東京佼成ウインドオーケストラ「第164回定期演奏会」

東京佼成ウインドオーケストラ定期演奏会に行ってきました。今回の指揮は横山奏さん。前シーズンでもアッペルモント「ブリュッセル・レクイエム」などで印象的な演奏を聞かせてくれました。(ちょうど1年前のよう)

 

■曲目
01.“地球”-美しき惑星-(真島俊夫
02.水の交響曲(S.ランセン)
03.交響詩「炎の詩」(I.ゴトコフスキー)
04.交響曲第1番「大地、水、太陽、風」(P.スパーク)

 

地、水、火、風の4元素をめぐるコンセプチュアルな曲目で、最後のスパークがすべてを兼ねるという仕掛け。タイトルの通り描写的な音楽が多く、とても楽しく聴くことができました。

 

・“地球”-美しき惑星-
真島俊夫の後期作品です。彼らしいジャズ的な洒落た和音が顔を出しつつ、全体として作品を包むポジティブなエネルギーが印象的。ソプラノサクソフォンのソロをはじめ、中間部では様々な楽器のソロが配置されています。横山さんの指揮は明瞭で迷いがなく、ぐいぐいと快速でオーケストラをドライブしていく様は心地よく聴きました。

 

・水の交響曲
きわめてゆっくりと水の循環、川を下って海にたどり着き、水蒸気へ…という描写がなされる曲です。ドビュッシー的な色彩を見せたかと思えば吹奏楽らしい豊潤な響きが見えたりと味わい深いです。特に木管楽器が活躍し、TKWOの職人芸的な演奏が楽しめました。付点を含む特徴的な水のリズムには真島作品との共通点も感じたり。仕事終わりに聴くにはなかなかハードで、聴いていて集中がもたない感もありましたが…。

 

交響詩「炎の詩」
特に楽しみにしていた曲です。ゴトコフスキーはエネルギッシュなイメージがあるがこの曲もまさにそれで、冒頭からトランペットの高音を伴う強い和音が鳴り響きます。いくらかの波はありつつも基本的には最後までハイテンションで、ぐいぐいともっていく横山さんのスタイルによく合っていました。最後の盛り上がりは圧倒的。

 

交響曲第1番「大地、水、太陽、風」
すべてアタッカで一気呵成に演奏されましたが、30分を感じさせないような濃密かつあっという間の時間。スパークらしい明るさとリズミカルさをもつ一楽章のあとは細かい動きからの盛り上がりを見せる二楽章、シンセサイザーが異物感を出しつつ現代音楽的な打楽器を聞かせる三楽章を経て明るさと厳しさを見せるように終幕へ。細かいギミックで楽しませるスパークの意図をよく引き出す指揮で、まさに音と動きが一体化しているような見ごたえがありました。最後のチャイムの余韻が完全に消え静寂を待っての拍手も印象的な瞬間になりました。

 

じゅうぶん重量級のプログラムのはずなのですが、先日の特別演奏会のあとだと爽やかさすら感じるから不思議です。ともあれ、吹奏楽の楽しいところを存分に堪能できました。今シーズンも楽しくなりそうです。次回からは土曜日開催になるはずなので、行ったことがないという方も是非一度足を運んでみては。