ZAZEN BOYS「ZAZEN BOYS MATSURI SESSION @ 日本武道館 2024/10/27」

ZAZEN BOYSを初めて生で観てきました。しかも武道館。凄まじかった。

 

■セットリスト
01.You make me feel so bad
02.SUGAR MAN
03.MABOROSHI IN MY BLOOD
04.IKASAMA LOVE
05.HIMITSU GIRL'S TOP SECRET
06.RIFF MAN
07.Weekend
08.バラクーダ
09.八方美人
10.This is NORANEKO
11.杉並の少年
12.チャイコフスキーでよろしく
13.ブルーサンダー
14.サンドペーパーざらざら
15.ポテトサラダ
16.はあとぶれいく
17.ブッカツ帰りのハイスクールボーイ
18.破裂音の朝
19.I Don't Wanna Be With You
20.Sabaku

21.公園には誰もいない(休憩)

22.DANBIRA
23.USODARAKE TAKE2
24.安眠棒
25.黄泉の国
26.COLD BEAT
27.HENTAI TERMINATED
28.HARD LIQUOR
29.HARAHETTA(Intro)
30.6本の狂ったハガネの振動
31.Honnoji
32.半透明少女関係
33.CRAZY DAYS CRAZY FEELING
34.YAKIIMO
35.永遠少女
36.乱土
37.胸焼けうどんの作り方

En.
38.KIMOCHI

 

休憩を挟んでいるとはいえ30曲以上の超ロングセット。かっこよさもさることながらスタミナにも脱帽です。

 

私は西スタンド2階席のかなり後方。とはいえ武道館は毎回ステージまでの距離が思ったより近く感じるので鑑賞には全く問題ありませんでした。

 

セットリストは最新作「らんど」を網羅しつつすべての作品から満遍なくピックアップ。私がZAZEN BOYSをリアルタイムで効き始めたのは「すとーりーず」からなので、初期曲はそこまで熱心に聴き込んだわけではないのですが、ライブで聴くと想像以上に曲ごとの個性が際立ち唸りました。

 

武道館はこれまでも数回訪れたことがありますが、基本的には音像がぼやけがちで細部まで聞きたいときには向かない会場だと思っていました。今回も冒頭こそその傾向は感じたものの、終盤に近づくにつれどんどんと音の切れ味が増していき、良い意味で武道館らしくなく驚かされました。さすがにベースなど中低域はもわっとしていたのですが、スラップの切れ味やギターのストロークはバッチリ聞き取ることができ、嬉しかったです。広いステージの中央にぎゅっと4人がまとまった配置も良い意味で武道館らしくなく、普段のライブ空間をそのまま拡張した感じなのかなと思いました。

 

比較的初期の曲が続いたあとに「バラクーダ」から最新作が出現し始め、「らんど」メインのゾーンへ。「チャイコフスキーでよろしく」に代表されるように、このアルバムは歌メロの際立ちとZAZENのヒリヒリ感のバランスがよく、純粋に心地よく浸ることができました。「サンドペーパーざらざら」~「破裂音の朝」の「すとーりーず」ゾーンは思い入れのあるアルバムだったので特に楽しく、ポテトサラダではスクリーンに向井を映す演出も。

 

休憩時間は写真のスライドショーが流れつつ「公園には誰もいない」がBGMとしてかかり、それが終わると第二部へ。なので休憩時間は想像よりずっと短かったですね。休憩に出た周りの観客が急いで戻っているのが見えました。

 

後半は残りの「らんど」曲と共に「ZAZEN BOYSⅡ」多めゾーン。「COLD BEAT」はやるだろうと思っていましたし最高でしたが、「安眠棒」「6本の狂ったハガネの振動」などは聴けたら嬉しいな…と思っていたのでとてもテンションが上がりました。後半でのサウンドは前半よりさらに切れ味鋭く、安眠棒の冒頭のキメがカッコ良すぎて痺れました。

 

おなじみ「Honnoji」から、まさかの「半透明少女関係」にはたまげました。明らかに他とはモードが違う曲ですし、ほぼ期待していなかっただけに実演で聴けるとはという幸福感があり、中盤での祭囃子の楽しさも言い表せないほどでした。そして「らんど」終盤曲をまとめて披露して本編終演。やはり「永遠少女」は壮絶で、演奏前後に三方に礼をしたりと向井の思い入れも強かったように感じました。この日は全体的に酒を飲み続けていたのはいつも通りとしても、特に観客への感謝の言葉や礼、あと名乗り「MATSURI STUDIOから来ました、ZAZEN BOYSです」が多かった印象で、はちゃめちゃに見せつつも丁寧に作っているのだなというのも感じられたポイントでした。


「永遠少女」は直接的に第二次世界大戦を想起させる内容で、どこか直球をかわすイメージの彼らには珍しいタイプの曲だと思っていたのですが、だからこそ鳴らされる響きへの説得力を感じ、いろいろ考えさせられるアルバムだな、とあらためて思いました。

 

アンコールでは「深刻なお知らせがあります」と会場を一瞬ではりつめた雰囲気にしておきながら「MATSURI STUDIOから来ました、ZAZEN BOYSです」からの「KIMOCHI」で終演。すぱっと終わるのもらしくて良いですね。


開演時に立ち上がりかけるアリーナの観客を向井がまあまあ…というジェスチャーで着席させる場面があったのですが、確かにこの長丁場、立っていたらもたなかった可能性もあります。武道館を出ると配布のチラシでこの日の公演がBD+CDとして発売する旨の告知。そのへんも含め完璧な公演でした。見事です。