明日の叙景「Island in Full @ 代官山UNIT 2023/08/27」

夏を浴びてきました。

 

■セットリスト
00.A Flower Is Not A Flower(坂本 龍一)
01.臨界
02.ビオトープの底から
03.見つめていたい
04.土踏まず
05.歌姫とそこにあれ
06.忘却過ぎし
07.美しい名前
08.Bass Solo
09.甘き渦の微笑
10.子守唄は潮騒
11.遠雷と君
12.キメラ

 

私が明日の叙景を知ったのは「過誤の鳥」の頃。誰かがSNSで話題にしているのを見かけてbandcampで購入した記憶があります。
しかし本格的にハマったのは比較的最近で、「すべてか弱い願い」を店頭で見かけて購入してからでした。

 

ポストブラックメタルという音像を保ちつつもシューゲイザー的、特にCOTDの影響を強く感じさせるエモーショナルなサウンドは印象的で、これは凄いことになっているかもしれないという興奮がありました。


そして昨年発売された「アイランド 」でそれは確信に変わります。ブラックメタル由来とは思えないほどの明るさと切なさの同居した「日本っぽさ」「夏っぽさ」の達成。これはライブでも観ないといけないと感じて足を運びましたが、そのときは前作と今作を半々というセットリストだったため、アイランドの中で聴けていない曲も残りました。

 

そして1年が経過し、満を持しての全曲演奏が叶うこととなりました。

その間に彼らはBorisに帯同して海外ツアーをこなしてきており、その経験値がどう反映されているのかもとても楽しみにしていました。

 

客入れでの「Tatiana Parra  & Andrés Beeuwsaert」や開演前SEでの坂本隆一の音楽によりどことなく洒落た落ち着いた雰囲気が漂いつつ開演。
セットリストは代表曲となった「キメラ」を最後にもってきた他はおおむね収録通りの順序で、MCもほぼなく1時間弱の内容でした。

 

特に感じたのはサウンドの広がり具合というか、より空間を意識した音作りになっていたように感じました。そうしたシューゲイザー的音響の中にあってキックがかなり大きく出ていたのも印象的で、楽曲の中でこまかく変わるビート(とくに手数が少なくなったあとのブラストなど)を身体で感じ取ることができ楽しく聞けました。

 

よりバンドがひとつの塊となってサウンドを発しているように感じられたところも大きなポイントで、楽曲の持つテンション感に各メンバーの演奏がリンクして無言の信頼感のようなものが感じられ、堂々としたステージングに感動しました。
中でも目を惹かれたのは等力さんのギターメロディで、バッキングからメロディへの移り変わり、メロディになったときの感情のこもり方などまさにギターヒーロー的たたずまいでした。

 

ライブで見て改めて感じたのは「歌姫とそこにあれ」「キメラ」のような縦ノリの曲の強さです。ブラックメタル由来としてはこういったダンスミュージック的な4つ打ちビートは非常に珍しいのではないでしょうか。やはりメタルファンにとどまることなく広い客層にアピールできるサウンドであると感じるので、これからの動向にも目が離せないバンドですね。

 

終演後はCOTD、Borisのツアーに明日の叙景も参加するというチラシが壁に掲出されており、これまでの動きを考えれば納得のラインナップとはいえ実現するとは思わなかったヤツなので、できれば行きたいところです。