東京藝大ウィンドオーケストラ「第98回定期演奏会 @ 奏楽堂 2024/11/16」

■曲目
01.オリンピック序曲(團 伊玖磨)
02.アスキリヤヴェ ~ありしものへ(長生 淳)
03.吹奏楽のための協奏曲(ロバート・ジェイガー)
04.交響詩「ローマの噴水」(オットリーノ・レスピーギ/編曲:木村吉宏)
05.交響詩「ローマの松」(オットリーノ・レスピーギ/編曲:木村吉宏)

 

秋の定期はアレンジものがメインになることが多いのでしょうか。去年のベルキスに続き、今年もレスピーギ
もう1年たつという事実に震えつつも行ってきました。

 

■オリンピック序曲
祝典行進曲などでも聴ける團伊玖磨の高貴な吹奏楽サウンドが堪能できる曲。
このタイプの響きは大井さんに合うと思っていたので楽しみにしていました。
期待どおりの上品な演奏で、チューブラーベル4台を使った迫力も十分。

 

■アスキリヤヴェ
現代的な技法が多く、現場で聴くと響きのうつろいが美しい曲なのだなと。
最後の方にキレイな主和音が見え隠れして希望を感じさせるさまなど、微細な表現が見事で、今まで聴いてきた他の長生作品でのカッコいい感じとはまた違った魅力を知ることができました。

 

吹奏楽のための協奏曲
いくつかの動機が絡みあう、シンフォニア・ノビリッシマタイプよりは交響曲タイプのシリアスな作風。
各楽器の見せ場もあり楽しめる内容で、とくにホルンソロがすばらしかったです。
後半の木管低音によるオスティナートなど、モダンかつパワフルでカッコよかったですね。

 

■ローマの噴水
弱奏パートが多く、3部作の中では吹奏楽で演奏するのが最も難しいと思われます。
さすがに個人技術の高さを活かして堅実な演奏でありつつも、中間楽章でのきらびやかさが心地よく聴きました。

 

■ローマの松
冒頭のホルンとフリューゲルの力強さに一気に惹き込まれました。
バンダやたくみなバランス操作による多層的な聴こえ方も面白く、近くで聞こえたり遠くで聞こえたりと楽しさがありましたね。
終結部に向かう長大なクレッシェンドも心地よく、アッピア街道は鳴らしきる吹奏楽で聴くとやはり痛快だなあと感じました。

 

今回もとても楽しめました。

ジェイガーの協奏曲などは実演で聴くことがまずないので、こうした音大が学びの一環として取り上げてくれるのは大変応援できます。

今後もできるかぎり聴きに行きたいですね。