明日の叙景「Island & Wishes release solo concert @ 渋谷サイクロン」

明日の叙景のワンマンライブを観てきました。

 

追加募集での抽選に外れていたのですがキャンセル繰り上げにより直前に行けることになり、これはなんとしても行かねば!と。

 

このご時世にありがたい昼の12時45分開演で、「すべてか弱い願い」「アイランド」それぞれ30分ずつという引き締まった構成。短期集中でパッと観て帰る、こういうスタイルもかなり良いなと思いましたね。

 

渋谷サイクロンは人でいっぱいで、以前のような環境が戻りつつあるなと感じる一方で、これはご時世というより明日の叙景リスナーの特性によるものかと思いますがフロアは静かで、かなり過ごしやすかったです。

 

すべて取り置きで名前確認と体温確認が必要だったこともありやや押し気味で第一部開演、そのぶん間の休憩が圧縮されて結果としてはやや巻きでの終演となっていました。

 

「すべてか弱い願い」全曲演奏となった第一部では寒色系の照明が印象的で、ややダークでありつつもCOTD的シューゲイザーを強く感じさせる轟音により心地よい浮遊感を味わうことができました。バンド全体としての空気感もそうですがVo布氏の入り込みっぷりがすごく、曇りのない確信に満ちた表現には有無を言わせぬ説得力が生まれていたと思います。

 

「アイランド」からは曲数を絞って披露。第二部ではうってかわって明るい雰囲気を演出し、暖色系の照明の中繰り出される轟音はあたたかな多幸感を醸し出していました。このアルバムの前までもブラックメタルの攻撃性と邦楽由来のエモーショナルさを両立した特徴的なサウンドは好みでしたが、あきらかにこのアルバムで外に向かって開かれた感があり、はじめてデフヘブンを聴いたときのような衝撃を受けたものでした。
ライブで聴いてあらためて感じたのはやはり楽曲の良さと完成度の高さで、ポストブラックメタル、ブラックゲイズ的な音像を使いつつここでしか摂取できない栄養素に溢れた響きをしていたと思います。

 

特にアイランドではギターがメロディを受け持つシーンが多いのですが、轟音の中でもこのメロディがしっかり聞こえてきたのは嬉しかったですし、ギターの壁を作りすぎない全体としてのサウンドメイクも巧みでした。ライブだとキックを振動で体感できるためビートがよくわかることもあり、楽曲のギアチェンジの瞬間もよく感じ取られました。しかしこんなに表情を変える楽曲群をここまで再現できるとは驚きです。最後のキメラでの4つ打ちでのアッパーな感触も素晴らしく全体としてさわやかで幸福な時間でした。

 

今年一番聴いたアルバムのひとつでしたし、見ることができて本当に良かったです。来年にはアイランド楽曲を網羅したライブも行うとのことですので、そちらも楽しみですね。今回は演奏されなかった「歌姫とそこにあれ」等、まだまだ強力な楽曲ばかりなので。