森下唯「オールアルカン ピアノ・リサイタルvol.4 @調布市文化会館たづくり くすのきホール」

昨年に引き続き、森下さんの演奏を聴いてきました。

 

 

01.すべての短調による12の練習曲 作品39-3 「悪魔的スケルツォ
02.片手ずつと両手のための3つの大練習曲 作品76
03.すべての短調による12の練習曲 作品39-1 「風のように」
04.すべての短調による12の練習曲 作品39-2 「モロッシアのリズムで」
05.すべての短調による12の練習曲 作品39-11 「序曲」
06.すべての短調による12の練習曲 作品39-12 「イソップの饗宴」

 

En.
07.悲愴な様式による3つの曲 作品15「風」
08.夜想曲 第1番 作品22

 

今年発売されたアルバムのうち「すべての短調」からの5曲をメインに、「片手ずつと両手のための3つの大練習曲」を挟んだ充実のプログラム。楽しく聴きました。

 

「悪魔的スケルツォ」で幕開け。客席が少しざわついていたこともあってか、序盤は若干きつそうでしたが、すぐに持ち直し、迫力たっぷりの演奏でした。アルカンの楽曲は音域を広く使った多彩な響きが楽しめますが、大きいホールで実演を聴くとスタジオ録音とはまた違った声部だったりが聴こえてきて興味深いですね。この曲での見どころはやはり後半の弱音パートで、美しくもキレのあるパッセージを楽しみました。

 

「片手ずつと両手のための3つの大練習曲」ではまず左手のみ、次に右手のみ、最後に両手合わせてという構成。とは言ってもさすがはアルカン、片手のためとは思えない音数です。森下さんの演奏はさすがの一言で、あふれるような音の中でもここがメロディなんだな、ここは連符だけど伴奏なんだな、というのがはっきりと読み取れました。これだけわかりやすく提示されると、いっそう楽曲への理解も深まるというものです。最後の「相似的無窮動」では両手で全く同じ旋律を弾き続けるという、そのコンセプトだけ聞くとハノンでも想起してしまいそうな曲。しかし片手だけであれだけ濃密な世界を描けるアルカンですから一筋縄ではいきません。片手のための曲で見せたような多彩な表現が、オクターブで演奏されることによって分厚さをもって迫ってきます。
ちなみにこの曲自体ははじめて聴いたのですが、「相似的無窮動」のメロディだけはアムランのエチュードでの引用で知っていました。このメロディ、頭に残るんですよね。

 

休憩を挟んで「風のように」。音源でも感じていましたが、これだけの速さでするっと弾いてしまうのは驚愕というほかありません。中間部の跳ねるようなメロディも楽しげで素敵。「モロッシアのリズムで」でも印象は音源と同じですが、視覚的な情報が入ることにより、さらに「ため」や「揺れ」への共感が高まりました。
「序曲」はまさにホールで聴けてよかったという曲。会場の響きによってリバーブがかかったり、あるいは細部がぼやけ気味に聴こえたりするのを含めてオーケストラのような楽しみ方ができるようになっていたと思います。やはり響きがどれくらい残るか、次の音に干渉するか、ホールで聴いた時にどのように聴こえてくるかというのは実演でないと味わえない要素ですね。

 

プログラム最後は「イソップの饗宴」。特にこの曲を楽しみにしていました。
主題が提示され、幾度も変奏されていくこの曲。森下さんは各変奏ごとに適切なキャラクターを描き分け、変奏感でも必要と思われるときは少しのマをあけて演奏していました。ファンファーレ風のパートでの輝かしさ、フォルテシモの重厚感と硬さ、何と言っても32分音符パートの華麗さには目を奪われました。あらためて、聴きやすさと変態性が同居した面白い曲だと感じました。

 

アンコールでは「風」を演奏!これもホールで聴くとさらに楽しめる曲でした。風をあらわす細かいパッセージが、ホールでいい塩梅にぼやけて本当に風のように聴こえました。そしてその中から立ち上がってくるメロディ。至福のひとときでした。
最後は「夜想曲」。アルカン弾きということで技巧ばかりに着目しがちですが、森下さんの持ち味はやはりしっとりとした弱奏での歌心だと思います。センチメンタルになりすぎることなく、あくまで上品に歌われるメロディは演奏会のエンドロールのようで、さわやかな気分になれました。

 

来年はまさかのチェロソナタを演奏予定の事!いまから楽しみです。

 

東京佼成ウインドオーケストラ「第136回定期演奏会」

吹奏楽を聴いてきました。

 

 

01.バンドへの贈りもの(C.T.スミス)
02.アルトサクソフォン協奏曲(P.クレストン)
03.華麗なる舞曲(C.T.スミス)
04.透影(高橋悠治
05.バレエ組曲「ボルト」(D.ショスタコーヴィチ / 大橋晃一)

 

TKWOの定期演奏会に行ってきました。
指揮は飯森範親さん。かつて大阪市音楽団の演奏会での華麗なる舞曲の演奏の人気が高く、TKWOではどういった表現を見せてくれるのかに期待が集まっていました。

 

C.T.スミスの「バンドへの贈りもの」で演奏会はスタート。
スミス作品らしく高速パッセージなど難所もありつつも全体的には軽めのスッキリした楽曲です。
TKWOの持ち味であるクリアなサウンドはここでも活かされており、特に金管楽器群の和音はとても綺麗でした。
ゆったりした部分での中音域でのメロディも印象的。このあとのメインへの期待も高まりました。

 

続いてはTKWOのコンサートマスターでもあるサクソフォンの田中靖人さんの独奏でクレストンの協奏曲。
田中さんのソロはいつものイメージ通り、とにかく流麗で優雅。フレーズを大きくとらえた歌心には感動しました。
伴奏との連係もバッチリで、リズム的な仕掛けや掛け合いも綺麗でした。
中でも2楽章は印象的で、冒頭のファゴットのソロの素晴らしさ、サックスのカデンツァの演じ分けなど、最高でした。

 

前半最後は「華麗なる舞曲」。これを目当てにしていた人も多かったのではないでしょうか。
テンポ設定は期待通りの「爆速」で、こんな早い冒頭を聴いたのはおそらくはじめてでした。
さすがに速さのせいもあって細かなパッセージまで聞き取るのが困難でしたが、そんなことを吹き飛ばすほどの勢いで楽しませてくれました。各ソリストも本当に素晴らしく、中でもピッコロトランペットはものすごい安定感で圧倒されました。最後の畳み掛けはまさに息をつかせる間もなくといったところ。これはぜひ音源化してもらってまた聞きたいですね。

 

高橋悠治さんの新曲「透影」は34人という中編成で書かれた楽曲。
楽器の配置まで指定されており、打楽器が両翼にいたりと響きの効果まで考えられた曲でした。
高橋悠治さんの作品はバリトンサックスの栃尾さんのソロ作品などで触れていましたが、手法にはいくつかの共通項も感じました。それぞれの楽器のパッセージがそれぞれのリズム、それぞれの時間軸でうつろってゆく様は巻物を読んでいるような面白さを感じました。和っぽい音使いをしている風でもないのになぜか日本的な匂いを感じるのも面白いところです。
木管低音群が特に印象的で、コントラバスクラリネットバリトンサクソフォンがとてもよいアクセントを加えていました。また、木管から金管への音色の受け渡しなども興味深く聴きました。

 

最後はショスタコーヴィチの「ボルト」。
バレエ音楽のため、描写的で各場面を想起させるような楽曲が並びます。
TKWOのクリアなサウンドバレエ音楽にとてもよく合いますね。心地よく聴くことができました。

 

今回もとても楽しい演奏会でした。
次回の定期演奏会も楽しみです!

 

WINTERSUN「WINTERSUN JAPAN TOUR 2017 @ 下北沢GARDEN」

WINTERSUNの初来日に行ってきました!

 

■セットリスト
01.Awaken From The Dark Slumber (Spring)
02.Winter Madness
03.Beyond the Dark Sun
04.Death and The Healing
05.Sons of Winter and Stars
06.Loneliness (Winter)
07.Starchild
08.Eternal Darkness (Autumn)

 

En.
09.Time

 

WINTERSUNの前にも2バンドほど出演していたのですが、仕事がおしたためWINTERSUN開始ギリギリくらいに到着。
10分前後の長尺な曲が多いため、曲数は9曲ですが1時間半の充実したセットリストでした。

 

新作アルバムの1曲目からライブもスタートし、いきなりの2曲目で名曲「Winter Madness」。
サビの「Winter!!」での盛り上がりは凄まじく、コーラスも会場での一体感を感じられる合唱となりました。
演奏はとにかく素晴らしいのひとことで、凍えるようなサウンドとリフからの流麗なギターソロには圧倒されっぱなしでした。Winter Madnessのソロもイングヴェイ風の速弾きパートを含んだ複雑なものなのですが、凄まじく粒の揃った切れの良いプレイをきめており、驚くばかりでした。

 

「Sons of Winter and Stars」後半での民族的なツインリードのメロディは是非ともライブで聴きたかったパート。もちろんバッチリと決まっていました。
ヤリはヴォーカルに専念していましたが、朗々としたクリーンと荒々しいシャウトを巧みに使い分け、楽曲の世界を再現していっていました。また、各所で観客を煽り、会場内でのよい相乗効果が生まれていたように感じました。
「Loneliness」でしっとりしたあとは攻撃力の高い「Starchild」「Eternal Darkness」で本編終了。

 

アンコールは「Time」。あっという間のライブでした。
平日ということもあり、直前まで行けるか悩んでいたのですが、結果として行って本当に良かったと思えるライブでした。 

Rhapsody「20th Anniversary Farewell Japan Tour 2017 @ TSUTAYA O-EAST」

Rhapsodyの来日公演に行ってきました!

 

■セットリスト
00.Epicus Furor
01.Emerald Sword
02.Wisdom of the Kings
03.Eternal Glory
04.Beyond the Gates of Infinity
05.Knightrider of Doom
06.Wings of Destiny
07.The Dark Tower of Abyss
08.Riding the Winds of Eternity
09.Symphony of Enchanted Lands
10.Drum Solo(by Alex Holzwarth)
11.Land of Immortals
12.The Wizard's Last Rhymes
13.Bass Solo(by Patrice Guers)
14.Vocal Solo(by Fabio Lione)
15.Dawn of Victory

 

En.
16.Rain of a Thousand Flames
17.Lamento Eroico
18.Holy Thunderforce
19.In Tenebris(Finale)


かつてRhapsody(of fire)にて活躍したメンバーが集まり、名盤の2nd再現をメインに据えたツアーという非常に胸が熱くなる催しでした。やはり見どころはVoのファビオ・リオーネとGtのルカ・トゥリッリのリユニオン。もうこれが本物のRhapsodyってことでもいいんじゃないかな…。

 

仕事終わりで急いで向かいましたが、まずまずの埋まり具合。バックドロップに描かれたドラゴンがかっこよく、期待を煽ります。
2nd再現だけあって、いきなり「Emerald Sword」でスタート。これはシンフォニックメタルの教科書のような楽曲で、いきなりクライマックスのような盛り上がりでした。サビでの「フォーザキーン」の大合唱は心地よかったですね。

 

合間にKnightrider of Doomを挟みながらも一気に2ndを駆け抜けるセットリスト。正直あっという間すぎました。中でも「Symphony Of Enchanted Lands」はとても素敵でした。ファビオの歌唱も好調で、勇者的なカッコいい声色、オペラティックな声色、ガナり声と様々なキャラクターを使い分けながらも常に力強い歌を聴かせてくれました。ギターのルカはとにかく元気で、走り回ったりギターを大きすぎるアクションで弾いたり叩いたりと、観ているこちらも楽しくなりました。

 

演奏自体は同期の音量が大きく、ギターの音量はやや小さめに感じましたが、それがかえってシンフォニックな雰囲気を際立たせていました。ベースのパトリスとドラムのアレックスも非常にうまく、特にパトリスのタッピング、スラップを織り交ぜたテクニカルなフレーズには見惚れました。

 

ドラムソロでは観客の手拍子とドラムのフィルを交互に演奏したり同時に演奏したりというパフォーマンスでしたが、手拍子とドラムが完全にシンクロしていたのは笑いました。みんな訓練されていますね。


再現の後はこれまた名曲の「Land of Immortals」でクサいメロディに悶絶し、続く大曲「The Wizard’s Last Rhymes」ではドヴォルザークのメロディを大胆に取り入れたメロディにこれまたノックアウト。技巧的なベースソロの後はファビオによる「誰も寝てはならぬ」のサビのパフォーマンス。やはりイタリアはオペラの土壌があるからか、こうしたクラシカルなことをやっても自然なんですよね。

 

あれよあれよとアンコール最後の「Holy Thunderforce」まで駆け抜け、まさに夢のような体験でした。
Rhapsody of fireやLuca Turilli's Rhapsodyはあまり聴いていなかったけど、これを機に集めてみようかな。

筋肉少女帯「Future!」

 

Future! (初回限定盤A)

Future! (初回限定盤A)

 

 
01.オーケントレイン
02.ディオネア・フューチャー
03.人から箱男
04.サイコキラーズ・ラブ
05.ハニートラップの恋
06.3歳の花嫁
07.エニグマ
08.告白
09.奇術師
10.わけあり物件
11.T 2

 

再結成してから11年目。精力的に活動してくれている筋少の新作が発売されました。
前作「おまけのいちにち」は昭和感を強く感じるノスタルジックな雰囲気にあふれた名盤でしたが、今回はタイトルが「Future!」ということで、未来へ視線を向けた作品になっています。

 

今年の春に「猫のテブクロ」の完全再現ライブをやった感触がよかったらしく、当初は収録順のまま完全再現できるようなアルバムを、という構想もあったようです。そのかいあってかバラエティ豊かな曲が集まり、起伏に富んだ内容にできたのでカバー曲は入れなかったとのこと。

 

第一印象で感じたのは、「攻めているなあ!」ということ。
特に大槻ケンヂの歌詞には驚きました。ここまで尖った歌詞を出してくるとは。
サイコキラーズ・ラブ」と「告白」は、このテーマで書くとは想像だにしなかったので、衝撃でした。

 

サウンド面では内田さんの楽曲の飛び道具感が増し、アルバム全体の幅を広げているように思います。
エニグマ」はプログレッシブ・ロックからの影響を強く感じさせる楽曲で、楽器隊のテクニカルさ、あえて重ね録りを抑えたライブ感のある音像、意味不明な歌詞とたまらない内容。

 

インストゥルメンタル曲である「奇術師」も聴きどころ。
よくある間奏曲のようなものではなく、がっつりインスト曲というのは筋少では珍しいのでは。
橘高さんのギターの泣きがとにかく素晴らしく、中間部の三柴さんのピアノと相まって感動的な楽曲です。

 

曲順は大まかに本城さん→内田さん→橘高さんの順で構成されており、キャッチー→絡め手→メタルというライブ感ある流れで一気に聴き通せるのもうれしい所。

 

現在のバンドの充実ぶりがあらためて確認できる、最高のアルバムです。
これはライブも観なくては。

 

 

「LOUD PARK 2017 @ さいたまスーパーアリーナ 二日目」

今年も行ってきました、LOUDPARK
2日目について。

 

■10/15(日)
・BLACK EARTH
・APOCALYPTICA
・DEVIN TOWNSEND PROJECT
CRADLE OF FILTH
・MESHUGGAH
・SABATON
・MICHAEL SCHENKER FEST

 

・BLACK EARTH
シークレットアクトがあると発表されたとき、BLACK EARTHでは?という期待の声が飛び交ったものですが、タイムテーブルで朝イチだとわかった時にその期待は半ば諦めに変わっていました。しかし、もしこれでBLACK EARTHだったら一生後悔するな、と思って間に合うように会場入り、アリーナ後方で待機することにしたのでした。
そして期待は現実となり、私はBLACK EARTHを観ることができたのでした。
「BLACK EARTH」のイントロと共にステージにバンドロゴが掲げられていく光景は忘れられません。
セットリストも「Bury Me An Angel」から始まって「Silverwing」、「Diva Satanica」や「Fields of desolation」まで聴きたい曲はすべて聴くことができました。
Voヨハンの声も出ており、Silverwingで空を飛ぶポーズもバッチリ。Fields of desolationではアウトロのアモット兄弟のツインリードに悶絶の涙を流したのでした。ライブ後は緊急サイン会が実施。LOUDNESSを断念し、そちらに参加してきたのでした。

 

 

・APOCALYPTICA
大学の管弦楽サークルでチェロをやっていた頃に知って好きになったバンド。チェロ4人とドラムという変速編成でメタルを演奏している人たちですが、今回はデビューアルバムのメタリカカバーをメインにしたセットリストでした。本音を言うと彼らのオリジナル曲も聴きたかったのですが…。
演奏はすばらしく、チェロらしい摩擦感のあるアタックでゴリゴリと刻まれるリフ、クラシックならではのアゴーギグを聞かせた表現など、メタルとクラシックのいいとこどりといった印象でした。
もともとメタリカは、主題となるリフを軸に変形させたり拡大させたりと、発想がクラシック的な部分があるバンドなので、生で聴くと想像以上にしっくりきていました。
もっと長い時間聴いていたかったですね。また来日してほしいな…。

 

・DEVIN TOWNSEND PROJECT
ご飯を食べたり物販を見たり移動したりしながら観ました。
高クオリティにまとまった演奏でVoのクリーンとグロウルの使い分けも多彩と、面白かったのですが、ちょっと予習不足だったかな…。

 

CRADLE OF FILTH
はじめて聴きました。ジャンル的にはシンフォブラック辺りとのことで、そういうサウンドを想像していたのですが、いきなりのホイッスルボイスに度肝を抜かれました。演奏自体もとても良かったのですが、そのホイッスルに完全に持っていかれました。あんなに高頻度で出しているのに1時間のライブの最後までホイッスルが衰えないのは驚異的です。ちょっとワンマンも観てみたいですね。とりあえず新作のCDを買いました。

 

・MESHUGGAH
とても楽しみにしていました。セットリストは最新作からの曲がやや多め。楽器によってリフの拍子が異なるので聴衆もノリ方が千差万別で面白かったです。またこのバンドでは照明のスイッチングも凄まじく、ギターリフに合わせて点滅したりと、凄いけど情報量がありすぎて飽和するような感覚でした。
必殺のBleedも聴くことができて大満足です。MCは「叫んでみろ」など全編日本語で、嬉しかったです。
しかし演奏が本当にうまいこと!音源を流していると言っても通りそうな精度の演奏でした。

 

・SABATON
2015年もLOUDPARKに出演し、日本での人気に火が点いたバンド。
私はその時はサブステージのAT THE GATESを観ていたため、見逃してしまい悔しい思いをしました。
やっと観ることができて感激です。フロアも尋常でない盛り上がりを見せていました。
いきなり「Ghost Division」で始まり例の拳を振り下ろす動きを生で観ることができたのは感無量でした。
「Swedish Pagans」の前のGtとのやりとりなど、Voのヨアキムはシンガーである以上にエンターテイナーだと強く感じさせるパフォーマンス。後半では「SHIROYAMA」でサイレントヒル山岡晃さんがギターで参加するなどサプライズもありました。
どの曲ものりやすく、コールアンドレスポンスがあり、ライブ向きなバンドですね。楽しかったです。

 

・MICHAEL SCHENKER FEST
去年のライブをおさめたCDの内容がとても良かったので、この日もかなり期待していました。
そして期待通り、いや期待以上の素晴らしいステージでした!
ステージに現れたマイケルは終始ニコニコとしており、ヘッドを客席に向けて狙撃するようなポーズをとりながら弾いたりとサービス精神も抜群。冒頭の「Into The Arena」から異世界に連れて行ってくれました。
生で聴くマイケルの音色は音源で聴くよりもっと暖かく、かつキレのあるサウンドだったように思います。
セットリストは去年の来日時のものとほぼ同じ。まずはゲイリー・バーデンが登場してMSG初期の楽曲が演奏されました。「Cry For The Nations」でのサビを観客に歌わせたりと、ゲイリーがきつそうな分、参加型のライブの様相で、これはこれで一つのありかただなと思いました。マイケルのギターをバックにみんなで合唱なんて、そうそうできませんからね。
次はグラハム・ボネットが白スーツで登場。驚いたのが声量。とにかくハリのあるパワフルな歌声!さすがに最高音はきつそうでしたが、70近いなんて信じられません。「Dancer」ではゲイリーとロビンがコーラスで参加し、真ん中でグラハムが歌うというなんとも幸福な光景を観ることができました。「Assault Attack」中間部の泣きのメロディも絶品。
そして「Captain Nemo」も最高!バンドにぴったり合いつつもゆったりと歌うギター、そして分散和音も完璧に決まり、音源よりも精度が高いのでは?とさえ思える名演でした。
ロビン・マッコーリーはMSG後期とUFOの楽曲。ロビンもとにかく声が出ること出ること。全体としての精度が一番高かったのはロビンのパートでしょう。最後の「Rock Bottom」は特に圧巻で、10分くらいやったのではないかと思われる中間部のソロでは何度も「終わらないで欲しい」と思わされました。
最後はシンガー3人が集まって名曲「Doctor Doctor」で終演。マイケルは最後まで絶好調で、ほんとうに良い物を観ることができました。

 

今年もけっこう知らないバンドもあったのですが、どのバンドも素晴らしいライブで楽しむことができました。
やっぱりラウパは最高ですね!

「LOUD PARK 2017 @ さいたまスーパーアリーナ 一日目」

今年も行ってきました、LOUDPARK
2日券で準備も万端。

まずは1日目について。

 

 

■10/14(土)
・BEYOND THE BLACK
・L.A.GUNS
・ANTHEM
・BRUJERIA
OPETH
・OVERKILL
ALICE COOPER
・EMPEROR
・SLAYER

 

・BEYOND THE BLACK
女性ヴォーカルのバンド。MCでは日本語で「日本、来れて、うれしい」と言っておりほほえましかったです。
へヴィな曲もあり、モーターヘッドカヴァーのピアノ弾き語りありと緩急のついたステージで好印象でした。

 

・L.A.GUNS
つい最近、復活新作アルバムが出たL.A.GUNS。
曲もパフォーマンスもとてもかっこよく、楽しんで観ることができました。

 

・ANTHEM
日本のバンド。さかもとえいぞう在籍時は少し聞いていたのですが、ライブを観るのははじめてでした。
柴田さんの存在感あるベースプレイと、ジャパメタ感のあるメロディは安心感がありましたね。

 

・BRUJERIA
目当てだったバンド。
覆面でマ◯リファナと連呼するという、ともすれば悪ふざけにも見えるコンセプトを高い演奏力と有無を言わせぬ攻撃性で仕上げたようなバンドで、音楽のとっつきづらさの割にはMCや動きといったパフォーマンスにより、はじめて聴いたような人たちにもかなりウケていたように思います。
中でも某大統領を批判する曲については衝撃的なTシャツのデザインも相まって凄い盛り上がりでした。
演奏後は楽しげにマ◯リファナ讃歌を歌って終了。期待通りの素晴らしいライブでした。

 

OPETH
最近の作品はプログレ成分が強いOPETH。セットリストも最新作から数曲ありましたが、後半ではデス成分を含んだ時代の作品も披露。10分越えの曲も多く、持ち時間内では5曲しか演奏できずにちょっと物足りなさを感じました。演奏もすばらしく、いつまでも聞いていたいような心地よさでしたね。ぜひワンマンでも観てみたくなりました。

 

・OVERKILL
スラッシュメタルはけっこう好きなのですが、ほぼ聴いたことがありませんでした。
ギターの音のザクザク感はこれぞスラッシュといった感じで素晴らしく、Voも高精度で感動しました。
疲れていたため、アリーナ後方で座ってみていたためあまりじっくりとは聴けていないですが、このあと音源も掘ってみようと思います。

 

ALICE COOPER
今年69歳のアリス・クーパー。これは見逃せないと思っていました。
音源では少しぬるいなと感じていたのですが、ライブではパフォーマンスと相まって素晴らしいショウを魅せてくれました。
まず目を奪われたのはそのステッキさばき。くるくると回してみたり、振りかざしてみたりとどの動きもキレキレで、まったく歳を感じさせません。また、ライブの合間でタイミングよくメンバーの短いソロタイムが挿入され、そこでアリスの衣装替えが行われるという計算された進行(喉の回復も兼ねていたかも?)。
ギミックも多数あり、ステージ後方のおもちゃ箱からは衣装やドールなどさまざまな舞台装置が飛び出しました。
中でも印象的なのは電気刑とギロチンのギミックでしょう。電気刑に処されたら巨人化して現れたり、ギロチンに処されたら首を持って登場したりと、まさに悪夢の世界観が十二分に表現されていました。
ギロチンに処されるときの表情なども完成されていましたね。とても満足度の高いライブでした。

 

・EMPEROR
2ndアルバムの完全再現に数曲追加したセットリスト。
ちょっと予習が足りていなかったのが悔やまれますが、イーサーンをはじめ気合の入ったプレイで圧倒されました。アリスでなごんだ空気が一気にブラックに塗りつぶされていくのはある種、痛快ですらありましたね。

 

・SLAYER
1日目のトリはスレイヤー。2015年でも一度観ているのですが、そのときは初ラウパで体力を使い切り、スタンド席で半ば寝ながら観ていました。今年は途中での温存もバッチリで、しっかり堪能することができました。
最新作のREPENTLESSで口火を切った後もところどころでWar Ensembleのようなキラーチューンをはさみつつの圧巻のパフォーマンス。ケリー・キングのリフはやはりシビれますね。ゲイリー・ホルトのソロも素晴らしかったです。最後はRaining Blood、Chemical Warfare、Angel Of Deathの必殺の三連コンボ。Angel Of Death冒頭トム・アラヤのの絶叫は、前回もそうでしたがあの高さが今も出ることが驚異ですし感動しますね。ポール・ボスタフもやはり多少足技が弱いと感じたものの、かっこいいアクションのドラミングでした。
いいトリだったと思います。
そろそろ、ゲイリーの音楽性も入れた新曲とか、聴いてみたいですね。

 

観たバンドすべてが楽しく、とてもよい1日目だったと思います。