竜理長「竜理長ライブ!」

竜理長(Ryo-Ri-Cho)ライブ!

竜理長(Ryo-Ri-Cho)ライブ!

  • 発売日: 2020/08/21
  • メディア: MP3 ダウンロード
 

 

01.サンフランシスコ

02.Voyage~コロナの海の向こう側

03.You are the Sun

04.Piano de Running Light

05.元気になって

06.ドコノコノキノコ

07.月灯

08.夜走る

09.僕が悪かったんだ

10.56

 

Ba橋竜Pf三柴理Dr長谷川浩二によるトリオのライブ盤が配信リリースされた。6月に実施された配信ライブから選ばれたテイクにより構成されていると思われる。

 

「サンフランシスコ」は筋肉少女帯とはガラッと変わってミドルテンポのおしゃれなアレンジ。中間部でのソロまわしやためをきかせた演奏に熟練の技を感じる。「Voyage~コロナの海の向こう側」はキャッチーな歌もの。スリーピースだが多彩な響き。「You are the Sun」は緊急事態宣言下の状況を非常にストレートに歌ったもの。「Piano de Running Light」はDr長谷川作曲のインストゥルメンタル曲で長尺のPf三柴のソロがある。 後半に手数が増えていく長谷川のドラムも聞きどころ。

 

ポップな「元気になって」はBa高橋作曲。テクニカルな演奏に定評のある彼らだが、こういった音数の少ない曲でのムードを出した演奏もとてもよい。クライマックスにむけた繊細な盛り上がりなど聴き入ってしまう。「ドコノコノキノコ」はおかあさんといっしょの楽曲のカバーで疾走感のある面白い曲。長谷川のツーバス、三柴の歌声、高橋の「ダズビターニャ」など飛び道具的な聴きどころ満載で楽しい。

 

「月灯」はしっとりとしたバラード。染み入るような高橋の歌声が心地よい。歌心にあふれたベースソロも素敵だ。「夜走る」は短いインストゥルメンタル曲。「夜歩く」の世界観を受け継いだ曲で反復されるベースラインの上で焦燥を感じさせる演奏が繰り広げられる。「僕が悪かったんだ」はVOJA-tensionのカバー。2017年の楽曲をカバーするというところにも彼らのアンテナの高さが伺える。「56」は5拍子と6拍子を揺れ動くおしゃれな楽曲。どこか民族的な香りもする印象的なメロディだ。

 

全編を通して3人の音楽性の幅広さが伝わってくる面白いライブ盤に仕上がっている。


「ドコノコノキノコ」Ryo-Ri-Cho (竜理長)version

BUCK-TICK「ABRACADABRA」

ABRACADABRA [通常盤] [SHM-CD]

ABRACADABRA [通常盤] [SHM-CD]

  • アーティスト:BUCK-TICK
  • 発売日: 2020/09/21
  • メディア: CD
 

 

01.PEACE        

02.ケセラセラ エレジー        

03.URAHARA-JUKU        

04.SOPHIA DREAM        

05.月の砂漠        

06.Villain        

07.凍える (Crystal CUBE ver.)        

08.舞夢マイム        

09.ダンス天国        

10.獣たちの夜 (YOW-ROW ver.)        

11.堕天使 (YOW-ROW ver.)        

12.MOONLIGHT ESCAPE        

13.ユリイカ        

14.忘却

 

BUCK-TICK22枚目のアルバムが発売された。

 

今まで私にとってBUCK-TICKは「良いとは思うが乗り切れない」という印象だった。邦楽を聴く場合は大なり小なりタイトルや歌詞のイメージが強く影響してくるが、全体としての世界観を自分とリンクさせて味わうことができずにいた。

 

今作ではより直接的に現代社会に向けられた楽曲が多い。そのぶん世界観に没入するような聴き方はしづらいが、現実に寄り添ってくれる優しいアルバムとして私のようなライトなリスナーにも届きやすかったのではないかと思う。

 

ジャケットの絵からイメージされるようにこの作品はどこか明るい。歌われているのは社会問題だったりするのだがサウンドから伝わってくるのは暖かさや包容力だ。

 

ハードなビートの「URAHARA-JUKU」から異国情緒溢れる「SOPHIA DREAM」への繋がりや、一人二役が面白い「舞夢マイム」からの「ダンス天国」など曲順も巧みで聴き始めると最後までするっと聴けてしまう。「Villain」のインダストリアルなサウンドに今井・櫻井の声が交互に登場する仕掛けは最高にかっこよく、歌詞に「惡の華」「タブー」など過去作を入れ込んでいるあたりもニヤリとさせられるポイントだ。

 

後半は「獣たちの夜」などシングル曲のアレンジ版が続く。いずれもダンスミュージックを強く意識した仕上がりできらびやかなサウンドだが、その中でも異彩を放つギラギラしたギターはさすがだ。「MOONLIGHT ESCAPE」で逃避を歌いあげたあとは「ユリイカ」でクライマックスを迎える。シンプルだが未来へのパワーに溢れたこの曲は緊急事態宣言下で産み出されたという。高揚感の余韻を味わうかのように「忘却」でしっとりとアルバムは締めくくられる。

 

「現在」をパッケージングした非常に素晴らしい作品だと思う。このアルバムでBUCK-TICKの聴き方がわかってきたので、過去作品も掘ってみるつもりだ。

 

cali≠gari「プライベート♥エロチカ2020 10月3日名古屋E.L.L.公演」

9月30日に新作「ブルーフィルム」をリリースしたカリガリのツアーが開始した。

 

■セットリスト

01.エロトピア

02.ミルクセヰキ

03.--

04.淫美まるでカオスな

05.ポラロイド遊戯

06.わずらい

07.散影

08.デリヘルボーイズ!デリヘルガールズ!

09.君と僕

10.真空回廊

11.原色エレガント

12.さかしま

13.この雨に撃たれて

14.ブルーフィルム

15.Sex on the beach

 

カリガリ2002年に「マグロ」でメジャーデビューしたヴィジュアル系バンドである。2003年から2009年までの活動休止を経て年に復活、10年以上にわたって精力的に活動を続けてきた。

 

今回のツアーは「ブルーフィルム -Revival-」のリリースに伴うものだが、そもそもこのアルバムのオリジナルはVo石井の加入と同時に制作、リリースされたものでリリースから今年でちょうど20年のアニバーサリーだ。当時はメンバーチェンジの影響もあり細部まで詰めきれていなかった部分もあるとされていた作品だが、再録盤は当時の意図は踏まえつつも現在の技術で再構成した素晴らしいアルバムに仕上がっていた。

 

ライブではアルバムの流れに沿ってまずは「エロトピア」が披露された。かつては定番とされていたが近年では演奏機会が減少していた楽曲だ。今回をきっかけにまたこの楽曲で踊ることができる機会が増すことは喜ばしい。

 

定番曲のほかにも「わずらい」「散影」「君と僕」といった楽曲が並ぶ。ジャズ的な語彙を取り入れた楽曲であったり、打ち込みを多用した曲であったりとメンバーの幅広い音楽性がうかがい知れる選曲だ。

 

最後は「ブルーフィルム」に続いての@Sex on the beach」。12回公演ということもあり以前よりはややコンパクトなセットリストだったが、カリガリの魅力を堪能できる充実した内容となっていた。 

関係者挨拶でもバンドの結束力を高めていきたいと意欲的な姿勢を見せてくれたカリガリ。大阪と東京での公演にも期待が高まる。

 

※「自称関係者席」配信を観た人間としての立ち位置で書いているのでいつもと文体がやや異なる点はご了承ください。

東京佼成ウィンドオーケストラ「第150回定期演奏会」

TKWOの定期演奏会に行ってきた!

 

f:id:tk_saxo:20201003210719j:plain

01.吹奏楽のための「クロス・バイ マーチ」(三善 晃)

02.われ死者の復活を待ち望む(O.メシアン)

03.カルメン・ラプソディ~サクソフォン クヮルテットと吹奏楽のための~(長生 淳)

04.三つのジャポニスム(真島俊夫)

 

奏者が舞台に上がると大きな拍手があがった。コンサートホールでの吹奏楽を待ちわびた聴衆と奏者たちによるあたたかい空気感だ。

 

クロス・バイ・マーチは先日リリースされたセッションレコーディング版に比べて音楽的な揺らしが多く、三善の弟子としての沼尻の説得力ある解釈が聴けた。全体的なサウンドには多少の力みがあったように感じるが、多幸感にあふれたよい演奏だった。

 

メシアンではサクソフォン類が退場し様々な金属打楽器(大小多数の銅鑼など)が追加。音響的にとても面白い演奏だった。金管によるモノフォニックな動き(グレゴリオ聖歌的)に導かれて複雑な響きと銅鑼の根色が溶け合い、とても神秘的なサウンドがつくられてゆく。左右に配置された銅鑼の強烈なクレッシェンドにより空気が銅鑼に支配される感覚はやはり現場にいないと味わえないものだ。大きなスケールと緊迫感の両立した面白い演奏だった。

 

カルメン・ラプソディはかつて長生がトルヴェール・クヮルテットのために書いたメドレーを吹奏楽用に再構成したもの。ただし吹奏楽編成を活かすため長大なクレッシェンドを用いたものやポップス的奏法を用いたものなどのいわゆる飛び道具的な引用がかなり追加されており、感覚としてはもはや別物に仕上がっていた。サクソフォンパートの演奏はさすがで、トルヴェール的な遊びを踏まえつつも歌い方などに個性が見え面白く聴いた。中でもジプシーの歌での栃尾さんは素晴らしかった。

 

ただ、トルヴェール版のバランスが良すぎたからこそ気になった面だとは思うが今回はギミックがややわざとらしすぎたように感じた。気づかない人は気づかなくても楽しめる、というバランスがこういった冗談では好みなのだが、今回はギミックごとに「ジャン!」と大見得をきっていたのでその冗談に乗り切れないと寒く感じてしまう瞬間があった(あ、何かギャグを言ったんだな、ということだけはわかるがギャグが理解できなかったとき、のような空気感を感じてしまった)。

 

三つのジャポニスムは全編とても素晴らしかった。速めのテンポ設定で進んでいき、鶴の羽ばたきなどの効果音がかなりクローズアップされ映像的な効果を呼んでいた。2楽章の各ソロも素敵で、ソプラノサックスの難所もばっちり決まっていた(この難所、作曲者もあまりに難しいと思ったのか、のちの「鳳凰が舞う」では同じパッセージをフルートに担当させていた)。

祭りでのパーカッションも好演。特にティンパニは場面によってマレットを持ち替え、ティンパニ的な音程を出すシーンと和太鼓的なアタックを出すシーンを演じ分けていて見事だった。本当に和太鼓の音がしてびっくりした。

全体的に映像的、色彩豊かな解釈になっていてかなり新鮮で面白い演奏だった。

 

久しぶりの実演だったが、やはり生で演奏を聴くと気付くことが沢山ある。ライブっていいなとしみじみと感じた。

Terrorizer「Live Commando」

Live Commando

Live Commando

  • アーティスト:Terrorizer
  • 発売日: 2019/12/13
  • メディア: CD
 

 

01.Need To Live

02.State Of Mind

03.Hordes Of Zombies

04.Sharp Knives

05.Conflict And Despair

06.Crematorium-1

07.Crematorium-2

08.After World Obliteration

09.Storm Of Stress

10.Fear Of Napalm

11.Human Prey

12.Corporation Pull-In

13.Ripped To Shreds-1

14.Ripped To Shreds-2

15.Injustice

16.Whirlwind Struggle

17.Dead Shall Rise

18.World Downfall

 

Morbid Angelでの活動が有名(現在は脱退)なDrPete Samdpval率いるグラインドコアバンドのライブ盤。ジャケット等に記載されているトラックリストがあやしいのだが上記の順があっているはずだ。

 

ピートのドラムはトリガーを使用したブラストビートが主体のスタイルだが現在56歳ということもありかつての「機械すら超えたい」と語っていた頃のタイトさは薄れている。

 

しかしピートの魅力はそのテクニックだけでなく表情豊かなフレージングだ。ギターリフに寄り添い、これしかないという緩急のつけかたでフレーズを構築するスタイルは圧倒的で、ライブでは揺らぎも手伝って「テクニカルでめちゃくちゃ速いが人間的」という絶妙なサウンドが構築されている。

特にスネアのハシり方は悶絶もので、キックがタイトに刻む上でスネア連打だけが加速することによる圧倒的な急かされ感がカッコいい。

 

テロライザーLOUD PARKで来日した際にも観たが、ほぼこのアルバムと同じ印象を受けたので相当高い精度でライブがパッケージングされていると感じた(音質自体はだいぶブートっぽいが…)。

現在のギター、ベースはモンストロシティというテクニカルなデスメタルバンドのメンバー。なのでテロライザーでも相当テクニカルなのかと思いきやこちらでは「本業ではない楽器」を担当しているというところがポイント。絶妙なこなれていなさがグラインドコアの衝動サウンドを強調している。

 

選曲についてはいつも通り、初期の楽曲をメインに最近の曲を多少混ぜる構成。「Storm of stress」や「Dead shell rise」などはやはり圧巻だし、その中に最新作からの「Sharp knives」が違和感なく混じっているのもいい(最新作「Caustic attack」は初期のスタイルと近作のモダンなサウンドが合わさった快作だった)。

 

やはりオリジネイターの一人としての存在感は強烈だ。ぜひまた来日してほしいし、まだまだ作品を作っていってほしい。

東京佼成ウインドオーケストラ「吹奏楽燦選ライヴ/オリエント急行」

吹奏楽燦選ライヴ/オリエント急行

吹奏楽燦選ライヴ/オリエント急行

 

 

01.オリエント急行

02.ドラゴンの年 I.Toccata

03.ドラゴンの年 II.Interlude

04.ドラゴンの年 III.Finale

05.交響曲第1番 I.Andante espressivo - Allegro con brio - Andante

06.交響曲第1番 II.Alla marcia

07.交響曲第1番 III.Largo espressivo

08.交響曲第1番 IV.Allegro con fuoco - Andante - Allegro molto vivace

09.アルセナール

 

TKWO定期演奏会から選りすぐりのテイクを集めたアルバムがリリースされた。TKWOシエナWO、オオサカシオンWOと並んで日本のプロ吹奏楽団の代表格だ。

 

TKWOは堅実な印象のオーケストラで、硬派なオリジナル楽曲や管弦楽曲からのアレンジものも多く取り上げており、吹奏楽コンクール的な選曲からは一定の距離を置いている。近年の定期演奏会でもコリリアーノの交響曲を取り上げたり、ロシアからザンデルリンクを招いてのショスタコーヴィチであったりチェコからエリシュカを招いてのドヴォルザークなど、かなり本格的なアプローチに意欲的に取り組んでいる。

 

半面、その姿勢のシリアスさや演奏の優等生的な表現から、派手な吹奏楽を期待する向きからは地味目に見られることもあるのは確かだ。

しかし、今回はライブ盤をウリにしているということもあってかいわゆる「吹奏楽コンクール受け」しそうな楽曲が並んだ華やかなアルバムとなった。

 

オリエント急行」は作曲者本人による指揮でTKWOによる録音も存在し、いわゆる吹奏楽版の本家だ。今回は秋山和慶が振っており、鉄道の情景を描き切っている。録音もよく、唸るようなバスドラムは印象的だ。

 

「ドラゴンの年」は藤岡幸夫による指揮で、このアルバムの中でも特に熱量の高い演奏が繰り広げられている。ブラスバンド版のいわゆる「鼻血ドラゴン」の演奏が有名な楽曲であるが、ここでのTKWOも勝るとも劣らない快演を繰り広げている。特に各奏者の技量と歌心がよくわかる2楽章は感動的だ。難しいパッセージの応酬である3楽章でもアンサンブルの精緻さとテンションの高さを両立しており心地よく聴けた。

 

ジェイガーの「交響曲第1番」は正指揮者の大井剛史による演奏。大井はこの時のほかにもC.T.スミスの交響曲第1番、ジェイガーの交響曲第2番、バーンズの交響曲第3番などと交響曲と名指された作品を積極的に取り上げており、ここでも吹奏楽という枠を超えたクラシック音楽としてのスケールの大きな表現が楽しめる。ショスタコーヴィチなど過去の交響曲作曲家たちからの影響も色濃く感じる楽曲で、吹奏楽を活かした行進曲風の2楽章、華やかな4楽章はとても派手で爽快だ。TKWO3楽章のような落ち着いた部分でも驚異的な集中力を発揮しており、弱奏でも全くサウンドが揺るがないところが素晴らしい(こう書くと基本的なように見えるが、吹奏楽でこれを実現するのは非常に難易度が高い)。大井は以前TKWOがアレンジものを取り上げる意義について、管弦楽での名曲を楽団として経験することでそれらの文脈を吹奏楽オリジナル作品でも効率的に取り入れることができるという旨の発言をしていたと思うが、その取り組みが功を奏していると言えるだろう。

 

最後はアンコール的な配置で「アルセナール」。非常にどっしりとしたテンポ設定で楽曲自体が持つ響きの美しさを確認することができる。

 

選りすぐりだけありいずれも名演であり、楽曲に対する真摯な態度が伝わってくる素晴らしいアルバムだ。TKWOの定期は毎回このアルバムのような素敵な演奏が繰り広げられているので、機会があればぜひ足を運んでみてほしい。

 

 

特撮「ブルー・スリー」

 

01.オーバー・ザ・レインボー〜僕らは日常を取り戻す

02.テレパシー(2020)

03.殺神(2020)

04.オーバー・ザ・レインボー〜僕らは日常を取り戻す (off vocal ver.)

05.テレパシー(2020) (off vocal ver.)

06.殺神(2020) (off vocal ver.)

 

特撮の新曲がリリースされた。

楽曲自体は春の非常事態宣言前には準備ができており、ライブにて販売される予定だったもの。 

ライブの中止を受けてまずは「オーバー・ザ・レインボー〜僕らは日常を取り戻す」のみが配信され、今回、中野ブロードウェイでの特撮展にともないCDとして販売されることになった。

 

楽曲は「5年後の世界」以降の作品の延長上にあるミドルテンポでスケールの大きなもので、語りからのサビへのカタルシスはさすがのNARASAKI節といったところ。特に後半でNARASAKI大槻ケンヂの歌声が重なるところなどは非常に綺麗だ。

 

しかし何より印象に残るのは歌詞。制作時期を考えるとここまでの状況になるとは想定されていなかったころに書かれたはずだが、非常事態宣言中の心情に重なり合うかのようなリアルタイムな詩はとても衝撃的だった。この曲が支えになったリスナーは私以外にも多いはずだ。

 

カップリングとして過去の楽曲「テレパシー」「殺神」の再録も収録。いずれも原曲の良さを残しつつのアップデートで心地よく聴けた。特に初期の特撮はハードなサウンドがウリのところがあり、分離されきっていない荒々しい音像が高揚感をもたらしていたのだが、再録では今らしいくっきりとしたサウンドで楽曲の良さが素直に入ってくる。同時に「テレパシー」のサビ裏でのNARASAKIのゴリゴリした刻みや「殺神」でのうごめくベースなど演奏のおもしろさが細部まで味わえてとても楽しい出来だ。

 

近年のオーケンの歌詞は筋肉少女帯では比較的明るく、特撮ではダークな「セカイ系」的な歌詞が多いと思っている。どちらも好きだが特撮のダーク・ヘヴィ路線はとてもツボなのでまだまだ新作を期待していきたい。