2023年ライブ振り返り

今年はかなり多くのライブ、コンサートに足を運びました。
People In The Boxcali≠gariという特別好きなバンド2つが新作を出したということもありますが、他にもこれは外せないというライブが多く、泣く泣く諦めたものも多数。とはいえ特にヘヴィメタル系の来日ラッシュは来年も続きそうですし、少し考えないとな…とも思ったり。

 

以下が見に行った公演の一覧です。
いずれも楽しく、個別で感想ブログは書いていますが、特に印象的だったものを挙げます。

 

0128 東京佼成ウインドオーケストラ
0210 cali≠gari
0211 原神シンフォニー
0223 クラムボン
0226 sassya- / 明日の叙景
0428 東京佼成ウインドオーケストラ
0430 Dream Theater
0521 People In The Box
0527 COALTAR OF THE DEEPERS
0609 Vader
0624 Twilight Force
0625 kokeshi
0628 cali≠gari×2
0708 cali≠gari
0712 東京藝大ウィンドオーケストラ
0722 People In The Box
0728 SIGH
0819 cali≠gari
0827 明日の叙景
0908 東京佼成ウインドオーケストラ
0912 BOTCH
0914 Amorphis
0918 cali≠gari
1009 cali≠gari、ベッド・イン、色々な十字架
1118 東京藝大ウィンドオーケストラ
1129 COTD,Boris,明日の叙景
1209 Cynic
1212 Cryptopsy


0223 クラムボン

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声出しが解禁され、客席での波よせての合唱が印象的でした。
この当時はまだちょっとハラハラを感じつつ見ていた記憶がありますが、この一年ですっかりライブ現場は前の感じに戻りましたね。

 

0428 東京佼成ウインドオーケストラ

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ブリュッセル・レクイエムこそ超有名曲であるものの、コスミッキなどあまり聴き馴染みのなかった曲も多く聴くことができた演奏会。
TKWOの底力を見た気がしましたし、ブリュッセル・レクイエムのカッコよさがようやく分かったという大変ありがたい公演でした。

 

0609 Vader

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とにかくカッコよかったVaderはもちろんのこと、HATEほか共演バンドすべてドラムが物凄くて見ごたえがありました。
やはりライブで聴くと味わい方が変わりますね、Vaderがそれまでよりグンと好きになりました。

 

0722 People In The Box

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新作の出来が素晴らしすぎて。
彼らの楽曲は音源で聴くと冷静で知的、落ち着いた感じもあるのですが、ライブのパンチ力は一度味わうとやめられません。

 

0728 SIGH

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ひとつのショーとして非常に完成度が高かったです。
火を使ったり血糊を使ったり、ブラックメタルの精神を強く浴びて感動しました。

 

0827 明日の叙景

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2022年はこればかり聴いていた「アイランド」の再現。
Borisとのツアーを経て強靭になったアンサンブルに酔いしれました。

 

0918 cali≠gari

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銀河鉄道ツアーのファイナル。これも一貫性があってコンセプトアルバムみたいなライブでした。
ここで披露され、すぐに公式youtubeにもアップされた新曲「廃線された未来駅にて」の素晴らしさときたら。

 

1129 COTD,Boris,明日の叙景

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こういう系のバンドが好きな人は大歓喜のラインナップ。もちろん私も興奮しながら即チケット確保して行ってきたわけですが、クアトロの聴きやすい音響でこの3バンドを堪能できたのはただただ幸福な時間でした。

毛並みん「17さい」セルフ解説

今回はけっこうな力作になったこともあり、どんな感じなのかな?というのを文章化してお伝えするのもアリなのかな、と思いまして。
ネタバレ若干含みますので、聴いてから読んだほうが楽しめそう、という方はそれでお願いします。
※発売前に好きなバンドの全曲インタビュー記事とか読むの、個人的には好きなもので…。

 

なお、アルバム「17さい」は冬コミ C103 1日目にて頒布予定ですので、よろしくお願いします。

 

 

■毛並みん「17さい」 曲目
01.進路
02.お花(17さい ver.)
03.FM73.3 毛並みんペタペタ
04.expired
05.So What(17さい ver.)
06.FM73.3 毛並みんは17さい
07.magic hour(17さい ver.)
08.星あかり
09.まとまるくん
10.FM73.3 毛並みんヘルシー
11.木ごとき
12.gekijo
13.袖
14.steer board
15.starboard(17さい ver.)
16.17さい
17.かわいいって言ってよ!(17さい ver.)

 

◆解説
01.進路
 構成:A-B-C-A-B-C
 2020年あたりの閉塞感、退廃的空気から生まれたメロディ。
 某Sound Horizonにならって右側が生、左側が死として楽器を配置。生は生音とサンプリング音源で左は完全打ち込み。
 シンプルな構成ながら後半にばっとサウンドに広がりを持たせてみたかった。

 

02.お花(17さい ver.)
 構成:C-A-B-C-A-B-C-Solo-C-B-C
 2023年5月の毛並みん個展、#KNMN2023 用に書いた曲。
 去年から見ていたアニメ…水星の魔女やぼっち・ざ・ろっく!の影響を受けつつ、毛並みん的キラキラメロディを書いてみた。
 最近は生ドラムでないビートにも興味があり、その実験でもあった。

 

03.FM73.3 毛並みんペタペタ
 毛並みんラジオその1。効果音的なドラム音源を持っていたのでそのへんを使って自然っぽいBGMを。
 こういう感じのものを作りたいときにバリトンサックスは結構向いていると思う。

 

04.expired
 構成:A-B-C-A-B-D-A
 ハウス、テクノ、4つ打ちはパリピっぽくて苦手だったが、ここ数年のヒューマンビートボックス界隈の隆盛を見て、オタク的な想像力にも接続できることがわかった。
 とはいえそんなにすぐに真似できるようなものでもないので、典型的なビートを取り入れつつ、ドロップでは毛並みんに語ってもらった。
 謎に深すぎるリバーブもツボ。

 

05.So What(17さい ver.)
 構成:A-B-A-B-A-Solo-C-D-Solo-C-E-A'-B'-A'-F
 2022年の冬コミ C101 にて頒布されたもの。
 なかなかギターが弾けない中で、プログレメタルが…やりたいんや…!という気持ちが爆発した。
 具体的にはTrain Of Thought期のDream Theaterとかの攻撃力高めなやつ。
 中間部では最近のYesや初期King Crimsonを思い起こしつつ。メロトロンの音源が使えるならこの音色は使いたいよな、ということで。

 

06.FM73.3 毛並みんは17さい
 毛並みんラジオその2。絶望放送リスナーだったもので、そういう曲も書いてみたかった。
 アコースティックギターの音って難しいですよね。ここではAmpleの音源を使用。

 

07.magic hour(17さい ver.)
 構成:A-B-C-A-B-C-Solo-C
 2022年の夏コミ C100 にて頒布されたもの。
 C100~C101あたりはちょうど仕事がMAX忙しかったころで、打ち込み主体でどうにかできないかを模索していた。
 この曲はほぼギターは弾かず、キーボードアレンジを厚めに構成。夜中でもキーボードなら音が出ないので。

 

08.星あかり
 構成:E-A-B-C-D-A-B-C-E
 毎回何かしらは入れているシューゲイザー的音響への挑戦。ギターもほぼ打ち込み。
 最近はCevioAIを仮歌として使うことが多いのだが、CevioAIは初期だとドレミで歌ってくれるので、そればっかり聴いているとそれに引っ張られた歌詞になる。
 というわけで、サビの歌詞はドレミで歌ったものからもじったもの。この曲は歌詞まで私が書いている。

 

09.まとまるくん
 構成:A-A-B-C-A-B-C-C-C
 ここらへんから、17さいというテーマを意識して案出しした曲が多い。これもそのひとつ。
 神聖かまってちゃん的な、変わらないコード進行の上でいろいろやるやつをやってみたかった。
 後半は抑えきれずにメタル化。

 

10.FM73.3 毛並みんヘルシー
 毛並みんラジオその3。フュージョン風。
 ラテンなビートに乗ってヘルシーな語りをする毛並みんが面白い。

 

11.木ごとき
 構成:A-B-Solo-A-B-C-C'-D-E-Solo-B-C-C'-C'-F
 今年の春の花粉は本気でしんどかった。マスクをしてるんだから貫通してくるなと何度思ったことか。頭がくらくらするようなリフはDream Theater印。
 打ち込み多用の揺り戻しで沢山ギターを弾いてやろうと考え、そのようになった。冒頭の変拍子は全然覚えられなくて弾くのに苦労した。
 好きなメタルをいろいろ詰め込みつつも最後はどこに行くのか…という感じ。

 

12.gekijo
 構成:A-B-C-A-B-D-Solo-B-D-D-C'
 ギターロック、変拍子、なおかつ爽やかというのが青春の味。
 拍子をころころ変えるのが残響系って感じで懐かしくていいなと思った。
 サビではみんなで叫びたいなと思って毛並みんをたくさん召喚した。

 

13.袖
 構成:A-B-C-D-A-B-C-E-D-A-E-E-D-D
 自分の中から17歳を連れてくるならBump of Chickenしかない。
 左のギターはコードをかき鳴らし、右のギターは単音フレーズ。これが俺なりのバンプや…という感じ。
 出来上がったら結構質感は違う感じになったのだけど。

 

14.steer board
 歌も語りもない前奏曲のようなもの。各フレーズの素材は続くstarboardの断片から。
 今年のいなくなってしまった偉人たちに想いを馳せつつ。

 

15.starboard(17さい ver.)
 構成:A'-D'-A-B-C-D-A-B-D-D-E
 2023年の夏コミ C102 にて頒布されたもの。
 出会いと別れは普遍的なテーマだが、ここで一度書いておきたかった。
 青春パンク的な疾走感で未来まで。

 

16.17さい
 構成:A-B-C-A-B-D-C-C’
 語りかけるような低めのメロディから、高く飛ぶサビへ。
 こういうamazarashiフォロワー的な曲が多く聴かれるようになってしばらくたったが、私もこういうのは好きだ。
 最近はメロディにハーモニーを重ねるのがお気に入りで、ここでもサビはハモっている。

 

17.かわいいって言ってよ!(17さい ver.)
 構成:A-B-C-C-A-B-Solo-C-C'-C-C'-D
 2016年に書いた曲。当時から音域高くしすぎたかなという気持ちがあった。
 低い音の出るギター(といっても7弦ではなくダウンチューニングしているだけ)を持っているのだからということで思い切ってキーを下げてみた。
 当時も結構な時間をかけて作っただけあって、アレンジはあまり変えておらず、聴き比べても面白いかも。 

 

2023年ベストアルバム

今年もたいへん面白い作品が多かったです。
特に気に入った作品についてコメントを記載します。

 

 

01.BUCK-TICK - IZORA
02.People In The Box - Camera Obscura
03.cali≠gari - 16
04.World's End Girlfriend - Resistance & The Blessing
05.sukekiyo - EROSIO
06.Insomnium - Anno 1696
07.Kokeshi - 冷刻
08.Sound Horizon - 絵馬に願ひを!
09.THE NOVEMBERS - THE NOVEMBERS
10.色々な十字架 - 少し大きい声
11.Extreme - SIX
12.人間椅子 - 色即是空
13.Haken - Fauna
14.Meitei - Kofū III
15.Liturgy - 93696
16.Steven Wilson - The Harmony Codex
17.clammbon - 添春編
18.Petit Brabancon - Automata
19.Cryptopsy - As Gomorrah Burns
20.オオサカ・シオン・ウインド・オーケストラ - バーンズ交響曲全集
21.GOATBED -夜目遠目
22.Kalmah - KalmaH
23.yoasobi - The Book 3
24.Gotsu-Totsu-Kotsu - 黄泉ガヘリ
25.Yo La Tengo - This Stupid World
26.花譜 - 狂想
27.大間々昂 - 機動戦士ガンダム 水星の魔女 Original Soundtrack
28.陰陽座 - 龍凰童子
29.トルヴェール・クヮルテット - FESTA
30.金属恵比須 - 邪神覚醒
31.kein - 破戒と想像
32.Twilight Force - At the Heart of Wintervale
33.ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 - ショスタコーヴィチ : 交響曲第8,9,10番
34.Yes - Mirror To The Sky
35.西山瞳 - dot
36.木下牧子 - ピアノデュオ作品集
37.DGM - Life
38.ドレスコーズ - 式日散花
39.Ray - Camellia
40.Voivod - Morgöth Tales
41.Cynic - ReFocus
42.Metallica - 72 Seasons

 

■コメント
01.BUCK-TICK - IZORA
色々な意味合いが付加されてしまいましたが、作品として純粋に素晴らしい出来。先行でベストアルバムに収録された「さよならシェルター」に代表される通り、反戦のメッセージがとても強く刻印されたアルバムであり、変化しつつも社会情勢への眼差しを持ち続ける彼ららしい快作。

 

02.People In The Box - Camera Obscura
kodomo rengouも最近の気がしていたのですが、あれももう5年前とかなんですね。あの作品からまた新しいモードに突入したと思われたPeople In The Boxですが、ここにきてさらなる進化を遂げました。実験と熟練のバランス、自由と構築のバランス。大変濃密な40分間です。

Camera Obscura

Camera Obscura

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03.cali≠gari - 16
毎年何かしらの作品を発表しているcali≠gariは、パブリックイメージとは裏腹にめちゃくちゃ精力的なバンドなのではないでしょうか。今作は彼らの歴史を思い起こさせるかのようなバラエティ豊かかつルーツを強く感じさせるもので、SOFT BALLETのカヴァーが象徴的。過去曲「リンチ」と接続しつつ今だからこそ書ける情景で締める「銀河鉄道の夜」もとても感動的でした。

 

04.World's End Girlfriend - Resistance & The Blessing
2時間半の超大作、超濃密な音旅行。非常に実験的かつサウンドの圧倒的なパワーに押しつぶされるかのような感覚を味わえます。銀河鉄道の夜を踏まえたストーリーであり、まさに銀河鉄道に乗りながらの旅路といったところでしょうか。なかなか何度も聴き通せるものではないですが、一度は体感してほしい作品です。

Resistance & The Blessing

Resistance & The Blessing

  • Virgin Babylon Records
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05.sukekiyo - EROSIO

以前よりイビツなヴィジュアル系の印象が強く、DIR EN GREYではやらないような実験をしているという感触でしたが、今作は一気に化けてきたなという感じ。昭和歌謡感が強く出てきていて、先行リリースされたMOANのサビ「イーアルサンスー新春ショー」は衝撃的でしたね。このアルバムから入るのがsukekiyoは入りやすいのでは。

EROSIO

EROSIO

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06.Insomnium - Anno 1696
メロディックデスメタルの大御所で、毎回クオリティは高いのですが渋かったり大作だったりでなかなかおすすめしやすい感じのアルバムは少なかった印象。今作はそこが少し違って、メロディがとてもクサメロ感があります。中でも「Lilian」はメロディというかメランコリックなコード進行でガッツポーズという感じでした。

アノ 1696 [2CD]

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07.Kokeshi - 冷刻
日本の若手メタルバンドにも面白いバンドがたくさん出てきたなと言う感じがしますが(明日の叙景など)、このKokeshiも大注目のバンド。メタル、ハードコア的な暴力的な演奏と変幻自在のヴォーカルがとにかく強力で、ライブでも独特の世界観を構築していました。ハードな演奏の中にも日本的な幽玄さを感じさせるのがとても魅力的です。

冷刻

冷刻

  • Tokyo Jupiter Records
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08.Sound Horizon - 絵馬に願ひを!
まず聴き通すハードルが高すぎるという問題があるのですが、とはいえ名作には違いないので紹介させてください。ブルーレイの作品で、単に映像がついているだけではなく、曲間で選択肢を選ぶことにより聴くことができることが変わる仕様。しかも、その組み合わせにより聴くことができるエンディング曲も多数あり、それらをすべて聴くことでストーリーの結末まで到達できるという時間がいくらあっても足りない内容です。しかし、ここで描かれているのはRevoの社会への問題意識であり問いかけであり、同時に鼓舞でもある、非常にメッセージ性の強い作品。個人的には「Moira」をさらにアップデートしたような内容に感じました。各ルートごととしてダウンロード販売も開始されましたが、それを揃えても真エンドの曲は聴くことができません。重ね重ねハードルは高いですが、ぜひブルーレイで堪能してほしいところ…。

 

09.THE NOVEMBERS - THE NOVEMBERS
彼らの音楽はそれなりに長く聴いてきているつもりではありますが、正直なところ掴みどころのない、どこか私には理解できないバンドという感触がありました。とはいえその実験精神にはとても興味があって、前作でもその挑戦のひりつくような感覚に痺れていたものです。今作はセルフタイトル。バンドがセルフタイトルをつけるときって、これが自分たちだ!と宣言したい場合もあるかと思うのですが、今回の場合は出来上がってみたらこれが自分たちだね、という内容になったのではないか?と感じます。実験的でありつつ今までの要素の延長上であり、まさしくひとつの到達点と呼びたくなるないようなのではないかと思いました。

The Novembers

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10.色々な十字架 - 少し大きい声
ヴィジュアル系への愛と、同量のボケでできている稀有なバンド。90年代〜00年代のV系の美味しいところを継承しており、その「あるある」的クオリティ自体も良いのですが、アルバムになったことで表現への一貫性も感じられるようになりとても素晴らしい出来になっていました。音源も素晴らしいが特に良いのがライブで、デカデカとスクリーンに映し出される歌詞とのギャップに爆笑必至。ワマ(ワンマンライブのこと)も既に3回成功させており、もうネタバンドとはいえない活躍ぶり。また見に行きたいですね。

少し大きい声(初回限定盤)

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以下、特に記載したいものを


14.Meitei - Kofū III
冥丁の音楽を知れたことは今年の収穫のひとつ。サンプリング的な音の配置とノスタルジックなメロディが独特の癒やしの世界に誘われるようで心地よいです。

古風 Ⅲ(AMIP-0345)

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  • アーティスト:冥丁
  • KITHCEN. LABEL
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16.Steven Wilson - The Harmony Codex
去年はまさかのポーキュパイン・ツリー復活をやっておきながら、ソロでもこれだけの作品を作るというのはスティーブン・ウィルソンの作業速度どうなってるの?と言いたくなりますね。前作はだいぶバンドサウンドから離れてしまった感もありましたが、今作ではやや揺り戻しており個人的にはこれくらいが好み(レイヴンは眠らないあたりのバチバチなのも好きですが)。彼らしい独特の憂いを帯びたメロディが心に残ります。

The Harmony Codex

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17.clammbon - 添春編
クラムボンのいったんの休止にともない発表されたアルバムですが、トリオロジーのときにぐっとポップに寄ったところから各種モメントシリーズを経て、実験精神とポップさを高次元で両立させた楽曲が揃っています。メロディとビートの絡み合いの心地よさ、シンプルなエモーショナルさに説得力がありますね。

添春編

添春編

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19.Cryptopsy - As Gomorrah Burns
ブルータルでテクニカルなデスメタルの第一人者的バンドでありつつ今でも旧作に負けない強度の新作をリリースしているのは驚異的です。特にドラムのフロ・モーニエのアイデアには脱帽で、テンポを落としつつバスドラムを敷き詰めることで遅さと速さを同時に感じさせる表現など痺れました。

 

20.オオサカ・シオン・ウインド・オーケストラ - バーンズ交響曲全集
バーンズは吹奏楽を代表する作曲家のひとり。「アルヴァマー序曲」が大ヒットしたため、その明るく親しみやすい作風のイメージが強いですが、「祈りと呪文」などの実験的な曲もあったり、吹奏楽編成に交響曲を9曲書いていたりと多彩な技を持っています。特に交響曲を書くときは伝統的な交響曲を強く意識した書き方をしているのが特徴的で、描写音楽や伝統的な形式にとらわれない曲が多い吹奏楽というジャンルにあって、動機の展開や楽章の構成が基本をベースにしていると感じられるのは聴くときにも理解の手助けになります。交響曲の中でも特に有名なのは3番で、冒頭で提示される音形が最後まで重要な役割を担い、感動的なクライマックスを形作ります。3番以外、特に6番以降は演奏機会自体も少ないため、こうしてひとつの団体による統一感のある演奏ですべて聴けるようになったことはたいへん喜ばしいことです。

 

23.yoasobi - The Book 3
もはや大人気アニメ請負人という感もあるYOASOBI。今作には「水星の魔女」「推しの子」「葬送のフリーレン」といった大ヒットタイトルの主題歌が含まれており、そこだけでも非常に攻撃力の高い一枚です。作曲のayaseのルーツにはハードロック、ヘヴィメタル的な文脈もあり、今年はメタル系のフェスにも出演して広く受け入れられていたのも記憶に新しいですね。マニアックな趣味や感性をキャッチーにパッケージングする手腕には驚かされますし、物語をベースにするというコンセプトによる世界観への入りやすさも多くの人に届いている秘訣なのかなと。まだまだ目が離せません。

 

24.Gotsu-Totsu-Kotsu - 黄泉ガヘリ
兀突骨は前からちょこちょこと聴いてはいたのですが、スリーピースとは思えない嵐のような暴虐サウンドが魅力。特にギタリストとしては筋肉とギターについての教本も執筆していた円城寺氏のプレイが魅力的です。メタルかくあるべしというフィジカルを活かした高速フレーズ、かと思えばギターメロディになると慟哭の泣きメロ…と、美味しいところが詰まっていますね。ヴォーカルも聞き取れる範囲の日本語デスヴォイスであるところも良いです。新作はCryptopsyのライブでも披露された疫神をはじめ非常にテンションの高い振り切った内容で、ブルータルかつ聞きやすいという驚異のバランスです。

黄泉ガヘリ

黄泉ガヘリ

  • アーティスト:兀突骨
  • B.T.H. RECORDS
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27.大間々昂 - 機動戦士ガンダム 水星の魔女 Original Soundtrack
ガンダムシリーズでありつつも今までとは異なる要素を多分に取り入れ、新しいファン層獲得に成功した水星の魔女。内容もとても面白く見たのですが、SNS戦略や音楽などもとても力が入っていて、ガンダムの底力を感じました。サウンドトラックは特典としてカセットテープをつけてみたりと近年の流行りであるアナログ的なアプローチも。音楽的には声を大きく取り入れたBGMが印象的でしたし、要所要所で出てくるアスティカシアのテーマなど印象的で、手元に置いておきたいと感じさせてくれる作品だったと思います。

 

29.トルヴェール・クヮルテット - FESTA
日本のサクソフォン四重奏を代表するカルテットのひとつ。吹奏楽に大作を多く書いている作曲家の長生氏とタッグを組み、かつてはヴィヴァルディの四季やホルストの惑星といった曲を大胆にパロディ要素を含めてアレンジしてアンサンブルの自由度を拡張してきました。テナーサクソフォンの新井氏が亡くなったあとは神保氏が後任を務めていますが、神保氏になってからのアルバムは今回が初です。メインはレスピーギのローマの祭り。今回も長生氏のアレンジではありますが、パロディ要素なしの正面からの編曲となっていて、これがまた素晴らしい。もとがレスピーギの華麗な筆致による壮大な響きの楽曲であり、それをサクソフォン4本とピアノのために編曲しているので、省略されている音はあるのですが、その塩梅が見事で、オーケストラを聴いているときに外形として聞こえているラインを維持しつつ内部をうまく省略、それでいて各メンバーにおいしいところもあり、という充実した内容です。

FESTA

FESTA

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30.金属恵比須 - 邪神覚醒
日本のプログレバンド金属恵比須のベスト盤。といいつつ新曲や再録もあるので取り上げさせてください。聖飢魔Ⅱ初期の作曲、ダミアン浜田氏のバンド活動のメンバーとしてしばらく活動していましたが、その任期を終えるとともにこのベスト盤にて一端の集大成という感じでしょうか。新曲である邪神覚醒がとても素晴らしく、切れ味鋭いサウンドが魅力的。レジェンドである先達のプログレバンド…King CrimsonやYesなどの影響を強く感じさせつつも日本らしいどろっとした質感、SF感も感じることができる名盤です。

 

35.西山瞳 - dot
メタルからの影響を公言し、メタル楽曲のジャズによる再解釈アルバムもリリースしてきた西山氏の最新作。編成やサウンドはジャズではあるのですが、構成的な面でヘヴィメタル、様式美からの影響が強くうかがえ、ジャズの即興性を保ちつつも俯瞰すると大きな1つのストーリーになっているというメタルリスナーからも入りやすい内容になっていると感じました。

 

36.木下牧子 - ピアノデュオ作品集
合唱曲で特に有名な木下氏のピアノデュオ作品集。私は吹奏楽で彼女の作品に良く触れていたのですが、その印象は常に理知的、数学的。計算しつくされた部品の組み合わせの妙が心地よいというタイプで、リフレインやテクニカルという意味でメタルが好きな私が強く惹かれるというのも納得というものでしょう。今作もメインの「パズル」に代表されるように二人のピアノが有機的かつ機械的に絡み合う様は聴いていてとても面白いです。

 

師走なので「くるみ割り人形」を聴こう

チャイコフスキー作曲のバレエ「くるみ割り人形」は彼の3大バレエの中でも最後に作曲された、いわばチャイコフスキーのバレエの集大成のような作品だ(あと2つは「白鳥の湖」「眠れる森の美女」)。クリスマスの夜を舞台にしたファンタジックな内容で、チャイコフスキーのメロディ・メーカーっぷりが存分に発揮されている。

 

チャイコフスキーは6曲の交響曲もたいへん有名ではあるが、どちらがメインともいいがたく魅力的な作品群なのだ。バレエ音楽は時に交響曲のようにシンフォニックになるし、交響曲バレエ音楽のように親しみやすいメロディに溢れている。

 

とはいえ私がバレエ音楽のシンフォニックさの魅力に気づいたのは最近だった。ここではそのきっかけと内容について共有したいと思う。

 

近年、ロシアの指揮者であるスヴェトラーノフを好んで聴いている。ロシアらしい豪快な鳴らし方を好み、ロシア国立響を率いた来日やN響への客演など日本との関係も厚く、亡くなってからもここ数年でもリマスター音源が毎年のように発売されている。

 

先日タワーレコードで発売されたボックスはN響での演奏をロシアものとドイツものに大別してまとめたもので、持っていない作品も多かったことからこれ幸いと購入した。その中にチャイコフスキーの3大バレエからの抜粋で演奏会を行ったときの録音が含まれていて、それがたいへん素晴らしい出来だった。なかでもくるみ割り人形がとても良く、構成としてはくるみ割り人形白鳥の湖、眠れる森の美女の順でハイライトを演奏し、アンコールとしてくるみ割り人形のパ・ド・ドゥで締めるというもの。

 

チャイコフスキーの3大バレエというとそれぞれの組曲版を演奏することが多く、特にくるみ割り人形組曲に魅力的な曲が多い。小序曲や行進曲はもちろん、金平糖の精の踊りや花のワルツなども多くの人がどこかで耳にしたことがあるはずだ。しかしスヴェトラーノフが抜粋した曲はこれらが一切含まれていない。白鳥の湖では情景、眠れる森の美女ではワルツといったように有名曲が取り上げられているのとは対象的だが、アルバムを通して聴くとスヴェトラーノフのやりたかったことが朧気ながら見えてくる。

 

くるみ割り人形として取り上げられているのは1幕の後半、第6曲~第9曲。組曲版で取り上げられている各楽曲との違いは、「踊りの曲」が少ないことだ。もちろんバレエなので踊りはつくのだが、花のワルツなどのようにあきらかに踊れるようなリズミックな曲というよりは重層的な響きを楽しむシンフォニックな楽曲群である。豪快な鳴らし方と歌わせ方が魅力のスヴェトラーノフにとって、その良さを最大限に引き出すことができる選曲といえる。

 

例1:組曲版で取り上げられている楽曲

 

例2:スヴェトラーノフ版で取り上げられている楽曲

 

では、この選曲はスヴェトラーノフのオリジナルのものなのか?と思っていたのだが、そうではない可能性も高いように感じる。というのも、同じくロシアの伝説的指揮者であるムラヴィンスキーがほぼ同等の選曲によりくるみ割り人形を演奏していた記録があるためだ。(正確には、パ・ド・ドゥの後に終曲が続いて演奏されている)

 

なので、ムラヴィンスキー版のような形式が共通認識としてロシア内であり、スヴェトラーノフはそれをベースにして選曲したうえで他2つのバレエと合わせてプログラミングを行ったのではないかと勝手に想像している。

 

いずれにせよ、ここで聴くことができるくるみ割り人形はたいへん重厚で美しい。この演奏を聴いて私はくるみ割り人形の新たな良さを再発見させられたといってよい。バレエ全曲というとけっこうな長さがあるため(とはいってもくるみ割り人形は短い部類ではあるのだが)、組曲版で満足している人もけっこういるのではないかと思うのだが、ぜひスヴェトラーノフ版の選曲で聴いてみてほしい。チャイコフスキーのまた違った一面を確認できるはずだ。組曲版とスヴェトラーノフ版を聴きこんだら、あとは全曲を聴きとおしたくなるのは時間の問題なのである。

 

 

Cryptopsy「Cryptopsy Tokyo Show 2023 @ 渋谷ストリームホール 2023/12/12」

カナダのテクニカルデスメタル、Cryptopsyの来日を見てきました。前回の来日のあと新作アルバムも発表され、待望という感じ。

 

兀突骨
スリーピースでテクニカルデスメタルを奏でるバンドですがギタリスト的にはギタリスト向けの筋トレ本も出していた円城寺氏の実演をついに見られるという興奮も。演奏が開始してすぐに感じたのはサウンドの良さで、三者がそれぞれ嵐のように手数を詰め込んでいてもバキッと分離良く聴こえ、たいへん心地よい聴体験でした。これは会場が良かったというのもありますが、彼らの楽曲構成の妙もあったと思われます。それぞれのパートで主役となりクローズアップされてほしいメンバーが明確で、ベースのスラップの瞬間にドラムが止まったりとか、とにかくライブで映える演奏、編曲力だったと感じました。基本はデスメタルらしく暴虐なのですがギターメロディになると日本らしいクサメロも顔を出すのも良いポイントで、もうすぐ発売される新作アルバムにも期待が高まりました。

 

■DEVILOOF
まさかEVP公演でヴィジュアル系を見ることになるとは。若手テクニカルメタル系の中でも最近特に名前を見るようになっていたバンドです。ヴィジュアル系は好きですが、よく見に行くのはcali≠gariVersaillesなど00年代バンドなもので、ノリがイケイケで新鮮でした。演奏も堂々としたもので、安定感抜群の演奏に支えられて変幻自在のヴォーカルが好印象でした。グロウルからホイッスルまでこなす様はDIRの影響も強く感じさせつつ、さらにテクニックとして洗練させていくという気概も感じました。

 

■Cryptopsy
01.In Abeyance
02.Graves Of The Fathers
03.Lascivious Undivine
04.Crown Of Horns
05.Slit Your Guts
06.Back to the Worms
07.Drum Solo
08.Detritus (The One They Kept)
09.Sire Of Sin
10.Flayed The Swine
En.
11.Phobophile
12.Orgiastic Disembowelment

 

この会場で聴けたことを幸運に思います。とにかくフロのドラムが凄まじいのはいつものこととしても、その細部まで聴こえる素晴らしさ。ブラストの粒がしっかり数えられるほど明瞭で聴いていて非常に心地よかったです。全体として聞かせるところは塊のように爆走しつつもギターソロではしっかりメロディが浮き出てくるバランスも見事。

 

さらに印象的だったのがマットのヴォーカルのうまさとステージングの巧みさで、まるで指揮をするかのような身振りで観客にリズムを提示しつつ吼える様はパワフルでたいへん印象的でした。加入時のアルバムでのクリーンボイスのイメージはもう欠片もないワイルドさでとても良かったです。セットリストは名盤である2ndを軸に最新作や少し前のep曲で構成されたもので、欲を言えばもっと聴きたかったくらいですが1日に浴びられるツーバスの数には限界があるのかもしれません。

 

フロのドラムソロが聴けたのも嬉しいポイント。ソロで聴くとあらためて彼の豊富な語彙には驚きますし、バディ・リッチなどのジャズ系ドラマーのソロも想起させられるような緩急のあるフレーズが多かったように感じました。アンコールのPhobophileも盛り上がりましたね。ぜひまた来日して欲しいです。オープニングアクトも含め高い純度でデスメタルを感じられるたいへん素晴らしいライブでした。

 

Cynic「Cynic Japan Tour 2023 @ 渋谷サイクロン 2023/12/09」

Cynic来日を観てきました!

 

■Exist Immortal
この日最もスタンダードなメタルに近かったEXIM。エモーショナルなボーカルと熱い演奏が印象的で、観客の反応にも満足していたようでした。ステージングも華があり好印象。とてもよい幕開けになったと思います。

 

■Cyclamen
主催の今西氏がボーカルを務めるバンド。拍子の複雑さではこの日ナンバーワンだったかも。
とにかくころころと表情を変える楽曲と飽きさせない展開はある意味日本らしいとも言えるのでは。
効果的に差し込まれるクリーンボイスとハードなパートのメリハリが心地よく聴けました。

 

■Cynic
01.Veil of Maya
02.Celestial Voyage
03.The Eagle Nature
04.Sentiment
05.I'm But a Wave to ...
06.Uroboric Forms
07.Textures
08.How Could I
09.Kindly Bent to Free Us
10.Adam's Murmur
11.Aurora
12.Integral
13.Space
14.In A Multiverse Where Atoms Sing
15.Evolutionary Sleeper

 

名盤Focusの再現を含む充実したセットリスト。メンバーの急逝によりオリジナルメンバーはギターのポールのみですが、ライブメンバーの面々も非常に技量が高く、圧倒されました。
まずはFocusの曲が最初から順番に演奏。Veil of Mayaこそ少しサウンドバランスに難を感じたもののどんどん改善され、アルバムの世界観に浸ることができました。
生で聴いてあらためて思うのはそのサウンドの独特さで、デスメタル的な要素で構成されつつもパーツのひとつひとつはジャズ的な即興感や浮遊感に彩られ、そこにボコーダーを通した声が乗ることにより別世界が演出されていました。演奏がいい意味で淡々と進められていくのもその異物感というか別物感に拍車をかけていて良かったですね。常温で繰り出されるキメとギターソロの数々にはしびれました。


再現のあとのセットリストは他国でもやっていたものの中間にRe-tracedからのIntegralとSleepを追加したもの。このパートに入る前に黙祷を促すパートが設けられたのですが、1日目は少し伝わりきらなかったためか、2日目では「モクトー」と日本語でのアナウンスに切り替えていたようでした。この2曲は同期音源に乗せてポールのソロとして演奏されたのですがこれが絶品で、Focusで興奮した気持ちを一気に引き締め、今度は瞑想の別次元に誘われたようにも感じました。
最新作からも数曲選曲されていたのも嬉しかったですね。最後のEvolutionary sleeperまであっという間の楽しい時間でした。翌日のライブはなんと生配信も行われ、たいへんクリアな音質でほぼ同様のセットリストを楽しむことができました。終演後は観客席から主催の今西氏に「ありがとう!」とい声も飛んでいましたが、本当に感謝です。よいライブでした。

 

Coaltar of the Deepers x Boris「"hello there" tour 2023 @ 渋谷 CLUB QUATTRO 2023/11/29」

好きなバンドと好きなバンドの対バンに好きなバンドがOAとして出るという夢のイベントを観てきました。
渋谷クアトロはPITBでよく来るところだったり、前回はAmorphisだったりと耳にやさしい音量で聴くことが多かったのですが、今日の3バンドはいずれも轟音。耳栓持って行っておいて良かったです。
 
■明日の叙景
01.土踏まず
02.私はもう祈らない
03.青い果実
04.遠雷と君
05.キメラ
 
5曲という短いながらも彼らの良いところが詰まったセットリスト。特に冒頭「土踏まず」でガッツリとシューゲ感と疾走感を見せたあとに「すべてか弱い願い」からの楽曲を挟んで特にキャッチーなギターメロディが印象的な「遠雷と君」「キメラ」で締めるのはメリハリがきいていてよかったです。彼らを見るのは4回目くらいだと思いますが、見るたびにエネルギーが外向きなポジティブなものになっていっているように見え、頼もしさも感じるほど。遠雷の冒頭のポエトリーでは「こんにちは、こんにちは」に挨拶を返す観客もいてほっこりしました。キメラのギターソロ前ではVoの布がギター!と煽るなど、今までになかったようなアクションも。轟音ながらもギターメロディがしっかり聞こえるバランスだったこともあり、Gtの等力のソロも決まっていてカッコ良かったです。
 
01.Anti-Gone
02.She is burning
03.Question 1
04.キキノウエ (with 布 from 明日の叙景)
05.Nosferatou
06.Luna
08.Serial Tear (COTD Cover)
 
サウンドチェックから音量が圧倒的でビビったのですが、これでも通常よりは抑えめらしいというツイートを見て驚きました。セットリストは近年の作品「NO」「Heavy Rocks(2022)」からのものを中心に、今回の再録スプリット収録曲を追加したもの。中でもアップテンポで畳みかける曲が多く、ライブ初見でも見やすかったです。轟音の中でもVoのatsuoのニュアンスにあふれた歌唱は印象的に響いていました。「Question 1」での静と動のスイッチングや「Nosferatou」でのドゥームメタル的音響(鈴も印象的)などは他ではなかなか聴けない音響体験なのではないでしょうか。「キキノウエ」では明日の叙景の布がゲスト参加。最後の「キキノウエ」連呼を交互に歌う様子が印象的でした。再録・カバー曲では原曲の香りを残しつつかなり生っぽい解釈での演奏に。カバーもしっかりBoris印になっていてまるで組曲を聴いているように一息で聴きとおせました。
 
01.Wipe out
02.Waterbird 
03.Melody (Boris Cover)
04.SHIOSAI
05.LANGSAM BLUT
06.LIGHT OF THE WORLD
07.Ribon no kishi
En.
09.Killing Another(with Boris, 明日の叙景)
 
最後はディーパーズ。ビジターズチームなので初期曲多めかと思いきや後期のモダンな楽曲ばかり。Yukari Telepath曲はいずれもキャッチーなこともあり大変な盛り上がりでした。まずはスプリット収録の再録とカバー曲群。重低音を活かした縦幅の広い轟音でありながら、ビジターズチームらしいバンド感が強く、思わず身体が動くような縦ノリのサウンドでした。数日前に発表された「SHIOSAI」はしっとりと。いつもよりVoが大きめに聞こえるバランスだったこともあり、歌メロが綺麗に聴こえてとても良かったです。「Ribon no kishi」ではリボンの騎士タオルを振り回していましたが、この曲の後半のおもちゃ箱をひっくり返したような展開がこのメンバーの力でさらにがちゃがちゃと面白く感じられ、本編最後の「HALF LIFE」ではギターメロディの疾走感が印象的でした。この曲、ライブで聴くと思っていたよりサンバなんですね。
 
アンコールでは明日の叙景、Borisのメンバーも参加してKilling Anotherのスプリット版アレンジ。これは最近も再録されていましたがそれとも全く異なる方向性で新解釈。前半はフューネラルドゥーム的に酩酊感を誘う轟音に包まれた後、切れ味鋭いリフに導かれて全員での爆走。そしてドラムを誰も叩かなくなりわちゃわちゃした混沌のまま終演に。
 
好きなバンドばかりを見ることができてとても幸福な空間でした。
またこの組み合わせでやってほしいですね。