01.Sex On The Beach
02.エロトピア
03.ミルクセヰキ
04.ポラロイド遊戯
05.音セックス2020
07.真空回廊
08.原色エレガント
09.さかしま
10.ブルーフィルム
私がカリガリにハマったのは再結成がきっかけで、「10」の次に買ったのは「グッド・バイ」というベスト盤。それでもやはりブルーフィルムという曲は印象的で大切な曲だった。
オリジナルの発売から20年。本作はVo石井が加入した直後にリリースされたアルバムのリバイバル版だ。元の楽曲に加えスパンカーズのカバーと新曲2曲が追加され、すべての楽曲が新録となっている(一部、当時の音も使用されているとのこと)。
まず耳をひくのはサウンドのよさ。経験を積み整理された楽曲群はより細部まで混沌を堪能できるし、メジャーからのリリースということもあってクリアでギラギラした音質に仕上がっている。
新たに追加されたカバー曲のSex on the beachで勢いよく幕を開けた後は名曲「エロトピア」。原曲の構成は残しつつも秦野さんのキーボードがおしゃれな彩りを加え、ネタ曲で終わらない説得力が付加されている。「ミルクセヰキ」では打ち込みを排しソリッドなバンドサウンドで攻める。ミルクセヰキのつくりかたもより混沌に学ぶことができ教材としても使用可能だ(?)。続く「ポラロイド遊戯」では印象的だった長大なギターソロが合唱にトランスクリプションされるなど再構成されており、より耳をひきつける仕上がりになっている。
新曲「デリヘルボーイズ!デリヘルガールズ!」は青さんによるハイテンションな楽曲で最近の楽曲よりえぐみがあり当時と現在が混ぜ合わさっている感じが出ていて楽しく、「真空回廊」はより三拍子が際立って優雅。「原色エレガント」も忠実にアップデートされており、あやしげなギターソロもほぼそのまま再現されているのがうれしい。新曲「さかしま」はギターと歌だけという珍しく非常にシンプルな編成で浮遊感が心地よい。そしてさかしまで洗われた心に染み入るように流れてくる最後の「ブルーフィルム」は圧巻だ。
再録ものは原曲に対する思い入れから違和感を感じるケースもあるが、今作については実際はかなり変更点があるのにまったく違和感なく受け入れられるのが不思議だ。追加された3曲がちょうどよい位置におさまっているのもあるし、新たなアレンジが奇抜な発想ではなく当時と地続きで行われていることもあると思われる。
昔好きだった人にもずっと好きな人にも、これから聴いてみる人にも自信をもっておすすめしたくなるような最高のリバイバル版だ。