トルヴェールの配信を観ました。
■セットリスト
01.アメリカより第1楽章
02.トルヴェールの惑星より「木星」
04.「このかけがえのない日々へ」より君からのプレゼント(彦坂眞一郎)
05.カルメン・ラプソディー
06.「トルヴェールの四季」より春 第1楽章
01.アメリカより第4楽章
02.モーツァルトはなべてこうしたもの
03.ロンドリデリーの歌(神保佳祐)
04.チャルダッシュ(田中靖人)
05.トルヴェールの惑星より「地球」
06.G線上のアリア
トルヴェール・クヮルテットは日本を代表するサクソフォン四重奏の一つ。今回は1時間程度のステージを2回まわし、ただし完全に別プログラムという構成でした。
第1部はドヴォルザークのアメリカから。この楽曲はかつて私も編曲・演奏したことがあるのでよく知っているのですが、弦楽器の音域を忠実にトレースし、各奏者の技量が発揮されるような編曲になっていたと思います。続く「木星」は名盤「トルヴェールの惑星」から。さすがに手慣れたもので、編曲の遊びを最大限に引き出しつつも上品さを失わない絶妙な演奏でした。
ソロパートは須川、彦坂による演奏。須川はグノーのアヴェ・マリアで、彼の持ち味である音色を存分に堪能できる選曲でした。これは現地で聴いたら素晴らしかっただろうなと。彦坂は自身のソロアルバムから「このかけがえのない日々へ」というオリジナル曲の一部を演奏。佐橋俊彦による楽曲で、さまざまなスタイルでの演奏を行う彦坂らしい選曲。特に後半の盛り上がりは胸が熱くなる名演でした。
カルメン・ラプソディーでは遊び心を爆発。レコーディングも2回されている十八番といえる楽曲ですが、編曲にほどこされた仕掛けをさらに増幅しより面白く仕上げようとする心意気はさすがです。「サンタルチア」部分では楽器を置いてマスクを着用の上サンタルチアするというウケ狙いも披露。こういった宴会芸タイプの遊びはやはり小編成で映えますね。アンコールは四季より春でさわやかに終演。
第2部はアメリカの4楽章。こちらも1楽章と印象は同じでしたが、フラジオやダブルタンギングといった技を遠慮なく使えるというのはやはり強いですね。続く「モツなべ」ではカルメンに増して遊び心満載。遊びすぎて奏者が笑ってしまう部分もありましたが、彼らの「とにかく楽しいようにやる」というプレイスタイルがよく表れている瞬間になっていたかと思います。
ソロパートでは神保、田中による演奏。神保はロンドンデリーの歌を真島俊夫編曲で。オシャレなコードの上でふくよかなテナーの音が楽しめる時間でした。チャルダッシュは田中の十八番。非常にテンションの高い演奏でバリトンの機動力を堪能しました。
トルヴェールの地球は「トルヴェールの惑星」の終曲。それまでの惑星のモチーフが顔を出したりと非常に内容が濃く難易度も高い楽曲ですが集中力の高いよい演奏でした。中間部のアルトからテナー、そしてソプラノへの受け渡しは絶品。最後の第一組曲への盛り上がりも圧倒的でした。アンコールはG線上のアリアでしっとりと。
トルヴェールの音色、技巧、遊び心といった要素を詰め込んだ内容でとても良かったと思います。現メンバーになってからの音源もリリースを期待してしまいますね。