森下唯「ミクロ・マクロ @ 調布市文化会館たづくり くすのきホール」

森下さんのピアノを聴いてきました!

 

■セットリスト
01.6つのバガテル 作品126(ベートーヴェン
02.エスキス 48のモチーフ 作品63/第4巻(アルカン)
03.ピアノソナタ第29番 変ロ長調 作品106「ハンマークラヴィーア」(ベートーヴェン

 

En.
04.スケルツォ(アルカン)
05.幻影(アルカン)

 

アルカン作品を積極的に取り上げてくれる森下さん。今年の演奏会ではアルカン作品に加え、ベートーヴェンの長大なソナタを含む重厚なプログラムでした。

 

6つのバガテルはベートーヴェンの最後のピアノ曲とのことですが、バガテルらしい遊び的な部分や場面転換など、アルカン作品に似た匂いを感じる箇所もあり面白かったですね。特に4が好きなのですが快速でありながら繊細で気持ちよく聴きました。

 

エスキスは楽曲のタイトルを舞台上に映す演出付き。映像的な表現が多いアルカンなので、これは良い試みだったと思います。(パワポだったんですね)録音でも非常によかったのですが、やはり実演だと弱音の響きがしっかり聴き取れてよかったです。「ヘラクレイトスデモクリトス」での場面転換や「小悪魔たち」でのおもしろさ、「夢の中で」で音が静かに空間を満たしていくような様は特に印象的でした。やはり森下さんはダイナミクスの扱いがとても心地よいんですよね。

 

ハンマークラヴィーアは40分ほどにもなる長大な楽曲で、特に第3楽章が長い緩徐楽章です。とても心地よかったのですが、気温的に絶妙にちょっと暑いくらいの環境と薄暗さで、うっかり意識がとびかけました…。しかし森下さんの集中力はすさまじく、4楽章の最後まで端正な演奏を楽しませてくれました。この曲は事前にさらっとくらいしか聞いたことがなかったのですが、4楽章のフーガなど面白いと感じる部分も多々あり、これから掘ってみようかなと思いました。

 

アンコールはエスキスから2曲。超スピードでのスケルツォのあとは染み入るような幻影で終演となりました。

 

アルカンの代表曲はだいたい取り上げてきたかな、という状況で次はどんな手がくるかな、と楽しみです。シューベルトとかリストのソナタとかも凄いことになりそう…。(と思って過去の演奏曲目を調べたら、もうやったことあるんですね。)