トベコンチヌエド。

CDやコンサートの感想を主に書いています。

東京佼成ウインドオーケストラ「第165回定期演奏会」

東京佼成ウインドオーケストラ定期演奏会に行ってきました。今回の指揮は飯森範親さん。


最近でもチェザリーニの交響曲を取り上げていたり、以前にも華麗なる舞曲のときにクレストンのサクソフォン協奏曲を取り上げたりとTKWOとの相性も抜群です。

 

今回はまさかのJ.マッキーオンリープログラム。
飯森さんのスピーディーで熱い指揮に合っていると思いますし、発表時から楽しみにしていました。
期待通り、いえ、期待以上の熱演。大満足です。
 

■曲目
01.オーロラは目覚める(J.マッキー)
02.ソプラノ・サックスとウインド・アンサンブルのための協奏曲(J.マッキー)
03.翡翠(J.マッキー)
04.レッドライン・タンゴ(J.マッキー)
05.フローズン・カテドラル(J.マッキー)
En.
06.Let Me Be Frank With You(J.マッキー) 

 

・オーロラは目覚める
かつてJWECCで取り上げられていたときの音源を聴いてからずっと気になっていた曲。
CDで聴いていたときも好きだったのですが、実演で聴くと更に魅力が倍化。
とくに超弱音の冒頭部を含む幅広いダイナミクスレンジと響きは現地で聴かないと真価がわからないタイプのもの。
飯森さんの指揮は明瞭かつ曲の中で起こるイベントをわかりやすく提示し、最後に向けた長い盛り上がりを作り上げていました。

 

・ソプラノ・サックスとウインド・アンサンブルのための協奏曲
ソプラノサックスのための曲という点でも有名ですが、その難しさもサクソフォン奏者の中では有名。
ラーションなどのように超高音がきついとか、クレストンなどのようにリズムが難しいとかというよりは、全体的に難しく、単純に全力疾走を最初から最後まで要求されるようなフィジカル的なキツさがある曲です。
林田さんはTKWOのコンサートマスターも務める実力派のサクソフォン奏者ですし、幅広い音楽性やチャレンジ精神もある方なので、曲目が発表されてからずっと楽しみにしていました。
実際に演奏も素晴らしく、各楽章でのキャラクターをとらえながらも終楽章まで走りきりねじ伏せるさまは感涙ものでした。特にカデンツァ直前くらいからの没入感は半端ではなく、聴いているだけのこちらも体温が上がるのがわかりました。
バックのオーケストラもリズム的にシビアな面が多数あり、特にピアノ、鍵盤打楽器、ティンパニ、低音木管楽器群はかなりアンサンブルが大変そうでしたが、スリリングながらも見事な演奏でした。

 

翡翠
2楽章に効果的なバンダがあるのは知っていましたが、静かな一楽章でもトランペットのバンダがあったとは。録音だとバンダの聞き分けとか難しいですよね…。
マッキーの曲らしく、フレーズが展開というよりはリフレインされつつ異なる組み合わせで聞こえながら全体の響きが変容していく感じですが、やはり後半の高揚感には胸が熱くなりました。

 

・レッドライン・タンゴ
コンクールなどでも取り上げられることがあり、演奏頻度的にはこの日の曲の中で一番かもしれません。
急緩急の構成もわかりやすく、マッキーの初期作にしていいとこ取り感があります。メジャーデビューシングルみたいな感じ。
これも相当な難曲ですがこの日の曲目の中では少し箸休め的に響くのが恐ろしいところ。
ソプラノサックスやクラリネットなどに印象的なソロがありますが、特に鮮烈だったのは中間部のEsクラリネットでした。

 

・フローズン・カテドラル
凍った世界をイメージできるような金属系打楽器が各所で効果音的に使われ、15分かけてゆっくりと大伽藍が構築されていく曲です。
ここまで聴いてきたマッキーの語法がそこかしこに感じられるとともに、テンションに頼らない円熟味のある高揚感はさすが。
演奏もたいへん美しく、最後の金属打楽器の余韻が消えるのを待って万雷の拍手が贈られました。
この曲もそうですが、本来は客席後方に配置されるバンダが今回は舞台裏や舞台端に配置されていたのは少し気になりました。
なかのZEROは客席の最後列から壁が近く、スペースがとれないと判断されたのかもしれません。

 

・Let Me Be Frank With You
アンコールももちろんマッキーの曲。ポップなスタイルで、ソロやスタンドプレーなども含め曲名通りの楽しい演奏でした。コントラバス回しも決まってました。

 

全体を通してものすごい熱量の演奏会でした。聴いているだけでもキャパシティオーバーしそうだったので、演奏側はさぞかし大変だったでしょう。マイクも立っていたので音源化も期待したいところです。