2021年ベストトラック(23曲)

2021年ももう半年過ぎるなんて…。
とはいえ今年も在宅時間が多かったのでいろいろ聞くことができました。特に気に入った楽曲群を紹介します。

 

・BLINK(COALTAR OF THE DEEPERS
・エッビーナースデイ(名取さな)
・狼欒神社(Sound Horizon
・歌劇「空飛ぶゾルバ」より「夢」(特撮)
・明星(MUCC
・朧(DIR EN GREY
・John L(black midi
・巣食いのて(長谷川白紙・諭吉佳作)
・EMINENT SLEAZE(Steven Wilson)
・Sorry(Danny Elfman)
・Drilled to Kill(Michael Schenker Group)
・Knappsack(Steve Vai
・Hypersonic(Liquid Tension Experiment)
・Crosses(Edu Falaschi)
・WHATEVER IT TAKES(Raise Our Hands!)(GALNERYUS
・SKYFALL(Helloween
・Berserker(Acid Mammoth)
・Inhumane Harvest(Cannibal Corpse)
・Paint the Sky with Blood(Bodom After Midnight)
・Day and Afe(Frost*)
・われ死者の復活を待ち望む(東京佼成ウインドオーケストラ
・what if?(鷺巣詩郎
・One Last Kiss(宇多田ヒカル

 

・BLINK(COALTAR OF THE DEEPERS
 初期メンバーであるVisitorsチームでの活動が活発化していた2019年後半。ライブは毎回盛況でメンバーたちも楽しそう。そしてこの1atアルバムの再レコーディングが発表され…その時はリリースまでにこんなに世界が変わるとは夢にも思わなかった。近年のCOTD作品はNARASAKI成分が強く、よりモダンな音像になっていたのだが、Visitorsチームを迎えたこの再録はまさに「バンド」の音。純粋にレベルアップしたサウンドという感触でとてもさわやかな気持ちになれるアルバムだった。

 

・エッビーナースデイ(名取さな)
 バーチャルYoutuberの名取さなによるオリジナル楽曲。もともとは2020年の3月7日に初のワンマンライブが開催されるはずだったが延期。一年の準備期間を経てこの曲を含む新曲を多数準備して2021年にリベンジ開催となった。紆余曲折を踏まえつつもポジティブなパワーにあふれた楽曲となっており、ライブ中でもハイライトのひとつとなった。

 

・狼欒神社(Sound Horizon
 物語音楽という形式を編み出し精力的に活動を続けているRevo率いるSound Horizonの新曲。物理ソフトでは今までのCDではなくBDとしてリリースされた。楽曲の合間に選択肢が挟まれ、選択によって続く楽曲が変化するというゲーム的な手触りの作品であったが、リード曲となる本曲は比較的今までのSHの語法に近い。サブスクでも配信されたが、実際にBDで再生すると中間部のソロパートでの楽器がランダムとして再生され、ライブ感のある表現になっていた。

 

・歌劇「空飛ぶゾルバ」より「夢」(特撮)
 大槻ケンヂ率いる特撮の新作アルバムから。アルバム「エレクトリック・ジェリーフィッシュ」はコロナ禍の空気をうまくとらえつつも一歩退いて「最後には死ぬというネタはすでにわかっている」という目線から世界を見つめなおしたもの。この曲はアルバムの後半でのクライマックスを形作るもので、歌劇とあるように、ストーリーに沿って小さな楽曲を各メンバーが歌い、最後はみんなで大団円…という内容。

 

・明星(MUCC
 SATOち脱退。そこまでMUCCを熱心に追っていたわけではない身にとってもこのニュースは衝撃的だった。インタビュー記事を読んだ限りでは寂しいが何も言えないな…という感想。SATOちのいる体制で最後となるこの楽曲は歌詞をメンバーが共作しており、彼らの郷愁あふれるメロディが素直に出た楽曲に仕上がっている。最後だからと力むのでもなくストレートで真っ向勝負してくるのが嬉しい。

 

・朧(DIR EN GREY
 ARCHE以降のDEGには乗り切れていなかったのだが、去年の「落ちてきた空」は響いた。思えば私が彼らにハマったのもUROBOROS~DSS期であり、社会的にインパクトが発生したときに彼らが生み出す作品の感触が好きなのかもしれない。この楽曲は彼らのメロディアスな部分が強調された楽曲で、この後のアルバムにも期待が高まる。

 

・John L(black midi
 前作もすごかったが今回はより練り上げてきたなという印象。しかしフレーズの強度とアンサンブルが練り上げられた結果としてサウンドZAZEN BOYSに非常に接近しているのは面白いところ。高密度でありつつもアルバム通してするっと聴けてしまう謎の中毒性もありかなり衝撃的だった。

 

・Drilled to Kill(Michael Schenker Group
 伝説的ギタリストでありながら今もかなり精力的に作品を発表しているMichael Schenker。基本的には彼らしい古き良きハンドメイド・ロックなので極上のギタートーンと歌心を堪能するのがメインの楽しみ方になる。今回はゲストに元Dream Theaterのデレクを迎えてソロバトルを挿入しており、Keyとバチバチに戦うマイケルが見られるという意味では貴重。

 

・Knappsack(Steve Vai
 手の怪我により片手しか使えなくなったVai。普通であればまずは回復に専念し、全快してから演奏活動に復帰…となるのだろうが、治療中でも弾きたいと思ったら弾いてしまうし作品にしてしまうのが彼の凄いところ。しかも出来上がった楽曲が片手とは信じられないほどテクニカルなのだから唸ってしまう。

 

・Hypersonic(Liquid Tension Experiment)
 Dream TheaterのGtのジョン・ペトルーシ、Keyのジョーダン・ルーデス、King CrimsonのBaトニー・レヴィン、元Dream Theater(現Transatrantic等)のDrマイク・ポートノイという腕利きメンバーによるバンド。全員忙しいこともあり近年の活動はなかったが、コロナにより時間ができたことでまさかの復活。彼ららしい非常に技巧的な楽曲で、まだまだプログレッシブ・メタルの最前線は譲らないといったところ。

 

・Crosses(Edu Falaschi)
 ANGRAから脱退したVoエドゥによるソロアルバムから。近年のエドゥは元ANGRAのDrアキレス・プリースターらとANGRA在籍時の楽曲を演奏するライブなどを開催。オリジナル曲でも当時を思わせるパワーメタルをリリースしてきたが、本アルバムでもその路線は継続。なのだが、そのクオリティが滅法高い。もともとハイトーンだけでなく聴きやすいメロディラインも持ち味のひとつだったエドゥのメロディセンスが爆発しており、懐かしさ補正にたよらず純粋に最高のメタルに仕上がっている。

 

・WHATEVER IT TAKES(Raise Our Hands!)(GALNERYUS
 近年はコンセプトアルバム的なアルバムを作成し濃密な世界を構築していたガルネリウス。ドラマーの交代を経て心機一転といった印象のフレッシュなアルバムがリリースされた。特にこの楽曲は彼らの持ち味をバランスよく詰め込んだ(もちろんソロ成分は多い)もので、非常にキャッチー。Destinyを思い出させるような新たな名刺ができたなという印象を受けた。

 

・SKYFALL(Helloween
 マイケル・キスクカイ・ハンセンを加えた7人体制でPUMPKINS UNITEDとして世界を回ってから数年。彼らのケミストリーはさらに続いており、ついに7人体制としてのフルアルバムが完成。アルバム名が「HELLOWEEN」であるあたりにもその自信と達成感がうかがえる。マイケル・キスクのハイトーンは今でも全盛期並みで、そちらに気を取られてしまうがやはり素晴らしいのは楽曲としてのクオリティとアレンジ。特にVoアンディ・デリスの貢献は最高で、楽曲としてコンパクトでライブ映えしそうなものを書いたり、場所によってはキスクより高い音域でコーラスを重ねたりと縁の下の力持ち感が凄い。本曲はアルバムの最後を飾る12分に及ぶ大曲で、カイの筆によるもの。SF的な世界観に乗せ彼らの声と演奏が飛翔してゆく。

 

・Paint the Sky with Blood(Bodom After Midnight)
 Children of Bodomの元フロントマン、アレキシの訃報が飛び込んできたのは年始だった。CoBの分裂から新しいバンドを立ち上げて、これからというところだった。リスナーにとってのせめてもの救いは、その新バンドとしての新曲が完成していたことだった。彼らがエネルギッシュだったころの感触を纏ったこの楽曲にはアレキシのこれからやっていくぜという気概が見て取れる。つくづく惜しい…。

 

・Day and Age(Frost*)
 Frost*は今年初めて聞いた。この新作が出ていたのを見て、まずは名盤というものから聞いてみようと「Milliontown」に手を出してみたところ、一発で虜になってしまった。プログレッシブ・ロック由来の抒情性、世界観をぱっと持っていく力に加え、個々のフレーズのクオリティが半端ではなく、長い曲であっても飽きることなく聴きとおせる。この新曲でもその個性は継承されており、とにかくメロディが良い。楽器成分が強くなりがちのプログレにとって、歌メロが良いというのはこうも強い武器になるのか。

 

・われ死者の復活を待ち望む(東京佼成ウインドオーケストラ
 TKWOの定期演奏会にはなるだけ足を運ぶようにしている。彼らの演奏が素晴らしいのはもちろんのこと、正指揮者の大井氏や団としてのスタンスが応援したいなと思えるからだ。コロナによりライブだけでなくオーケストラのコンサートも軒並み中止や延期となり、TKWOの定期演奏会が復活したのはこのメシアンの楽曲が演奏された公演からだった。打楽器が印象的な空間的な楽曲だが、この演奏が終わった後の噛みしめるような拍手は忘れないと思う。

 

・what if?(鷺巣詩郎
 シン・エヴァンゲリオンこれにて完結。映画自体も非常に満足感のある内容だったが、クライマックスで使用されるこの楽曲がよかった。鷺巣による美しいメロディーを天野正道オーケストレーションしたもので、いかにも天野らしいフレーズが過剰なほどに装飾された絢爛豪華なサウンドに仕上がっている。ジャイアント・ロボやバトル・ロワイアルの劇伴で見られるような壮大なサウンドが好きな人間にはたまらない。

 

・One Last Kiss(宇多田ヒカル
 あれもエヴァ。これもエヴァ。そもそも映画の予告映像でこの曲が流れていた時点で「勝ち」が約束されていたんだなと今となっては思う。楽曲としても素晴らしいし映画のエンディングとしても最高だった。あの光景、忘れないんだろうな…。