中国のゲーム「原神」のサウンドトラックを演奏するオーケストラコンサートに行ってきました。
原神はいわゆるオープンワールドのアクションRPGなのですが、キャラクターごとに得意な属性(元素と呼称)が割り当てられており、その組み合わせによる元素反応をうまく使うことで大ダメージを与えることができるというパズル的な楽しさが魅力です。
音楽にもかなり力が入っており、ここ数年はオンラインコンサートも開催され、今もアーカイブ視聴が可能です。
私がこのゲームをはじめたのは「荒瀧一斗」実装当時なので…2021年末くらいでしょうか。
オープンワールドゲームをやるのが初めてだったこともあり、自由な操作感に魅了されて続けています。
■セットリスト
01.モンド編
02.璃月編
03.稲妻編
En.スメール編
各部の間に休憩15分をはさみつつの2時間半の演奏会でした。
フィールド曲、キャラクターに焦点を当てた曲、戦闘・ストーリー曲といった構成で、今までのストーリーをざっくり追体験するような内容。
モンド編ではオーケストラの美味しいところ、西洋楽器のいいところが大活躍という感じで、「運命の繋がり」でのフルートをはじめとした管楽器群のメロディが心地よく聴けました。拍子が難しい「バトルの秘儀」でのバスクラリネットに導かれるリズムは緊張感たっぷりかつ息ぴったりで興奮しました。
アカツキワイナリーのグリーンスリーブスを思わせる抒情的な雰囲気も良かったですね。オーケストラにところどころで加わるドラム、ギター、シンセも効果的でした。
ピアノではピアニート公爵こと森下唯(生き別れの兄弟…という設定)さんが参加しており、ここぞという場所でソロによるメロディを担当していてそれも素晴らしかったです。超絶技巧のアルカン弾きではあるものの、彼の魅力は弱音でのクリアな歌わせ方にもあると思っているので、そのおいしいところがバッチリ出ていましたね。
キャラクターとして印象的に映像でも取り上げられたのはウェンティ、アルベド、ディルックでした。
璃月編では箏など民族楽器系が増えアジア的サウンドに。中国らしいと聞いて想像するようなサウンドがシンフォニックに演奏され、心地よく聴きました。弦楽器の音の揺らしなどもサントラ原曲をよく再現していると思いましたし、「烈火の如く」などゲームでも日常的に聴いている曲はワクワクしましたね。
特に璃月はストーリーの盛り上がりが印象的な国だったので、差し込まれるムービーとの一体感も含めあっという間だったという感じがありますね。
キャラクターとして印象的に映像でも取り上げられたのは鍾離、甘雨、タルタリヤでした。
稲妻編では三味線も参加。照明の明滅を雷に見立てたりと細かい演出も効いていました。
三味線がリズムを刻み、琴が装飾を施し、西洋楽器がゆったりとメロディを紡いでいくという多層的な構造が綺麗に再現され、これもとても良かったですね。自分の住む国がモチーフということもあり曲も親しみ深いのですが、メロディとしては「さくらさくら」をベースとしたメロディがテーマとして用いられます。また、サウンド全体としては久石譲的なフレーバーが強く感じられ、日本人としての琴線に触れますね。きちんと日本らしいと思わせてくれるあたり、とても誠実につくられているのだなと感じます。
「悠遠なる思いやり」からの神里パートあたりからはさらにぐっと聴衆をひきつけていったように感じられました。どの部でもそうだったのですが、バトル曲で終わらせるのでなくエンドロール的なしっとりしたパートで終わらせるのが上品で好印象でした。
キャラクターとして印象的に映像でも取り上げられたのは雷電将軍(影)、神里綾華、八重神子でした。
アンコールとしてスメールの曲が3曲披露。打楽器が印象的に用いられ、これも面白く聴きました。
会場が広いこともあってか各楽器にはマイクが立てられ、基本的には増幅された音が客席に届いていたのですが、その音量バランスが素晴らしかったのも特筆すべきところでした。各楽器の輪郭をはっきり感じ取ることができ、楽器の生音っぽい感じは薄れてしまうとはいえ質の良いヘッドフォンで聴いているかのようなクリアなサウンドはとても心地よかったです。かなり力が入っているなと感じましたし、これは正直なところCD化してもらって何度でも聴きたいですね。