GW中にいくつかの展示を見に行った話

GW期間中、いろいろな展示があることに気付いたので足を運んでみました。

 

■葬送のフリーレン展
 ~冒険の終わりから始まる物語~
 会期:4/25~5/12

 

 

池袋にて開催されているフリーレン展。
開始数日後に行ってみましたが、想像の5倍くらい並んでいてフリーレン人気にびびりました。学生や家族連れも多く、幅広い層に受け入れられているのがわかりました。
内容はアニメーションの場面カットなどを通路に配置し、いくつかの名場面では等身大フィギュア等身大パネルを展示。
ここでしか見られない情報、のような裏情報的な側面は薄めでしたが、物語の内容を振り返って楽しむには最適かと思われました。

 

各ポイントにはクイズが配置されていたり、動画を流すコーナーでは半透明の幕を2枚使ってバトルの描写をしたりと挑戦的な展示も見られました。特に幕2枚の映像は、戦う2人をそれぞれ映し出すというこのために編集したと思われる映像が使用されており、臨場感がありました。

 

入場に思ったより並ぶので、行く場合は時間に余裕を見てがおすすめです。

 

ダンジョン飯
 迷宮探索展
 会期:4/27~5/6

 

 

ふらりと行きましたが、比較的すぐに中に入ることができました。各話ごとの料理の模型が多数展示されており、これがメインと言えるでしょう。料理模型をかこむようにその前後のモンスターの説明や、登場人物の撮りおろしボイスなどが配置されており、とても密度が高い展示と感じました。


後半にはイラストの展示もあり、ここも見ごたえがありました。物販も面白いものが多く、揺れたり回転したりのギミック付きアクリルスタンドとか買っちゃいました。
原作も完結していますし、ぜひ最後までアニメ化して、また開催してほしい展だなと思いましたね。

 

国立西洋美術館
 企画展「ここは未来のアーティストたちが眠る部屋となりえてきたか?」
 会期:3/12~5/12

 

 

うって変わってシリアスな美術展へ。
シラスなどの動画配信を観ている関係で、弓指さんの作品が出ていることを知っていたので、一度体験しておきたいと思い行きました。
美術鑑賞をじっくりするのは初めてだったこともあり、正直ぜんぜんわからないな…というところもあったのですが、キュレーション、展示の仕方が巧みで、今回のための現代美術に併置する形でルノワールやモネなどの国立西洋美術館が所蔵している作品を並べることで現代美術への補助線としてくれている感がとてもありました。

そのおかげで、いくつかの作品についてはこういう見方をすればいいのかな、というのがわかったりしてとても助かりました。

 

個人的にいくつか気になったものを挙げます。

 

松浦寿夫
 「中庭の微風」など、初見ではまったくわからなかったのですが、近くに配置されたモーリス・ドニ「池のある屋敷」を足掛かりにすると、印象的な縦線は樹木を指すことなのかと思い当たりました。そこまでくればあとは色や配置をヒントに風景を脳内で展開できるようになったので、人間というものは不思議だなと。

 

・布施琳太郎
 バーチャル美術館のモデルを映し出すディスプレイや合成音声と詩を組み合わせたディスプレイなどにより一味違った体験が生まれる感触があり、純粋に面白くみました。問題提起などは正直わからないところもありますが、個々のテクストはいずれも興味深く、また素直に綺麗だなと思いつつ見ることができたのも嬉しかったです。

 

・弓指寛治
 山谷のドヤ街を取材…というにはあまりにも密接な交流を経て制作された、膨大な作品群に圧倒されました。作品それぞれも印象的なのですが、それを結ぶ壁に配置された吹き出しやストーリーがたいへん効果的で、絵を鑑賞しているという体験でありつつも映画であったり劇を見ているかのような物語性があってするすると(しかしじっくりと)見ていくことができました。最後のオチにあたる部分もとても印象的でした。

 

・遠藤麻衣
 併置されていたエドヴァルド・ムンク「アルファとオメガ」に衝撃を受けました。ムンクというと有名な「叫び」くらいしか知らなかったのですが、こんなに攻めた題材の連作があったとは。映像はそれをもとにしたものらしく、ちょっと人が多かったこともあり最後までは見られませんでした。

 

・坂本夏子
 「入口」がとにかくすごかったです。これをもう一度見たくて図録を買ったうえで再訪もしたほど。国立西洋美術館Twitter(現X)でも全体像を見ることができますが、実物で見ると本当に鑑賞体験が全く異なり、驚きました。言ってしまえば四角形が大小組み合わされている絵ではあるのですが、ある点に焦点を当てるととたんにそこに遠近感を感じさせられ、焦点をずらすとそちらに遠近感が移る。どこを見ても入口のように見えてくる感触があり、純粋にずっと見ていたいと思わせられる作品でした。

 

アニメから現代美術と雑多に見てきましたが、こういった展示を見に行くのも刺激になってよいですね。特に美術館に行く習慣は今までなかったので、今後も面白そうな展示があったら足を運んでみようかな、と思わされました。

東京佼成ウインドオーケストラ「New Sounds In Brass 2024」

2020年を最後に停止していたNSBの復活作がリリースされました。
これまでとは異なり、演奏団体である東京佼成ウインドオーケストラ(以下、TKWO)が主体となってクラウドファンディングによる資金調達を行って制作されたもの。

 

 

NSBはその性質として、「聴いて楽しむ」以上に「演奏して楽しむ」ための企画で、管楽器に慣れてきた中級者の合奏体が少し背伸びをしてポップスらしい語法を学びながら楽しめるというシリーズだと思っています。なので、今回はアレンジメントや演奏者目線に若干寄った紹介をしたいと思います。

 

■曲目
01.Welcome to the Tokyo III Jazz Club
02.ディズニー・メドレー・リターンズ
03.誰も寝てはならぬトゥーランドット」より
04.Tomorrow ~「生きもの地球紀行」エンディングテーマ~
05.ジャパニーズ・グラフィティXXII シティ-・ポップ・メドレー
06.YOASOBIメドレー
07.SPY×FAMILYメドレー
08.マンボ・メドレー
09.アフリカン・シンフォニー2024

 

いつものニューサウンズ通り、エリック・ミヤシロをはじめとしたゲスト陣に加え、TKWOの各メンバーがソロをとる形。ドラム、ベース、ギターという基盤にゲストを起用していることに加え、発音などもかなり徹底してあるため吹奏楽編成でありながら相当タイトなサウンドになっていて、心地よく聴けるCDに仕上がっています。

 

以下、曲ごとの感想。

 

01.Welcome to the Tokyo III Jazz Club (編曲:挾間美帆/天野正道)
エヴァンゲリオンのジャズアレンジアルバム「THE WORLD! EVANGELION JAZZ NIGHT =THE TOKYO III JAZZ CLUB=」からの選曲。そちらも聴いてみましたが、基本的にはほぼ構成そのまま持ってきた形です。序奏に続く高速ビートの上で繰り広げられるソロバトルはアルトサックス、ミュートトランペット、トランペット、アルトサックスの順。さらにサックスセクションによる高難度のソリおよびその後のフィルは決まればかなり効果的。全体的に「ちょっと背伸び」どころではない難易度ですが、アルバムの幕開けとしてふさわしく、聴く分にはたいへん楽しい曲です。

 

02.ディズニー・メドレー・リターンズ (編曲:星出尚志)
「小さな世界」「ハイ・ホー」「ララルー」「いつか王子様が」「ミッキーマウスマーチ」「カラー・オブ・ザ・ウィンド」「美女と野獣」のメドレー。いずれも有名曲であり、難易度的にも取り組みやすそう。メロディも各楽器に配置されていたり、ソロもトロンボーンオーボエ、トランペットトロンボーンの掛け合い、テナーサックス、トランペットと多数。楽器紹介的にも使うことができ、特に部活などの現場で活躍しそうなアレンジになっています。ワルツなどいろいろなスタイルに取り組めるのもポイント。

 

03.誰も寝てはならぬトゥーランドット」より (編曲:三浦秀秋)
NSBでたまにある「クラシック名曲アレンジ」もの。ブックレットによるとEDMスタイルとありますが、確かに4つ打ちやビルドアップ、ドロップといった構成、原曲をフレーズごとに分解してリフレインとしてちりばめるなどの工夫が見られます。中でもなるほどと思ったのがサイドチェインの再現の仕方で、本来はキックをトリガーにコンプレッサーなどのかかり具合を自動で行うことで和音の音量が裏拍に強調されて聴こえてくる手法ですが、吹奏楽というアコースティックではそこは単純化して裏打ちとして表現。この楽譜をベースにリズムマシンやサブベースを足してさらにEDM感を増しても面白そうかも、とか思ってしまいました。ソロもオーボエやミュートトランペット、アルトサックス、トランペットにあり、腕の見せ所という感じです。それにしてもエリックの突き抜けるようなハイトーンはやはり強いですね…。どう取り組むかが難しい曲ではあると思いますが、EDMのトラックメイクを理解している楽団による演奏がぜひ聞いてみたい曲です。

 

04.Tomorrow ~「生きもの地球紀行」エンディングテーマ~ (編曲:鈴木英史)
合唱としても演奏されるTomorrow。シンフォニックかつ演奏しやすい編曲の鈴木英史らしい綺麗なサウンド。アルトサックスのソロにはじまりメロディが各楽器に受け継がれてゆく様がとにかく自然かつ美しく聴くことができます。アルバムでは吹奏楽のみの演奏ですが、楽譜上では合唱パートも含まれ、合唱と吹奏楽としての演奏も可能のようです。吹奏楽が小編成でも演奏できる構成とのことなので、団員を合唱と吹奏楽に分けてみるとか、部活どうしのコラボレーションといった用途でも演奏できそうですね。

 

05.ジャパニーズ・グラフィティXXII シティ-・ポップ・メドレー (編曲:金山徹)
「SPARKLE」「プラスティック・ラヴ」「君は天然色」「フライディ・チャイナタウン」「真夜中のドア~stay with me」といったシティポップ楽曲のメドレー。70年代~80年代のヒット曲で、最近のシティポップ再評価を受けての収録とのこと。近年はシティポップを受け継いだ新しいバンド(ceroなど)の台頭も著しく、ルーツを知るという意味でも取り組む意義のあるメドレーになっていると思います。とはいえ、吹奏楽の明瞭な発音であの雰囲気を再現するのはさすがに難しく、メロディや和音のオシャレさを楽しむというのがメインの味わい方になりそうですね。基本的にはメロディはセクションごとに受け渡され、ソロは少な目でサックスなどに数か所。中でも「君は天然色」のサビをホルンなど中低音に受け持たせたのはなかなかグッときました。

 

06.YOASOBIメドレー (編曲:高橋宏樹)
「怪物」「祝福」「アイドル」「群青」「夜に駆ける」のメドレー。今や覇権アニメ主題歌請負人という風格のあるYOASOBIの初期~最新曲までを取り入れたメドレーです。もともと既存のJ-Popのスタイルに乗っていない(A,B,サビという構成に必ずしも則らない)ロック由来のチャレンジングさが魅力の彼らの楽曲をどのように料理してくるのか期待していましたが、そこはさすがのもので、各楽曲の印象的な部分をうまくつなぎ合わせつつも統一感のある見事な仕上がりに。吹奏楽というパレットにトランスされても原曲のイメージとの違和感が出ないのはかなり凄いのでは。個人的には特に「祝福」~「アイドル」のパートは胸が熱くなりました。目立つソロなどはほぼありませんが、全体的にエレキギターが重要な役割を果たしており、カッティングがうまい人がいる楽団におすすめ。

 

07.SPY×FAMILYメドレー (編曲:鈴木瑛子)
「STRIX」「Crisis of my home」「Gorgeous step」「Very Elegant」「Bondman」「クラクラ」のメドレー。大人気漫画を原作にしたアニメ「SPY×FAMILY」からサントラ曲およびOP曲が順番に登場します。スパイものの王道的なサウンドが楽しめる作品で、ちょっと昔だとMr.インクレディブルなどの系譜と言えるでしょうか。アルトサックスやトランペットのソロがあったり、サックスセクションによるおどけたアンサンブル的なパートがあったりと仕掛けもいろいろでパズル的な演奏の感触が楽しめそうです。バリトンサックスやファゴットといった木管低音に印象的なソロがあるのもポイント。様々な場面を描き分ける必要があるのでドラマーの腕の見せ所。

 

08.マンボ・メドレー (編曲:天野正道)
「マンボNo.5」「マイアミ・ビーチ・ルンバ」「マンボNo.8」のメドレー。吹奏楽ポップスといったらラテン系は外せませんね。いずれも一度は聴いたことのある陽気なメロディとリズム。掛け声パートが多く含まれ、打楽器も大活躍。クラリネットやフルート、トランペットの長いソロもあります。CDでの演奏はかなり大人な表現で、適度に力を抜いたリラックスしたリズムが楽曲の魅力を引き出しています。こういう曲で落ち着いた演奏ができるかというのもけっこう演奏側としてはチャレンジングなのではないでしょうか。つい速くしたり熱くしたりをやってみたくなってしまうので。後半は打楽器主導で盛り上がっていきますが、ここで管楽器がビートにぴったり合わせられるかでかなり印象が変わってきそうです。

 

09.アフリカン・シンフォニー2024 (編曲:三浦秀秋)
初期NSBでも取り上げられ、たいへん多く演奏されてきた楽曲ですが、新しい解釈でのアレンジとなります。冒頭にアフリカの大地を思わせる静かなイントロがあったり、盛り上がりの波が巧みに設定されていたりと全体的にシンフォニックかつドラマチックに仕上がっており、前アレンジが音の塊が向かってくる感じだとすると今回は多層的なサウンドが楽しめるという感じ。クラシック曲を取り上げたあとに演奏しても違和感なく溶け込むことができるなど、また違った演奏機会として取り組めそうです。

 

復活作として満足できる充実した内容だと思います。

5/7にはこれらの楽曲を取り上げるコンサートがあり、配信もされるのでCD一般発売前にこれらを聴いてみたいという方も、ぜひ視聴してみては。

 

www.tkwo.jp

 

[5/1 追記]

一般販売も5/7より受け付けるようです。ぜひに。

tkwo.stores.jp

東京佼成ウインドオーケストラ「第164回定期演奏会」

東京佼成ウインドオーケストラ定期演奏会に行ってきました。今回の指揮は横山奏さん。前シーズンでもアッペルモント「ブリュッセル・レクイエム」などで印象的な演奏を聞かせてくれました。(ちょうど1年前のよう)

 

■曲目
01.“地球”-美しき惑星-(真島俊夫
02.水の交響曲(S.ランセン)
03.交響詩「炎の詩」(I.ゴトコフスキー)
04.交響曲第1番「大地、水、太陽、風」(P.スパーク)

 

地、水、火、風の4元素をめぐるコンセプチュアルな曲目で、最後のスパークがすべてを兼ねるという仕掛け。タイトルの通り描写的な音楽が多く、とても楽しく聴くことができました。

 

・“地球”-美しき惑星-
真島俊夫の後期作品です。彼らしいジャズ的な洒落た和音が顔を出しつつ、全体として作品を包むポジティブなエネルギーが印象的。ソプラノサクソフォンのソロをはじめ、中間部では様々な楽器のソロが配置されています。横山さんの指揮は明瞭で迷いがなく、ぐいぐいと快速でオーケストラをドライブしていく様は心地よく聴きました。

 

・水の交響曲
きわめてゆっくりと水の循環、川を下って海にたどり着き、水蒸気へ…という描写がなされる曲です。ドビュッシー的な色彩を見せたかと思えば吹奏楽らしい豊潤な響きが見えたりと味わい深いです。特に木管楽器が活躍し、TKWOの職人芸的な演奏が楽しめました。付点を含む特徴的な水のリズムには真島作品との共通点も感じたり。仕事終わりに聴くにはなかなかハードで、聴いていて集中がもたない感もありましたが…。

 

交響詩「炎の詩」
特に楽しみにしていた曲です。ゴトコフスキーはエネルギッシュなイメージがあるがこの曲もまさにそれで、冒頭からトランペットの高音を伴う強い和音が鳴り響きます。いくらかの波はありつつも基本的には最後までハイテンションで、ぐいぐいともっていく横山さんのスタイルによく合っていました。最後の盛り上がりは圧倒的。

 

交響曲第1番「大地、水、太陽、風」
すべてアタッカで一気呵成に演奏されましたが、30分を感じさせないような濃密かつあっという間の時間。スパークらしい明るさとリズミカルさをもつ一楽章のあとは細かい動きからの盛り上がりを見せる二楽章、シンセサイザーが異物感を出しつつ現代音楽的な打楽器を聞かせる三楽章を経て明るさと厳しさを見せるように終幕へ。細かいギミックで楽しませるスパークの意図をよく引き出す指揮で、まさに音と動きが一体化しているような見ごたえがありました。最後のチャイムの余韻が完全に消え静寂を待っての拍手も印象的な瞬間になりました。

 

じゅうぶん重量級のプログラムのはずなのですが、先日の特別演奏会のあとだと爽やかさすら感じるから不思議です。ともあれ、吹奏楽の楽しいところを存分に堪能できました。今シーズンも楽しくなりそうです。次回からは土曜日開催になるはずなので、行ったことがないという方も是非一度足を運んでみては。

成子坂製作所(仮) 定時株主総会に行った話

スマートフォン用ゲーム「アリス・ギア・アイギス」のアニメ化が2023年に行われ、その締めくくりとしてのリアルイベントが2024/4/14に有楽町よみうりホールにて昼夜二部構成で開催されました。

 

私はこのゲームに思い入れが強いこともあって昼夜どちらも参加。
たっぷりとアリスギアの世界を味わってきました。
入場時のスタッフから実際のイベント内容、観客のレスポンスに至るまですべてにおいて夜公演では「経験値の活かし」が感じられたので、結果としてどちらも参加して大正解と言えました。

 

■昼の部
まずは儀武ゆう子さんの導入からの出演者登場と紹介タイム。
最初から声援や拍手を煽りまくるスタイルのおかげで、早々に場内に一体感が生まれていました。

 

監督の花井宏和さんも加わり、まずは「自分のキャラクターを一言で表すなら」というテーマに沿って各出演者が語り、それに合わせて場面カットや動画が流されたり、監督や他キャストからのコメントがあったりという内容。

 

・夜露と薫子の演じ分けの実演。
・のどかは普通の子だが、表現が盛ってあるだけ。
・桃歌はなんだかんだいじられつつ愛されキャラ。
・ゆみはいつのまにか面白いキャラになっていて驚いた。
・来弥は「ちゃんと忍者している」と思っている(監督は微妙な反応)。
・杏奈はストイックだが、それに徹しすぎると杏奈らしさが見えなくなるので、アナウンサーとしての比重を下げ、キャラを出してほしいというディレクションがあった。

 

事前に募集された質問も読まれました。
・のどかには姉がいるが、優秀な姉に比べられることから別のフィールドに移りたいタイミングで夜露にあこがれて…という前日譚(というか設定)があった(監督情報)。

 

キャラについてのトークが押したからか、本来はここでやるはずだったというミニゲームはまさかのカットとなり、来場者プレゼントの抽選だけ行ってトークパート終了となりました。

 

朗読劇パートは各キャラが閉じ込められ、「罪の告白」を迫られるというもの。
夜露ーのどか、ゆみー来弥の中身が入れ替わるというギミック付きで、お互いのキャラの演じ分けという面でたいへん貴重かつ大変そうでした。


のどかのハイテンションを完全再現する沼倉さんをはじめ、各自演じ分けの精度がすごく、とても面白く見ることができました。また、シナリオもいい意味でメタジョークが多数盛り込まれ、アリスギアらしいカオス感に一役買っていたと思われます。

 

オチにカットインする形で「中野慕情」に入ったのちOP,ED曲のライブパートに入り、最後は全員でOVA曲「ココロふわり」を歌って終幕となりました。

 

■夜の部
まずは儀武ゆう子さんの導入からの出演者登場と紹介タイム。
昼の部も来た人?という問いに物凄い比率(7割くらいとのこと)で手が上がり、ここでみんなのスイッチが入った気がしますね。

 

監督の花井宏和さんも加わり、今度は「いちばん印象に残っているシーン」というテーマに沿って各出演者が語り、それに合わせて場面カットや動画が流されたり、監督や他キャストからのコメントがあったりという内容。

 

・泣いている薫子さんはあまりにもイメージが持てなかった。
・入浴シーンののどかは「吶喊します!」のあと「どひゃあ」と言っているが、「どっかん」と聞き間違えた人から韻を踏んでいるとほめられた。
・「中野慕情」は「やったな」と思った。
・来弥の分身バルーンがかわいいので商品化してほしい。
・シタラが杏奈の像を作っているところは、シタラの理想が反映されているのだなと思った。
・「下落合桃歌殺人事件」「整備部の日常!」は監督がタイトルだけ思いついて、そこから広げてもらった。
などなど…

 

夜の部ではタイムキープ意識が強まったのか、ここでミニゲームパートも実施。各出演者がA,Bのうちわを持ち、選択肢に対しどちらかを選んで全員揃ったらポイント獲得というもの。最後の問題がポイント多めのサービス問題というお約束で、見事突破となりました。

 

朗読劇パートは昼の部と同じシナリオでしたが、昼も参加した人が多かったということもあってか、とにかくアドリブが多め。はては古畑のマネも飛び出すというカオスっぷりに観客も大ウケでした。

 

同じようにライブパートに突入し、全員の一言挨拶を経て終幕へ。
もともと大きな発表は無いと明言されていたとおり(それでもメガミデバイスなどいくつかの情報はありましたが)、とにかくアニメを振り返って楽しむというまったりと楽しめる素敵な会だったと思います。

できればまた、こういう機会があると嬉しいですね。

 

東京ゲーム音楽ショー2024に行った話

今年も東京ゲーム音楽ショー(以下、TGMS)に行ってきました。

 

 

TGMSはゲーム音楽の作曲家が集まった即売会で、会場内ではトークショーやミニライブも行われます。TAITOのZUNTATAのOBなど、かつては会社内で作曲していて今は独立している人などが数多く出展しており、ここでしか買えないセルフカバーやオリジナル作品もあります。

 

イベントとしては10年の歴史がありますが、私が足を運び始めたのは2020年くらいから。スマートフォンシューティングゲーム「アリス・ギア・アイギス」にハマり、その作曲家陣のセルフアレンジ作品を入手したいという動機からでした。

 

アリスギアは驚くほどサントラに力を入れているゲームで、ZUNTATA人脈のみならず幅広い作曲家に「毎回ミニアルバムができるレベルのボリュームで」書き下ろし楽曲を提供してもらっています。


特にプログレ好きの私としてありがたかったのが中潟憲雄さん、川田宏行さん、桜庭統さんといったプログレを色濃く反映させた方々の曲。正直、ゲームを知らなくてもこれらの作品群のためにサントラを購入していいレベルだと思います。

 

アリスギア関連のセルフアレンジをリリースしているのはCOSIOさん、ヨナオケイシさん、なかやまらいでんさん、川田宏行さん。渡部恭久さんはセルフアレンジでなくイメージ曲で数作のミニアルバムを制作しており、私は例年これらを入手しに足を運んでいました。

 

去年までは目当ての作品をゲットしたら比較的すぐに離脱していたのですが、今回は思い立って各トークステージやライブを回遊しつつ味わい尽くしてみました。
すると楽しいこと楽しいこと。

 

架空の格闘ゲームを想定して各作曲家が曲を持ち寄った作品があったり、その裏話トークがあったり…
ZUNTATAメンバーが集まった企画CDとその裏話トークがあったり…
東方の派生ゲームのサントラとその裏話トークがあったり…
ZUNTATAのMASAKI氏のソロアルバムと演奏ライブがあったりしました。

 

いずれも当日のノリでふわっと進行していくゆるさがあり、うろうろしながら堪能することができました。
来年は会場未定とのことですが、ぜひ続けてほしいですね。

 

東京佼成ウインドオーケストラ「大井剛史常任指揮者就任記念演奏会」

東京佼成ウインドオーケストラの大井剛史常任指揮者就任記念演奏会を観てきました。

 

大井氏は10年間正指揮者として東京佼成WOを振ってきており、誠実な音楽づくりと高解像度なサウンドで名録音も多数作ってきました。

今回から常任指揮者ということで、かつてのフレデリック・フェネルやダグラス・ボストックと同等のポストに就いたことになります。同時にTKWOには学芸員として作曲家の中橋愛生氏も着任し、より盤石かつ挑戦的な体制と言えるでしょう。

 

■曲目
01.セレブレイション(P.スパーク)
02.2つのコラール前奏曲(J.ブラームス/R.ギュンター編)
  一輪のばらは咲きて(作品122-8)
  おお、汝正しくして善なる神よ(作品122-7)
03.秘儀 IX「アスラ」(⻄村 朗)
04.交響曲第2番(D.マスランカ)
En.
05.ウェディング・ダンス(J.プレス/H.N.ジョンストン、F.フェネル編)

 

今回もサポーターズクラブ特典でゲネプロを見学しました。見学できたのは前半プログラム。
セレブレイションでのバンダの位置の調整や飽和しないようなサウンドへの意識の確認、ブラームスでの響きの確認とアスラでのアンサンブルが難しいポイントの確認…と、たっぷりプロの仕事を見ることができました。中でもアスラでは団員から確認したいポイントやバランスについての提案もあり、双方向での音作りがなされていることにたいへん感銘を受けました。

 

少し休憩して本番へ。
オペラシティは演奏者と観客の距離が近く良く響くホールというイメージで、バルコニー席も含めなかなかの埋まりっぷりでした。

 

セレブレイションはスパークらしい明るい曲。分散和音の動機が顔を出しつつ進行し、最後はお得意のメロディアスに疾走する展開へ。オフステージでトランペットのファンファーレがあるのですが、今回は舞台裏で演奏されました。各所にソロが配置され、団員の技量や音色を堪能できる魅力的な楽曲でした。タイミング早めなブラボーも飛んでいましたね。

 

ブラームスのコラール前奏曲は事前に吹奏楽カフェで経緯などを聞いていたこともありさらに面白く聴けたように思います。前後の曲とはがらっと変わり小編成でアンサンブル的な味わい。オペラシティはよく響くので小さい音でもよく響きます。後ろに配置されたパイプオルガンから出てきているかのような綺麗な終結部の和音が特に印象的でした。

 

アスラはたいへんな爆演かつ名演だったと言えるでしょう。いくつかのパートに分かれ、それぞれガラッと異なる趣の儀式的な音響で、各パートの後半で特にティンパニが重要な役割を持ちます。前半の静かな緊張感を切り裂くティンパニから、後半の全体の中でアクセントをつけるティンパニまで。まさに名人芸といったところでしょうか。合奏体ももちろん素晴らしく、特徴的な打楽器群や細かい音符のパズルのような組み合わせ、息のあったテンポ変化に舌を巻きました。最後の一撃の決めもばっちり決まり、圧巻でした。

 

マスランカの交響曲も熱演。一楽章冒頭から殺人的な音域が頻発する困難な楽曲ですが、気合の入った演奏でした。あらためて実演で接するとティンパニコントラバスの不在もあって、通常の吹奏楽らしい厚いサウンドとは全く異なる、薄く繊細な響きがあらわになるのがよくわかり、その面でも大変そうな曲です。二楽章の冒頭はサクソフォンアンサンブルから開始しますが、あらかじめ聴いていた他の団体の録音に比べアルト以下の内声パートがしっかりと聞こえるバランスになっており、絡み合いの妙味が味わえました。最後の静かな打楽器のあとはたっぷりの静寂をとって三楽章へ。早いテンポで15分近くを駆け抜けるスタミナが必要な楽章ですが、リズム遊びの部分などを浮立させつつのメリハリをきかせたよい演奏だったと思います。終わり方も難しいポイントですが、見事にテンションを上げて最後まで持っていきました。

 

静かなところでくしゃみが止まらない悪夢を見た…という冗談をはさみながらの常任指揮者への就任スピーチを経てアンコールは「ウェディング・ダンス」。フェネルもよく取り上げた曲ですね。短いながらも各パートの見せ場があり、楽しく終演となりました。

 

今後の定期演奏会への意欲にあふれた、たいへん充実した演奏会だったと思います。月末の定期も楽しみです。

 

なお、「アスラ」は初演団体の演奏が動画サイトで視聴可能なのでぜひ。凄い曲です。

 

 

People In The Box「2024年 春の航海 @ 恵比寿 The Garden Hall 2024/03/31」

People In The Boxを観てきました。

 

■セットリスト
01.日曜日/浴室
02.スマート製品
03.ベルリン
04.螺旋をほどく話
05.潜水
06.親愛なるニュートン街の
07.数秒前の果物
08.鍵盤のない、
09.ニコラとテスラ
10.どこでもないところ
11.水晶体に漂う世界
12.動物になりたい
13.いきている
14.真夜中
15.逆光
16.DPPLGNGR
17.旧市街
18.バースデイ

 

MCの中で「リリースに合わせたとかでない、平常運転のツアーがやりたかった」という話もありましたが、まさにそのとおりの、今の彼らのサウンドをただただ楽しもうというとても良い雰囲気のライブでした。

 

冒頭から私の大好きな日曜日ではじまり、初期の曲もかなり多めに取り入れたセットリストだったと思います。「親愛なるニュートン街の」などはライブで聴くのも久しぶりだった気がしますし、一時はよくやっていた「潜水」「真夜中」といったウェザリポ曲も嬉しかったですね。

 

今回特に驚かされたのはまずドラムの切れ味。もともとオーケストラの打楽器パートのような多彩な表現をするドラムでしたがここ数年はどんどん切れ味もまして行っているように見え、本当に達人芸だなと惚れ惚れします。過去の曲に対してもその変化が顕著に出ていて、凄い…とあっけにとられている間にどんどん曲が進んでいく感じ。今回の座席が右端だったこともあり、手元がかなりはっきり見られて勉強になりました。勢いと切れ味のあるショットに目が行きますが、繊細かつ敷き詰められたゴーストの数々も凄かったです。

 

また、初期曲と最新曲のギャップがさらに埋まっているようにも感じられたことも面白かったですね。少し前は初期曲について少し距離があったというか、ある意味演じようとしているような要素があったと思うのですが、今回はもっと自然に歌が紡がれていたように感じました。まだ昔の曲でも新しい反応がバンド内で起こっているんだなというのがわかり聴いていて嬉しくなりました。

 

18曲とたっぷりでありつつも体感は一瞬で、毎回これだけ楽しませてくれるバンドのファンでよかったとしみじみと感じてしまいました。また次に観られるときが楽しみです。