東京佼成ウインドオーケストラ「第147回定期演奏会」

 

01.祝典序曲(D.ショスタコーヴィチ/大橋晃一編)
02.ステージ・オーケストラのための組曲(D.ショスタコーヴィチ/J.デ・メイ編)
03.交響曲第5番(D.ショスタコーヴィチ/伊藤康英編)

 

En.
04.バレエ組曲「ボルト」より 3.荷馬車引きの踊り(D.ショスタコーヴィチ/大橋晃一編)

 

TKWOの定期演奏会に行ってきました。
指揮は特別客演指揮者のトーマス・ザンデルリンクさん。

 

すべてショスタコーヴィチ作品という気合の入ったプログラムで、前半は明るい曲、後半はシリアスな曲という構成でした。

 

祝典序曲は新編曲で原調。明るい響きが印象的でした。ファンファーレのきらびやかさはもちろん、すばやいパッセージでの軽やかさもさすが。メリハリのきいた展開と盛り上げ方が特に素晴らしく、高揚感のある最後のバンダ付きファンファーレ部もとても感動的でした。

 

ステージ・オーケストラのための組曲は「ジャズ組曲第2番」としてよく知られる楽曲。実態としては劇伴オケのための曲といった内容で、BGM風の小さな楽曲が並びます。ここでのTKWOのサウンドは本当に素晴らしく、シンフォニックで弦楽器の不在が全く気になりませんでした。各ソロ奏者も印象的で、リリック・ワルツやワルツ第2番でのサクソフォンも素敵でした。

 

メインの交響曲第5番は伊藤さんによる編曲。特に弱奏の場面で原曲の編成にとらわれないアレンジがされていたように聴こえ、面白かったです。ザンデルリンクの表現は強烈というよりはずっしりと腰を据えたシリアスさという感じで、テンポ的にもゆったりめ。弦楽器の不在をものともせず楽曲の持つ重厚さを演出していたのは凄かったですね。この曲でも各ソロは最高の演奏で、田中さんのソプラノサックスによるヴァイオリンを模写したソロや終楽章でのトランペットとホルンなど、いずれも印象的でした。終盤のためも凄まじく、重いテンポには金管群も大変そうでしたがいいものを聴かせてもらいました。

 

アンコールもショスタコーヴィチ。ボルトからの短い楽章でシリアスな空気をさわやかに緩和して終演となりました。ザンデルリンクさんのTKWO公演を聴くのは今回で3回目ですが、いずれもロシアの重厚な作品を楽しめてとても勉強になります。また客演してくれるといいな。