01.PEACE
03.URAHARA-JUKU
04.SOPHIA DREAM
05.月の砂漠
06.Villain
07.凍える (Crystal CUBE ver.)
08.舞夢マイム
09.ダンス天国
10.獣たちの夜 (YOW-ROW ver.)
11.堕天使 (YOW-ROW ver.)
12.MOONLIGHT ESCAPE
13.ユリイカ
14.忘却
BUCK-TICKの22枚目のアルバムが発売された。
今まで私にとってBUCK-TICKは「良いとは思うが乗り切れない」という印象だった。邦楽を聴く場合は大なり小なりタイトルや歌詞のイメージが強く影響してくるが、全体としての世界観を自分とリンクさせて味わうことができずにいた。
今作ではより直接的に現代社会に向けられた楽曲が多い。そのぶん世界観に没入するような聴き方はしづらいが、現実に寄り添ってくれる優しいアルバムとして私のようなライトなリスナーにも届きやすかったのではないかと思う。
ジャケットの絵からイメージされるようにこの作品はどこか明るい。歌われているのは社会問題だったりするのだがサウンドから伝わってくるのは暖かさや包容力だ。
ハードなビートの「URAHARA-JUKU」から異国情緒溢れる「SOPHIA DREAM」への繋がりや、一人二役が面白い「舞夢マイム」からの「ダンス天国」など曲順も巧みで聴き始めると最後までするっと聴けてしまう。「Villain」のインダストリアルなサウンドに今井・櫻井の声が交互に登場する仕掛けは最高にかっこよく、歌詞に「惡の華」「タブー」など過去作を入れ込んでいるあたりもニヤリとさせられるポイントだ。
後半は「獣たちの夜」などシングル曲のアレンジ版が続く。いずれもダンスミュージックを強く意識した仕上がりできらびやかなサウンドだが、その中でも異彩を放つギラギラしたギターはさすがだ。「MOONLIGHT ESCAPE」で逃避を歌いあげたあとは「ユリイカ」でクライマックスを迎える。シンプルだが未来へのパワーに溢れたこの曲は緊急事態宣言下で産み出されたという。高揚感の余韻を味わうかのように「忘却」でしっとりとアルバムは締めくくられる。
「現在」をパッケージングした非常に素晴らしい作品だと思う。このアルバムでBUCK-TICKの聴き方がわかってきたので、過去作品も掘ってみるつもりだ。