2022年上半期ベストトラック

知らない間に上半期が過ぎていく。
今年はより仕事の拘束時間が多く、いいアルバムがたくさん出ていることを感じつつもあまり聴けていない。
その中でも特に印象的だった楽曲群について。

 

 

特に好きだった曲

 

Michael Romeo「Divide & Conquer」
Symphony Xのギタリストであるマイケル・ロメオのソロ作。
テクニカルなギターを主体としたメタルというところではバンド本体と似た部分も多いが、ソロでは彼の映画音楽好きな部分が発揮されている。
SF映画サウンドトラックのようなスケール感と場面転換の上でこれでもかと弾きまくるギターは快感だ。
この曲でのギターソロもまさにマイケル・ロメオらしい整然として理解はできるが速すぎる!というもの。

 

Voivod「Paranormalium」
新ギタリストのチューウィを迎えてからも名盤を連発しているVoivod。
特に最近ではホーンセクションとのコラボレーションなどサウンドを拡張する方向性を感じていたが、今作もその流れ。
初期はエクストリームなサウンドプログレッシブロックからのひねったコードワークが持ち味だったが、特に最近はクラシックへの接近が目立つ。
前作でもバルトークの「中国の不思議な役人」を取り入れたりしていたが今作では曲そのものを交響曲的に構成しているように感じた。
複数の動機(テーマメロディ)を手を変え品を変え、また重ね合わせながら組み上げていく感覚はワクワクさせられる。

 

Amorphis「The Moon」
クリーンボイスを効果的に取り入れフィンランドらしい抒情的なメロディを聴かせてくれるAmorphis。
以前はすこしフックが弱いかなとか思っていたバンドなのだが、今作でハマった。
壮大な自然を思わせるサウンドの広がりとサビの高揚感。最高…。

 

SHOW-GO「Fragrance」
この1年でヒューマンビートボックスの認知がかなり進んだと思う。
かくいう私も某番組の放送でヴィジュアル系特集の後に取り上げられていたのを見てハマったくちだ。
いわゆるボイスパーカッション的なものなのだが、EDMなどのサウンドを取り入れかなり自由なジャンルになっている。
大会が開催されていたりとスポーツ的な側面も強いが、よく聞いているのはSHOW-GOのオリジナル楽曲。
声と混ざっているからこそのパーカッシブな音を使ったメロディとサウンドづくりはちょっとこれ新しいぞ…と感じている。

 

amazarashi「空白の車窓から」
この世代のバンドは特に出始めからウォッチしているので思い入れもそれなりにある。
いつの間にかかなり有名になり、カンザキイオリのようなフォロワーも出てきたが、ここでamazarashiが歌うのは大人になった人間の諦観(あるいはあきらめきれないもの)だ。
神聖かまってちゃんもそうだが、一緒に年を重ねていっているなと感じることのできるミュージシャンは貴重だ。こういうのが「世代」ってものなんだろうな。

 

Megadeth「We'll Be Back」
残念なベース交代劇があったり、デイヴ・ムステインのがん闘病があったりでやや時間が空いての新曲となる。
Hellfestの映像を見るとさすがに声は厳しくなってきているが、ギターの冴えと楽曲の攻撃性はここにきてまたアップしているように感じる。
ANGRAのキコのソロも堂々としたもの。

 

DIR EN GREY「The Perfume of Sins」
UROBOROS~DSS期の後は新作を買いつつもそこまで聞きこむほどにはハマれていなかったDIR。だが今回は先行シングルの「落ちてきた空」「朧」がいずれも素晴らしく、期待していた。
期待通り、それ以上のアルバムに仕上がっており、UROBOROS頃の興奮を思い出させる内容。やはりDIRに求めていたのは攻撃性と歌メロの両立なのだなと強く感じた。
これを経由してから前作に戻ると前作への理解度も増すので一粒でいろいろな美味しさがある。

 

Porcupine Tree「Chimera's Wreck」
まさか復活してアルバムまで出るとは。
プログレの大御所バンドのリミックスでも有名、ソロでも成功をおさめているスティーブン・ウィルソンがかつて立ち上げたバンドの新作だ。
ソロが成功したからというのもあるが、ドラムのギャヴィン・ハリソンがキングクリムゾンに加入したこともあって復活はないものとして受け止めていた。
後追いリスナーとしてはそれでも膨大な過去の名作アルバムをこつこつと買い集めて楽しんでいたのだが…まさかリアルタイムで新作を聴く体験ができようとは。
音楽性としてはPTらしさ、スティーブン・ウィルソンらしさといおうか、物憂げで、なのになぜか目を離せない、吸い込まれるような展開の魅力が今回も楽しめる。
アルバム本編の最後を飾るこの楽曲はおいしいところ全部乗せといった感じで、リフが装いを変えつつ何度も登場し、後半の疾走につながっていく様は圧巻だ。

 

寺尾紗穂「期待などすてて」
シンガーソングライターの強みってこういうことか、と強く感じさせられる。
今作は歌に加え、特にピアノの印象が強く残る。特殊なことをやっているわけではなく、ただピアノが歌と同じかそれ以上に感情的なのだ。
それは特にテンポの揺らし…特にサビで大きくスピードを落としてみたり、一瞬のタメをつくったりという自由さであり、クラシック的なそれに近い。
クリックに慣れた耳には新鮮だ。作りこまれた音源は規定されたビートから逃れることが難しいが、このピアノと歌という形態のなんと自由なことか!
とにかく全曲素晴らしい。人間らしい音楽にあふれている。

 

印象的だった曲

 

Wilderun「Passenger」
deadman「蟻塚」
Immolation「The Age Of No Light」
THE SPELLBOUND「スカイスクレイパー
名取さな「だじゃれくりえぃしょん」
Annihilator「Downright Dominate」
Jethro Tull「The Zealot Gene」
The Halo Effect「Days Of The Lost」
Fallujah「Radiant Ascension」
MSG「A King Has Gone」
black midi「Welcome To Hell」
茨鬼「Kagutsuchi」
米津玄師「M八七」
Astronoid「Human」
Septicflesh「Coming Storm」
MUCC「COLOR」