特撮「ウインカー」

大槻ケンヂ率いる特撮の新作。
オーケン、去年は筋肉少女帯のアルバム出してたので、すごい数の歌詞を書いてますね…。

前作「パナギアの恩恵」はクオリティ自体は高かったものの、全体的にやや散漫な印象も受けた作品でした。
今作では曲作りに際して楽器隊でスタジオに何度も入り、ゆっくりと楽曲を構築していったとのこと。
そのかいあってか、楽器の絡み合いやサウンドのまとまりが素晴らしく心地よく仕上がっています。

シングル曲である「シネマタイズ(映画化)」および「ハンマーはトントン」も収録されていますが、あとは新曲(セルフカバーはあり)。
この「シネマタイズ」つまり「映画」がアルバム全体のテーマというかコンセプトになっているような印象を受けました。

大槻の歌詞はさらに描写的で、それぞれの楽曲で映画のワンシーンを切り取ったような情景を描き出しています。
しっとりと「荒井田メルの上昇」で幕を開け、所々で登場する「荒井田メル」の存在がアルバム全体に統一感をもたらしているように思います。

楽曲はNARASAKI、ARIMATSU、三柴それぞれによる作曲のものが並びバラエティ豊か。
初期のようなダークな世界観と、最近のしっとりした落ち着きが同居した強力なアルバムだと思います。