Cryptopsy「Cryptopsy Tokyo Show 2023 @ 渋谷ストリームホール 2023/12/12」

カナダのテクニカルデスメタル、Cryptopsyの来日を見てきました。前回の来日のあと新作アルバムも発表され、待望という感じ。

 

兀突骨
スリーピースでテクニカルデスメタルを奏でるバンドですがギタリスト的にはギタリスト向けの筋トレ本も出していた円城寺氏の実演をついに見られるという興奮も。演奏が開始してすぐに感じたのはサウンドの良さで、三者がそれぞれ嵐のように手数を詰め込んでいてもバキッと分離良く聴こえ、たいへん心地よい聴体験でした。これは会場が良かったというのもありますが、彼らの楽曲構成の妙もあったと思われます。それぞれのパートで主役となりクローズアップされてほしいメンバーが明確で、ベースのスラップの瞬間にドラムが止まったりとか、とにかくライブで映える演奏、編曲力だったと感じました。基本はデスメタルらしく暴虐なのですがギターメロディになると日本らしいクサメロも顔を出すのも良いポイントで、もうすぐ発売される新作アルバムにも期待が高まりました。

 

■DEVILOOF
まさかEVP公演でヴィジュアル系を見ることになるとは。若手テクニカルメタル系の中でも最近特に名前を見るようになっていたバンドです。ヴィジュアル系は好きですが、よく見に行くのはcali≠gariVersaillesなど00年代バンドなもので、ノリがイケイケで新鮮でした。演奏も堂々としたもので、安定感抜群の演奏に支えられて変幻自在のヴォーカルが好印象でした。グロウルからホイッスルまでこなす様はDIRの影響も強く感じさせつつ、さらにテクニックとして洗練させていくという気概も感じました。

 

■Cryptopsy
01.In Abeyance
02.Graves Of The Fathers
03.Lascivious Undivine
04.Crown Of Horns
05.Slit Your Guts
06.Back to the Worms
07.Drum Solo
08.Detritus (The One They Kept)
09.Sire Of Sin
10.Flayed The Swine
En.
11.Phobophile
12.Orgiastic Disembowelment

 

この会場で聴けたことを幸運に思います。とにかくフロのドラムが凄まじいのはいつものこととしても、その細部まで聴こえる素晴らしさ。ブラストの粒がしっかり数えられるほど明瞭で聴いていて非常に心地よかったです。全体として聞かせるところは塊のように爆走しつつもギターソロではしっかりメロディが浮き出てくるバランスも見事。

 

さらに印象的だったのがマットのヴォーカルのうまさとステージングの巧みさで、まるで指揮をするかのような身振りで観客にリズムを提示しつつ吼える様はパワフルでたいへん印象的でした。加入時のアルバムでのクリーンボイスのイメージはもう欠片もないワイルドさでとても良かったです。セットリストは名盤である2ndを軸に最新作や少し前のep曲で構成されたもので、欲を言えばもっと聴きたかったくらいですが1日に浴びられるツーバスの数には限界があるのかもしれません。

 

フロのドラムソロが聴けたのも嬉しいポイント。ソロで聴くとあらためて彼の豊富な語彙には驚きますし、バディ・リッチなどのジャズ系ドラマーのソロも想起させられるような緩急のあるフレーズが多かったように感じました。アンコールのPhobophileも盛り上がりましたね。ぜひまた来日して欲しいです。オープニングアクトも含め高い純度でデスメタルを感じられるたいへん素晴らしいライブでした。