神聖かまってちゃん「ツン×デレ」

神聖かまってちゃん、結成10周年。

23才の夏休みを歌っていたの子も、そして33才に。

 

ツン×デレ

ツン×デレ

 

 

夏休みシリーズのフレーズを使いつつもモナコインなど今を感じさせるキーワードをちりばめてつくられた「33才の夏休み」はリアルかつ爽やか。こういった時事ネタってすぐに風化してしまう感が強いのですが、そのぶん少し時間をおいて聞き返すとその頃のことを鮮明に思い出す助けになったりするんだな、というのが最近わかってきました。多分数年後にこの曲を聞いたとき、仮想通貨周りの今のいろいろを一緒に思い出すんだろうな。

 

バンド感が強く、キーボードのフレーズが耳に残る「8月の駅」はMVも素晴らしい。この爽やかさをベースにしつつも切なくやるせない味は彼らの持ち味ですが、夏の曲ではそれが十二分に発揮されていると思います。

 

「トンネル」では大槻ケンヂか!?と思うような物語性のある世界を展開。「入り口があったじゃねえか」という発想は我々の世代に無意識で共有できそうな感覚かなと思いました。アルバムタイトルはこの曲にひっかけて「詰んだ、出れない」ということなのかな?と思ってみたり。

 

「決戦の日」はこのアルバムの白眉でしょう。ギターのリフからして非常に心揺さぶられるのですがなんといっても歌詞。かつて学校へ行きたくない、と歌っていた彼らが10年を経て「逃げたら次があるさ、ちゃんと逃げて」と歌う重さと強さに綺麗事ではない美しさをとても強く感じました。若人だけでなく自分にも向けた不器用な応援ソング。

 

ラストの「大阪駅」も素晴らしく、サビのメロディと歌い方は10年前では決して出せなかった味。扱う対象が学校からバイトへ、職場へと場所を変えつつも彼らの本質はぶれることなく、だからこそ今も彼らの歌は私達の歌として響いてくれるのでしょう。

 


神聖かまってちゃん「8月の駅」MusicVideo