2014年から東京佼成ウインドオーケストラの正指揮者である大井剛史によるライブ盤が発売となりました。
第119回と第124回の2回の定期演奏会で演奏された楽曲の中から、アルフレッド・リードの作品を集めてパッケージにしたものです。
リードの楽曲は複数のパートに同じ旋律を受け持たせることが多く、ともすればもやのかかったようなぼやけたサウンドになりがちという印象をもっていました。
ところが、本アルバムではそのようなサウンドは全く聴かれません。
トゥッテイの場面でもうるさくならず、各パートがくっきりと聴こえます。これは録音が素晴らしいこともあるのでしょうが、それ以上に演奏が素晴らしいからだと思います。
フェネルのウィンド・アンサンブルの遺伝子がきちんと今まで受け継がれていることの証左といえるでしょう。
特に人気曲の「春の猟犬」ですが、この演奏は私が今まで聴いた同曲の演奏の中でもトップクラスに好きです。冒頭の華やかさの心地良いこと!
あまり実演に接することの少ない「アーデンの森のロザリンド」や「第2交響曲」についても、このクオリティでの録音が出たことには大きな意味があるかと。
何より目玉は「アルメニアン・ダンス」の全曲でしょう!
これは録音が行われたコンサート、私も聴きに行っていました。
大井さんの解釈は正統派で誠実。スコアの隅々まで楽しめる演奏と録音になっており、特に「結婚の踊り」の美しさは絶品。
「アルメニアン・ダンスはもう沢山録音が出ているから…」で敬遠するのはもったいない!
是非たくさんの吹奏楽人たちに聴いていただきたいアルバムです。