレ音型がその名の通りにじむように繰り返され、発展してゆく。同時に耳を引くのは極端なクレッシェンドを伴う伸ばしの音で、各楽器の音色がアタックとは異なるタイミングで強調されることにより響きのテクスチャが動的に移り変わっているように感じました。また、ビート感が大切にされていたのも聴きやすさに寄与しており、指揮者あるいはパーカッションがテンポを支配し、指揮がキープの役割から解放されたタイミングではキュー出しに専念したりと役割分担がはっきりしているように見えました。終盤で一気にテンポから解き放たれての終結も印象的で、また聴きたい作品でした。

 

02.キャンディロボ 6人編成での演奏(山根 明季子)
03.キャンディロボ 11人編成での演奏(山根 明季子)
この日演奏された曲の中では比較的つかみどころのある楽曲。行進曲的なスタイルを取り入れていることも聴きやすさの一因かもしれません。2つの形態での演奏でしたが、例えるなら「非可逆圧縮的」。画像で言うならjpegですね。サイズが小さいものを聞いた時に想像した世界観もたいそう綺麗なものでしたが、特に打楽器が加わったことにより追加された情報が多大であり、骨組みは同じなのに全く異なる風景が見えてくるのが大変面白かったです。

 

04.Longing from afar(藤倉 大)
指揮者が数字の印刷されたパネルを壇上で持ち、会場の客席外周に奏者が配置。もとはリモートによる演奏を想定されている楽曲ですが、実演に際し無理やりラグを作るために位置を工夫したということのよう。藤倉作品らしい手触り感のあるサウンドがサラウンドで聞こえ、とても面白かったです。パネルの指示によりセクションが移り変わっていたようなのですが、ざわざわとしたパートやメロディ的なパート、夜の喧騒のようなパートなど色々と思い起こすものがありました。メロディパートではユニゾンだったのもまた印象的でしたね。

 

05.mimesis II – 複数の管楽器のための
楽譜がなく、演奏指示により展開される楽曲。これも客席外周部に演奏者が配置。それぞれの奏者の即興性に多分に依存した曲で、左の奏者の音を模倣していくという形式のよう。テリー・ライリーの手法に近いのかもしれません。演奏者同士のアクティブな応酬がかなり利いていて、後半にかけての儀式めいた盛り上がりはかなりゾクリとしました。終結部は同じ音が広まって落ち着いていったので、セーフワード的なフレーズが決められているとかなのかな?とかも思ったのですが、順序が決まっていた、ということのようですね。

 

06.16世紀のシャンソンによる変奏曲 アンサンブル版(諏訪 雅彦)
2009年の課題曲の編曲作品。こちらは可逆圧縮的でした。画像でいうならpngですね。つまり、楽器がかなり減ったのにもかかわらず、曲の外形がかなり保たれているということ。打楽器を少人数で成立させる手腕などはかなり精緻だと思いましたし、打楽器の音量バランスが強くなることでより舞曲感が出ていたのも面白いポイントでした。

 

07.空を飛ぶ家 管楽合奏のための組曲(姫野 七弦)
最小3人(高音、低音、打楽器)で演奏可能ですが、人が増えれば増えるほど追加のフレーズの可能性が増えていくという試み。20パートまでは別パートとして追加できるようにしてあり、人数調整によるバランス組み替えも可能であることを考えるとかなりの拡張性を持った曲といえるでしょう。これはかなりめずらしい考え方だと思いました。ふつう「これが最低限必要ですよ」というラインは、用意したフレーズの大半が使用される状態を指すはずですが、ここではそうでなく、「骨組みだけ出来上がっていれば、この曲は完成形と見なしてよい」ということだと理解しました。パート追加によるフレーズや和音の補強はあくまで薬味。「人が足りない」をスタートラインに置くのでなく、「どう積み上げよう」を主軸に置く、大変現場に寄り添った素晴らしい取り組みだと思います。内容としても、似た要素を用いた楽章の間に緩徐楽章とスケルツォ楽章が配置され、ミニシンフォニー的な構築感を楽しむこともでき、教育的配慮もなされた挑戦的な作品と思います。

 

08.《4つの舞曲》4.ジーグ(E.エルガー / 姫野 七弦)
バンドジャーナル付録の譜面を先出し演奏。この日いちばん分かりやすい曲でしたね。とはいえフレックスとして成り立たせる工夫で満足感の高く楽しい響きが実現され、心地よいアンコールでした。

 

とにかく全体を通して考えさせられることが多く、素敵な演奏会でした。曲間では作曲者による解説などもありましたが、とくに現代音楽の場合はこうして種明かしを少しでもしてもらえると聴き方の補助線になって、専門的な教育を受けていない私としてはとてもありがたかったです。次の演奏会は何をやってくれるのか、楽しみです。

 

2026年5月に聴いた音楽

だから時間が過ぎるのがはやいって。

 

2026年5月に聴いた曲

 

COCK ROACH「死への先駆的覚悟性」
激情タイプの音楽を聴くようになったのは明日の叙景きっかけ。envyなどもそのカテゴリだが、特にkokeshiが影響元に名前を挙げていたことから聴くようになったバンド。新作リアタイは初めてなので嬉しいですね。期待通りのドロドロとしつつエモーショナルなトラックが並んでいるかと思いきや、量子ネオン街素粒子竜宮城のようなやたらダンサブルな曲もあり大変楽しく聴きました。

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オーケストラ・トリプティーク「日本のシンフォニスト」
團伊玖磨の交響曲をはじめ、日本人による交響曲や作品が並ぶ贅沢なアルバム。黛の君が代の編曲は大変素晴らしく聴きものだし、DJプレイのようなパッサカリア(未完)もとても面白い。最近の作品として水野修孝の交響曲や鹿野草平の交響曲も並び聴き応え抜群。

 

東京藝大ウィンドオーケストラ「交響詩 リベルタドレス」
吹奏楽CD界の救世主、ワコーレコード。東京藝大ウィンドの新作は藝大ジャズが最近出ていたので今年は無いのかも?と思っていたのですが、ありました。定期演奏会でも取り上げられたリベルタドレスがやはり聴きもので、最後にあるトランペット奏者泣かせの超絶ハイトーンが綺麗に録音されており、決定版と言える出来。他にも大井さんの渋いレパートリーが聴けて大変おすすめです。

 

「谷川俊太郎、うたの地平へ-どこからか言葉が-」
詩人のコンサートが開催されるというのも珍しいのでは。合唱曲「春に」は誰もが知る名曲ですが、既存曲に加えて新曲描き下ろしも多数で大変ボリューミーなアルバムです。

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「21世紀の吹奏楽「響宴XXVII」新作邦人作品集」
例年の吹奏楽新作まつりが今年も。いまの日本吹奏楽界隈で生まれている曲がどんなものかを知るには最適ですし、色々な実験要素も見られて定点観測にとてもよいシリーズですね。ドラム協奏曲といった変わり種もありますし、Light in the Dark、ぬくもりに贈るうたあたりも楽しく聴きました。。

 

色々な十字架「魚~ホットドッグ~/ ミル~猩々紅冠鳥~」
アルバム2枚の後はシングルリリース。すっかり一人前バンドの風格で、ネタバンドとして始まってから遠くに来たね…という気持ち。お刺身に興味ある人にオススメ。

 

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筋肉少女帯「想~『月光蟲』再現ライブ @ なかのZERO 大ホール 2026/05/22」

めちゃくちゃ久しぶりに筋肉少女帯のライブを観てきました。

ザ・シサのときだから、8年くらい前…?

 

tobecontinued.hatenablog.jp

 

■セットリスト
01.風車男ルリオ
02.少年、グリグリメガネを拾う
03.デコイとクレーター
04.サボテンとバントライン
05.夜歩くプラネタリウム人間
06.僕の宗教へようこそ
07.悲しきダメ人間
08.少女の王国
09.イワンのばか
10.少女王国の崩壊
11.週替わりの奇跡の神話
12.LIVE HOUSE
13.バトル野郎 ~100万人の兄貴~
En.
14.暴いておやりよドルバッキー
15.カーネーション・リインカネーション

 

月光蟲は1990年にリリースされた5thアルバムで、非常に完成度が高く名盤と呼ばれている作品です。
私も例にもれず筋肉少女帯を掘り始めたときに「イワンのばか」収録アルバムということで聴き、その圧倒的世界観にノックアウトされたくち。完全再現ということで楽しみにしていました。
会場は大槻たちが幼少期を過ごした中野ということもありメンバーも思い入れが感じられるパフォーマンス。

 

10曲目までは完全再現でしたが、まず冒頭2曲は非常にハード。「風車男ルリオ」などは最初にオーケンの弾き語りがあるのですが、当時はギターが弾けなかったのでメンバーに場所を教えてもらってそこから指が外れないようにしてステージに…みたいな話もあった曲。弾き語りのキャリアも積んだ今となっては余裕の感じられるパフォーマンスでしみじみと感動しましたね。バンドサウンドは昔ながらの塊になって飛んでくる感じで、速い曲では飽和しがちではありましたが、長谷川さんの凄まじいドラムにはやはり圧倒されました。

 

「デコイとクレーター」などはなかなか実演を聴く機会もない曲ですし、じっくりと楽しむことができました。「夜歩くプラネタリウム人間」と「僕の宗教へようこそ」ではストロベリーソングオーケストラの釵刺灯さんがゲストボーカル参加。豊かな低音から伸びやかな高音まで幅広く、大変印象的なステージでした。

 

「悲しきダメ人間」と「少女の王国」では着席してしっとりと。メタルギタリストである橘高さんですが、こういったバラードやクイーンっぽい要素もたいへんうまく調理する人なのですよね。ギターの泣かせ方が絶品でうっとりしました。

 

「イワンのばか」は定番曲ですが、やはりアルバムの流れで聴くと一味違います。やはりこうした曲で注目してしまうのは橘高さん。ギターソロの流麗さもさることながら、頭の上でギターを振り回したりと信じられないほどアグレッシブで、ちょっとホロリときてしまいました。

 

「少女王国の崩壊」はインストゥルメンタル。内田さんがMacを持ってステージ中央で指揮者の役割をしてみたり、本城さんはずっとスティックで弦を叩いてパーカッシブな音を出したりと、構築されていながら即興的な要素も含んでいそうな演奏が面白く、この曲が実演で聴けるとは…と感動しました。

 

完全再現が終わって「週替わりの奇跡の神話」。やはり楽曲構築のテクニカルさというか、要素の詰め込み具合が月光蟲のころから進化しているのだなあとあらためて感じさせられました。「LIVE HOUSE」では本城さんがボーカルを。筋肉少女帯はみんなボーカルやコーラスをとれるのがビートルズみたいでいいですよね。

 

アンコールは「暴いておやりよドルバッキー」と「カーネーション・リインカネーション」。いずれも名曲ですがあんまり生で聴いたことがなかった気がするのでこれも楽しく聴きました。

 

最近はギュウギュウの会場に行くのがけっこうしんどいこともあり、筋肉少女帯はもっぱら配信やDVDで楽しんでいたのですが、現地に行くとやはり楽しいですね。ホールだったこともあり座席があってスペースがゆったり見られたのも有難いところでした。また機会があったら行きたいですね。

 

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東京吹奏楽団「第72回定期演奏会 @ 東京芸術劇場 2026/5/15」

2024年末に正指揮者として佐々木新平を迎えてから1年強。
半年前にリリースされた新CD「幻響夜奏-Portraits In Wind-」の記憶も新しい、東吹の定期演奏会を聴いてきました。

 

幻響夜奏 -Portraits In Wind-

幻響夜奏 -Portraits In Wind-

  • オクタヴィア・レコード
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■曲目01.ファンファーレ・フォー・トウキョウ(P.スパーク)
02.ディアギレフ・ダンス(K.ヘスケス)
03.ピアノと管楽器のための協奏曲(I.ストラヴィンスキー) Pf.高木竜馬
 En.プレリュード Op.3-2(S.ラフマニノフ)
04.吹奏楽のための序曲(小林秀雄)
05.交響曲第一番「大地、水、太陽、風」(P.スパーク)
En.
06.メリーゴーランド(P.スパーク)

 

ここ最近は仕事がやや立て込んでいてかなりギリギリに到着。
客席の入りは少し寂しめでしたが、玄人好みの選曲によるところもあるのかも。

 

汐澤さんの時代から、彼らは温故知新を掲げてアルバムをリリースするなど、古い曲と新しい曲をバランスよく取り入れようとしていたと思いますが、今回もその流れを汲みつつ、佐々木さんのオリジナリティが出たプログラムになっていたかなと思います。委嘱作品を新旧2曲(スパーク、小林)配置してみたり、バレエ・リュスに関連する作品(ヘスケス、ストラヴィンスキー)を取り上げてみたりとうっすらテーマ性も感じました。

 

冒頭のファンファーレから印象的だったのはクリアなサウンドで、以前聴いたときはもう少し塊としての印象が強かったところ、各パートのサウンドがよく聞き取れて楽しい聴体験になりました。東京佼成WOファンとしてはTKWOの団員(Tp河原さん、Fg福井さん)を見つけられたのも嬉しい驚きでした。

 

目当てだった「ディアギレフ・ダンス」も素晴らしく、ラヴェルやドビュッシーを思わせる(ダフニスとクロエやボレロ、海などを想起するサウンドがちりばめられている曲)変幻自在な音響を楽しみました。佐々木さんの音楽づくりはメリハリがあり、ダンス部分での切れの良さが聴きやすさを作っていたと思います。

 

ピアノと管楽器のための協奏曲はもともとこの編成のために書かれたもの。吹奏楽というよりはオーケストラから弦楽器を抜いた構成ですが、吹奏楽器のために書かれた大作曲家の音楽という意味ではたいへん貴重です。有名なバレエ音楽を期待して聴くと想像以上のバロック風味に驚かされる曲ですが、ストラヴィンスキーの新古典主義時代の曲とのこと。音の並べ方はバロック的でありつつも響きや構成に一筋縄ではいかないところがあるのはさすがストラヴィンスキー。ピアノの高木さんもオーケストラとよく連携し、一体感のあるサウンドを聴かせてくれました。

 

休憩を挟んで吹奏楽のための序曲に入ったのですが、佐々木さんが指揮棒を上げたところで揺れがあり、おちつくまで少し待ってからの開始。東北で地震があったのですね。

 

序曲はシリアスな作品でありつつも吹奏楽らしい大音量をクライマックスに持ってくるあたりかなり聴きやすい曲で、かっこいいサウンドでした。もっと演奏機会があっても良い曲と思います。

 

最後のスパークの交響曲も素晴らしく、総奏でのきらびやかなスパークサウンドももちろんですが、特に印象的だったのは第2、第3楽章のオーケストレーションが薄い部分でした。少ない木管楽器での受け渡しや繊細な響きのうつろいなど、さすがという職人技を見せてもらったと思います。


スパークの交響曲チクルスを行うとのことで第1弾が今回だったわけですが、スパークの交響曲はいわゆる伝統的な交響曲というよりはやや自由なフォーマットであるようにも感じるので、同じ団体で演奏していくことで、どういう統一感が見えてくるかも楽しみなところです。

 

アンコールはスパークのメリーゴーランド。各パートの見せ場があり、たいへん楽しい曲ですね。
ここでもプレイヤー陣の名人芸を堪能しました。サックスセクション、トランペットセクションなど、とても素晴らしかったです。

 

とてもよい演奏回でした。今後の活動にも注目していきたいですね。

2026年4月に聴いた音楽

新年度ってわけ。


思うところあって録って出しの試みをはじめたりしていました。
毎日は難しそうですが、思いついたら作って出すというサイクルができたらいいなと。

tksaxo.bandcamp.com

 

2026年4月に聴いた曲

 

DIR EN GREY「MORTAL DOWNER」
日本のヴィジュアル系を世界に知らしめた第一人者ともいえる、もはや大御所になったDIRの最新作。私が彼らを熱心に聴くようになったのはDozing greenあたり、ホイッスルボイスの強烈な異物感に衝撃を受けたくちです。以降、UROBOROSという大名盤を作ったあとは東日本震災を受けた重いアルバムDSS、ヴィジュアル系的なメロディアスさに立ち返った作品など毎回異なる挑戦を見せてくれていた彼ら。今回はどうなるか楽しみにしていましたが、グルーヴメタル、トライバル的な要素をふんだんに取り入れたもの。想起したもので言うとパンテラやセパルトゥラになりますが、それらの遺伝子はあくまでフレーバーであり、DIRらしく捻くれた作品に昇華されています。一時期大々的に取り入れていたギターソロなども減り、かなりリフやグルーヴでもっていくスタイルで、個人的には大好物。また新たなフェーズを見せてくれそうです。

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GOATBED「合成俳優」
過去作「シンセスピアンズ」の再録版。カタカナ読みでなく漢字になってよりわかったようなわからなくなったような曲たちは元の姿を保ちつつも大胆に再構成。ジョニーライドが「悪乗りジョニー」に改題されたことでジョニーが何に乗っていたのか分かるようになったのは収穫でした。リズムの処理の仕方やメロディのフレージングの違いに年月を重ねた変化を感じます。全体的に落ち着いた雰囲気でありつつも各音色の深さ、ベースやキックのダンサブル感が増し、まったく別の作品になっていておもしろいですね。
ミュージシャンには新曲を作り続ける人と定期的に自作をリメイクする人がいますが、cali≠gariメンバーたちはいずれも後者。個人的には気に入ったフレーズは何度でも使い回してほしい派なので、嬉しいですね。

 

GODLAND「GODLAND」
DEAD ENDのMORRIEとGUSTANKのBAKIを中心に結成されたスーパーユニットのアルバム。MORRIE生誕祭でお披露目だった気がするので、それから2年くらいでしょうか?シングル配信やライブ活動を少しずつ積み上げ、ついにアルバムとなりました。彼らに期待するのはやはりその唯一無二の歌声。声質自体は意外と近い気もしますが発声の違いで全く印象が違い、なのでハモりなどはとてもきれいに響くのですね。全体としてハードロックであり、もうすこし攻撃的なものも聴きたかった感じはあるのですが、伝説でありつつもまだまだ新たな挑戦に意欲的な姿勢には頭が下がります。

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At The Gates「The Ghost Of A Future Dead」
トーマス・リンドバーグの遺作となったアルバム。状況を鑑みて制作は伏せて行われていたようですが、彼らの魅力であるメロディアスなギターと攻撃性が高い次元で両立しており、純粋にめちゃくちゃかっこいい作品に仕上がっています。こういうブラストまで行かないツタツタのリズム(ヴィジュアル系用語か?)、疾走感があってめちゃくちゃ好きなんですよね。

tower.jp

 

ぱんだウインドオーケストラ「不死鳥レクイエム」
藝大の管楽器奏者たちを母体に結成されたぱんだWOももう10年。これまでも温故知新、クラシカルな定番名曲から委嘱作品と幅広く挑戦してきた団体ですが、今回の目玉はタイトルにもなっている向井航の不死鳥レクイエム。現代音楽的な音像からジャズ的語法、ダンスフロア的な熱狂まで、複雑でありつつも聴きやすく面白い楽曲です。そして演奏もたいへんモダン。若い世代に期待される超絶技巧なんのそののテクニカルさを持ちつつ、あくまでアンダーコントロールで音楽を積み上げていくさまはしゃれていてスタイリッシュです。個人的に大好きなブライアントの「スイート・ドリームス」が収録されているのも嬉しいポイントで、ホルストの名曲を使ったリミックス的作品。彼らの精緻な演奏で聴くとより仕掛けなどが面白いですね。

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大槻ケンヂ「プライベート・アンプラグド」
大槻ケンヂが3冊目の詩集をリリース。2003年から2025年までの歌詞をからセレクトして再構成し、合間に当時を思い出したエッセイが挿入されています。私が大槻ケンヂを知ったのもこの頃であり、知っている曲が大半だったのですが、数少ない知らなかった曲がこのアルバム収録の曲。特に「町のスケッチ」はたいへん食らってしまい、急いでアルバムを探しに行ったというわけです。最近のオーケンのような自分での弾き語り…というわけではなく、しっかりミュージシャンを呼んで固めたソロアルバム。筋肉少女帯のセルフカバーなどもあり、ボリュームこそ少なめですが心地よい作品でした。

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尾高忠明・NHK交響楽団「エルガー交響曲全集」
しばらく探していた全集をついにディスクユニオンで発見し即購入。エルガーに定評のある尾高ですが、N響を振ったこの全集は再販もされずなかなか入手困難でした。聴いてみるとなるほど、ノッた時のN響に比べやや精度など甘めな箇所もあり、尾高の決定版として推すなら確かに札響や大阪フィルに軍配が上がりそうではありましたが、統一された座組でまとめて作られた全集というところで尾高の解釈を把握するにはとてもよい全集ではと思いました。エルガーはメロディもきれいですしサウンドも整理されていて聴きやすい作曲家だと思うのですが、いかんせんフレーズの息が長く、ややとっつきにくい印象があるのも事実。尾高は持ち味のノーブルな弦楽器の歌わせ方でそこらへんを飲み込ませてくれ、曲の良さをあらためて見ることができます。

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