仕事のほうはようやく少し落ち着きまして、久しぶりに心の余裕をもって演奏会に足を運べた気がします。
01.13管楽器のためのセレナード(R.シュトラウス)
02.アルプスの詩(F.チェザリーニ)
03.交響詩「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」(R.シュトラウス/大橋晃一)
En.アヴェ・ヴェルム・コルプス(W.A.モーツァルト/大橋晃一)
ユベール・スダーンがTKWOで指揮するのは3回目とのこと。それらは聞き逃していたので、私は今回が初でした。本来は2021年4月の第153回定期演奏会で同じ曲目を演奏する予定だったところ、演奏会が中止になり、2年越しで本日となりました。
曲目はリヒャルト・シュトラウスおよびホルン特集という感じで、全曲ホルンが重要な役割を受け持つ楽曲。チェザリーニの楽曲も発想元にリヒャルトの「アルプス交響曲」があり、コンセプチュアルな演奏会だったと言えるでしょう。
まずは13管楽器のためのセレナードで、モーツァルトの影響が強いリヒャルトの若年期の作品。メンバーが少ないため室内楽的な響きながら、うち4名がホルンという中音域の充実などによりかなり濃密なサウンドとなっていました。小編成だからこその各楽器の細やかな表情なども聴きとることができ、面白かったですね。
アルプスの詩は学生時代に取り組んだこともあったのでスコアも多少頭に入っており、本日特に楽しみにしていた楽曲。スダーンの解釈はかなり珍しいもので、細かなためやテンポの揺らしを多用しつつもゆったりした楽章では全体としてかなりの快速でした。指揮を見ていて感じたのは細やかな動きと揺らしが本当に多く、「こうきたから、次はその流れのままこうなるだろう」という予測が通用しないこと。そのため少しでも目を離すとおいて行かれそうになり、結果として楽曲の最後まで緊張感の糸が保たれていたように感じました。各楽器のソロも素晴らしく、特に牧場でのホルンソロとバンダでの山彦の掛け合いは絶品。最後もパイプオルガンのような響きが堪能できました。
休憩をはさんで「ティル・オイレンシュピーゲル」。この曲もホルンが大活躍する楽曲。ここでもアルプスで感じたようにスダーンの変幻自在な指揮にオーケストラがくらいついていく印象。有機的に合奏体と指揮者が押し引きをするさまはまさにアンサンブルであり、なかなかない没入感を得ることができました。編曲も面白く、フレーズを複数楽器で分け持つパートなどは名人芸が炸裂。ピッコロからサクソフォンに受け渡される下降系なども違和感なくつながっていて圧倒されました。最後のティルの処刑からアウトロのパートの高揚感は特に素晴らしく、ぜひ音源としてまた聴きたいと思わせる演奏でした。
最後は歌劇「ばらの騎士」。これもホルンのメロディで幕を開けます。この冒頭の咆哮の素晴らしかったこと。ホルンの持つまろやかさときらびやかさの両立した音色をしっかり堪能することができました。コーダの盛り上がりも心地よかったですね。
アンコールはモーツァルトを、これも早めのテンポでさらりと。
今まで聴こえていなかったパートが聞こえたりととても刺激的なコンサートでした。定期演奏会の頻度が減ってしまっているのでなかなか機会がつくりづらいかとは思うのですが、ぜひまたこの組み合わせを聴きたいものです。
今回で2022-2023年の定期演奏会シーズンは終わり。3回とも足を運ぶことができ、どれも良い演奏で満足です。
来季もすでに曲目は発表されており、私も通し券は確保済み。(またまた平日なのがちょっとつらいところではありますが…)
次回以降も楽しみですし、今シーズンの演奏はぜひCDなどソフト可を望みたいところですね。これだけの演奏が会場にいた人しか楽しめないのはもったいない!