特撮「ブルー・スリー」

 

01.オーバー・ザ・レインボー〜僕らは日常を取り戻す

02.テレパシー(2020)

03.殺神(2020)

04.オーバー・ザ・レインボー〜僕らは日常を取り戻す (off vocal ver.)

05.テレパシー(2020) (off vocal ver.)

06.殺神(2020) (off vocal ver.)

 

特撮の新曲がリリースされた。

楽曲自体は春の非常事態宣言前には準備ができており、ライブにて販売される予定だったもの。 

ライブの中止を受けてまずは「オーバー・ザ・レインボー〜僕らは日常を取り戻す」のみが配信され、今回、中野ブロードウェイでの特撮展にともないCDとして販売されることになった。

 

楽曲は「5年後の世界」以降の作品の延長上にあるミドルテンポでスケールの大きなもので、語りからのサビへのカタルシスはさすがのNARASAKI節といったところ。特に後半でNARASAKI大槻ケンヂの歌声が重なるところなどは非常に綺麗だ。

 

しかし何より印象に残るのは歌詞。制作時期を考えるとここまでの状況になるとは想定されていなかったころに書かれたはずだが、非常事態宣言中の心情に重なり合うかのようなリアルタイムな詩はとても衝撃的だった。この曲が支えになったリスナーは私以外にも多いはずだ。

 

カップリングとして過去の楽曲「テレパシー」「殺神」の再録も収録。いずれも原曲の良さを残しつつのアップデートで心地よく聴けた。特に初期の特撮はハードなサウンドがウリのところがあり、分離されきっていない荒々しい音像が高揚感をもたらしていたのだが、再録では今らしいくっきりとしたサウンドで楽曲の良さが素直に入ってくる。同時に「テレパシー」のサビ裏でのNARASAKIのゴリゴリした刻みや「殺神」でのうごめくベースなど演奏のおもしろさが細部まで味わえてとても楽しい出来だ。

 

近年のオーケンの歌詞は筋肉少女帯では比較的明るく、特撮ではダークな「セカイ系」的な歌詞が多いと思っている。どちらも好きだが特撮のダーク・ヘヴィ路線はとてもツボなのでまだまだ新作を期待していきたい。

cali≠gari「ブルーフィルム -Revival-」

ブルーフィルム -Revival- (ポルノ盤) [CD+DVD]

ブルーフィルム -Revival- (ポルノ盤) [CD+DVD]

  • アーティスト:cali≠gari
  • 発売日: 2020/09/30
  • メディア: CD
 

 

01.Sex On The Beach        

02.エロトピア        

03.ミルクセヰキ        

04.ポラロイド遊戯        

05.音セックス2020        

06.デリヘルボーイズ!デリヘルガールズ!        

07.真空回廊        

08.原色エレガント        

09.さかしま        

10.ブルーフィルム

 

私がカリガリにハマったのは再結成がきっかけで、「10」の次に買ったのは「グッド・バイ」というベスト盤。それでもやはりブルーフィルムという曲は印象的で大切な曲だった。

 

オリジナルの発売から20年。本作はVo石井が加入した直後にリリースされたアルバムのリバイバル版だ。元の楽曲に加えスパンカーズのカバーと新曲2曲が追加され、すべての楽曲が新録となっている(一部、当時の音も使用されているとのこと)。

 

まず耳をひくのはサウンドのよさ。経験を積み整理された楽曲群はより細部まで混沌を堪能できるし、メジャーからのリリースということもあってクリアでギラギラした音質に仕上がっている。

 

新たに追加されたカバー曲のSex on the beachで勢いよく幕を開けた後は名曲「エロトピア」。原曲の構成は残しつつも秦野さんのキーボードがおしゃれな彩りを加え、ネタ曲で終わらない説得力が付加されている。「ミルクセヰキ」では打ち込みを排しソリッドなバンドサウンドで攻める。ミルクセヰキのつくりかたもより混沌に学ぶことができ教材としても使用可能だ(?)。続く「ポラロイド遊戯」では印象的だった長大なギターソロが合唱にトランスクリプションされるなど再構成されており、より耳をひきつける仕上がりになっている。

 

新曲「デリヘルボーイズ!デリヘルガールズ!」は青さんによるハイテンションな楽曲で最近の楽曲よりえぐみがあり当時と現在が混ぜ合わさっている感じが出ていて楽しく、「真空回廊」はより三拍子が際立って優雅。「原色エレガント」も忠実にアップデートされており、あやしげなギターソロもほぼそのまま再現されているのがうれしい。新曲「さかしま」はギターと歌だけという珍しく非常にシンプルな編成で浮遊感が心地よい。そしてさかしまで洗われた心に染み入るように流れてくる最後の「ブルーフィルム」は圧巻だ。

 

再録ものは原曲に対する思い入れから違和感を感じるケースもあるが、今作については実際はかなり変更点があるのにまったく違和感なく受け入れられるのが不思議だ。追加された3曲がちょうどよい位置におさまっているのもあるし、新たなアレンジが奇抜な発想ではなく当時と地続きで行われていることもあると思われる。

 

昔好きだった人にもずっと好きな人にも、これから聴いてみる人にも自信をもっておすすめしたくなるような最高のリバイバル版だ。

 


cali≠gari - エロトピア【MV】

雲井雅人サックス四重奏団「雲カル愛奏曲集」

 

雲カル愛奏曲集

雲カル愛奏曲集

 

 

01.プルミエ四重奏曲(サンジュレ): I. Andante - Allegro

02.プルミエ四重奏曲(サンジュレ): II. Adagio sostenuto

03.プルミエ四重奏曲(サンジュレ): III. Allegro vivace

04.プルミエ四重奏曲(サンジュレ): IV. Allegretto

05.サクソフォーン四重奏曲(ジャンジャン): I. 陽気な村人

06.サクソフォーン四重奏曲(ジャンジャン): II. 穏やかな風景

07.サクソフォーン四重奏曲(ジャンジャン): III. 蝶々

08.サクソフォーン四重奏曲(ジャンジャン): IV. 広場でのコンサート

09.前奏曲とフランス風ロンド(ヴェローヌ)

10.四重奏曲(フローリオ)

11.アンダンテ・カンタービレ

12.アヴェ・ヴェルム・コルプス

13.日本の四季 季節の唱歌メドレー

14.谷茶前ラプソディー

15.涙そうそう

16.スウィート・メモリー

17.モナリザ

18.ケンタッキーの我が家

19.ゴスペル・メドレー

 

マスランカの作品をはじめとして数々の難曲に取り組み素晴らしいアルバムを残してきた雲井SQの新作が発売された。

 

ここで取り上げられているのは中高生でも挑戦が容易である楽曲群だ。「涙そうそう」などのヒットソングも含まれているあたりにアルバムタイトルである“愛奏曲”、すなわち肩肘をはらずに楽しめるのがコンセプトであるというのが象徴されている。

 

演奏はもちろん素晴らしく、特にサンジュレやジャンジャンの四重奏曲は取り組む人の多さに対してまとまった音源が少ない楽曲であるので貴重だ。特に雲井SQの端正なハーモニーに裏打ちされたこの演奏は今後のスタンダードのひとつになりうると感じた。

 

演奏もさることながら驚かされるのはブックレットである。およそCDのブックレットとは思えないページ数が割かれており、各楽曲に対し各奏者が演奏上のポイント等を寄稿している。ここからも伺えるのは彼らの後進育成への意気込みだ。

 

サクソフォン界の演奏レベルは年々上がっており、デザンクロやシュミットといった難曲までスタンダードのように思えてくる昨今だが、裾野までそうかというともちろんそんなことはない。向上だけでなく継承まで考えての活動を形として残してゆくというのは本当に意義深いことだと思う。願わくば、この作品が長くスタンダードとして売られ、聴かれて行ってほしい。

人間椅子「帰ってきた人間椅子倶楽部~配信ライブ編~」

中野サンプラザ公演をメインにした映画も公開された人間椅子
そちらのライブではベスト的な選曲で楽しませてくれましたが先日レア曲祭りの配信が開催されました。

 

■セットリスト
01.無情のスキャット
02.無限の住人 武闘編
03.月夜の鬼踊り
04.悪魔の手毬唄
05.莫迦酔狂ひ
06.月のアペニン山
07.新青年まえがき
08.マンドラゴラの花
09.塔の中の男
10.悪夢の添乗員
11.悪魔と接吻
12.地獄のヘルライダー

 

人間椅子倶楽部ということで各楽曲が終わるごとにゆるくMCをはさみながら進行。
世界的にバズった「無情のスキャット」でつかみ、最新曲につなげていくあたりはさすが。
近年の人間椅子はどんどんサウンドの攻撃力が上がっていると思いますがライブでも映えますね。

 

12弦ギターを使用する「月のアペニン山」や作りこみが演奏を難しくしている「新青年まえがき」など、ライブではなかなか挟み込みづらい楽曲もたくさん入っていて新鮮な内容でした。

 

莫迦酔狂ひ」「マンドラゴラの花」「塔の中の男」といったプログレッシブな長尺曲も面白かったですね。ブラックサバス的な比喩をよくされるバンドですがやはりキングクリムゾン的な遺伝子も相当色濃くでているのがわかります。

 

10/4までアーカイブも観られるようですので是非。

 

BUCK-TICK「ABRACADABRA LIVE ON THE NET」

B-Tの配信ライブを観ました。

 

■セットリスト
01.PEACE
02.ケセラセラ エレジー
03.URAHARA-JUKU
04.SOPHIA DREAM
05.月の砂漠
06.Villain
07.凍える
08.舞夢マイム
09.ダンス天国
10.獣たちの夜
11.堕天使
12.MOONLIGHT ESCAPE
13.ユリイカ
14.忘却

 

En.
15.Living on the Net
16.Cuba Libre
17.ICONOCLASM
18.Memento mori
19.独壇場Beauty

 

本編は最新アルバム「ABRACADABRA」完全再現。
非常に素晴らしいアルバムですが、ライブでさらに楽曲群が魅力を増していました。

 

冒頭から無観客とは思えない熱量のパフォーマンスでしたが進むにつれてさらに集中力が増していく完成されたライブでした。


音源でも素晴らしかった「Villain」が特に印象的で、今井さんVoの部分で映像が今井さん×3の三分割になった瞬間などはグッときましたね。

「舞夢マイム」での櫻井さんの一人二役も絶品でしたし、続くシングル曲の連続の箇所ではアルバムVerベースのアレンジでのデジタル感を堪能できました。
ユリイカ」からの「忘却」はライブでも演奏効果が高く、余韻を残す構成になっていました。

 

アンコールではアコースティック的な編成で2曲と必殺のICONOCLASM。
ステージを縦横無尽に動き回る楽しそうなメンバーの姿が印象的でした。

 

BUCK-TICKのライブは初めて見たのですが、随所で「ああ、カリガリはだいぶ影響を受けているんだなあ…」と再確認できたりと発見がたくさんありました。音源だけでなく立ち居振る舞いまで含めて後続へ影響を与えていたんだなということがよくわかりました。

 

アルバムとこの配信で完全にノックアウトされてしまったので、ライブに行けるような状況になったら今度は現地に行ってみたいですね。

 

 

「CRUSH OF MODE-ENDLESS SUMMER'20-」

充実したイベントでしたね。

 

cali≠gari
01.サイレン
02.僕は子宮
03.ゼリー
04.-踏-
05.紅麗死異愛​羅武勇
06.淫美まるでカオスな
07.マッキーナ
08.Sex on the beach
09.-187-

 

トップバッターはカリガリ
フェスらしくかなり攻めたセットリストで、いきなりサイレンというのはなかなかインパクトがあったのではないでしょうか。轟音でつかんでおいてからのジャズ風楽曲による幅広さのアピールも見事。後半はライブでの定番曲を畳みかけて一気呵成に終わる綺麗な構成でした。Sex on the beachはレコーディングを経てアレンジが練り込まれていましたね。


■NoGoD
01.masque
02.Borderline
03.カクセイ
04.helix
05.DADA
06.ヘンリエッタ
07.神風

 

ヘヴィメタル味の強い演奏とVoによる正統派HMサウンド。はじめて見ましたがまっすぐで心地よいパフォーマンスでよかったです。中盤での最近の楽曲helix、DADAが特に印象に残りました。


ゴールデンボンバー
01.僕クエス
02.まさし
03.抱きしめてシュヴァルツ
04.†ザ・V系っぽい曲†
05.首が痛い
06.女々しくて

 

配信慣れしているなという印象で、ライブの頭から最後までを途切れさせないひとつの動画としてパッケージングするさまはお見事。「まさし」など、リスナーが突っ込みをいれるような楽曲はむしろ声が視覚化されるコメント付き配信のほうが相性がいい面すらあるかもしれません。


メトロノーム
01.血空
02.不機嫌なアンドロイド
03.とある事象
04.Catch me if you can?
05.憂国の空
06.MATSURI
07.強くてNEW GAME
08.絶望さん

 

ヘクトウなどで写楽さんはみたことがありましたがメトロノームとしてははじめて。打ち込みを強く入れつつもスラップなどを取り入れた肉体的なベースプレイにより思っていたよりよっぽどバンド感がありました。Catch me if you can?やMATSURIはインパクトありましたね。


筋肉少女帯
01.イワンのばか
02.日本印度化計画
03.元祖高木ブー伝説
04.新人バンドのテーマ
05.ボーン・イン・うぐいす谷
06.踊るダメ人間
07.釈迦(セッション)

 

アコースティックとトークでの配信はありましたがバンドとしての配信ははじめての筋肉少女帯。事前にはじめてというところを連呼していましたがそこはさすがの貫禄で、まったく無観客を感じさせないいつも通りのステージングでした。アンコールの釈迦では客席にそれまでの各バンドメンバーが集まりコーラスなどで参加。不動の石井さんに代わって途中からシャウトを入れていく青さんが素敵でした。

 

非常に贅沢な配信フェスだったと思います。

cali≠gari×deadman 「死刑台のエレベーター〜ザ・ビギニング〜 2020/07/28」

カリガリとデッドマンのライブ配信を観ました!

本来は延期前のチケットを確保していたのですが、もろもろ考慮し今回は配信にシフト…。

ライブ自体は7/28に実施され、配信は8/8から行われました。

 

deadman

01 please god

02 溺れる魚

03 blood

04 monster tree

05 follow the night light

06ドリスからの手紙

07 through the looking glass

08 quo vadis

09 re:make

10 蟻塚

 

初めて見ましたが、非常にかっこいい!

Gtaieさんによるグランジオルタナ的なリフワークの上に艶めかしく怪しいフレージングの眞呼さんのVoが乗って、ダークながらもどこか聴きやすい絶妙なサウンドが出来上がっていました。

 

声色を変えて緩急をつける「please god」からの冒頭3曲は特に一気に惹き込まれてしまうしまうなと思っていたらこれらは1stの冒頭の曲順そのままだったんですね(CD買いました)。「follow the night light」のサビのポップ感も印象的でした。曲によってもがくような動作だったり手を上に伸ばすような動作だったりと、大きくはないものの印象に残るような所作のパフォーマンスが多くかっこよかったです。「quo vadis」はこれぞ!というようなV系的曲で盛り上がりましたね。

 

しかし何より最高だったのはラストの「蟻塚」。蛍光塗料を吐いたり顔面に塗りたくったうえでブラックライトで照らし、まるでゾンビが血を吐いたかのような強烈なヴィジュアルに。楽曲も息の長いクレッシェンドを積み重ねてゆくタイプの構成で非常に好みでした。いいバンドを知ることができました…。

 

 

caligari

01.死は眠りを散歩する

02.オーバーナイト・ハイキング

03.その斜陽、あるいはエロチカ

04.動くな!死ね!甦れ!

05.ママが僕をすててパパが僕をおかした日

06.暗中浪漫

07.--

08.淫美まるでカオスな

09.セックスと嘘

10.エロトピア

11.Sex on the beach

 

カリガリもいつもに比べてややダークな成分が多い選曲だった印象。音の洪水で圧倒する「死は眠りを散歩する」で幕開けし、久しぶりな「エロチカ」も。「ママが僕をすててパパが僕をおかした日」ではキーボード音がなく印象的な冒頭フレーズをベースが担当するなど新鮮な響きでした。

 

この日はドラムがいつもとは違う方で、非常にタイトなビートを刻んでいました。特に「暗中浪漫」~「淫美」といった楽曲ではガチっとはまったリズムの妙を楽しめましたね。最後はエロ系楽曲で締め。

 

ここ最近の2本はいずれも無観客配信だったので、観客ありのライブは久しぶりだったカリガリ。メンバーたちの楽しそうな演奏と高いテンションを感じることができたのはとてもうれしかったです。

 

 

caligari×deadman

01.死刑台のエレベーター

 

アンコールは両バンドメンバーによる共作の新曲。

お互いの個性を出し合いつつも調和していてとても面白い出来になっていました。演技的な動作の眞呼さんと不動の石井さんがよいコントラストになっていましたね。

 

とても良い組み合わせのライブだったと思います。本人たちの感触もよかったようなので、来年に延期された残りのライブに向けてまた何かアクションを期待してしまいますね。