■曲目
01.ゴンドワナ(トリスタン・ミュライユ)
02.オーケストラのための《重力波》(夏田昌和)
03.涅槃交響曲(黛敏郎)
音響的に特徴的な現代曲を集めたコンサートを聴いてきました。
かなりマニアックな内容だとは思いますが、涅槃交響曲のネームバリューとレアさもあってか満員。
とても熱気のある演奏会となりました。
私は現代音楽およびその作法について明るくないので、詳細な感想は書けないのですが、演奏会の流れがとても秀逸だったと思いました。まず舞台上のオーケストラのみで音響的なチャレンジを聴かせるゴンドワナで聴衆の耳を慣らし、席後方にバスドラムを配置してサラウンド的な効果を聴かせる重力波で空間的な面白さを見せ、最後にバンダでの合奏体と合唱も加えた涅槃交響曲でクライマックスを演出。ストーリーとしてよくできていたと感じました。
重力波でのバスドラムのロールが特に印象的で、録音では拾いきれないであろう地鳴りのような超低音は実演で聴いてこそ。強打のキメの部分もまるで時間が止まったかのような静寂と強打のコントラストがくっきり出て、異次元という感触でした。
涅槃交響曲は実演で聴くととにかく面白く、下野さんの指揮の明瞭さにもよるところが大きかったと思いますが、複雑に多層的に絡まる響きのうち主張させたいセクションがよくわかり、それに着目しているうちにどんどん最後まで聞き通せてしまいました。冒頭に提示される鐘を模した響きが組み合わせを変えたりリズムを変えたりしながら積み上がり、後半にいくに従って要素が集積していくさまは想像以上に交響曲的であり、そういう意味でもこの日一番聴きやすかったといえます。
ピアノ、チェレスタ、ハープといった楽器群の存在感が特に大きく、ガランガランと響き渡るサウンドに大きく貢献していました。また、意外にも要所要所で美しくファンタジックな響きが見え隠れしたのも発見の一つで、あるいみジブリ的というか、千と千尋的なノスタルジックさ、エモーショナルさすら感じる瞬間もありました。これはCDで聞いていたときには気づかなかった点で、日本人の落ち着く響きというか印象に残る響きのひとつの類型なのかもと感じたりしました。
独唱および合唱も見事なもので、後半に向けての盛り上がりやオーケストラとのバランスなどとても面白く聴きました。全体的に快速な演奏だったのかなと思いますが、曲の良さがわかる名演かと。
涅槃は個人的に、中学生の頃に「題名のない音楽会」の企画CDで初めて聞いて衝撃を受け、いつかは実演を見ておきたいと思っていた曲なので、ついに念願が叶いました。チケットも完売だったようですし需要はあると思うので、音源化も期待してしまいますが、いかがでしょうか。