cali≠gari「cali≠gari 30th Caliversary”1993-2024″ カリ≠ガリ vs プロレス @ 新宿FACE 2024/03/30」

特濃のイベントでした。ヴィジュアル系バンドであるカリガリとプロレス団体である
暗黒プロレス組織666のコラボ。

 

 

■セットリスト
~第0試合 説明マッチ~
01.トカゲのロミオ
02.赤色矮星
03.トレーションデモンス
04.マネキン
~第1試合 ●青 - 石○~
 政岡淳/ガイア・ホックス VS 塚本拓海/Ken
05.紅麗死異愛羅武勇
06.コック ア ドゥードゥル
07.色悪
08.ゼリー
09.いつか花は咲くだろう
~第2試合 ○青 - 石●~
 怨霊/ラム会長 VS ガッツ石島/条柴拓真
10.マッキーナ with かおり
11.マグロ with かおり
12.混沌の猿
13.嘔吐
~第3試合 ●青 - 石○~
 宮本裕向/小仲=ペールワン VS 柴田正人/植木嵩行
~桜井青断髪式(ならず)~
~第4試合(12人) ●青 - 石○~
14.-187- (試合中)
15.37564。 (試合中)
16.失禁 (試合中)
17.クソバカゴミゲロ (試合中)
~桜井青断髪式~
18.エロトピア

 

フロアの真ん中にリングがあり、花道で奥のステージと繋がっている状態でした。
演奏に先立ち、まずはリングでcali≠gari村井さんとベッド・インかおりさんによる前説。プロレス好きらしいテンションの高さで、村井さんは過剰なほど下ネタをぶっこんでおりました。

 

プロレス初めての人?という問いかけに私を含めかなりの観客が挙手、ではcali≠gariファンに説明を、という流れでルール説明マッチが行われました。3カウントのルールやブーイングのタイミング、応援の仕方などのチュートリアルが行われ、たいへんわかりやすく入門できたのではと思われます。

 

説明が終わると両チーム入場し挨拶。ライブパート以外は撮影可能ということで、東西南北に向かって撮影タイムを設けており、サービス精神が伺えます。赤組が石井さん、青組が青さんというチーム分けで、プロレス選手たちは青さん側がヴィジュアル系っぽい選手たち、石井さん側がガッチリした選手たちというチーム構成。各チーム挨拶では青さんチームの紅一点であったラム会長が「青さんを待ち受けにしていたこともある」とcali≠gariファンであったことをアピールし、たいへんあたたかい空気が流れていました。

 

負けた方に罰ゲームという話で石井さんは「オレは負けたらマスク取りますよ」と言っていましたが、結局「負けたほうが髪を切る」という条件に。正直、ここで展開は読めた気もします…。

 

そしてライブパートへ。村井さんの企画ということもあってかベースが大活躍する曲ばかりで、トカゲのロミオからはじまりマネキンまで一気に駆け抜け第一試合へ。音量は普段のライブハウスよりかなり小さめだったこともあって、余裕を持って楽しめたようにも思います。村井さんや青さんがリングに来るたび審判の方々がロープを持ち上げてリングへの入口を作っていて、息を合わせるのがなかなか大変そうだなとも思いました。

 

第一試合では青チームの二人が印象的で、ヒールらしいふるまい(看板を使ったり、2対1を演出してみたり)であったり、「ほらほら、応援しないと負けちゃうよ!」と応援ポイントを教えてくれたりとかなり手厚い試合運びだったように思います。ガイア選手のジャンプも映えていて、あれで一気に観客がプロレスの派手さに惹き込まれていったのを感じました。

 

続くライブパートでは「ゼリー」など珍し目の曲も披露。初期の曲に頼る必要のないライブができているバンドとはいえ、やはりテンションは上がります。終盤以外で演奏される「いつか花は咲くだろう」も新鮮。やっぱりこの曲のイントロのベースライン凄すぎますよね。

 

第二試合ではラム会長や怨霊選手と石島選手、条島選手のバトル。特に体重差、体格差を見せる試合運びで、パワーで押す赤チームと技で攻める青チームという村井さんの解説どおり、個性がよく現れた試合だったと思います。このあたりでプロレスは勝敗とかじゃなくて魅せ方に注目するヤツなんだなと気づき始めました。

 

続くライブの前にベッド・インのライブでも行われるかおりさんの生着替えタイムが入り、ツインボーカル体制で「マッキーナ」「マグロ」。特にマグロでの掛け合い部分などは新鮮でとても良かったです。「嘔吐」もやはり最高にテンション上がりますね。村井さんのソロもバキバキでした。

 

第三試合は赤チームの植木選手の独壇場。元警察官という肩書を強調しつつ自由すぎるふるまい(ダダをこねたり、銃をつきつけてみせるなど)のギャップで笑いを取りに行っており、とても面白かったです。リング外で各チームの他の選手たちがやりあったりしていたのも賑やかでした。

 

赤チームの勝ちということで青さんの断髪式が始まりかけますが、もう一回!ということで全員参加の第四試合に突入。さらにライブも開始し、ライブしながら試合も進んでいくというカオスな状態に。曲も187をはじめ暴れ曲ばかりでマッチしてましたね。

 

最後も赤チームの勝ちということで本当に青さんの断髪式へ。かおりさんがハサミで勢いよく青さんの髪を切り落とし、上がる歓声、落ちる髪、それを拾うラム会長…という光景でした。最後はエロトピアで終幕。

 

プロレスは見たこともなかったのでどうなることやらと思いながらの参加でしたが、たっぷり楽しめて本当に面白かったです。cali≠gariにも666にも感謝ですね。数日前に行われた色々な十字架のトークショーでも「cali≠gariは知らない文化への入口になってくれた」という話が出ていましたが、今回もまさにそれだったと思います。撮影も入っていたので映像化も期待しちゃいますね。

 

 

第1回 TKWO吹奏楽カフェに行った話

私がよく聴きに行っている吹奏楽団が新しい取り組みとして「吹奏楽カフェ」なるものを開催したので、行ってきた。

 

 

メインの部分は後日youtubeにもアップロード予定とのことなので、内容についてはそちらを参照いただけたらと思う。19:15~21:10のおよそ2時間のトークイベントであった。

 

観客は30人弱で、スタッフはTKWOの事務局や団員が行っていた。各テーブルにお菓子がおかれ、飲み物もサービスされるため、それらをつまみながらトークに耳を傾けることができるスタイルだ。「講座」のような格式ばったものにしないという意図から「カフェ」と名付けたとのことで、本当に飲食物をふるまうつもりは当初はなかったそうだが、話の枕としてお菓子の話題でくだけた雰囲気になっていたので、あって良かったと感じた。

 

吹奏楽についてのこういったトークイベントはあまり聞いたことがないのではないかと感じる。というのも、指揮者や作曲家が聴衆の前で喋る機会としてよく思い浮かぶのはプレコンサートなど演奏会場であって、トークそのものを独立させてイベントとする例があまりない(私の観測範囲だけかもしれないが)からだ。

 

プレコンサートでは長くても15分とかで、想定客層も幅広くなるため、そこまで深入りした話はできない。また、その後に演奏を控えていたりすることもあってどうしてもトーク自体に全力投球は難しいと思われる。その点、今回は完全にトークのみに焦点をあてているところが好感を持てたし、なにより「語る場」を作ろうというその姿勢に強く感銘を受けた。また、対象を一般に開いているところもありがたい。

 

というのも、こういったクラシックの作品についての語りというのはどうしてもプロとアマチュアが分断しやすい分野だと思われるからだ。これがロックなどの場合はフリーライターなど在野から出てくる語り手というのも想定されるが、ことクラシックについては大学をはじめ、「内部にしか見えない」情報が大変多く、なかなかこういったトークイベントのような商業的なイベントという発想が出てきづらいのではないか。これは職業演奏家、職業作曲家になるために必要な知識の膨大さを鑑みてもある程度納得いくいっぽうで、趣味が多様化しリスナーの確保がむずかしくなっていく現代社会においては裾野を広げるハードルにもなっているのではないかと感じる部分だ。

 

今回語られたような、「作曲者の人となり」「作品が書かれるにあたっての意図とその技法」「想定されたのではないかと思われる参照項」といった語りは、それこそ本来は大学やレッスンの中で行われるものにも近いのではないかと思う。しかし、こういった内容は作る側だけに閉じてしまうのはあまりにもったいないのではないかと思っていた。会の後半で中橋氏も触れていたが、情報を知るにあたってインターネットはもちろん、書籍すら誤りがあることも少なくない昨今、一次情報(当時のプログラムノートなど)を調査したり、実際にその場にいることの多い人からその語りを聴くことができる機会というのは貴重だ。

 

さらに今回の特筆すべき点として、「リスナー≒演奏者」である吹奏楽というジャンルのイベントであるに関わらず、演奏上のポイントのような「実用的」な話題がほぼ登場しなかったことも素晴らしかった。あくまで吹奏楽を音楽作品としてリスナーとして楽しむうえでの見方であったり、楽譜の読み方という視座にあったのが私のような「聴き専」リスナーにとっては心地よく、また吹奏楽を芸術作品として扱いたいという想いの表れにも感じられた。

 

今回は第1回ということでこれからブラッシュアップされていくと思われるが、とても可能性のある座組だと感じられたので、今後に期待することをいくつか挙げておきたい。
※ダメ出しのような意図は全くないのでご容赦いただきたい。

 

・時間配分
 今回は2時間で2つの演奏会にフォーカスするという内容上、仕方なかったと思うが、話が盛り上がりかけたところで次の話題に進まざるを得なくなっている箇所が何回かあったと思う。「カフェ」という命名からは私が普段ほかに見ているプラットフォームである「ゲンロンカフェ」も想起するが、そちらの特徴として「延長自由とすることで長い時間を登壇者と共有し、より人間らしい話を引き出す」ところがある。会場がレンタルである以上、限界はあると思うが、これだけ面白いのであれば全開で話す二人をもっと見てみたいと思わされた。
 ※なお、上記プラットフォームは関連会社のサービスとして「シラス」という動画配信を行っており、作曲家の新垣隆氏もチャンネルを持っている。私もたまに視聴しているが、自作を解説していた番組などはたいへん面白かった。

shirasu.io

 

・想定視聴者
 大井氏はTwitter上で「初心者にも」という趣旨のポストをしていたが、内容としては演奏会で取り上げられるランセンやゴトコフスキーだけでなく、スクリャービンやパリ警視庁音楽隊、スヴェトラーノフやフェネルなどがどんどん登場し、かなりハイコンテクストだったとは思う(わかる側としては大変楽しかった)。個人的には今の路線でも十分面白いと思っているのだが、もし初心者を取り込むのであれば、「初心者想定の質問者」を配置するか、「パワポなど視覚的な補足資料を用意しておく」という対処が考えられるのではないかと感じた。もちろん人件費や準備の増加にはなるのだが…。

 

次回は5/8にマッキーについて取り上げるとのこと。期待。

名取と行くなすどツアー 2024/03/10 に行った話

日曜に那須どうぶつ王国に行ってきた。
去年の10月からはじまった名取さなと那須どうぶつ王国のコラボ、行こう行こうと思っていたらもう今週で冬季期間内は終了、来週でコラボ自体も終了である。もう行かなくては。

 

土曜はイギリスのメタルバンドの来日公演に行っていたので夜まで頭を振ってからの早起きであり、それなりなハードスケジュールではあったのだが、同じく土曜は名取さな生誕の後夜祭が行われており、そこから参加した人もいたらしい。名取さなファンの間では馴れ合いは禁止されているため真偽の程はわからない。いずれにせよ、このツアーに参加するような人間は7日の生誕祭も参加もしくは視聴したのだろうなとは思う。

 

朝7時に都庁前のバスターミナルに集合。前日は生誕祭帰りのファンがバス3台分詰めかけたようだがこの日は1台、参加者も30人弱。比較的ゆったりと過ごすことができた。

 

バスが発車すると名取のガイド音声が流される。だいたい30分くらいだろうか。コラボのいきさつ、テレビCMの話、佐野サービスエリアの話など。休憩時間は普段の自分なら面倒臭がってトイレ休憩だけですませてしまいそうなところ、情報を受け取っていると何かしら食べておくか…となるから不思議だ。というわけでイモフライを購入。串カツみたいにソースがたっぷりかけてあって美味しかった。

 

佐野サービスエリアを出てからもガイド音声が流れ、那須どうぶつ王国のことやさな歩きのことなどが話されていたと思う。しばし仮眠をとりながら10時半くらいには那須どうぶつ王国に到着。コラボ台紙を受け取って、あとは帰るまで自由行動だ。着いたときは雪こそ残っているものの降ってはいないかなという感じだったが、このあと雪がはらはらと舞い始め、昼過ぎくらいまでは白っぽい視界の中で歩くことになった。

雪のなすど

昼ごはんが混雑することが予想されたのでまずはヤマネコテラスに向かってみたが、そもそも11時オープンのため意味なし、そのまま横にある保全の森から観始めることにした。入り口付近ではツシマヤマネコが同じコースをずっとぐるぐると歩いており、日課の運動、的なやつかな?としばし見学。後に再訪したときはずっと毛づくろいをしていたので、ここで歩く姿を見ておけてよかった。ライチョウたちを横目に見ながらスナネコやアムールネコを見学。スナネコはご飯待ちか、給餌口らしきところの周りをウロウロと歩き回っていた。アムールネコは木の上でずっと静止しており、たまに眠っていそうな感じだった。

アムールヤマネコ

ごはんを待つスナネコ

次はウェットランドへ。フラミンゴやカモ、白鳥といった動物たちがいるエリアだが外より気温が高く、とにかくメガネが曇った。フラミンゴが片足立ちで眠っているのを近くで見られたのは面白かったし、鳥たちが自由気ままに過ごしているのを眺めるのは癒やされた。

鳥類がいっぱいいる

フラミンゴが寝たり起きたり

道中にプレーリードッグ

ヤマネコテラスに移動して昼食。コラボメニューもあるが、わりとガッツリ行きたかったのでカレーと唐揚げを注文した。ちなみにコラボドリンクについては、特定のドリンクがあるというわけではなくコラボ仕様としてソフトドリンクを頼むことになるので、ソフトドリンクを直接注文でなくコラボドリンクと宣言しよう(のち、マヌルヌマで宣言を忘れて聞き返されることになった)。店内はカウンター席や二人がけ席もそれなりにあり、単独参加の人でも過ごしやすくて良かった。混んできたのですぐに食べて店を後にした。

満足ボリューム

昼食のあとはザ・キャッツ入場列へ。猫たちのショーで、入場人数に上限があるので観たい人は30分くらい前から並んでおくのがよさそうだ。私は首尾よく後方の席を確保できたが、最前列に座れた場合はふれあいチャンスが発生するので狙いたい人はどうぞ。

ショーは撮影可とのことだったが、走り回る猫をうまいこと撮影できる自信がまったくなかったので目に焼き付けるスタイルで。会場にはりめぐらされたロープの上を渡る猫や、輪くぐりをする猫、玉乗りをする猫などを堪能できた。スタッフの方が「みなさん!猫は好きですか?好きだったらニャーと答えてください!」とコーレスをやっていて、まずは女性と子供、そのあとに男性に声出しをさせていた。おそらく普段は恥ずかしがる男性をいじる感じなのでは?と思ったが、そこは名取勢も多いこともあってか野太い「にゃー」が発せられ、スタッフさんも「ありがとうございます~寒気がしました~」と楽しそうだった。

猫たちのパフォーマンスは非常にスムーズでやりなれてる感があり、気まぐれな猫をよくぞここまで…と謎の感動があった。かと思えば玉乗りでは観客のほうが気になってなかなか玉乗りしてくれず、「ごらんください…これが…猫です!!この気まぐれさ!!」とトークで間を持たせていて職人技を感じた。

 

続いてアジアの森へ。レッサーパンダやビントロングなどがガラスを隔てずに見ることができ、かなり良かった。近すぎて逆に写真を撮る暇がないほど…。

ここに限らないのだが、基本的にすぐそばに動物がいるので、ぜんぜん特典の解説音声を聴いている暇がなかった。ので後で聴きました。すまんな名取…。

 

ビントロングたち

マヌルネコは絶対見ておきたかった動物のひとつ。やはり人気があるのか常に人だかりがあり、ちらちらと眺めながら(ちょうど場所的にも、いろんなところに向かう途中にある)通った。

 

すやすやマヌルネコ

疾走感のあるマヌルネコ

そして熱帯の森へ。ここもとにかく動物が近い。大き目の鳥類が通路を歩いていたりして、気を抜くとぶつかってしまいそうだ。新宿駅でおっさんをよけるときのような俊敏性が求められる(すばやく動くとあぶないからゆっくり避けましょう)。

おとなしそうなアリクイたちが急にじゃれだしていたりしてほほえましかった。ナマケモノもけっこうナマケてない感じで、これも油断すると触れてしまいそうなほど近い。スタッフさんも監視大変だろうな…。

 

じゃれあうアリクイ

コモンマーモセット?めちゃくちゃ近かった

ナマケモノわりと動いてた

入口付近に戻ってオオカミの丘へ。スカンクたちやオオカミがいる。スカンクは想像以上に常に動き回っていて驚いた。オオカミたちも思ったよりうろうろしてくれていて、かなり近くで見ることができた。ガラスにはひっかき跡のようなものもありウオオ…となった。

 

オオカミたち

王国タウンの中心部にいるアムールトラ、カッコ良すぎて何回も見に行ってしまった。常に3つの窓の近くをうろうろしてくれて、ファンサービスが凄い。スタッフさんによる説明会も見たのだが、食事の気配を察してか、ガラスに肉球をおしあてまくってアピールしていてとてもよかった。生で見るとやはり大きさに圧倒されるし、それでいてネコ科っぽい自由気ままさも垣間見ることができていつまででも見ていられそうだった。

 

アムールトラ、さすがにカッコ良すぎるかも

冬季はファームエリアが休業中なので、ペンギンビレッジが端ということになるだろうか。外に出てきたペンギンたちをゆったり眺めることができた。喉を振るわせて鳴いている姿も間近で見ることができ、おすすめだ。屋内にはパフィンもいた。

 

ペンギンやアザラシ

パフィンはガラスがくもってましたが

だんだんと帰りの集合時刻が迫ってきたので再度マヌりにいったり、お土産を見たり。

 

終始べスポジ確保撮影ピープルたちがいたので遠巻きにマヌる

ありがとな、なすど…

最後にジャガーに挨拶をしに行って写真を。外との気温差で眼鏡がくもっちゃうよ~と思いながら撮影したのだが、曇っていたのはレンズだったのが後からわかった回。

 

メガネがくもってるなと思ったらくもってたのはカメラだったってわけ

そして那須どうぶつ王国を後にしたのだった…。

日帰りのバスツアーってどんなものか…と思っていたのだけど、想像以上に快適だしお手軽で、時間や懐事情が許せばまた気軽に来たいな、と思わせられた。

特に今回は冬季でファームエリアには行けなかった(それでも、時間はもっと欲しいくらいだった)ので、ぜひまた来たいところだ。

コラボも5月から再開するらしいし、動物に興味がある人には迷わずおすすめ。楽しい一日だった。

Anaal Nathrakh & SAMAEL「Double Headliner Japan Tour 2024 @ 赤羽ReNY alpha 2024/03/09」

Anaal Nathrakhを観てきました!
前回は2019年。ライブもうやらないかも、という時期もありましたがまた日本に来てくれて嬉しい限りですね。
ダブルヘッドライナーということで両バンドとも15曲以上やってくれる大満足セットでした。

 

■Cataplexy
日本のバンド。この日の中では最も伝統的なブラックメタルに近く、コープスペイントで登場。演奏はブラックメタルらしい寒々しい感じもありつつ、要所でメロディーが良く聞こえる感じで楽しかったです。

 

■SAMAEL
01.RAIN
02.SHINING KINGDOM
03.ANGEL'S DECAY
04.SLAVOCRACY
05.JUPITERIAN VIBE
06.BLACK TRIP
07.SON OF EARTH
08.THE ONES WHO CAME BOFORE
09.REIGN OF LIGHT
10.BAHOMET'S THRONE
11.CHOSEN RACE
12.INFRA GALAXIA
13.YEAR ZERO
14.CEREMONY OF OPPOSITES
15.SAMAEL
16.BLACK SUPREMACY
17.MY SAVIOUR

 

SAMAELは今回初めて知ったバンド。ドラムは不在でしたがKeyが要所でパッド(シンバルもあった?)を叩いたりとリズム的要素も不足感まったくなし。映し出される映像とも相まってコズミックな世界観がよく出ていました。
4つ打ち的な縦ノリの楽曲が多くてミドルテンポが魅力的、個人的には「The Age Of Nero」期あたりのSatyriconなんかを想起しつつ聴きました。

 

選曲はどうやら最近、再現セトリをやっていたらしいアルバム「Passage」曲をメインに他アルバムの曲を途中に混ぜ込んだ感じ。「Hegemony」は予習で聴いていたので、ライブのクライマックスでSamaelが披露されたときは感無量でした。わかりやすいメロディがあるタイプのバンドではないのですが、SF的な空気感はかなり好みだったので、これから聴いていきたいですね。

 

■Anaal Nathrakh
01.Acheronta Movebimus
02.Unleash
03.Hold Your Children Close And Pray For Oblivion
04.Libidinous (A Pig with Cocks in Its Eyes)
05.Bellum Omnium Contra Omnes
06.Between Shit And Piss We Are Born
07.Submission Is for the Weak
08.Do Not Speak
09.The Age of Starlight Ends
10.The Road To…
11.Obscene as Cancer
12.Idol
13.In the Constellation of the Black Widow
14.Forging Towards the Sunset
15.Forward!
16.Endarkenment

 

ANはこれまでにも2回、来日を見ていますがぶっちぎりで今回が最高でした。
これまでも暴虐性と泣きメロのコントラストは楽しめていたのですが、いかんせんサウンドが荒々しすぎて聞き取れない部分が多かったこれまでの来日と比べ、今回は会場のサウンドもかなりよく、ギターリフもギターソロもバッチリ聞き取れました。また、ヴォーカルやコーラスも楽器に埋もれず、特にクリーンで抜けてくる絶妙なバランスになっていて、楽曲の良さをあらためて確認しながら聴くことができました(リードギターのギターは他国に誤送されてしまったとのことでEVPのYAMA氏のギターだったとのこと。いい音でした)。

 

セットリストは直近の海外での公演とほぼ同じながら、激ヤバ曲「Libidinous」が追加されていてお得。あとは全体的にベストアルバムか?というほどのキラーチューンばかりで(そもそも攻撃力の高い曲ばかりではあるのですが)、ただただあっという間のライブでした。特にThe Road to…以降は本当に一瞬。演奏も全体的に精度が高く、Voはクリーン以外では突っ込みぎみに暴虐性を強調しつつもクリーンではタイトに歌い上げていてメリハリがきいていました。観客の盛り上がりも物凄く、なかなか危なっかしい瞬間もありましたが、メンバーは嬉しそうでしたし、EVPや来日を後押ししてくれた人々へ感謝を述べていました。

 

最後の「Endarkenment」も最新アルバム曲にして最高のキラーチューン。サビは一緒に歌いたくなりますよね。本当に最高のライブでした。まだまだ見たい!

 

名取さな「さなのばくたん。 -王国からの招待状- Powered by mouse @ 川崎チネチッタ 2024/03/07」

Vtuber、名取さなのイベントについに現地参加してきました。

普通にネタバレ書くので、これからアーカイブ視聴の方はご注意を…。

 

 

「名取さな」はいわゆる個人勢のVtuberで、今年で6周年を迎え、7年目に入ります。
私はVtuber四天王あたりが流行ってた頃に界隈を見始めて、名取さんを見始めたのは…この動画の頃だった気がします。インターネット上での振る舞いのライン引き…というか許容範囲が私のそれとかなり合致していたのでずっと心地よく継続視聴しています。当時はデビルマンMADとかも流行ってましたね。懐かしい(さすがに古参アピになっちゃうか…?)

 

 

2020年3月7日には初のライブイベントも企画されていたのですが、コロナ蔓延により直前で中止となってしまい(もう4年前か…)、翌2021年からは毎年川崎チネチッタでライブイベントを開催しています。


ライブイベント本編だけでなく川崎ラ・チッタデッラの各飲食店とのコラボも合わせて実施されているのが特徴で、当日だけでなく前後しばらくの間、コラボメニューなどを楽しむことができてとても施設に根付いたコラボになっているなと毎回感じます。かくいう私もグルメポップコーン「ヒルバレー」をコラボきっかけで食べ始め、コラボ期間以外でもたまに買いに行くリピーターになってしまいました。

 

誕生日のイベントでは川崎チネチッタ(映画館)のスクリーンを使って開催され、今年はなんと全スクリーンを貸し切りでの大型開催となりました。自身のオリジナル曲も毎年リリースしており、それに加えて各回のテーマに沿ったカバー曲も披露されるライブパートと、アンケートやコメントとの交流を取り入れた催し、トークパートにより構成されるイベントで、前回までは声出しNGだったのでサイリウムの色により観客が感情表現をするという文化が根付いていました(赤は怒り、青は哀しみ、緑は草など)。

 

私も毎年イベント自体は配信で見ていたのですが、しばらくはコロナもあったし、なによりここ数年は仕事がマジでキツい感じだったので、現地でイベント参加できるのは今回が初でした(飲食コラボは今までも行ってました)。やはり現地は良いですね、没入感が違います。残業しながら片目で見た去年(けっきょく去年は途中で感情がぐちゃぐちゃになったので仕事どころではなくなりましたが…)とは大違いです。

 

私の場合はわりと現地に行きやすいこともあり、当日は有休とっていたもののコラボ飲食は後日…として、ラゾーナをうろうろしたあとにチネチッタに移動しました。(有休を最大限に使いたかったので映画「ボーはおそれている」を見ました。何で?こんな3時間もある映画を前菜として見てしまったの…?)

 

現地入りすると入場が開始しており、どこを見ても名取グッズを持った者たち。なれ合いは禁止なので会話はほとんど聞こえてきませんが、謎の一体感を感じました。私は前から数列目の真ん中あたりというかなり良い位置取りで、後ろからの観衆の声もバッチリ聞こえつつ楽しませてもらいました。

 

■セットリスト
01.エッビーナースデイ
02.メチャ・ハッピー・ショー
03.PINK,ALL,PINK!
04.ナゾトキ処方箋(てにをは カバー)
05.デビルの証明(新曲)
06.いっかい書いてさようなら(新曲)
07.さなのおうた。

 

イベントが開始するとまずは王による前説(およびコール&レスポンス練習)。
初期からの楽曲でコール&レスポンス要素が多いものが連続で3曲取り上げられており、なるほど当初は声出しNGになる世界なんて想像できなかったものな…という感慨もありつつ。前回の爆誕イベントがいわゆる「名取さな 第1期」を締めくくるようなシリアスめの内容だったこともあり、今回は新しいタームの始まりという感じで、本来あるべき姿でのコール&レスポンスで各楽曲の印象をアップデートしていく感覚が味わえました。これは現地勢でよかったと強く思いましたね。

 

トークパートは前回までの登場名取たちを踏まえて複数名取が同一世界線上に存在している表現で、画面の見栄えとしても豪華でしたし毎年演出のレベルアップを感じて楽しいですね。これまでも複数うさちゃんせんせえダンスなど、複数の生命が動いている状態は見ていましたが、これだけ同時存在名取が一気に摂取できるのは新鮮な体験でした。

 

声出しを確認するようにレスポンスを煽る名取と「うおおお」で応えるオタクたちの構図、配信だとあまり歓声大きくは聞こえませんんが現地はかなりウケる感じでした。アンケートは最初こそ電波がなかなか入らず、待って!待って!という声があちこちから飛んでいましたが、実際のアンケートメインコーナーでは大丈夫そうだった印象です。あとハウリングの質感高すぎてびっくりしちゃったよね(マジのやつじゃんという聞こえ方でした)。

 

今回の新衣装である探偵名取も短パンとみつあみがかなり良くて、アクスタ買っておけばよかった…とめちゃくちゃ思いました。当日は売り切れていたので、通販で確保します(ああ、「ボーはおそれている」を見に行ったばっかりに…)。カバー曲の「ナゾトキ処方箋」もとても良くて感動しました。名取さんは声質が抜けてきやすいのもありますが、感情を声に乗せる、演技的な歌い方がとても上手で、どんな曲でも自分の表現にできているのが本当にすごいと思います。

 

謎ときパートも面白かったです(詳細はぜひアーカイブ配信をご覧いただきたい)。名取のリアクションもさることながら、私のいたスクリーンでは4桁の数字を当てるところで「0001!」「0002!」「0003!」(それぞれ別方向から)という総当たりが始まっていてさすがに超ウケてしまいました。たけのこニョッキか?

帰宅後、配信で見るとどうやら8スクリーンではちゃんと名取の問いかけに答えていたっぽいのですが、弊スクリーンでは1000の位まで「わかんなーい」が最大勢力だったので、そのへんの違いを楽しめるのも現地ならではですね。

 

新曲2曲もたいへん素晴らしかったです。今までの楽曲はあえて分類するなら「名取さなという存在を語るための歌」が多かったと思いますが、今回は一歩外側に出て、「こういうイベントを表現するために必要」という発想での楽曲群だったように思います(そういう意味では、去年の「ゆびきりをつたえて」から始まる「おしりぷり音頭」含む楽曲群からがそのモードであるともいえそうですが)。

 

制服名取パートは少しだけ前回を引き継いだメッセージ性のパート。モードがブルアカ配信のシュロをやっていたときを彷彿とさせていて少しニヤッとしてしまいました(というか、全編マスクのしたでオタク・スマイルしながらサイリウム振っていたのですが…)。名取さんは自分の表現物を作ることで自分の成果物に自分の生き方をアップデートさせていっている感があり、そういう意味では表現の発信者でもあり受信者でもあるという位置取りなのでさなちゃんねる民との一体感や共感も生まれているのだなとあらためて感じました。

 

本編終了後、スクリーンにタイトルロゴが出たあとにしばらくの沈黙があり、どこからともなく「あ、アンコールかあ!!」という声からアンコールが始まったのもさなちゃんねる民の空気という感じでとても楽しかったです。終演後はEX THEATER ROPPONGIでのライブが秋に開催されることが発表に。今までの生誕祭もライブではあると思うのですが、わざわざ1st Liveと銘打つからにはより音楽にフォーカスした内容にしてくるのではと期待が高まります。会場自体は筋肉少女帯のライブなどで行ったことがありますが、かなり広かった記憶があるので、あそこがピンクに染まるのがいまから楽しみです。

 

東京佼成ウインドオーケストラ「酒井格作品集」

私が特に好んで聴いている吹奏楽団の新作が出た。

 

 

tower.jp

 

東京佼成ウインドオーケストラ(以下、TKWO)は数年前から独立し、それに伴い一時的に活動規模も縮小、CDのリリースもかなり減ってしまっていた。

それでも定期演奏会のクオリティは毎回さすがと唸らされるものだったし、一度窮地を経たからこそ現在の聴衆との関係もまた築けてきているのではと思う。来シーズンの定期演奏会も発表され、その意欲的なプログラムにはとても期待が高まっている。

 

今作は久しぶりのセッションレコーディングによる新作で、しかもひとりの作曲家に焦点をあてた企画盤だ。指揮者の大井氏はもともと吹奏楽好きとして知られているところではあるが、なんと今回の企画は大井氏の出資によるとのこと。

 

「イタリスト」を自認する酒井格ファンの大井氏率いるTKWOは、今回のレコーディング直前に同内容の演奏会を行っていたこともあり、いずれもライブ感のあるハイテンションな仕上がりになっている。

 

今回の目玉はなんといっても出世作である「たなばた」(正式名は「The Seventh Night of July」)の初期稿だろう。酒井が高校在学中に独学で書き上げたこの曲は、後にいくらかの改訂を経て海外の出版社に持ち込まれ、見事出版にこぎつける。日本でもバンドクリニックをきっかけの一つとして広まり大ブレイクし、今では国内吹奏楽曲の代表の1つと言っても過言ではない普及度合いとなった。今回の演奏は楽譜こそ初期版であるものの、解釈は最新…つまり、特に後半部の仕掛けなどが明らかになっている状態であるため、より興味深く聴ける。演奏のメリハリのバランス感も素晴らしく、仕掛けを強調しすぎることなく各声部が聴き取れるようにしていてとても良い。あらためてこの楽曲の魅力を認識できた。

 

「148の瞳」「さよなら、カッシーニ」といった比較的新しい楽曲が取り上げられているところも大井氏のこだわりを感じさせる。いずれも持ち味のメロディーの良さに加え、スパニッシュであったりサウンドトラック的であったりと多様な表情を見せるオーケストレーションも魅力だ。

 

「森の贈り物」は個人的に一番期待していた楽曲だ。様々な楽器の印象的なソロもさることながら、楽曲を貫く大きな一本のストーリー感が心地よい。それでいてアンサンブルはなかなかの難所が多いのだがここでもTKWOは常に美しいサウンドを響かせている。これまではこの作品を聴きたいときは委嘱元である龍谷大学が鉄板だったのだが、今後はこの演奏も決定版の一つになるだろう。

 

「いちご協奏曲」はフルート、オーボエファゴットの三重協奏曲で、なんと大井氏の委嘱。自分で楽曲を委嘱までしてしまうとは、この作品集(および演奏会)に傾けた情熱のほどが伺えるというものだ。特に木管楽器の近現代の協奏曲というと特殊奏法であったり難解な語法を使った曲が多い印象があるが、そこはさすが酒井と言おうか、どの瞬間をとってもメロディアスであり聴きやすくキャッチーだ。私も吹奏楽をやっていたときに酒井作品を演奏したことがあるが、そのときと同じ「演奏していて楽しくなる音楽」になっているのだろうなと感じた。

 

初期の代表曲から最近の曲、そして協奏曲と吹奏楽における酒井格作品の様々な形態を味わえる贅沢な一枚となっているので、酒井格入門にも既存の酒井格ファンにもおすすめできる好企画と思う。ぜひ聴いてみていただきたい。

 

また、本アルバムはCAFUAレコード公式から購入すると過去に酒井氏と大井氏が対談形式で「たなばた」の解説を行った際の動画が付いてくる(2時間以上)ので、だんぜんオススメだ。

 


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cali≠gari「cali≠gari 30th Caliversary”1993-2024″ 同級生は13歳 @ Spotify O-WEST 2024/02/29」

cali≠gariの月末ライブに行ってきました。
30周年ということで各月30日に行っているライブで、毎月趣向を凝らした企画が行われます。今回は2月なので29日。

 

■セットリスト
SE
01.とある仮想と
02.夜陰に乗じて
SE
03.嗚呼劇的
04.トゥナイトゥナイ ヤヤヤ
05.隠されたもの
SE
06.鐘鳴器
SE
07.動くな!死ね!甦れ!
SE
08.カメラ オブスキュラ
SE
09.死は眠りを散歩する
SE
10.オーバーナイトハイキング
SE
11.その斜陽、あるいはエロチカ
SE
12.吐イテ棄テロ

En1.
SE
13.狂う鐫る芥
14.わるいやつら

En2.
15.Kiss in the moonlight (UP-BEAT)
16.IDENTITY CRISIS (GRASS VALLEY)
17.Engaging Universe (SOFT BALLET)

 

復活後にずっとcali≠gariを支えているマニピュレータの白石元久氏がこの閏日の生まれということもあり、同級生は13歳(ギター桜井と同学年だが、誕生日は4年に一度なので…というネタ)というライブタイトルとなりました。また、かつて同名のドラマがあり、その主題歌をUP-BEAT(桜井がたいへん影響を受けたバンド)が担当していたこともあり、当時のビートロック、ニューウェーブ的ドラムのオリジネイターの一人である上領亘氏をゲストドラマーに迎えての公演となりました。

 

白石氏はcali≠gariのライブのオープニングやアンコール前のSEなども制作してきており、そのSEに焦点を当てるという非常に特殊な構成。曲が終わるたびに照明が暗転しSEからの曲演奏に移るさまは極小のライブを何度も何度も体験しているかのようで、時間感覚が狂わされるような不思議な感触でした。

 

セットリストはこれまでcali≠gariのアルバムレコーディングで上領氏が叩いてきた楽曲群をベースにSEの存在する曲を交えたもの。特に「トゥナイトゥナイ ヤヤヤ」はアルバム版のアレンジでライブ披露されたのは初めてだったはずなので、とても貴重でした。

 

普段は舞台袖で見えるか見えないかの位置にいる白石氏はこの日はステージ中央の奥に陣取り、ドラムセットも左右に配置。左側を上領氏が担当していました。暗転から白石氏だけにスポットが軽くあたり、SEをたっぷり時間をかけてからのオープニング。いつもはメンバーが出てくる方に気を取られますが、SEを堪能しようとしてみるとそれぞれの構築感(だんだんビートが増えてくるビルドアップ感とか、凝ったパンニングとか)がよくわかり、また新しい気持ちで楽しめるなと感じました。

 

「とある仮想と」は静と動のグラデーションが美しい曲で、特に後半の疾走感はこれぞオリジナルというビート感。cali≠gariはけっこう前のめりなビート感の演奏になることが多めかなと思うのですが、上領氏は非常にタイトにビートを置いていくので、また違った味わいが出ます。「嗚呼劇的」からの「トゥナイトゥナイ ヤヤヤ」で早くもこの日のひとつのハイライト。特にトゥナイは実演に際しアルバムアレンジでありつつもかなり攻撃的なビートになっており、もとの浮遊感を活かしつつもSOFT BALLETのVirtual war的なEBM感が漂ってとてもカッコいいサウンドでした。

 

「カメラ オブスキュラ」や「死は眠りを散歩する」ではまた違うビートパターンが楽しめ、特に後者ではここまでヘヴィでダークな上領氏はなかなか見られないのではというレア感を堪能。「その斜陽、あるいはエロチカ」「吐イテ棄テロ」はそもそもの演奏機会がかなり減っていた曲でもあり懐かしさとともに新鮮に聴きました。

 

アンコールでは白石氏が右側のドラムに座り、ツインドラム編成に。SOFT BALLETやそれに影響を受けたであろうGOATBEDなどでも見る形態ですね。白石氏のドラムはずっしりとした音で、軽やかでテクニカルな上領氏とよいコントラストになっていました。メンバー全員がたいへん楽しそうだったのも印象的です。白石氏がドラムなのにマニピュレータ席に戻ってしまったことから急遽村井氏がMCでつないでメンバー紹介などをしていましたが、結局指摘されるまで気づかずに、次もドラムですよね…?と言われてからのドラムに移動し、上領氏がポン出しをするという微笑ましい展開も。続く「わるいやつら」は微笑ましさなし容赦なしの凄まじい演奏で、原曲でも暴れまくりのドラムを披露した上領氏がとにかく凄い。中間部の歌の後ろでドラムソロをするパートは白石氏がハットでキープしつつ上領氏が暴れまわるという目がいくつあっても足りない見どころ満載の一瞬でした。

 

ダブルアンコールはコピーバンド大会に。
先述のUP-BEATに加え、上領氏がかつてメンバーだったGRASS VALLEYや上領氏や白石氏に縁の深いSOFT BALLETの曲をカバー。後者2曲はすでに過去ライブでも取り上げたことがあるのもあって安定した演奏(桜井氏は途中譜面見てましたが…)で、UP-BEATも桜井氏が学生時代にコピーしまくった思い出の曲ということもあってか熱の入った演奏。ベースフレーズもさらに練られていたように感じましたし、ぶっちゃけこれ系のカバーで1枚アルバム出してほしいくらいの楽しさでした。(cali≠gariは過去にBUCK-TICKやDEAD ENDのトリビュートでそれはもう見事なカバーを披露しており、そちらもおすすめです)

 

また4年後にやりましょう、と話されていましたが、こちらはいつやってくれてもウェルカムですよ!という気持ちです。またこういう機会があることを願いつつ…。