Uli Jon Roth「Scorpions-Revisited」

初期スコーピオンズを支え、名曲の数々を産み出すと共にクラシカルな要素を多分に取り入れたプレイで後のギタリスト達に多大な影響を与えたウリ・ジョン・ロート。
スコーピオンズ脱退後も別プロジェクトやソロで活動をしていたが、2014年にスコーピオンズ時代の曲を演奏するツアーを開催。さらに完璧な音源をということで観客なしのライブレコーディングを行った。

ウリによるとこの企画を提案したのはウォーレン・デ・マルティーニとのこと。ありがとうウォーレン。
曲によってはインプロヴィゼーションパートが追加されていたりと、ウリ100%仕様にしたセルフカヴァーといった趣で、スコーピオンズと言うよりウリのファン向けといえるだろう。
演奏陣も非常にうまい。クラウス・マイネとは別のタイプのヴォーカリストを探したとの事だがネイサン・ジェイムズは見事にそれをこなしており、スコーピオンズ自体にそこまで思い入れがない身としては全く違和感なく楽しめた。

ウリのプレイも素晴らしい。
特に名曲「The Sails of Charon」がライブ版で聴けるのは嬉しい。中間のインプロパートでのヴォーカルとギターの掛け合いも面白いし、テクニカルなパッセージを次々と決めていくのは痛快だ。
スカイギターならではの超高音も随所で聴くことができ、ヴァイオリンのような音色を歌心充分に響かせている。
また、観客なしのライブレコーディング(オーバーダブあり)というスタジオ版とライブ版のいいとこどり風手法によるものか、演奏のテンションとクオリティの両立ができているのもよい。

スコーピオンズ以降の楽曲でも同様の試みを行う予定とのことで、そちらも期待大だ。