年度が!年度が変わっている!!
Cryptic Shift「Overspace & Supertime」
Blood IncantationやVektorを思わせるコズミックなメタル。
オールドスクールデス的質感を感じさせつつもプログレ的な長回しの世界観を描いていくところは面白く、それでいて途中で迷子にはならずにつるっと聞けてしまうのも好印象でした。
広島ウインドオーケストラ「マスランカ/交響曲第4番」
秋山和慶さんの追悼盤として多くの演奏会録音がリリースされ続けていますがこれもその1枚。広島WOは挑戦的な企画が魅力ですが、マスランカの交響曲をプロとして取り上げ録音を残してくれたのは嬉しい限り。演奏もすばらしく、秋山さんらしい整頓された安定感のある音楽づくりが心地よいです。ライブ録音で聴くとよりマスランカの楽譜の要求の高さ(物理的にピッコロトランペットの音域の高さなど)がよくわかります。カップリングは吹奏楽の古典名曲で、マスランカのときの定期演奏会とは異なる回からセレクト。アルメニアンは既に下野さんによる広島WOの音源もあるし…という気持ちもないではないですが、レパートリーの多かった秋山さんが古典名曲を振った記録というのも貴重ですし、楽しんで聴けました。アンコールのカンタベリーコラールのゆったりした歌わせ方にも感動。
集団「大風呂敷」
NARASAKIが音楽を担当するアイドルのアルバム。グラインドコア的にブラストビートをぶちかまし歌詞はナンセンスという、バンド「特撮」のハードな面を突き詰めたうえでかわいい声を乗せたというようなサウンド。音はさすがのNARASAKI印でめちゃくちゃかっこいいのですが、こうして聴いてみるとトンデモな歌詞で飲み込ませるのはオーケンの力量が凄かったのだなと感じる面も多く、少しでも「ん…?」と思ってしまうとそこで一気に引き戻されてしまうという気づきもありました。とはいえ特撮的なプロジェクトはいくらあったっていいですからね。これからも期待です。
Exodus「Goliath」
ベイエリアスラッシュの王者。スラッシュ四天王よりもザクザク感は上をいっていると思うバンドですが、これだけキャリアを積んでもまだここまでハイテンションが保てるのかという驚き。前任Voのゼトロに代わってロブが加入していますが、ブチ切れ系のゼトロに対し表現力のロブという感触で大変素晴らしい。ソングライティングも良くて、スレイヤーでの経験も活かしつつフックを混ぜ込んだリフを刻むゲイリー・ホルトは理想的なスラッシュメタルギタリストだと思います。あとExodusはドラムがいい。前作あたりから特に音が良くて、聴いてて心地良いんですよね。
浜渦正志「Pianoschlacht IV Live Recording」
ファイナルファンタジーをはじめとしたサウンドトラック仕事が有名な浜渦さんの楽曲を手練れの奏者たちが実演。ピアノ、ヴァイオリン、チェロが時にソロで、時にトリオでと絡み合う室内楽的音像ですが異様なほどテンションが高く、ライブと思えない精度と熱量の融合に感動させられっぱなしでした。ピアノのベンヤミン・ヌスが本当に素晴らしく、前半のソロピアノ楽曲群の綺麗さが印象的(世界遺産をモチーフにした小品群など)。ライブ録音でないレコーディング版も買ってみたくなりました。
「UNDERTALE Piano Arrangement Album - Echoes Beneath」
アンダーテールのサントラの名曲群をクラシックでもポップス仕事でも大活躍のピアニスト達がカバー。下村陽子さんもアレンジディレクションに入り統一感を生んでいます。SNSで人気の菊池さんのキャッチーな表現など、聴きどころは多岐に渡りますが個人的に嬉しかったのはピアニート公爵こと森下唯さん(生き別れの兄弟、というていですが)の演奏で、ラフマニノフなどを思わせるクラシカルな語彙を大胆に導入しつつ原曲の味をしっかり味わうことができ素晴らしかったです。かつてFFなどであった「ピアノコレクション」シリーズは楽譜を売ることもあってか比較的現実的な難易度にまとめられていた感じだったのですが、最近のピアノアルバムは音楽としての完成度と名人芸を堪能できる方向に振り切っているものが多い印象もあり(FFのピアノオペラシリーズなど)、リスナーとしては聴き応えがあって楽しいですね。でも楽譜も見てみたい…。