「Pagan Metal Horde vol.2 @ 新宿BLAZE」

今年のライブ初めはフォークメタル。
イベント自体は16:30からでしたが、18時に退社して後半3バンドを観ました。

 

■Wind Rose
01.Dance of Fire
02.Fallen Timbers
03.Rebel and Free
04.The Returning Race
05.To Erebor
06.The Breed of Durin

 

今回はじめて知ったバンド。
イタリアのフォークメタルで、いかつい鎧と髭のいかにもな風貌でクオリティの高いメタルを聴かせてくれました。
合唱パートや掛け声の煽り、モッシュの煽りもうまく、いい感じにフロアを一体にしていたと思います。

 


■TrollfesT
01.Professor Otto
02.Brakebein
03.Toxic(Britney Spears cover)
04.Illsint
05.Steel Sarah
06.Kinesisk Alkymi
07.Kaptein Kaos
08.Gigantic Cave
09.Die Grosse Echsen
10.Solskinnsmedisin
11.Helvetes Hunden GARM

 

今回いちばん期待していたノルウェーのバンド。
日本の国旗をイメージしてか、白塗りに赤アクセントという奇抜なフェイスペイントをし、さらになぜか細長い風船を組み合わせたアート的な出で立ちで登場し、ド派手なパフォーマンスを繰り広げてくれました。
ドラムのタイトかつ変化に富んだリズムに乗り、自由で混沌とした楽曲群が演奏されていきます。アルトサクソフォンアコーディオンの音色がうまい具合に宴の感じを演出し、それでいてギターやベース、ドラムはメタリック。とても楽しい時間でした。
楽曲、演奏の素晴らしさもさることながら、特筆すべきはやはりパフォーマンスで、全体を統率しつつ攻撃力の高い歌唱、パーカッションを操るVoにやたらハイテンションでキレッキレのダンスをしながらもキッチリ弾きまくるギター、ニコニコ笑顔でしまいにはダイブまで披露したベースなど、一瞬たりとも油断できない、最高のパフォーマンスでした。
期待通り、いや、期待以上のおもしろさ。これは是非また、もっと長尺で観たいと感じさせられました。

 


■Ensiferum
01.For Those About to Fight for Metal
02.Two Paths
03.Heathen Horde
04.Token of Time
05.In My Sword I Trust
06.Warrior Without a War
07.The Longest Journey
08.Way of the Warrior
09.Two of Spades
10.Victory Song
11.From Afar
12.Lai Lai Hei

 

フィンランドのフォークメタルバンド。
去年に来日したWintersunのヤリがかつて在籍したバンドです。
勇壮な楽曲群は聴きやすさとメタルの攻撃力を兼ね備え、安心して聴くことができました。
GtとBaの3人が全員歌えるということでクリーン、シャウト、ハーシュと各々が得意な発声を使い分けて多彩な楽曲を表現。
少し惜しかったのはギターの音量の小ささで、この日観たバンドはすべてその傾向だったので、会場のせいもあったのかもしれません。特にクリーントーンでのフレーズはかなり聞き取りづらかったです。その代わりかやたらベースははっきり聴こえ、テクニックと相まって物凄く印象に残りました。
しかしながらリフを弾きながら歌うペトリのかっこよさは悶絶もので、王道の強さというものを感じました。
最後は「Lai Lai Hei」で合唱して大団円。やはりこういった合唱ものは燃えますね。

 

とても楽しいライブ初めになりました。
今年もたくさんライブに行けたらいいな。

cali≠gari「△15th Caliversary〝2002-2017〟LAST GIGS 『真冬の屋内』 -I was praying you'd be here with me- @ LIQUIDROOM」

今年のライブ納めはカリガリでした。

 

01.-踏-
02.トカゲのロミオ
03.トレーションデモンス
04.クソバカゴミゲロ
05.キル
06.さよなら、スターダスト
07.色悪
08.ポラロイド遊戯
09.陽だまり炎
10.トゥナイトゥナイ ヤヤヤ
11.紅麗死異愛羅武勇
12.マッキーナ
13.ファニソン
14.混沌の猿
15.アレガ☆パラダイス
16.淫美まるでカオスな

 

En.1
17.電気睡蓮
18.冬の日
19.東京、40時29分59秒

 

En.2
20.ゼロサムゲーム
21.トイレでGO!
22.一切を乱暴
23.サイレン

 

リキッドルームは客席にも高低差があり、おもしろい風景でした。
ギターをかき鳴らす青さんからいきなりの踏でスタートし、トカゲのロミオ、トレーションデモンス、クソバカゴミゲロとテンションの高い曲を畳み掛けて演奏。青さんのギターステップはさらにキレを増し、とてもかっこよく感じました。石井さんのVoもとても良い状態で、この日は歌詞に合わせた所作をしたりアレンジを入れたりとノリノリの様子でした。個人的にはロミオの最後の「左腕で」の部分で左腕を上げてアピールしていたりといった動きがツボでしたね。

 

まさかの「キル」には驚きました。ライブでやるとは思っていなかったので。最後の「切る、言わせる」の決めは想像以上に心地よく、またライブでやって欲しいですね。色悪でのダークな世界観やポラロイド遊戯での青さんのギターソロなど、あっという間に見どころが過ぎ行き、久しぶりの「トゥナイトゥナイ ヤヤヤ」にも感動。これは青さんがカリガリの第九とまでいった楽曲。年末ならではといったところでしょうか。

マイク故障から復帰してからの「紅麗死異愛羅武勇」は大盛り上がり。曲のタイトルをコールするときに「勇」で胸の前にハートマークを作った青さんを見て、確実に観客の数割が昇天していました。


マッキーナでの客席のジュリ扇率の高さ。ファニソンでのSoft Balletのようなリズミカルさに心地よく浸り、混沌の猿ではなんと青さんが自分で脚立を持って登場。客席横に脚立を立て、そこからバナナを投げていました。淫美まるでカオスなで本編終了。

 

奇跡の「無音アンコール」。いつもなら5分か10分くらい待ってからアンコールを行うカリガリですが、この日は客席が空気を読み合い、結局青さんが出て来るまで1回も(!)アンコールが行われないという事態に。「こんなに耳がこわれるほどのアンコールありがとうございます!!なんなの!?!?!?」と怒る青さんに会場からは暖かい笑い声があふれました。つづけて演奏された電気睡蓮、冬の日、東京40時はいずれも名演で、冬の日の後半でハモリパートをあえて歌うVoアレンジや東京40時最後でのコーラスとのハモリにいつまでも聴いていたいと思わされました。

 

2回目のアンコールは即座に開始。今度は青さんはタイマーを持って登場、「なんなのよ!」とタイマーを置いて退場。5分後のタイマーを皮切りに起こったアンコールは大きく暖かいものとなりました。

 

13ツアーの中で育ってきた激しい楽曲を続けざまに演奏した後、最後はサイレン!テンションが上がりきった状態でのサイレンはまさに音で塗りつぶされるようで、非常にヘヴィなサウンドを堪能しました。

 

とても楽しい、いいライブだったと思います。
今年もカリガリには沢山楽しい思いをさせてもらいました。

 

来年の春のライブ、音源も楽しみです。

ベストアルバム2017

今年も選びました。悩むので直感で。

 

10.Tempalay「from JAPAN 2」 

from JAPAN 2

from JAPAN 2

 

 最近のバンド。いろんな要素をごちゃまぜにぶっこんでくるのが心地よく、なおかつかっこよさを保っているという面白いバンド。

 

09.Morgaua Quartet「Tributelogy」 

Tributelogy

Tributelogy

 

 EL&P関連の曲で固められた弦楽四重奏アルバム。アレンジも演奏もモルゴーアらしく素晴らしく、特にカーン・イービルは圧倒的な演奏。EL&Pのへの愛と楽曲の持つパワーを感じさせられました。

 

08.橋本絵莉子波多野裕文橋本絵莉子波多野裕文」 

橋本絵莉子波多野裕文

橋本絵莉子波多野裕文

 

 そのまんまな名前のユニット。お互いの個性がぶつかり合ってとんがりつつもふわふわなポップが完成しています。PITBファンとしては波多野さんの音楽が女性ボーカルで歌われるというのが新鮮でした。トークトークロングトーンギターソロなど、一筋縄ではいかない内容。

 

07.森下唯「アルカン ピアノ・コレクション3《風のように》」 

アルカン ピアノ・コレクション3《風のように》

アルカン ピアノ・コレクション3《風のように》

 

 アルカンのアルバムもついに3作目。「イソップの饗宴」は今まで聴いた中でも特に共感度の高い名演で、技巧だけでなく音楽のもつ仕掛け、メロディの魅力を存分に活かしきった録音になっていると思います。

 

06.米津玄師「BOOTLEG」 

BOOTLEG

BOOTLEG

 

 外からのインプットを活かしつつも米津玄師イズムが注入された作品。映画の主題歌など、より聴きやすさを求められるシーンに適応してか楽曲も全体的にとてもキャッチー。彼の持つ癖になるメロディはよりキレをましているように感じられ、前作よりも好印象でした。

 

05.Phew「Voice Hardcore」 

Voice Hardcore [bmp-004]

Voice Hardcore [bmp-004]

 

 元アーント・サリーPhewさんの新作。前作は電子楽器をふんだんに使った作品でしたが、今作は声のみで構成されたもの。声だけとは思えない表現力の豊かなサウンドは必聴です。ここまで「聴いていて怖くなる」ものもなかなかないのでは。

 

04.ASKA「Too many people」 

Too many people

Too many people

 

 音楽以外のいろいろのせいで、色眼鏡で見ていたところがあるのですが、聴いてみるとどの楽曲も極上のポップ。優しく暖かい楽曲群は心地よく、かつ退屈することがありません。

 

03.With The Dead「Love From With The Dead」 

Love from With the Dead

Love from With the Dead

 

 リー・ドリアンによるドゥームメタルの2作目。1stも素晴らしかったのですが今作はさらに素晴らしい。這いずるような遅く邪悪なリフにリーの絶望感の乗った歌唱が加わり、これでもかというヘヴィさが発生しています。

 

02.筋肉少女帯「Future!」 

Future! (通常盤)

Future! (通常盤)

 

 前作からまたプログレ色を強め始めた筋少。今回も全体的に内田色が強く、プログレやニューウェイヴからのサウンドが聴かれます。大槻ケンヂの歌詞もかなりの切れ味で、「サイコキラーズ・ラブ」や「告白」など、こんな尖ったことを書くなんて、まだまだいけるな!と感じさせられました。

 

01.cali≠gari「13」 

13(ジュウサン) 狂信盤(Blu-ray付)

13(ジュウサン) 狂信盤(Blu-ray付)

 

 13という不吉な数字を意識したダークなアルバム。どの曲もメンバーそれぞれの美味しいところがたっぷり詰まっており、あっという間に聴き通せてしまいます。リリースに伴うツアー、その後の東名阪とライブ回数も多く、ライブで楽曲が育っていく様も楽しめました。これだけ聴けばそりゃ1位にしちゃいますよ。

 

10.Tempalay「from JAPAN 2」
09.Morgaua Quartet「Tributelogy」
08.橋本絵莉子波多野裕文橋本絵莉子波多野裕文
07.森下唯「アルカン ピアノ・コレクション3《風のように》」
06.米津玄師「BOOTLEG
05.Phew「Voice Hardcore」
04.ASKA「Too many people」
03.With The Dead「Love From With The Dead」
02.筋肉少女帯「Future!」
01.cali≠gari「13」

筋肉少女帯「一本指立ててFuture!と叫べ!ツアー @ マイナビBLITZ赤坂」

筋肉少女帯のライブに行ってきました!

 

■セットリスト
01. オーケントレイン
02. ディオネア・フューチャー
03. 人から箱男
04. ハニートラップの恋
05. 新興宗教オレ教
06. イワンのばか
07. わけあり物件
08. エニグマ
09. 告白
10. 奇術師
11. サイコキラーズ・ラブ
12. サンフランシスコ
13. 心の折れたエンジェル
14. バトル野郎~100万人の兄貴~
15. T2

 

EN:
16. 人間嫌いの歌
17. 3歳の花嫁
18. 釈迦

 

最新作「Future!」にともなうツアーのファイナル。
今回のアルバムは「猫のテブクロ完全再現」から「完全再現できるようなアルバムを」という着想を得て作られたものであることもあってか、アルバム内のすべての曲が演奏されました。

 

オーケントレイン」「ディオネア」とアルバム同様の流れでスタートし、「ハニートラップ」での楽しい掛け合いを経て「新興宗教オレ教」へ。これはツアー序盤のライブでは盛大にVoがズレたとの話で、それをネタにしたMCで会場は笑いの渦に。

 

「イワンのばか」、「わけあり物件」と橘高メタルが続いてから今回のアルバムのキモ、「エニグマ」!ライブでのトコイトコイトコイはトリップ感があり、楽しく聴くことができました。

 

「どうやって歌うのがいいかわからないから色々試してる、今日は座ってみる」とのことでVo大槻は座り、Ba内田はシンセベースを持っての「告白」は筋少風ニューウェイヴで面白く、続く「奇術師」では橘高さんの泣きのギターを存分に堪能しました。

 

「サンフランシスコ」はここ数年の中でもベストでは?と思うテイク。特にソロのバトルは非常に心を揺さぶられました。「T2」でのコーラスを気持ちよく合唱して本編は終了。

 

アンコールでは久しぶりに聴いた「人間嫌いの歌」。やっぱり「シーズン2」、けっこう好きなんですよね。また聴き直そうかな。感動的な「3歳の花嫁」からの「釈迦」でライブは終了となりました。

 

やはり筋少のライブは楽しいですね。来年は30周年イヤーとのこと。また何かやってくれそうで楽しみですね!

Secret Sphere「20th Annyversary Show @ 新宿BLAZE」

去年に引き続き、Secret Sphereを観てきました。
前回の来日後に新アルバムをリリースしており、その完全再現を含めたライブでした。

 

 

■セットリスト
-第1部-
01.Intermission~The Calling
02.Love
03.Courage
04.Kindness
05.Honesty
06.Faith
07.Reliance
08.Commitment
09.The Awakening
10.The New Beginning

 

-第2部-
11.Dawn Of Time~Age Of Wizard
12.Recall Of The Valkyrie
13.Loud & Raw
14.The Scars That You Can't See
15.Legend
16.Lady Of Silence
17.Union
18.Lie to Me

 

En.
19.Healing

 

ほぼ定時退社して会場に向かったものの、開演は17:45。
会場に着いたときにはSecret Sphereの1つ前のバンド、Arthemisが最後の曲を演奏しているところでした。

 

20時を少し過ぎた頃にSecret Sphereのライブ開始。
最新作アルバム「The Nature Of Time」の曲順通りに楽曲が演奏されていきます。
MCもほぼなく、曲間のSEも含めてまさに完全再現といった構成で、あっという間に第1部が流れてゆきました。

 

やはり圧巻だったのはVoのミケーレ・ルッピの歌唱力で、去年の来日時は「少し調子が悪い」とのことでしたが今回は絶好調の様子。もともとの伸びやかなハイトーンや感情表現豊かな低音域に加え、随所で超高音のシャウトを混ぜ込んでおり、その表現力に感動させられっぱなしでした。

 

Courage」などのアップテンポの曲も盛り上がりましたが、「Kindness」のようなしっとりとした曲でもミケーレの歌声が染み渡るように響き、印象的でした。楽器隊の演奏もよく、難易度の高いフレーズでもかなり健闘していたように思います。フュージョン風の「Commitment」などはけっこう苦しそうに聴こえる箇所もありましたが、全体的にメロディがしっかりしているので楽しく聴けました。

 

完全再現が終わると一旦休憩。
第2部はファンのリクエストによる楽曲を交えた過去曲たちが演奏されました。中でも1stからの2曲は「聴きたいけどやらないだろうな…」と考えていたものなので、嬉しかったですね。
ただし、1stの曲は前任のVoであるメッシーナの癖が強く、ミケーレでもかなり苦戦しているように聴こえました。「Recall Of The Valkyrie」は大好きな曲だったのですが、中間部のシアトリカルな部分などはかなりアレンジした歌い方になっていましたね。


やはり盛り上がったのが2ndからの「Legend」。この曲はいつ聴いてもテンションが上がりますね。間奏あけのシャウトが無かったのが少し残念でしたが、その分ほかの楽曲で超絶ハイトーンを聴けたのでよしとします。

本編最後の「Lie to Me」では、ミケーレがGtのアルドに歌わせたあと自分も歌ったりと微笑ましい瞬間もありました。アンコールはHealing。もう1曲やりたそうでしたが会場側からNGが出たようでここで終演となりました。

 

初期の楽曲がたっぷり聴けたのは嬉しかったですが、やはりミケーレ加入後の楽曲のほうがサウンドとしての構築度と演奏クオリティは上でしたね。1st曲でのいかにもなネオクラ系ギターソロを余裕そうに弾くアルドもなかなか観ていて楽しかったです。前回に比べてギターの手元がよく見えたこともあるのですが、やはりフレーズからDream TheaterやSymphony Xの影響が垣間見えて、そういった面でも興味深く見ることができました。

 

しかし本当にミケーレの歌は最高ですねえ…。できればこのままのペースで毎年聴きたいものです。

 

森下唯「オールアルカン ピアノ・リサイタルvol.4 @調布市文化会館たづくり くすのきホール」

昨年に引き続き、森下さんの演奏を聴いてきました。

 

 

01.すべての短調による12の練習曲 作品39-3 「悪魔的スケルツォ
02.片手ずつと両手のための3つの大練習曲 作品76
03.すべての短調による12の練習曲 作品39-1 「風のように」
04.すべての短調による12の練習曲 作品39-2 「モロッシアのリズムで」
05.すべての短調による12の練習曲 作品39-11 「序曲」
06.すべての短調による12の練習曲 作品39-12 「イソップの饗宴」

 

En.
07.悲愴な様式による3つの曲 作品15「風」
08.夜想曲 第1番 作品22

 

今年発売されたアルバムのうち「すべての短調」からの5曲をメインに、「片手ずつと両手のための3つの大練習曲」を挟んだ充実のプログラム。楽しく聴きました。

 

「悪魔的スケルツォ」で幕開け。客席が少しざわついていたこともあってか、序盤は若干きつそうでしたが、すぐに持ち直し、迫力たっぷりの演奏でした。アルカンの楽曲は音域を広く使った多彩な響きが楽しめますが、大きいホールで実演を聴くとスタジオ録音とはまた違った声部だったりが聴こえてきて興味深いですね。この曲での見どころはやはり後半の弱音パートで、美しくもキレのあるパッセージを楽しみました。

 

「片手ずつと両手のための3つの大練習曲」ではまず左手のみ、次に右手のみ、最後に両手合わせてという構成。とは言ってもさすがはアルカン、片手のためとは思えない音数です。森下さんの演奏はさすがの一言で、あふれるような音の中でもここがメロディなんだな、ここは連符だけど伴奏なんだな、というのがはっきりと読み取れました。これだけわかりやすく提示されると、いっそう楽曲への理解も深まるというものです。最後の「相似的無窮動」では両手で全く同じ旋律を弾き続けるという、そのコンセプトだけ聞くとハノンでも想起してしまいそうな曲。しかし片手だけであれだけ濃密な世界を描けるアルカンですから一筋縄ではいきません。片手のための曲で見せたような多彩な表現が、オクターブで演奏されることによって分厚さをもって迫ってきます。
ちなみにこの曲自体ははじめて聴いたのですが、「相似的無窮動」のメロディだけはアムランのエチュードでの引用で知っていました。このメロディ、頭に残るんですよね。

 

休憩を挟んで「風のように」。音源でも感じていましたが、これだけの速さでするっと弾いてしまうのは驚愕というほかありません。中間部の跳ねるようなメロディも楽しげで素敵。「モロッシアのリズムで」でも印象は音源と同じですが、視覚的な情報が入ることにより、さらに「ため」や「揺れ」への共感が高まりました。
「序曲」はまさにホールで聴けてよかったという曲。会場の響きによってリバーブがかかったり、あるいは細部がぼやけ気味に聴こえたりするのを含めてオーケストラのような楽しみ方ができるようになっていたと思います。やはり響きがどれくらい残るか、次の音に干渉するか、ホールで聴いた時にどのように聴こえてくるかというのは実演でないと味わえない要素ですね。

 

プログラム最後は「イソップの饗宴」。特にこの曲を楽しみにしていました。
主題が提示され、幾度も変奏されていくこの曲。森下さんは各変奏ごとに適切なキャラクターを描き分け、変奏感でも必要と思われるときは少しのマをあけて演奏していました。ファンファーレ風のパートでの輝かしさ、フォルテシモの重厚感と硬さ、何と言っても32分音符パートの華麗さには目を奪われました。あらためて、聴きやすさと変態性が同居した面白い曲だと感じました。

 

アンコールでは「風」を演奏!これもホールで聴くとさらに楽しめる曲でした。風をあらわす細かいパッセージが、ホールでいい塩梅にぼやけて本当に風のように聴こえました。そしてその中から立ち上がってくるメロディ。至福のひとときでした。
最後は「夜想曲」。アルカン弾きということで技巧ばかりに着目しがちですが、森下さんの持ち味はやはりしっとりとした弱奏での歌心だと思います。センチメンタルになりすぎることなく、あくまで上品に歌われるメロディは演奏会のエンドロールのようで、さわやかな気分になれました。

 

来年はまさかのチェロソナタを演奏予定の事!いまから楽しみです。

 

東京佼成ウインドオーケストラ「第136回定期演奏会」

吹奏楽を聴いてきました。

 

 

01.バンドへの贈りもの(C.T.スミス)
02.アルトサクソフォン協奏曲(P.クレストン)
03.華麗なる舞曲(C.T.スミス)
04.透影(高橋悠治
05.バレエ組曲「ボルト」(D.ショスタコーヴィチ / 大橋晃一)

 

TKWOの定期演奏会に行ってきました。
指揮は飯森範親さん。かつて大阪市音楽団の演奏会での華麗なる舞曲の演奏の人気が高く、TKWOではどういった表現を見せてくれるのかに期待が集まっていました。

 

C.T.スミスの「バンドへの贈りもの」で演奏会はスタート。
スミス作品らしく高速パッセージなど難所もありつつも全体的には軽めのスッキリした楽曲です。
TKWOの持ち味であるクリアなサウンドはここでも活かされており、特に金管楽器群の和音はとても綺麗でした。
ゆったりした部分での中音域でのメロディも印象的。このあとのメインへの期待も高まりました。

 

続いてはTKWOのコンサートマスターでもあるサクソフォンの田中靖人さんの独奏でクレストンの協奏曲。
田中さんのソロはいつものイメージ通り、とにかく流麗で優雅。フレーズを大きくとらえた歌心には感動しました。
伴奏との連係もバッチリで、リズム的な仕掛けや掛け合いも綺麗でした。
中でも2楽章は印象的で、冒頭のファゴットのソロの素晴らしさ、サックスのカデンツァの演じ分けなど、最高でした。

 

前半最後は「華麗なる舞曲」。これを目当てにしていた人も多かったのではないでしょうか。
テンポ設定は期待通りの「爆速」で、こんな早い冒頭を聴いたのはおそらくはじめてでした。
さすがに速さのせいもあって細かなパッセージまで聞き取るのが困難でしたが、そんなことを吹き飛ばすほどの勢いで楽しませてくれました。各ソリストも本当に素晴らしく、中でもピッコロトランペットはものすごい安定感で圧倒されました。最後の畳み掛けはまさに息をつかせる間もなくといったところ。これはぜひ音源化してもらってまた聞きたいですね。

 

高橋悠治さんの新曲「透影」は34人という中編成で書かれた楽曲。
楽器の配置まで指定されており、打楽器が両翼にいたりと響きの効果まで考えられた曲でした。
高橋悠治さんの作品はバリトンサックスの栃尾さんのソロ作品などで触れていましたが、手法にはいくつかの共通項も感じました。それぞれの楽器のパッセージがそれぞれのリズム、それぞれの時間軸でうつろってゆく様は巻物を読んでいるような面白さを感じました。和っぽい音使いをしている風でもないのになぜか日本的な匂いを感じるのも面白いところです。
木管低音群が特に印象的で、コントラバスクラリネットバリトンサクソフォンがとてもよいアクセントを加えていました。また、木管から金管への音色の受け渡しなども興味深く聴きました。

 

最後はショスタコーヴィチの「ボルト」。
バレエ音楽のため、描写的で各場面を想起させるような楽曲が並びます。
TKWOのクリアなサウンドはバレエ音楽にとてもよく合いますね。心地よく聴くことができました。

 

今回もとても楽しい演奏会でした。
次回の定期演奏会も楽しみです!