cali≠gariの月末ライブに行ってきました。
30周年ということで各月30日に行っているライブで、毎月趣向を凝らした企画が行われます。今回は2月なので29日。
■セットリスト
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01.とある仮想と
02.夜陰に乗じて
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03.嗚呼劇的
04.トゥナイトゥナイ ヤヤヤ
05.隠されたもの
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06.鐘鳴器
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07.動くな!死ね!甦れ!
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08.カメラ オブスキュラ
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09.死は眠りを散歩する
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10.オーバーナイトハイキング
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11.その斜陽、あるいはエロチカ
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12.吐イテ棄テロ
En1.
SE
13.狂う鐫る芥
14.わるいやつら
En2.
15.Kiss in the moonlight (UP-BEAT)
16.IDENTITY CRISIS (GRASS VALLEY)
17.Engaging Universe (SOFT BALLET)
復活後にずっとcali≠gariを支えているマニピュレータの白石元久氏がこの閏日の生まれということもあり、同級生は13歳(ギター桜井と同学年だが、誕生日は4年に一度なので…というネタ)というライブタイトルとなりました。また、かつて同名のドラマがあり、その主題歌をUP-BEAT(桜井がたいへん影響を受けたバンド)が担当していたこともあり、当時のビートロック、ニューウェーブ的ドラムのオリジネイターの一人である上領亘氏をゲストドラマーに迎えての公演となりました。
白石氏はcali≠gariのライブのオープニングやアンコール前のSEなども制作してきており、そのSEに焦点を当てるという非常に特殊な構成。曲が終わるたびに照明が暗転しSEからの曲演奏に移るさまは極小のライブを何度も何度も体験しているかのようで、時間感覚が狂わされるような不思議な感触でした。
セットリストはこれまでcali≠gariのアルバムレコーディングで上領氏が叩いてきた楽曲群をベースにSEの存在する曲を交えたもの。特に「トゥナイトゥナイ ヤヤヤ」はアルバム版のアレンジでライブ披露されたのは初めてだったはずなので、とても貴重でした。
普段は舞台袖で見えるか見えないかの位置にいる白石氏はこの日はステージ中央の奥に陣取り、ドラムセットも左右に配置。左側を上領氏が担当していました。暗転から白石氏だけにスポットが軽くあたり、SEをたっぷり時間をかけてからのオープニング。いつもはメンバーが出てくる方に気を取られますが、SEを堪能しようとしてみるとそれぞれの構築感(だんだんビートが増えてくるビルドアップ感とか、凝ったパンニングとか)がよくわかり、また新しい気持ちで楽しめるなと感じました。
「とある仮想と」は静と動のグラデーションが美しい曲で、特に後半の疾走感はこれぞオリジナルというビート感。cali≠gariはけっこう前のめりなビート感の演奏になることが多めかなと思うのですが、上領氏は非常にタイトにビートを置いていくので、また違った味わいが出ます。「嗚呼劇的」からの「トゥナイトゥナイ ヤヤヤ」で早くもこの日のひとつのハイライト。特にトゥナイは実演に際しアルバムアレンジでありつつもかなり攻撃的なビートになっており、もとの浮遊感を活かしつつもSOFT BALLETのVirtual war的なEBM感が漂ってとてもカッコいいサウンドでした。
「カメラ オブスキュラ」や「死は眠りを散歩する」ではまた違うビートパターンが楽しめ、特に後者ではここまでヘヴィでダークな上領氏はなかなか見られないのではというレア感を堪能。「その斜陽、あるいはエロチカ」「吐イテ棄テロ」はそもそもの演奏機会がかなり減っていた曲でもあり懐かしさとともに新鮮に聴きました。
アンコールでは白石氏が右側のドラムに座り、ツインドラム編成に。SOFT BALLETやそれに影響を受けたであろうGOATBEDなどでも見る形態ですね。白石氏のドラムはずっしりとした音で、軽やかでテクニカルな上領氏とよいコントラストになっていました。メンバー全員がたいへん楽しそうだったのも印象的です。白石氏がドラムなのにマニピュレータ席に戻ってしまったことから急遽村井氏がMCでつないでメンバー紹介などをしていましたが、結局指摘されるまで気づかずに、次もドラムですよね…?と言われてからのドラムに移動し、上領氏がポン出しをするという微笑ましい展開も。続く「わるいやつら」は微笑ましさなし容赦なしの凄まじい演奏で、原曲でも暴れまくりのドラムを披露した上領氏がとにかく凄い。中間部の歌の後ろでドラムソロをするパートは白石氏がハットでキープしつつ上領氏が暴れまわるという目がいくつあっても足りない見どころ満載の一瞬でした。
ダブルアンコールはコピーバンド大会に。
先述のUP-BEATに加え、上領氏がかつてメンバーだったGRASS VALLEYや上領氏や白石氏に縁の深いSOFT BALLETの曲をカバー。後者2曲はすでに過去ライブでも取り上げたことがあるのもあって安定した演奏(桜井氏は途中譜面見てましたが…)で、UP-BEATも桜井氏が学生時代にコピーしまくった思い出の曲ということもあってか熱の入った演奏。ベースフレーズもさらに練られていたように感じましたし、ぶっちゃけこれ系のカバーで1枚アルバム出してほしいくらいの楽しさでした。(cali≠gariは過去にBUCK-TICKやDEAD ENDのトリビュートでそれはもう見事なカバーを披露しており、そちらもおすすめです)
また4年後にやりましょう、と話されていましたが、こちらはいつやってくれてもウェルカムですよ!という気持ちです。またこういう機会があることを願いつつ…。