「カプースチン追悼コンサート 20201106」

カプースチンの追悼コンサート配信を観ました。

 

■セットリスト

01.「8つの演奏会用エチュード」より5番(紀平凱成)

02.「24の前奏曲」より11番、24番(紀平凱成)

03.「8つの演奏会用エチュード」より1番、3番、7番(角野隼斗)

04.「24の前奏曲」より1番、9番、12番、17番(The Rev Saxophone Quartet)

05.連弾のためのカプリッチョpiaNA

06.2台ピアノのためのディジー・ガレスピーのマンテカによるパラフレーズpiaNA

07.「フルートとチェロとピアノのための三重奏曲」Op.86 第2,3楽章(大塚茜、金子鈴太郎、川上昌裕)

08.「ピアノ五重奏曲」第1楽章、第4楽章(クインテット・ディ・ピアノフォルテ・ラ・スペランツァ

09.「ヴァイオリンソナタ」op.70 第1楽章(坂口弦太郎、川上昌裕)

 

カプースチンの楽譜出版に大きく貢献し、自身も演奏活動を通じてカプースチン作品を広めているピアニスト川上さんを中心にカプースチン演奏を行っている演奏家が集まっての演奏会でした。

 

まずは紀平凱成。若いながらも安定した技術とはつらつとした表現でカプースチンの音楽の楽しさを引き出した演奏でした。24の前奏曲からも難しい楽曲がセレクトされ聴きごたえがありました。

 

角野隼斗はyoutubeでの活動も活発(以前、「蠍火」の演奏動画をみておどろいたことがあります)。ここではカプースチンの代表曲「8つの演奏会用エチュード」に即興演奏をまじえての疲労。流れるような華麗な演奏が印象的でした。ダイナミクスのメリハリも含め、楽曲を自分のものにしていました。

 

The Rev Saxophone Quartetは「24の前奏曲」をサクソフォン四重奏用に編曲したものから数曲をセレクトして披露。メンバーによる編曲とのことですがサクソフォンの音色の強みを活かした面白い仕上がりになっていたと思います。管楽器らしいアタック感を出したかと思えばホーンセクションのようにきれいに和音を組んでみたりとカラフルでした。

 

piaNAカプースチンに委嘱したという楽曲を含めた連弾用の2曲を演奏。特に2曲目の「マンテカによるパラフレーズ」はもともと2台ピアノのために書かれたものですが1台ピアノで再現。曲芸のようなくぐりぬけなどを含んだ演奏でLes Frèresを彷彿とさせました。演奏技術も素晴らしく、まさにパフォーマンスといった内容でした。

 

大塚茜、金子鈴太郎、川上昌裕による三重奏は演奏しなれたメンバーというだけあり安定したサウンドカプースチンは自身もピアニストであったことからピアノの比重が高いかと思いきや、三者が対等なバランスで書かれており、チェロがウッドベース的なフレーズを弾いたりと変幻自在さが面白かったです。

 

クインテット・ディ・ピアノフォルテ・ラ・スペランツァはピアノ五重奏。こちらもピアノと弦楽のやりとりを面白く聴きました。ピアノの打鍵音をアクセント的に使ってビート感を演出していて、とてもキャッチーで聴きやすいサウンドに仕上がっていましたね。

 

最後は坂口弦太郎、川上昌裕によるヴァイオリンソナタ。演奏開始直後に弦が緩んで仕切り直しになるハプニングもありましたが、逆に会場の空気もあたたかくなってよい雰囲気での演奏だったように思います。

 

カプースチンへの想いの詰まったとても楽しい演奏会でした。演奏難度が高い曲が多いですが、これからも演奏し継がれていって欲しい曲たちですね。